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クライヌリッシュ 20年 1997-2018 BARレモンハート 46%

カテゴリ:
clynelish-lemonheart
CLYNELISH 
KINGSBURY 
For BAR LEMON HEART 
Aged 20 years 
Distilled 1997 
Bottled 2018 
Cask type Hogshead 
700ml 46%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR LIVET
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーク香、ワクシーかつおしろいを思わせる麦芽香。すりおろしたリンゴや洋梨を思わせる品の良いフルーティーさを伴う。

味:香り同様の構成。しっかりとした口当たりから、おしろい系の麦感と洋梨のピューレのようなフルーティーさ。微かに柑橘やアプリコット。余韻にかけてしっかりとパンチがある。フィニッシュはドライなウッディネス、華やかだがやや荒いオーキーさを伴って長く続く。

王道的なクライヌリッシュと言える個性を楽しめるリリース。加水だが、虚勢されているわけではなく、樽と酒質にはほどよい強さが残されている。


ウイスキー好きなら、あるいはお酒好きなら一度は見たことがあるであろう、漫画「BAR レモンハート」。最近はドラマも放送されていたため、より知名度が上がっているのではないでしょうか。

レモンハートは架空のBARですが、嘘から出た誠と言いますか、実際に東京・大泉学園前にBARレモンハートを作者・古谷さんが開業しただけでなく、昨年は酒販店も別途オープン。連載初期の頃に掲載されたものなど、終売などで入手が難しいものはさておき、漫画で知ったお酒を飲み、購入するという興味深いモデルが作り出されています。

今回のクライヌリッシュは、その酒屋レモンハートのオープンを記念して80本限定でボトリングされたものです。
ウイスキーではなくワインっぽいですが、ウェアハウスでテイスティングしているマスターの姿が、知ってる人には「おっ」と思わせるラベル。
中身のチョイスも一般に有名どころなウイスキーではなく、モルトラヴァーにファンの多いちょっとコアな銘柄代表とも言える、クライヌリッシュなのが惹かれますね。

それがまたテイスティングの通り、クライヌリッシュの王道的な味わいなのもポイントです。
ワクシーで、バニラや洋梨、あるいはおしろいのような甘い香りに、日本人に馴染みがあるところだと、お粥のようなとろりとした麦系のフレーバー。ここにオーク由来の華やかさとフルーティーさがマッチする。
リフィルシェリータイプの樽だと、酸味が強かったり多少くどくなる傾向もあるため、こういうのが良い塩梅だよなと。じっくり楽しませてもらいました。

クライヌリッシュ ブティックウイスキー 50.6% Batch No,2

カテゴリ:
CLYNELISH
BOUTIQUE-Y WHISKY 
Batch No,2
Release in 2013
500ml 50.6%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:ブラインドサンプル@Wennyさん
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

【ブラインド サンプルB】
地域:ハイランド
銘柄:ベンネヴィス
年数:20年程度
流通時期:2010年代
度数:48〜50%
樽:バーボンホグスヘッド
仕様:シングルカスク

香り:干草や乾いた麦芽のドライなアロマから、乳酸系の酸味、キウイフルーツや人工的なパッション香、時間経過でおしろいを思わせる甘みも感じられる。

味:少し水っぽさのある口当たり、バニラ味の風邪薬シロップ、おしろい、オーキーで黄色い果実味。後半にかけてヒリヒリとした刺激、ケミカルな甘みも伴う。
余韻はドライでほろ苦く、乾いたウッディネス。オーキーな華やかさの残滓を伴い長く続く。

ハイランド系の酒質と熟成感。人工的なニュアンスのあるフルーティーさとおしろいを思わせる麦感は、度数落ちホグスのベンネヴィスだろうか。同系統のフレーバーを出すものとしてはアイリッシュにしては麦系の香味が厚く、ロッホローモンドにしては熟成が長い印象。


リカーショップ、マスターオブモルトがリリースする、ブティックウイスキーカンパニーブランドのクライヌリッシュ。スペックの詳細は明かされていないものの、度数、樽、熟成年数、流通時期などの諸条件は、そこまで大きく外してはいないと思います。蒸留は90年代前半で、ボトリング本数から、樽はホグスヘッドでしょう。

