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カリラ 9年 ファイアブリンガー “サガ25周年記念ボトリング”

カテゴリ:
CAOLILA 
The 25th Anniversary of SAGA 
"Fire Bringer" 
Aged 9 years 
Distilled 2006 
Bottled 2015 
Cask type Hogshead 
700ml 50.4% 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:クリアで透明感のあるピーティーな香り立ち。塩素、乾いた藁、シトラスを思わせる爽やかさとスモーキーなアロマ。あまり多層的ではなく樽感も淡いが、未熟という印象はそれほど感じない。

味:口当たりはピーティー、ボディはミディアム程度だが奥に旨味が広がっていく。ピートフレーバーはエッジが鋭く、薄めた蜂蜜、レモンキャンディ、徐々にピリピリとスパイシーさ。微かに焦げた木や灰っぽさ、若い乳酸感も感じる。
余韻はドライでピーティー、長く続く。加水はよく伸びてオイリー、麦芽風味もある。

Saga25周年記念リリース、その3本目。
今年発売される予定のシリーズ最新作、スカーレットグレイスから、邪神ファイアブリンガーをイメージしたボトル。
これから発売されるゲームのキャラクターとあって、まさにサガシリーズの未来に位置づけられたボトルとなっています。
このキャラクターに関しては、そもそも元になるゲームそのものが概要程度しか公開されていないため、何がどうとは言い難いのですが、サガシリーズがただの勧善懲悪で終わるとは思えないので、きっと深い設定が用意されているのだと思います。

中身については、スペックからただ若くて勢いだけのカリラかと思ったら意外にそうではなく。
荒さは多少あるものの度数を感じさせない口当たり、奥には芯がある味わい。内に秘めた個性というか、ピーティーなフレーバーの奥から盛り上がる甘みがアクセントになって、若いなりに良い仕上がりのカリラでした。
特に加水での伸びは3本中一番だと感じました。ぜひ少量から試して見て欲しいです。

味では良い意味で驚きがあり、仕上がり具合は先に述べたとおり。他方で飲む前から驚かされたのはその値段、2000年代蒸留で9年ものが約17000円ってマジですかとw
振り返ればムーンとかシルバーシールとかでそういうボトルもないわけじゃないですが、アイラモルトを取り巻くボトラーの状況は本当に苦しいようです。今後もこの傾向は変わらないでしょうね。
SaGaシリーズのみならず、ウイスキー業界においても「未来」を象徴するリリースと言える1本でした。

クライヌリッシュ 17年 イスカンダール “サガ25周年記念ボトリング”

カテゴリ:
CLYNELISH 
The 25th Anniversary of SAGA 
"Iskandar" 
Aged 17 years 
Distilled 1996 
Bottled 2014
Cask type Bourbon Hogshead 
700ml 51.3% 
暫定評価:★★★★★★★(6-7)

香り:華やかな麦芽香と蜂蜜、青林檎やドライパイナップルのフルーティーなアロマ。香り立ちは強く厚みがある。加水すると麦芽とワクシーさが際立つ。

味:滑らかな口当たりからリッチなフルーティーさ。林檎のコンポートー、熟した洋梨、微かなハーブ、麦芽、ナッツ、ワクシー。徐々にホワイトペッパーが舌の上をピリピリと刺激する。
余韻はまったりとした蜜っぽさとほのかなオークフレーバー。淡くドライで長く続く。
バランスの良い仕上がりで加水も悪くない、少し水っぽくなるが伸びて後半にかけて開く華やかさ。


SaGa25周年シリーズ2本目、アンリミテッドサガに登場するイスカンダールをイメージしたという1本。
3部作のうち中期をイメージした位置づけにあり、熟成年数も17年とミドルエイジです。
なぜかボトリングが2014年なのですが、それはこのイスカンダールが他2本とは異なるボトラーが出元となっており、出荷と手続きに時間差が生じたため。ゲーム内でのイスカンダールは別次元の人間という設定があるようですが、ボトラーが違うという公にされない事情はその設定にマッチしているように思います。

