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カリフォルニアのピノ・ノワールに可能性を見たという話

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最近ウイスキーが高い。ある一定以上のグレードのボトルは兎に角高い。
一部のプレミアを除き、何十年も熟成した原酒から作られるリリース各種が1万円もしなかったような時代など、元々が安過ぎて最近が正当なのだという意見は理解出来ます。
それでも数年前に1〜2万で買えたようなボトルの類似の樽が、今年のリリースは数倍以上という事例を見ると、この指数関数的上昇は一体。。。と、複雑な心境になるのもまた、消費者心理というものです。

そんな中、昨年末の記事でも触れたように、ウイスキーに軸を置きつつも他ジャンルへの橋渡しも出来たら良いなと、ちょっとずつ手を広げて楽しんでいる一つがワインです。
近年良質なシェリーカスクのウイスキーが希少となり、特に華やかで艶やかなベリー香漂う、オールドシェリーの一種を味わおうとするとハードルが高い状況。しかし近い香味を備えているワインもあるなと、ウイスキー好きに進めたいジャンルとして探っていました。

これまで持ち寄り会などで、その筋の方々から写真にあるような神の雫が如きワインをいくつも飲ませて頂き、味でナンジャコリャー、価格を調べてある意味納得しながらナンジャコリャーと、少なくとも2度に渡る驚きを受けていたところ。
フランス、特にブルゴーニュの古酒はたまらんですね。熱狂的ファンが居るのが本当によく理解出来ます。

例えば以下の「ジャンボール ミュジニー ドメーヌ クリブレ1969」は、熟成ワインの妖艶な香り立ち、梅ジャムやベリーを思わせる酸味とダシ感のあるコク。。。
ウイスキーの良質な古酒にも通じるニュアンスに、もうすっかりやられてしまい、「こういうワインを月一くらいで飲めたら最高!」という、達成できる見込みのない指標になっています。


どれも素晴らしいワインで、貴重な経験をさせて貰いました。
そしてこの1年間、自分でもグラスで飲んだりボトルで買ったり、ウイスキーの息抜き的にワインを探求をしていましたが、まあワインも例に漏れず評価されているものは高いのです。

しかし、希望がない訳ではありませんでした。
ウイスキー好きの琴線とも言える、古酒の妖艶さに通じるニュアンスがあって、まだ常識的な価格で手に入り、かつ自分で類似の香味を作り出すことも出来るジャンル。。。そんな可能性を感じているのが、新世界のワインの古酒。
特にカリフォルニアのピノ・ノワールの5〜10年程度のバックビンテージです。


日本では通称カリピノと言われる区分のワインは、単一畑だと1万円越えも普通にありますが、エントリーグレードは3k程度からが標準的な相場です。
写真のカレラ・セントラルコーストはその代表的銘柄の一つ。大抵は熟したベリーや果実の風味に加え、華やかなアロマ。モノによってはパワフルで酸味が強かったり、タンニンもそれなりにある感じ。多くは購入して即飲むようなイメージで、熟成という選択肢は持っていませんでした。

また、ピノ・ノワールと言えばフランスのブルゴーニュが原産にして、代表的品種。「新世界のピノは熟成によって馬脚を現す」なんてコメントもあるとかないとか。
そんな表現があるほど熟成ならブルゴーニュのピノと評価されている訳ですが、何本かカリピノ・エントリーグレードのバックビンテージを飲んで思うのが、あれ、これ普通に美味い。っていうか熟成イケてんじゃん。

(先日、ウイスキー仲間内の定例会にオマケで持ち込んだケンダル・ジャクソンのピノ・ノワール2010。艶のあるベリー香がしっかりあり、普段飲みに是非使いたい。グラスが1脚足りず、自分はウイスキーグラスw)

カレラ、メルヴィル、ケンダルジャクソン、オーボンクリマ。。。まだ有名どころの限られたビンテージしか飲めてませんが、共通するのは以前カレラのレビュー記事で「下町のフランス料理屋」と例えた親しみ易さと、わかりやすい美味さ。
素晴らしいブルゴーニュの古酒に比べて複雑さや奥行きの格は違うと思いますが、ピノ・ノワールの良さと言えるベリー系の果実香が熟成による艶を帯びて、上述の古酒に通じるニュアンスも感じられること。

これが上位グレードのワインではなく、エントリーグレードで、しかもセラーに放り込んでおけば、現行品でも5年程度の熟成から仕上がる可能性があるという点もポイントです。
瓶熟に期待と言っても、リリース後に20年くらい置かなければならないだろう現行品のバッキバキなシェリーカスクのウイスキーでは、原酒の飲み頃が来る頃には自分の肝臓が飲み頃というか耐用年数を超過してしまう心配もあるだけに、ここは大きな可能性なのです。
BARに置いてあるかというと難しいかもしれませんが、機会があればウイスキードリンカーの皆様に是非試して欲しいジャンルですね。