しかしいただけないのが、蒸留所に結びつく特徴の捉え方。今回は白粉っぽい厚めな麦芽風味以外に、人工的なニュアンスのある甘み、リキュールやシロップのような果実味を強く拾ってしまい、こりゃ多少麦感もある90年代の前半から中頃くらいのベンネヴィスかなと。結果は大外し、麦系が強いクライヌリッシュだったワケです。
地域指定ハイランドと言えば予想は近いようですが、正直猛省ですね。

正解発表の後で改めて飲んでみると、ああ、これはクライヌリッシュだよというワクシーで白粉っぽい麦感の方が強く感じます。こんなにわかりやすいキャラクターだったのに、ピントが合わないとこうもズレる。
これが情報を飲むということであり、どこにフォーカス出来るかというブラインドの難しさ。まだまだだぞと良い刺激を頂いた出題でした。ありがとうございます!

クライヌリッシュ 44年 1972-2016 GM レアオールド 42.2%

カテゴリ:
CLYNELISH
Gordon & Macphail
Aged 44 years 
Distilled 1972
Bottled 2016
700ml 42.2%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅セミナールーム@TWD
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7-8)

香り:キャラメルや濃いはちみつを思わせる甘い香り立ち。麦芽香は樽香と混じってシフォンケーキのようで、スワリングでスモーキーなピート香が開く。時間経過でアプリコット、リンゴのカラメル煮、ドライでやや枯れたようなニュアンス。

味:マイルドでとろりとした口当たり。やわらかい麦感、熟したバナナ、キャラメル、そこからスモーキーフレーバーが鼻腔まで広がる。コクはあるがボディは細くなりつつあり、後半にかけてドライな要素が強くなっていく。
余韻はドライで角の取れたウッディネス、トロピカルフルーツの戻りが時間差で広がる。

度数が落ちて枯れ気味なニュアンスが感じられるモルトだが、元々のボディの厚さと個性の強さで、樽由来の要素や熟成による変化を受け止めてギリギリ踏みとどまっている。柔らかくマイルドな飲み口、粥のようならしい麦感と存在感のあるスモーキーさ、そしてリフィルと思われるがGMらしさのあるシェリー感。まさに最後の飲み頃、ストレートでじっくりと頂きたい。


GMのハイエンド(最近色々出過ぎてよくわからない)のレアオールドシリーズからリリースされた、クライヌリッシュの当たり年と言われる1972年蒸留にして、同ビンテージ最長熟と思われる1本。
なのですが、半世紀近い熟成年数に対して度数がレッドゾーンが近づいた42.2%は、ちょっと危険な匂いも感じる仕様でもあります。

言わば、枯れきったモルトの味わいとも言える、個性やボディがスカスカで樽感だけ華やか、どの蒸留所とも言えないようなモルトなのではないか。。。と。
ただそんな心配は杞憂でした。確かに枯れたような香味も多少あるものの、それ以上にクライヌリッシュらしい個性や、意外にも存在感のあるピート、戻りの果実味に感じるオークの恩恵。全てのウイスキーがたどり着けるわけではない、熟成後の姿があるのです。


クライヌリッシュで1972年と言えば、かつて同じGMのケルティックシリーズなどで多数リリースされており、いちごの白い部分のような果実味と華やかな樽香から、当時の愛好家にとって長熟クライヌリッシュのベンチマーク的存在となったビンテージだと思います。

そのクライヌリッシュと比較すると、今回のそれは少々傾向が異なる仕上がり。時代を感じるピート香を除けば、オフィシャル14年で感じられる要素の延長にある香味が主体的で、あれがこうなるとは思えない、ではなく、親子の写真を見比べて確かにこれは同じDNAがあると感じるような仕上がり。
昔の原酒の良さをと共に、今の良さも感じる。それらの共通点が香味にある枯れ感で、さながら次の世代にバトンを渡すような構成とも感じられました。


今回のボトルは昨年末に開催した、仲間内のテイスティング会で頂いたものです。
いろんな意味でレアなボトルが集まった会で、価格的に突き抜けていたのがこのクライヌリッシュ。そんな男気溢れる持ち込みを頂いたYakuさんも、自身のブログでこのクライヌリッシュのレビューを公開されています。


自分と異なる視点での評価は、また違った考察となっているだけでなく、持ち主だからこその時間をかけた深堀りが非常に参考になります。
当ブログと合わせて読んで見てください。
サンキューヤック!!

