インペリアル 22年 1976 キングスバリー オールドインペリアルバー向け 46%
KINGSBURY'S
22 YEARS OLD
Distilled 1976
For OLD IMPERIAL BAR
Cask type Ex-Bourbon Oak #7573
Bottle No,1/280
700ml 46%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★(7)
味:ドライでウッディな口当たり。少し樽が強く主張するようだが、すぐに麦芽由来の粥や白粉のような柔らかい甘みが感じられ、洋梨のピューレやレモンクリームなど、加工した果実を思わせる角のとれた仄かな酸とオーキーなフレーバーが後半にかけて存在感を増す。余韻はほどよいウッディネスを伴って華やか、長く続く。
バーボンオーク由来のフレーバーが近年のリリースに良く見られるタイプではあるが、麦芽の厚みと熟成感で樽香が受け止められ、加水と経年で自然な感じに纏まっている。1990年代蒸留で同じ熟成年数のインペリアルとでは、酒質(原料)と経年の違いが出ている、飲みごろの美味しいモルト。
帝国ホテル東京、大阪それぞれにバーラウンジとして長い歴史を持つオールド・インペリアル・バー。そのオリジナルボトルのひとつである、キングスバリーのインペリアル1976です。
同店舗のオリジナルボトルは他にも存在していますが、そもそも一般に出回るのは珍しく。加えて今回のボトルはボトリングナンバー1というレア物。本来は同店舗で消費されるか、関係者(それも結構偉い人)が持っているか、というようなボトルが、なぜオークションに流れ、縁も所縁もない場所に辿り着いたのか。。。
一言で運命ということなのかもしれませんが、それにしても数奇なものであるように思えます。
インペリアルホテルに、インペリアル蒸留所。実物を前にするとありがちな組み合わせであるようにも思えますが、中身は本物です。
酒質は癖が少なく、麦系の甘みとコクがあって適度な厚みを感じる、どちらかと言えばハイランドタイプを思わせる特徴。そこにバーボン樽(アメリカンオーク)熟成由来のオーキーで華やかな香味が付与され、加水で綺麗にまとめられている。また、この纏まりの良さには、ボトリング後約20年経過したことによる、瓶内変化の影響もあるものと考えます。
インペリアル蒸留所は、スペイ川をはさんで対岸に位置するダルユーイン蒸留所の傘下として創業。今回の原種が仕込まれた1976年はダルユーインとともにDCL傘下にあった時代であり、香味にあるダルユーインとの共通項は、同じ親元で同じ地域での仕込みとあればなるほどと思える特徴です。
ただ、インペリアルのほうが麦系の要素が多少プレーンというか柔らかいように感じられ、個性という点で面白味はないかもしれませんが樽との馴染みが良いように思います。今回のボトルも、その特性あっての完成度なのでしょう。(ダルユーインの70年代は比較的麦麦した主張が強く、ピートも微かに感じられる)
余談ですが、インペリアルは1990年代にアライド傘下に移り、その後シーバスブラザーズ傘下で閉鎖。今尚1990年代蒸留のリリースがボトラーズからちらほら見られますが、2014年には残っていた蒸留棟も、シーバスブラザーズのブレンド用原酒の蒸留所「ダルムナック蒸留所」を建設するために解体され、完全に消滅していることから、いずれは消え行く定めにあります。
そんな中でこのボトルを開封し、持ち込まれたのが先日レビューしたマデュロの持ち主、ミルキーKさん。「1番ボトルだから、大事にされてたんじゃないかと。状態良いですね」って、相変わらず男気溢れてます(笑)
しっかり堪能させてもらいました!