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CHICHIBU
ICHIRO'S MALT
Matured in the KUSUDA wine cask 2017
Aged 6 years
Distilled 2011
Bottled 2017
700ml 57.5% 

グラス:グレンケアン
量:ハーフショット
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:濃厚でパワフルな香り立ち。ツンとした刺激に薬草風呂のようなハーブ、植物感のある樽香、焦げた木材、ナッツ、プルーンやベリー味のキャンディを思わせる甘さ。

味:口当たりは香り同様パワフルで、とろりとした甘みからタンニンを感じつつ、強い刺激が樽由来の香味を突きやぶってくる。木苺のソース、ハーブ、濃く入れすぎた紅茶、ビリビリとしたアタック。
余韻はドライでハイトーン、ウッディなえぐみを伴い樽由来の甘みが長く続く。

濃厚なワイン樽とクリアでハイトーンな秩父原酒、どちらの特徴もしっかり感じられる1本。
このアタックの強さ、ストレートでは少々呑み疲れるが。。。
 
秩父でウイスキーを作る肥土伊知郎氏のイチローズモルトと、秩父出身の楠田浩之氏がニュージーランドで設立したワイナリー「KUSUDA WINES」が、秩父繋がりでコラボレーションしたのが、今回の楠田ワインカスクシリーズです。
2015年にはピノ・ノワール樽(ピノノワール種で仕込んだ赤ワインを熟成させていた樽)でフィニッシュしたシングルカスクが300本限定でリリースされ即完売。これは濃厚でフレッシュな味わいだったと記憶しています。
そして今回はピノ・ノワール樽、シラー樽で原酒をフィニッシュし、4樽バッティングしたシングルモルト仕様で1270本が発売されました。

お恥ずかしいながら、クスダワイナリーの製品を私は飲んだことが無いのですが、同ワイナリーはニュージーランドワイン業界のいわば超新星。国際線のファーストクラスで提供される実績、著名なワイン評論家からDRC等と同等の評価を受け、クスダのファンだと公言される出来栄えなど、ここ10年間の評価は青天井なのだとか。。。まあこの手の金賞受賞的PRはワインにあって若干眉唾的ではありますが、非常に高い評価を受けているのは間違いありません。
特に今回使われたピノ・ノワールとシラーのワインは、かねてよりクスダワイン=ピノ・ノワールとして評価が定着していた代表的品種に加え、シラー種も人気が高まっているのだそうです。

飲んでみると赤ワイン樽らしくとろりとした甘みに、ほのかな酸味、ハーブ、スパイス、ウッディなニュアンスがしっかり感じられます。ともすればベタつきがちなワイン樽フィニッシュですが、ベースの秩父らしいハイトーンな口当たりで、中和というか上書きされていくイメージ。
フィニッシュに使われたのは空樽は、クスダワインに使われる樽はフレンチオーク(新樽比率は30%)との記載がワイン側にあり、リフィルのフレンチオークであるのは間違いなさそうです。
結構しっかりウッディなので、1度使った樽で2〜3年くらい後熟しているのかもしれません。

このボトル、1270本が秩父市内のみで発売された中で、うち100本がふるさと納税の対象にもなって、結構な額の納税でしたが即完売。それもまた話題になったところ。 相変わらず凄い人気です。
楠田ワインの高品質の秘密は「クスダマジック」なる"超手をかけてワインを作る"ことなのだそうですが、それが今の評価に繋がっているわけですから、何事も日々の努力の積み重ね、そして熱意、情熱があってこそですね。
かたやイチローズモルトも様々なウイスキー作りにトライし、スタッフに熱い想いがあるのは異論を挟む余地はないところ。今回の一本は、世界にその名を知られる2ブランドの、まさに情熱のコラボと言うべき作品です。