ブローラ 30年 リミテッドエディション 2010 54.3%

カテゴリ:

BRORA
Limited Edition
Aged 30 years
Bottled 2010
700ml 54.3%
   
グラス:グレンケアンテイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:BAR飲み@エクリプスファースト
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:やや酸味と青さのある香り立ち。干し草にツンとした刺激、徐々に乾いたウッディネスからワクシーな甘み、ほのかにスモーキーで土っぽいアロマも開いていくる。

味:とろりとした口当たりから、やや青さのある麦芽系の甘さ。バニラ、乾いた牧草、胡桃のようなほろ苦さとじわじわスパイシー。コクのある味わい。余韻はドライで焦げたようなピートフレーバーが広がり、ほのかな植物感を伴うビターなフィニッシュ。

ブローラというよりはややクライヌリッシュ寄りの味わいが主体だが、余韻にかけてピーティーでらしさも感じられる。ストレートで充分バランス良く熟成感も感じられ、少量加水するとさらに麦芽系の甘みがメインになってくる。


失われた蒸留所、ブローラ。先日のクライヌリッシュ(花と動物)繋がりで、先代クライヌリッシュであるブローラのオフィシャルボトルを記事にしていきます。
こちらもご存知の方が多いとは思いますが一応前置きとして・・・ブローラはかつてクライヌリッシュとして操業していた蒸留所。増産体制を取るべく1967年に新しい蒸留所が建設され、その蒸留所がクライヌリッシュとなり、旧クライヌリッシュはブローラと名を変えて1967年から1983年までは平行して稼動していました。

ブローラの特徴は、ピーティーで荒々しく、ある種野生的とも言えるような力強い味わいが魅力として知られていますが、全ての期間がそうだったわけではなく、1970年代を中心とした10年前後の期間に限られるキャラクターとなっています。
クライヌリッシュとして稼動していた期間、すなわち1967年以前はオールドハイランドスタイルで、ピーティーですが染み込むような味わい。そして1980年代は総じてピートが弱まり、キャラクターもクライヌリッシュを思わせるワクシーな麦芽風味に草っぽさが混じるような構成の樽が増えていきます。
元々はブレンデッド用に使われていた原酒が、その役割を終えて新しいキャラクターを確立したものの、時代はやがてウイスキー冬の時代、魔の1980年代へ。当時のDCL社の主要な原酒のひとつとしてクライヌリッシュは生き残りますが、ブローラは1983年に100年以上続いた歴史に幕を下ろすこととなりました。

さて、今回のボトルは2003年ごろからディアジオが毎年リミテッドエディションとしてブローラに残された原酒を使って作っている、カスクストレングスのシングルモルトです。
2010年ボトリングで30年モノ、味の傾向から1970年代前半よりも1980年頃の原酒をメインに使ったのではと思われるスタイルで、上述のブローラらしい魅力全開というより、ちょっとピーティーなクライヌリッシュという感じですが、余韻にかけてはそうした時代の片鱗も感じることが出来ます。
近年のブローラはすっかり高嶺の花になってしまいましたが、今とは異なるそのキャラクターは唯一無二の個性だったと思います。

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ちなみに、今もブローラの稼動が続いていたら・・・なんて思うのは愛好者の性。その可能性を一つ形にしたのが、今年の初めにリリースされていたクライヌリッシュのラガヴーリンカスク熟成。荒さの残る仕上がりながら、ブローラの姿に味わいを重ねた愛好者は少なくなかったのではないでしょうか。(テイスティング@BAR LIVET)


