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USQUAEBACH 
OLD RARE 
The Grand Whisky OF THE HIGHLANDS 
Blended Scotch Whisky 
1980's 
750ml 43% 

グラス:リーデル
場所:BAR Sandrie 
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:ドライな要素があり、ザラメやビスケットを思わせる甘いアロマ。ローストした麦芽、微かに酸味、若干の植物感。奥には存在感のあるスモーキーさも感じられる。オールドスタイルなハイランドモルトに通じる素朴なイメージ。

味:スムーズでメロー、モルティーな味わい。序盤は薄めたキャラメルを思わせる甘さでやや単調だが、砂糖控えめのビスケットのようなほろ苦い麦芽風味から、じわじわと土っぽいピートが開いてくる。
余韻は軽いスパイシーさとオールブランを思わせるほろ苦いフィニッシュ。ピートフレーバーと共に染み込むように長く続く。

オフフレーバーの少ない、状態の良いウシュクベ・ストーンフラゴン。まるで麦茶のようにスムーズで素朴、どこか親しみのある味わいが魅力。当時のハイランドモルトがベースというのも納得だが、当時の特徴としてもうひとつ、柔らかい飲み口の後にじわじわと内陸系のピート香が備わっており、全体のメリハリに繋がっている。

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ゲール語で命の水を指すブレンド、ウシュクベのオールドボトル。
裏ラベルの通り、ダグラスレイン社にブレンドとボトリングを委託していた時代のもので、この整理については以前同銘柄のリザーブの記事で紹介していますので、ここではざっくりと。

ウシュクベをリリースするTwelve Stone Flagons社は、1974年から1990年代初頭まではダグラスレイン社に。その後はホワイト&マッカイ社にブレンドの製造を外注しており、ボトルの表記を見ることでリリース時期の線引きが可能となっています。
また、ストーンフラゴンには、表ラベルに「Over 210 Years of」とする年数がかかれていて、これも流通時期によって変わる要素のひとつです。
210年の次は225年、ベースとなる数字はブランドのルーツである1768年の発売開始にあり、つまり今回のラベルだと1978年~1992年の間に製造されたボトルであることがわかります。

オールドレア(ストーンフラゴン)は、ウシュクベシリーズのハイエンド。同ブランドの特徴であるモルト比率の高さは健在で、レシピは最長27年以上熟成させたモルト40種類を85%にグレーンは15%。また、マリッジはシェリー樽で18ヶ月、というのが近年公開されている現行品に関する情報ですが、恐らくこのレシピはリリース初期から変わっていないのでしょう。モルティーでしっかりとした味わいに、昔のシェリー樽の1種を思わせる柔らかい甘さから、その繋がりを感じることができます。

なお、このウシュクベ・ストーンフラゴンは陶器ボトルとコルク栓という組み合わせからか、状態のあまり良くないボトルが多く見られます。
特に抜け気味なボトルが多いので敬遠していましたが、今回はマスターのお墨付きをいただいて1杯。モルトの主体は熟成したハイランドタイプであり、突き抜けて美味しいわけでも、鮮烈なピート香やら濃厚なシェリーやら、特筆するなにかがあるわけでもありません。
しかし、ゆったりとして素朴な味わいにホッとするというか、逆にそれが良いのだと楽しませてもらいました。