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テイスティングにおけるパンドラの箱 オフフレーバーを学ぶ

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先週末、1ヶ月半ぶりのTWD(テイスティング勉強会、第5回)に参加しました。
さすがに年度末だけあって忙しく、3月は予定が合わなかったんですよね。
今回もまあ色々濃い意見交換をしたわけですが、一つ年明けから仕込んでいたネタで「オフフレーバーとはなにか」という時間を設けてみました。

ウイスキーで、特にオールドボトルを嗜む人は、オフフレーバーという単語を耳にしたことは多いと思います。
ヒネてたり、こもってたり、あるいは変な臭いや味だがしたり・・・という状態の総称ですが、このオフフレーバーがなぜ発生するのかを、その発生を再現することで原因を特定、知らないメンバーはそれがどういう香味なのか学んでいこうというものです。

まず再現するにあたっては、何がオフフレーバーなのかを定義する必要があります。
オフフレーバーは大きく分けて蒸留・熟成の製造工程でつくものと、ボトリング後につくものとの2パターンがあります。
製造工程でオフフレーバーが出たものは製品化の際に除外されるため早々市場には出てきません。よってボトリング後に何らかの影響でついてしまった、通常の熟成環境下ではつかないフレーバーをオフフレーバーとして整理しました。
いわゆるヒネ、コルク臭、プラキャップ(樹脂)臭、金属臭に該当するものです。

再現方法はこれまでの経験から、それが発生する原因と考えられる物質をウイスキーの中に沈めて放置するだけ。
基本的にオフフレーバーはキャップの裏側の保護材が原因と考えているので、該当するキャップの裏側やコルクを用意しました。(ヒネに関しては温度変化と紫外光の合わせ技が原因ではないかと考えられ、加速的に再現するのは困難であるため、該当するフレーバーがでているウイスキーで代用しました。)

どのキャップがどのフレーバーに該当するかは、こちらの記事の「ハズレに繋がりやすいキャップ」を確認ください。

手元にあった適当なウィスキー(今回はフィンドレイター15年)を4瓶に分けて、それぞれ該当する物質を入れます。
1月から準備を開始したので、そこから約3ヶ月と少々。2ヶ月目くらいから影響が出てきたわけですが、今まで「このキャップだとこのオフフレーバーが出ている可能性が高い」と考えていたことが、間違いではなかったコトがよくわかりました。
また、合わせて横置きがNGであることも改めて証明されたワケですが、数日程度なら香味の面では認識できる影響はないとも言えそうです。

オフフレーバーは、人によって感じる感じないがはっきりわかれます。
むしろ我々一般的な飲み手は、わかったところで楽しみが減るだけで、わからないほうが幸せなのではないかというパンドラの箱。最後にあるはずの希望すらそこにはないかもしれません。
しかし酒販関係者は認識した上で販売するしないを決めた方が良いですよね。
「どうです、このボトル状態バッチリですよ」と出して、実は「ウボァー」なボトルだったなんて事態は洒落になりませんから。

このサンプルは池袋のBAR Ambrosiaさんに放置プレイさせていただきました。
通常売り出すようなものでもないと思いますが、お願いすれば出してもらえるかもしれません。
ただ、その際の飲用はくれぐれも自己責任でお願いします(汗)。

オールドボトルのリスク 状態が悪いウイスキーの対処方法

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先日、ウイスキー特級時代の魅力について記事をまとめる中で、リスクとして状態が悪いボトルについてもまとめました。
キャップの影響、あるいは経年での温度変化などによる香味の変質、こうした変化が積み重なって、飲み手にとって悪い味に認識される、劣化状態となったボトルが、いわゆる状態の悪いボトルであり、ハズレと言われるものです。オールドボトルの世界では光と影のようなもので、回避することが不可能な問題でもあります。

では状態が悪いボトルを引いてしまったら、どうすればいいか。
あきらめてボトルを廃棄し、次のボトルにいくなんてことは中々出来ることではありません。
散々手を尽くして、自分なりに納得できれば多少の出費も勉強代として納得できますがどうにかリカバリーすることはできないか。今回はそのリカバリー(ごまかし)方法として自分が実践しているものを、いくつか紹介いたします

①キャップをコルクに変えて放置する。
効果:金属臭、樹脂(プラキャップ)臭並びにヒネ香の軽減。
副作用:香味が多少ボケる可能性もあります。
コルクは写真のように少し浮かせて刺すのがコツです。コルクを通じて微量な空気が出入りすることで、通常よりも加速的に香味を開かせ異臭をごまかす、軽度なモノであれば体感的にはほぼ消滅させることができます。

なお、オールドボトルの口径は現在販売しているノーマルなボトルよりも太いことが多く、ワインコルクや大口径のコルクを用意しておくと良いですね。とりあえず1ヶ月くらいこの状態で様子を見ましょう。オフフレーバー対処法で最もオーソドックスな方法と言えます。

 ②ボトルを移し替える。
効果:プラキャップ臭の軽減
副作用:特になし。見た目が変わってしまうくらい。
現行品で飲み終わった別ボトルに入れなおして放置する。①と組み合わせると効果的です。理由はよくわかりませんが、以前樹脂系のキャップ臭が出てしまったボトルで試したところ、ただ放置したボトルに比べて効果が見られました。

 ③冷蔵庫で一度冷却する。
効果:ヒネ、味のボケの軽減。
副作用:檻が出る恐れあり。 
冷却状態から温めることで香味が開く効果が期待できます。液面低下の影響等で口開けで味がパッとしないもの、ヒネが強いボトルに効果が感じられます。
ワインセラー持ちの方はセラーで縦置きでも良いですが、一般家庭で妻子持ちの方は冷蔵庫の使用に理解を得る必要があります(笑)

④少しだけ違うウイスキーを加えてみる。
効果:プラキャップ臭、金属臭、ヒネ、味のボケの軽減。
副作用:もはや別物になってしまう。
最終手段と言える技で、違う原酒が入るため元のウイスキーベースの何かになってしまいます。お店で出す商品には使えませんね。ただそれがキッカケになるのか、オフフレーバーの軽減が感じられたケースがありました。ノーマルなブレンド他、どシェリーやバーボン樽のシングルカスクを少量加えてみても良いかもしれません。

⑤ハイボールにして飲む。
効果:軽度のコルク臭、金属臭、ヒネの軽減。
副作用:特に無し。
重度のオフフレーバーは出てしまうと手の打ち用が無いのですが、軽度であっても中々リカバリし辛いのがコルク臭です。放置しても抜けない、香りというより味の後半、余韻のところで強く出るため、誤魔化しにくいんですよね。これがハイボールにすると薄まるためか、状態が良いもので作るより味は落ちるもののなんとかなるケースがあります。ヒネに関しては良い塩梅に軽減されるため、自分がオールドハイボールを勧める理由でもあります。

科学的な検証は何もしていませんが、以上は実際に自分が飲んできた中で体感的な効果が得られたものです。これ以外には、グラスをテイスティンググラスからロックグラス、ショットグラスに変えてみるというのもあります。もともとダメなボトルですから、いろいろ試して何とかなれば儲けものですよね。
この他、こういう方法があるというのがありましたら、自分も検証してみますのでぜひ教えてください!

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