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トバモリー 11年 2006-2017 ウイスキーフープ 64.3%

カテゴリ:
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TOBERMORY 
THE WIHSKY HOOP 
SIGNATORY VINTAGE 
Aged 11 years 
Distilled 2006 
Bottled 2017 
Cask type 1st fill Sherry Butt #900152 
700ml 64.3%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR LIVET
時期:開封後3ヵ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライでハイトーンな香り立ち。白木を思わせる乾いたウッディさが鼻孔を刺激する一方、ドライプルーンなどのダークフルーツとカラメルソース、微かに香木を思わせるニュアンスも伴う。

味:粘性のある口当たりから、クリアで口内を刺激する強いアタック。同時に感じられるシェリー感は甘酸っぱく、ドライプルーンや無花果、チョコレート、シロップのような甘さもあるが、それは長続きせずビターなウッディネスとハイトーンでヒリつくような刺激が余韻にかけて支配する。

若くてプレーンで、度数が高い分パワフルな原酒を、濃いめのキャッチーなシェリー感でマスクしたようなボトル。故に仕上がりと口当たりは荒く、酒質と樽感が分離したような印象もある。少量加水すると多少刺激が穏やかになるが、加水しすぎるとシェリー感が薄くなり、バランスが悪くなる。


昨年ウイスキーフープがリリースした、濃厚シェリーカスクのボトラーズリリースを、まだ手の届く範囲の価格で楽しんでもらうことを狙ったような1本
なにせトバモリーで11年熟成という、決してメジャーでも、適齢期と言えるような熟成期間でもないスペックなのです。しかしその強みと言えるのがシェリー感であり、市場のなかで評価されている要素も備えているのがポイントといえます

最近のリリースで言えば、シガーモルト系統のスパニッシュオークのニュアンスですね
ただしそれは全体的ではなく、味の序盤から中盤くらいまでで、その後はシェリー感を突き破ってくるプレーンでクリア、荒さの中に酸味を残したような、酒質部分の要素が強く主張してくるように感じられます。


以上のように荒削りで、完成度を求めるならこのボトルは少々厳しいものがあります。
しかしの市場に1960年代蒸留のシェリーカスクを10年前と同じ価格で持ってくることなど不可能であるように、同じ年にリリースされたウイスキーフープのボトルで言えば、現時点での理想のシェリー感はハイランドパーク27年あたりと思われますが、それを目指すと価格は青天井。限られた状況のなかで、どこで妥協するか、何を重視するかという選択をした結果、このチョイスとなったのだと推察します。

同時にリリースされたディーンストン11年も、シェリー樽の系統こそ違えど同じような位置付けのボトル。
どちらも総合的に素晴らしいボトルとは言い難いですが、ボトラーズは一樽一樽の個性を楽しむという位置付けと、今の市場の中でという観点で言えば、今回のリリースは選び手が市場が求める要素を絞って選んだ、テイスターとしての経験値が光る1本ではないかと思います。



バルブレア 19年 1997−2016 ウイスキーフープ 58.6%

カテゴリ:
BALBLAIR
THE WHISKY HOOP
Distilled 1997
Bottled 2016
Cask type Bourbon #1111
700ml 58.6%

グラス:スニフタースピリッツ
場所:BAR飲み@Nadurra
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーキーさ、干草を思わせる乾いたウッディネス、心地よくドライ。スワリングするとクッキーやバニラの甘さ、麦芽香が開いてくる勢いのあるアロマ。

味:ドライな口当たり、ハイプルーフらしくツンとした刺激があるが徐々にコクのある甘みが舌を包む。薄めた蜂蜜、ナッツ、洋梨を思わせる甘みと麦芽風味。
余韻はスパイシーな刺激を伴うドライなオークフレーバー、華やかなフィニッシュ。

バーボン樽を思わせる華やかで強い樽感、アメリカンオークの良さがしっかりと出ている奇をてらわない構成。そこに酒質由来の麦芽風味が合わさってバランスの良い仕上がり。少量加水すると麦芽の香味が開き、洋梨の果実味、更に整った味わいに仕上がる。


先日ナデューラさんで飲んだ時のこと、「バックバーにあるフープでオススメってどれっすか」という話から、チョイス頂いたのがこのバルブレア。コクのある麦芽風味と白系の果実香、スタンダードなハイランドモルトの一つと言える蒸留所で、特に長熟モノを中心に人気が高いモルトです。

素性の良い酒質であるため、短熟もそれなりに飲めますが、若いうちはスパイシーで勢いのあるボトルが多いのも特徴。対して長期熟成のものには樽負けしない酒質が際立って、素晴らしい一体感を感じさせるボトルが出てくる訳ですが、今回のボトルは約20年熟成でミドルエイジに入ったあたり。酒質の部分は勢いを残しつつ、樽由来の強い香味が味わえる、バーボン樽熟成でのピークと言える仕上がりです。

バルブレアは基本的にはブレンド向けの原酒でしたが、1996年にアライド社からインヴァーハウス社に所有が移って以降、熟成年数ではなく熟成がピークとなった時期ごとにシングルカスクのモルトが展開されるようになりました。ボトラーズはGM経由が中心でしたが最近はリリースが控えめに。。。


以下、少々脱線。
ウイスキーのテイスティングスキルを向上させたいなら、まず飲むべきはシングルカスクのウイスキーだと思っています。
このアプローチは様々にありますが、自分の考え方として、ウイスキーのフレーバーを構成する主な要素の一つが樽である以上、これがオフィシャルシングルモルトやブレンデッドにある複数種類混じったタイプでは「なんだか混じっている大きな味わい」という感覚になってしまい、特徴は掴みづらくなると。
例えば、初めてオーケストラに行って、「あの楽器の音が良かったよね」と聞かれても、印象に残っていなかったり、聞き分けることが困難であったりするのと同じです。

なので、最初は混じりっけない単一のものを飲んで、次は同じ種類の樽のカスクストレングスと加水版を比較してみる。そして様々な蒸留所の経験を自分の中でプロットしていくと、"樽由来の香味"に焦点が合いやすくなり、通常のオフィシャルボトルやブレンデッドウイスキーを飲んだ時に、今までと異なる情報を得られるようになるのです。

長くなりましたが、そうした経験を積む為のシングルカスクウイスキーは、ボトラーズリリースが中心となります。
近年、世界的なウイスキーブームから、良質なカスク、ボトルの確保は熾烈を極め、特に資金力のある国の勢力拡大が目立ちつつあります。
ウイスキーフープはそのボトラーズにあって、数少ない日本の組織。オフィシャル保有の原酒を含め、幅広い蒸留所から買い付けるウイスキーフープの活動は、ウイスキーの理解促進という意味も含め、単に良質なウイスキーの提供という枠を超えた、ウイスキー業界にとって重要なものと言えます。
ウイスキーに興味を持ち始めた方は、是非BARでフープのリリースを含めたシングルカスクリリースを飲んで、経験を積んでみてほしいですね。

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