イチローズモルト カード キングオブハーツ 23年 1986-2009 55.4%
ICHIRO'S MALT
CARD "KING OF HEARTS"
Aged 23 years
Distilled 1986
Bottled 2009
1st Cask type Hogshead
2nd Cask type PX Sherry Butt
700ml 55.4%
グラス:テイスティンググラス(名称不明)
量:ハーフショット
時期:開封後3年程度
場所:BAR飲み(BAR Kitchen)
暫定評価:★★★★★★(6)
味:粘性のあるリッチな口当たり。黒飴、チョコレートウェハース、シロップ漬けチェリー。度数高くパワフルで古酒感混じる。
余韻はヒリヒリとしたスパイス、ほうじ茶のような軽い渋みのウッディネスが長く続く。
樽感の強いウイスキー。羽生の原酒らしくパワフルなアタックに、PXシェリー樽由来のとろりとした甘さが程よく馴染んでいる。コシの弱い原酒ならベタつきが出て腰砕けになっていただろう。複数樽だからか多少時間がかかるようで、じっくり時間をかけて楽しみたい。
キングオブハート、初音ミクでもガンダムでもないですよ。思えば非常に久々となる、羽生蒸留所、イチローズモルト・カードシリーズのテイスティングです。
2014年にジョーカーがリリースされ、一連のブームの追い風を受けてカードシリーズの人気が大爆発したのを、どこか冷めた目で見ていたこの数年間。羽生の原酒は嫌いじゃない(むしろ好きな部類)ですし、飲んでないわけじゃないですが、なんとなく琴線に響かなかったんですよね。
熱意があるところには、それに類するものが自然と集まってくるものですが、熱意のない自分のところにのそれが来るはずもなく・・・。
このボトルについても、リリース当初に飲んでそれ以降は出会うこともなく。シリーズとしても、銘柄としても、本当に久々の再会だったわけです。
そんな再開の場所は、カードシリーズ全種一斉テイスティング会を行ったことで有名な、南の聖地とも言えるBARキッチン。
マスターの岡さんに「カードシリーズの中で、これはおすすめというのは?」と聞いて出てきた1本でした。
(写真のバックバー最上段、ずらりと並ぶカードシリーズの姿は、そもそものバックバーの規模と合わせて圧巻の一言です。)
朧げな記憶を紐解けば、イチローズモルトの"キングシリーズ"は、特にキングオブダイヤモンドの出来が良く。期待していた中でハートの口開け当初はウッディーな苦味、タンニン、アルコールのアタックが強く、甘みが中々開いてこないパワーの強いフルボディなモルトだったと記憶しています。
そのため、このお薦めを注文するかどうか躊躇い、逡巡し、折角だからと頂いてみると、強いアタックは相変わらずながら、黒砂糖系の甘みが開き、ダークフルーツの果実香も漂うようなバランスの向上が見られました。
このキングオブハーツはホグスヘッドで熟成された後、PXシェリー樽に移されたダブルマチュアード。羽生蒸留所は熟成環境からか樽感が強く出る傾向があるので、ボトリング当初は最初のホグスヘッド由来のウッディーな要素が強く出ていたということでしょうか。
それこそ、アルコールのアタックも強く、酒質も比較的重め、そこに濃い樽感という同蒸留所並びにカードシリーズの特徴は、ワインでいうボルドーの赤のように熟成(瓶熟)向きだったと言えるのかもしれません。
今や貴重なボトル。機会が巡って来るかはわかりませんが、他のボトルも狙って飲んで見たいと思います。