タグ

タグ:イチローズモルト

清里フィールドバレエ 2020 白鳥の湖 63% イチローズモルト 秩父蒸留所

カテゴリ:
FullSizeRender

Kiyosato Field Ballet
31th Anniversary 
Ichiro's Malt 
Single Malt Japanese Whisky
Chichibu Distillery 
Aged 7 years 
1 of 680 Bottles 
700ml 63%

暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:甘やかで穏やかに立ち上る熟成香。トップノートに梅や杏を思わせる酸が微かにあり、アーモンドを思わせる香ばしさと、ほのかに酵母やピーテッド麦芽そのもののようなスモーキーさ、麦芽香が続く。グラス内で刻々と変化する個性のみならず、その残り香も実に魅惑的。秩父らしいスパイシーさと、長期熟成したウイスキーをも連想するウッディで甘酸っぱい樽香が感じられる。

味:しっとりとした口当たりから反転して力強い広がり。序盤は秩父原酒らしいハッカ、和生姜を思わせるスパイシーさが一瞬あった後、置き換わるようにウッディな甘み、微かに林檎のカラメル煮、オレンジジャム、古典的なモルティーさが穏やかなピートフレーバーを伴って広がっていく。
余韻はフルーティーな甘みとモルティーな香ばしさ、ジンジンとした刺激はゆったりと落ち着き、微かに残るピート香がアクセントとなる、官能的なフィニッシュが長く続く。

ノンピートモルトとピーテッドモルト、2樽合計4樽のバッティングとのことだが、それ以上に感じられる複層的な味わい。ノンピート3樽、ピーテッド1樽という構成だろうか。香味に起承転結があり、序盤は秩父らしい個性の主張がありつつも、余韻にかけてピーテッドの柔らかいスモーキーさと、モルティーな麦由来の古典的な甘みに繋がる。度数63%に由来する香味の厚み、広がりがある一方で、それを感じせない香りの穏やかさと口当たりの柔らかさも特徴と言える。

少量加水すると甘酸っぱさ、オールドモルトを思わせる古典的なニュアンスが前面に出て、スモーキーフレーバーと交わり一体的に広がっていく。ジャパニーズらしさと、在りし日のスコッチモルトを連想する要素が渾然一体となった官能的な味わいは、間違いなく愛好家の琴線に響くだろう。
それにしても、秩父モルト2樽だけでこの味わいがつくれるとは、俄に信じられない。麦芽か、樽か、通常とは異なる特別な何かが作用しているように感じる。こうしたミステリアスな要素がウイスキーの魅力であり、面白さである。

IMG_0379

山梨県・清里、萌木の村で毎年8月に開催されているバレエの野外公演。定常公演としては日本で唯一という”清里フィールドバレエ“の第31回公演を記念したボトルが、2020年夏から遅れること約半年、3月下旬からリリースされることとなりました。
本サンプルは、リリースに先立って萌木の村 舩木村長から頂いたものです。ボトルの提供はBAR Perchで先行して行われており、今後は一部BARを中心に関係者限りで展開されていくとのことです。

清里フィールドバレエ記念ボトルは、第25回記念としてサントリーから特別なブレンドが。第26回から第29回はイチローズモルトから羽生原酒と川崎グレーン原酒を使ったブレンデッドウイスキーがリリースされていたところ。これだけでも伝説と言うには十分すぎるリリースでしたが、節目となる2019年第30回開催では、再びサントリーから白州30年という過去例のないスペックのボトルがリリースされていました。
※過去作のレビューはこちら

一方、別ルートで聞いた話では、イチローズモルトに羽生原酒と川崎グレーン原酒のストックはほとんど残っていないとのこと。サントリーも毎年毎年協力出来るわけではないでしょうし、ならば今後、フィールドバレエとして過去作に相当するスペックのボトルがリリースされることは難しいのでは・・・と。実際、2020年夏を過ぎてもリリースの報せはなく、第30回をもって記念リリースは終わってしまうのかと、そう感じてすらいました。
(そうでなくても、第30回の1本は、フィールドバレエシリーズのフィナーレと言われても違和感のない、奇跡的なリリースでもありました。)

Kiyosato_fb

ですが、コロナ禍にあっても第31回清里フィールドバレエが開催されたように、ウイスキーとしてのフィールドバレエも終焉を迎えた訳ではありませんでした。
同ウイルスの影響で苦しい想いをしている関係者、BAR・飲食業界に少しでも活気を、前向きな気持ちを与えることが出来たらと、舩木村長がイチローズモルト・秩父蒸留所を訪問して直接オファー。
今作は、秩父蒸留所のモルト原酒のみで造る、全く新しいチャレンジとしてフィールドバレエ記念ボトルがリリースされたのです。