ここ最近ずっと激務が続いているくりりんです。
特に8月頃から1週間のうち2~3回深夜タクシー帰りが当たり前になってしまいました。1時2時くらいの帰宅なら全然書けるんですが、流石に連日4時退社では筆が追いつきません。。。土日もどちらか普通に出勤してますし。そんなわけで記事更新が飛び石になりがちです。そしてコメントにも返事が出来ておらず申し訳ございません。
昨日は朝5時退社で帰宅後シャワー&着替えからの東京駅、一睡もしないで新幹線に飛び乗って日帰り出張です。新幹線寝過ごさないでよかった(笑)
最新リリースのテイスティングもろくに出来ていないのはもやもやする気持ちになりますが、まずは一家の大黒柱として家庭が第一、そしてそれを維持するための仕事ですから、仕方ないですね。
まあそれにしても、来週は1日くらいBAR飲みでもしにいきたいです。

クライヌリッシュ 14年 花と動物 43%

カテゴリ:
CLYNELISH
Single Highland Malt Whisky
Years 14 Old
1990-2000's
700ml 43%

グラス;木村硝子テイスティンググラス
場所;BAR飲み@エクリプスファースト
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:甘くワクシーな麦芽香、おしろい、すりおろしたリンゴや洋梨、軽やかな香ばしさとほのかに尾行を刺激するスパイシーな刺激。奥からドライでオーキーな華やかなアロマも開いてくる。

味:まろやかな口当たり。ワクシーで麦の芯を思わせる甘み、微かな植物感、バニラ、じわじわとオークフレーバーが広がり、洋梨などに通じる果実味も感じられる。
余韻は淡いピートがほろ苦く、ナッツや麦芽風味主体で長く続く。

甘い麦芽風味、独特のワクシーさ、程よい厚みのあるボディはミスタークライヌリッシュという味わい。樽香はバランスよく、酒質部分が主導の中で後からアクセントとして開いてくる。もはや加水は必要なく、ストレートで楽しみたい。


通称「花と動物」のクライヌリッシュ。UD時代から飲まれている人にとっては、特に懐かしいボトルだと思います。
もはやお約束レベルなのでさくっと流しますが、花と動物シリーズは、UD社(現ディアジオの前身となる企業)が保有する蒸留所の原酒を、シングルモルトとしてリリースしたもの。ラベルにはその蒸留所と関わりの深い、花や動物の絵が描かれていて、クライヌリッシュは山猫です。

蒸留所の親会社がリリースしたボトルであるため、半ばオフィシャルという位置付けとなっており、この上位グレードには、UDレアモルトシリーズが展開されていました。
花と動物シリーズは、トータルで20種類以上リリースされていたと記憶していますが、足並み揃って20種類ではなく、アバフェルディのように蒸留所が他社に売却されたりして販売されなくなったもの。あるいは別シリーズ展開のためにリリースを休止したものや、逆に近年までリリースが続いていた物などがありました。

今回のクラヌリッシュは2000年代前半、花と動物シリーズ発売から割と早期に生産が休止されており、動シリーズの中ではレアなボトルに入ります。他にレアなところはアバフェルディやカリラですかね。
ただ、その代わりなのかヒドゥンモルトシリーズとして同時期にオフィシャルのクライヌリッシュ14年が発売され、その後はマイナーチェンジを繰り返しながら今日に至っています。

(クライヌリッシュはシングルモルトを嗜むなら抑えておきたい蒸留所の一つ。ボトラーズリリースが多いだけでなく、ジョニーウォーカーを構成する主要原酒の一つでもある。Photo by K67)

オフィシャルとの比較では、一時期は花と動物が圧倒的で、今飲んでも「まさにクライヌリッシュ」という麦芽風味やワクシーな味わいが好印象なボトル。
なぜこのような味わいになるかは諸説ありますは、ファンの間で最有力な話が「ポットスチルのラインアーム部分を洗浄していないため」という話。
鰻のタレ、あるいはくさやか、ファンが多い蒸留所である一方で、人によってはその経緯から受け付けないという方もいたりします。

一時期のオフィシャルはこの要素が薄くなり、ドライでスパイシーな傾向にシフトしていたものの、昨年あたりでオフィシャル14年がひっそりと「美味しく」なり、あの味わいが戻ってきました。
飲み比べをしても面白そうだと感じています。



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