さて、ボロが出ないうちに早々にカミングアウトすると、アンリミテッドサガが発売された2002年ごろから自分はオンラインゲームにシフトしており、PS系のゲームは精々パワプロとかウイイレとかそっち系、最後はアーケードのほうに走ったので、アンリミテッドサガ、未プレイです(汗)。
ジェラールはまだ「懐かしいなあ(縛りプレイで速攻最終皇帝にしたくて即退場頂いたっけなあ)」と思うのですが、イスカンダールはまったく思い入れがありません。
そんなわけでさくっと中身のレビューに移らさせていただきます。

先のブナハーブン25年のレビューの中でも触れたように、今回リリースされた3本はどれも一定以上のレベルにある仕上がりですが、特にクライヌリッシュの出来は頭一つ抜け出ていて、このボトラーらしいリッチなフルーティーさとクライヌリッシュらしい厚みのあるボディが、良い具合にまとまっています。
最近クライヌリッシュというとドライで酸味が強かったり、ただ樽感がギスギスしているだけのものが多く、今回のような柔らかい麦芽風味やワクシーな感じが出ているものは少なくなってきた印象があります。これは良い樽詰めましたね。
25周年記念シリーズの中ではボトリング本数が300本強ともっとも多く、幸いにして手に入れることが出来た人やお店も多かったのではないかと思います。
見かけたら是非試してみてください。
クライヌリッシュ_イスカンダール

ブナハーブン 25年 ジェラール “サガ25周年記念ボトリング“

カテゴリ:
BUNNAHABHAIN 
The 25th Anniversary of SAGA 
"Gelard" 
Aged 25 years 
Distilled 1990 
Bottled 2015 
Cask type Hogshead 
700ml 48.3% 
暫定評価:★★★★★★(6)

 香り:華やかで軽やかな香り立ち。ドライでオーキーなアロマは青リンゴ、ドライパイナップル、微かなハーブを思わせるスッとした爽やかさ。加水すると乾いた麦芽風味とナッティなニュアンスもある。

味:口当たりはややドライでエッジの立ったオーク香とフルーティーさ。ボディはミディアム程度で、そこまで厚みは感じられない。ドライアップル、レモンピールの砂糖漬け、微かにシナモンと、奥には麦芽の白い部分の底支え。
余韻はドライで華やかなオーキーさと微かなスモーキーさが感じられる。
加水すると摩り下ろしリンゴ、ワクシーな風味が開くが、水に負ける印象もある。


SaGaシリーズを知る飲み手なら誰もが驚いた、まさかのスクエニと信濃屋のコラボボトル。
3種類リリースされた中で、特にSaGaシリーズの25周年を記念した色が強かったのが、このブナハーブン25年でした。
本ボトルはサガ2に登場するキャラクター、ジェラールをイメージしたボトリング。
サガシリーズの創世記、中期、未来というコラボボトルの中で創世記に当たる位置づけであり、そこにブナハーブンというのはよほど良い樽だったのか、それともジェラールのキャラクター設定から個性を誇る他のアイラモルトではなく、穏やかで尖った個性のないブナハーブンが選ばれたのか。いずれにしても3種類の中では一番楽しみだったボトルです。 (ついにねんがんのry)
ゲームに関する思い入れは自分あたりの世代だと特に強いものと思いますが、このブログでロマサガについて熱く語っても仕方ありませんので、その辺のネタに触れるのは最低限に留めてボトルの紹介を主眼におきたいと思います。

ブナハーブンは平均してボディが厚い酒質ではなく、このオーキーなフレーバーはいかにもボトラーズからのリリースらしいタイプです。ブラインドでは絞り込みが難しいと思いますが、蒸留所を言われると納得する感じ。
これ以上熟成させたら更にドライで、樽材しゃぶってるような味になってしまうところ、その際どいところでのボトリングであり、ボディが許容できるギリギリの樽感が詰まっている。酒質そのものの味としては、麦芽風味と微かなスモーキーさ、素直な味わいで、バランスよくまとまっています。
口開けでしたので今後さらにドライな方向に振れるか、樽感がこなれてフルーティーなタイプになるか、後者の良い変化を期待したいところ。

後々他の2本についても紹介していきますが、所詮記念ウイスキーって言ってもたいしたことないんでしょ。色物でしょ。と言う勝手な先入観を吹き飛ばしてくれる、良い出来のモルトでした。

信濃屋とスクエニがサガシリーズのコラボウイスキーを発表! 来年1月発売予定

カテゴリ:

最近様々なコラボラベルのウイスキーが発表されていますが、 昨日スクウェア・ エニックスからサガシリーズ25周年記念の一環としてコラボウイスキーが発表され、早くもファンの話題になっています。

サガシリーズ×信濃屋食品 コラボレーションウィスキー発売決定!(12/15 ファミ通)
http://aplista.iza.ne.jp/f-iphone/258643

SaGa25周年記念ボトリング
・ジェラール 
蒸留所: ブナハーブン
蒸留年: 1990年
熟成年数: 25年
ボトリング本数: 192本
度数: 48.3%
価格: 22500円(+消費税)
レビュー記事はこちら。

・イスカンダール
蒸留所: クライヌリッシュ
蒸留年: 1996年
熟成年数: 17年
ボトリング本数: 318本
度数: 51.3%
価格: 17500円(+消費税)
レビュー記事はこちら。

・ファイヤーブリンガー
蒸留所: カリラ
蒸留年: 2006年
熟成年数: 9年
ボトリング本数: 165本
度数: 50.4%
価格:15500円(+消費税)
レビュー記事はこちら

3銘柄とも2016年1月15日に発売予定。
予約は2015年12月23日から信濃屋実店舗各店で開始。(ネット予約は1月8日から。)
ラベルデザインはイラストレーターの小林智美氏。サガの歴史を感じる創世記、中期、そして未来をイメージしたデザインとなっています。
なお、度数やボトリング本数等は信濃屋経由で直接確認しました。


今回のコラボ、ウイスキーの選定は信濃屋が関わっており、原酒の出元はBBRかラトレーあたりでしょうか。
原酒が苦しいと言われる中で、カリラはちょっとアレですが、ブナとクライヌリッシュの90年代が最近の相場からあまりかけ離れていない価格で出てくるのは努力を感じます。
樽については情報が入りませんでしたが、
シングルカスクで全て払い出してボトリングしたとすれば、写真の色などの諸情報からおそらくジュラールはリフィルホグスヘッド、イスカンダールはリフィルシェリーホグスヘッドかリフィルバット、ファイヤブリンガーはバーボンバレルでしょうか。
クライヌリッシュだけボトリング時期が若干合わないんですね。ひょっとして樽の出元かボトリング先が違うのか。サガ25周年プロジェクトは去年から動いてたみたいですし。

飲んでないのでこれ以上推定できませんが、スペックだけ見ればほぼ「ジャケ買い」ボトルなのかなと。
特に現在30~40代の方々にはファンも多いと思いますので、予約時点から競争は必死。既に信濃屋さんには大量の問い合わせが寄せられているそうです。
15日に開催された発表イベントの後は試飲もあろ、感想が掲載されたニュース記事があったので引用させていただきます。

 発表会の後各ウイスキーの試飲が行なわれた。若い順にFire Bringer、Iskandar、Gelardで試飲したが、Fire Bringerはいわゆるスモーキーフレーバーで、かなりハーバルでスパイシー。人によってはクレオソート臭が正露丸をイメージさせるかもしれない。反面若いウイスキー独特の辛みは少なく飲みやすい。

 Iskandarは一転して、濃厚で甘い香りが特徴。北梶氏によれば華やかさからフルーティなものを選んだとのことだが、ココナッツをイメージさせる濃厚さが香り高い。GelardはIskandarをさらに洗練させたイメージ。フルーティながらさすがの25年熟成でバランスが良く3つの中でもっとも飲みやすい。


引用:サガシリーズ25周年企画の総決算、新企画を続々発表スマホ、PS Vita「ロマンシング サガ2」を発表! コラボウィスキーも登場
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151216-00000041-impress-game


元々ゲームや漫画との異文化コラボは、日本酒が皮切りだったように記憶しています。ウイスキーに関してはこれまでは芸術作品とのコラボが多かったのですが、某一子相伝の人やだがそれがいい人のラベル、愛知方面の戦国ラベルなど、ラベルの異文化交流が増えてきたように感じます。

もちろんラベルは味の評価基準にはなりませんが、所有する前提で考えればセンスや思い入れのあるラベルは重要な要素です。
このサガシリーズコラボボトルは日比谷BARなどに置かれることも決まっており、バックバーにどのような華を添えるのかも楽しみですね。

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