今作のテーマは、第31回フィールドバレエの演目であった「白鳥の湖」です。
そのストーリーを構成する白と黒、善と悪の要素に照らし、スタンダードな個性のノンピートタイプの秩父モルトと、ピーテッドタイプの秩父モルト、正反対な2つの原酒が選ばれ、ブランドアンバサダーでもある吉川氏によってバッティングされたものが今作のシングルモルトとなります。

熟成年数は7年、使われた樽は4樽(うち1つはチビ樽)、ボトリング本数は680本とのこと。バーボンバレルからのボトリングでは、同じ年数だと180~200本程度となるのが秩父蒸留所で良く見られるスペックであるため、4樽のうち3樽がバーボンかホグスヘッドとすれば、ほぼ全量使われているものと考えられます、少なくともどちらか片方の樽は、最低500本程度は取れる、大きな樽で熟成した原酒が使われたのではないかと推察されます。

164127920_368909600858662_6571359113908190982_n

それでは、この新しいチャレンジとも言えるリリースを、香味で感じられた要素から紐解いて考察していきます。

香りのトップノートは度数63%を感じさせない穏やかさ。ウイスキーには香りの段階である程度味のイメージが出来るものが少なからずありますが、このウイスキーは逆に香りから全体像が見えないタイプで、ピートスモークの奥にあるフルーティーさ、甘やかな熟成香に味への期待が高まる。まるでステージの幕がゆっくりと上がり、これからどのような展開、演出があるのかと、息を飲む観客の呼吸の中で始まる舞台の景色が連想されるようです。

飲んでみると、香り同様に穏やかな始まりで、バーボン樽とは異なる落ち着きのあるウッディな甘みがありつつ、力強く広がる秩父モルトの個性。これはノンピート原酒に由来するものでしょうか。秩父モルトの殆どに感じられる独特なスパイシーさ、そこからモルティーな甘みとピーティーなほろ苦さ、穏やかなスモーキーさへと、まさに白から黒へ場面が変化していきます。

物語において、結末はその印象を決定づける重要な要素です。
本作は、スモーキーフレーバーをアクセントに、リフィル系の樽の自然なフルーティーさ、ウッディな要素、そしてモルト由来の香ばしさと甘みが渾然となり、白と黒の個性が混ざり合うフィニッシュへと繋がっていく。軽く舌を痺れさせた刺激は観劇を終えた観客から響く喝采のようでもあり、名残を惜しむように消えていくのです。

IMG_20201124_203822
(直近リリースでバーボン樽系ではないフルーティーな秩父としては、THE FIRST TENがある。このリリースに感じたリフィルシェリー系のフルーティーさは近い印象があるものの、スモーキーさと後述する特別な要素で、異なるウイスキーに仕上がっている。)

ここで特筆すべきは、樽由来の要素として1st fillのバーボンやシェリー樽といった、俺が俺がと主張してくるような強い個性ではなく、麦芽由来の風味を引き立て、穏やかな甘みとフルーティーさをもたらしてくれる引き立て役としての樽構成です。その点で、このリリースに使われた樽は香味から判別しにくくあるのですが、バーボン樽だけではない複雑さがあり、なんとも絶妙な塩梅です。

何より、レビューにおいて”官能的”という表現を使うに足る特徴的なフレーバーが、このシングルモルトの魅力であり、ミステリアスな部分もであります。
ウイスキーのオールドボトルや、あるいは適切な長期熟成を経たウイスキーが持つ、ただドライでスパイシーなだけではない、独特の風味・質感を持ったモルティーさとフルーティーさ。このボトルは7年という短期熟成でありながら、そうした個性が溶け込み、香味において愛好家の琴線に触れうる特別なニュアンスを形成しています。

秩父の原酒はノンピート、ピーテッドとも様々飲んできましたが、こうしたフレーバーを持つものはありませんでした。
素性として、何か特別な仕込みの原酒か・・・可能性の高さで言えば、どちらかの原酒を熟成していた樽、またはマリッジを行った樽が羽生や川崎グレーンといった長期熟成原酒を払い出した後の樽だったりとか、白と黒の原酒の間をつなぐ存在がもう一つあったとしても不思議ではありません。
さながらそれは、フィールドバレエが公演されている、夏の夜の空気、清里の大地の香りのような、フィールドバレエたる舞台を形作る重要な1ピースのようでもあります。