ワインのブルゴーニュがウイスキーのスペイサイドなら、さながらカリフォルニアや新世界はカヴァラン。
今後はカリフォルニア以外に南アフリカやニュージーランド、オーストラリア、そしてチリなどでも類似の系統も探ってみたいなと考えています。勿論メインは引き続きウイスキーですが、他の酒類にも目を向けることで、例えば樽のことなどウイスキーとしても学べることは少なくないと思うのです。
ワインもイケるウイスキードリンカーの皆様、オススメ銘柄ありましたら是非教えてください。

最後に、こうした比較が出来るのも、冒頭述べたような素晴らしいワインの数々を経験させてもらえたからに他なりません。機会を下さった愛好家の皆様、本当にありがとうございます。


以下、雑談。
最近の当ブログ、ニューリリースの中でもボトラーズは息切れというかほぼ発掘出来てません。来年からはさらにその傾向が強くなると感じています。
味がどうこうは申しませんし、ディスるわけでもありません。ニーズに沿ったボトルを安定して仕入れるインポーターやバーマンの皆様の努力は、相当なものと思います。ただしかし純粋に、追いきれないのです。。。

また、オールドブレンドの主要銘柄のレゾネをブログ上に完成させたいという目標を優先しているのもあります。
今年1年まだ終わりじゃありませんが、他のジャンルを選択肢とする一方、総括してこのあたりの情報が手薄になっていること気になりましたので、追記致します。
(※記事公開時は前置き的に記載していた内容ですが、本筋の話ではないので配置換えしました。2018/12/13)

カレラ ピノノワール セントラルコースト 14.5%

カテゴリ:
CALERA
PINOT NOIR 2012
CENTRAL COAST
750ml 14.5%

熟した木苺やブルーベリーを纏う果実香、蜜のような甘みが奥にあり、時間経過で強く。ぶどうの皮、鉛筆、ほうじ茶のような渋みを伴いつつ透明感もあるアロマ。
引っかかりのないスムーズな口当たり、厚みはミディアムからフルボディの間程度で相応に濃さはあるが、杯を重ねても負担は少ない。
カシスの熟した果実の甘みと酸味、徐々にタンニンが積み重なり、歯茎を引き締めるように心地よくビターで長く続く。

バキュバン保管1日後。
カシスシロップのような甘みが出てくるが、香りやボディの輪郭は崩れない。
料理は鶏胸肉にクレイジーソルトで軽く味付けし、ミニトマトとグリルしたお手軽料理。公式で推奨の料理に近いのもあり、ワインがさらに美味しく。


カリフォルニアのロマネコンティこと、カレラワインカンパニーのスタンダード銘柄。
同社が所有する6つの畑の葡萄をブレンドしたもので、価格は他の単一畑に比べて抑えられつつ、そのクオリティを味わうことが出来る事を売りにしています。

カレラ社のワインはスタッフ、葡萄の木ともDRCに繋がりがあり、そして葡萄を育てる環境もそれを意識して選定しているため、ロマネコンティと呼ばれるには理由があります。
ワインそのものも高い評価を受けているわけですが、ただ正直、ロマネ村は兎も角、DRCのワインなんて飲んだことない身として、標高がどうだ、葡萄がどうだと生兵法をカマすのはおこがましいので。。。(その辺は輸入元サイトをご参照頂ければと。)

しかし確かに、下手なブルゴーニュのピノを買うならカリフォルニアのほうが良いよという意見には賛成。このカレラのワインは開けてすぐ美味く、下町大衆食堂のフレンチのような、品種からくる本質的な要素がありつつも気取らない親しみやすさが魅力。この果実味と程よいタンニンは、ウイスキー好きにも琴線があるように思います。

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先週はひたすらウイスキー尽くしだったんで、休肝日を挟んでワインです。
今回のボトルはバックビンテージ。以前ネット上でカレラのワインは10年くらい熟成させても面白いという評価を見たことがあり、ちょっと期待していたのですが、確かにこれは良いですね。
直近のボトルとでしか比較は出来ませんが、口当たりのスムーズさが増し、余韻のタンニンが洗練されたというか、その評価も頷ける構成でした。

勿論、ブルゴーニュの王道的古酒の味わいに比べ、近年感というか、模倣という印象を感じてしまうのは自分が情報を飲んでいるからかもしれないのですが、週末のおうちディナーで飲むなら充分すぎるクオリティです。
ああ、こーいうワインを家飲み用にストックしておきたい。。。

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