FullSizeRender

このブログを読まれている方はご存知かもしれませんが、私は秩父第一蒸留所のモルト原酒に見られる特定のスパイシーさ、えぐみのような個性があまり好みではありません。
飲んでいるとこれが蓄積されてきて、胸焼けのような感覚を覚えて、飲み進まなくなることがしばしばあるためです。

が、このウイスキーでは嫌味に感じないレベルのアクセント、多彩さを形成する要素にすぎず、むしろ好ましいフレーバーへ繋がって、味わい深く仕上がっています。確か秩父に★7をつけるのは初めてですね。
それこそ純粋に味と1杯の満足感で言えば、過去作である第26〜29回の羽生原酒と川崎グレーンのブレンドリリースに負けていません。長期熟成による重厚さは及ばないものの、若い原酒のフレッシュさと、それを補う落ち着いた樽の要素とピート香、余韻にかけて全体のバランスをとっている特別な要素の存在。。。今だから創れる味わいがあるのです。

先人の遺産ではない、現代の作り手と原酒が生み出す、清里フィールドバレエ記念ボトル、新しい時代の幕開け。ミステリアスな魅力も含めて、多くの愛好家に楽しんでもらえるウイスキーだと思います。
そして最後に私信となりますが、舩木上次さん、今回も素晴らしいリリースと、テイスティング機会をいただきありがとうございました。
コロナ禍という過去例のない事態であっても、最善を尽くし、一流を目指す。そのチャレンジ精神が形になったような、清里の地にもフィールドバレエにも相応しいウイスキーです。
是非今度、萌木の村で詳しい話を聞かせて頂けたら幸いです。


※4月7日追記:本件、関係者から2樽と聞いていましたが、正しくは4樽であるとの情報を頂きました。2樽だと色々腑に落ちない部分があったので、個人的にもすっきりしました(笑)。関連する部分を追記・修正させて頂きました。

イチローズモルト ホワイト リーフ ワールドブレンデッド 46%

カテゴリ:
IMG_20200315_144409
Ichiro's Malt & Grain 
World Blended Whisky 
Leaf Series "White" 
700ml 46%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR Eclipse first 
評価:★★★★(4ー5)

香り:プレーンでドライ、あまり香りがたたないが微かにケミカルさとハーバルな要素を感じるシロップのような甘さ、バニラや華やかなオーキーさを一瞬感じるがすぐに消えてしまう。

味:口に含むと華やかなオーク香が一瞬、そこから中間は広がりにかけるニュートラルな味わい。ほんのりと穀物系の甘味とスパイシーさ、微かにえぐみが余韻にかけて分離するようにあるが、全体を通じてはカナディアンを連想するようなグレーン感がメイン。

文字通り味付け、香り付けにスコッチモルトのバーボン樽タイプの原酒を使って華やかさを出しているが、ベースはカナダやアメリカから輸入したプレーンなグレーン系のウイスキーで、そこに秩父モルトも一部・・・といったところか。加水調整でだいぶ慣らされている。
加水すると一瞬オークの華やかさが際立つ。ボディは緩いものの、余韻にかけてじわじわと広がるフレーバーのバランスのよさ。数年前にストレートで飲んだものに比べて、若さや全体のバランスは大きく改善している。個人的にはハイボール要員。

IMG_20200213_231303

昨晩のレビューからの流れで、イチローズモルトの超ド定番品。リーフシリーズのホワイト。おそらく、このジャパニーズブームのなかで最も飲まれたクラフトウイスキーであり、イチローズモルトの躍進を支えた1本。ラベル裏に書かれた数字は製造ロットで、1ロット何本かは不明ですが、現時点で500前後まで確認されているという話も聞きます。

そうした意味で超人気ボトルですが、BAR飲みスターターのハイボールで飲むことはあっても、ストレートで飲むことはほとんどありませんでした。ただ、自分も海外原酒を用いたブレンド作りに関わらせてもらっているため、ちょっと勉強も兼ねて最近のものを飲んでみたいなと、注文してみたわけです。


このワールドブレンデッドは2018年頃にイチローズモルトが使い始めた名称で、それまでは秩父ブレンデッド表記、それよりも前は普通にブレンデッド表記。背面ラベルの世界地図にあるような構成原酒も、オープンになってはいませんでした。(蒸留所見学では、海外原酒を使っていることは教えてくれていました。)
構成は輸入原酒に秩父のジャパニーズモルトを加えた、ワールドブレンデッド。たしか、カナダ、アメリカのグレーンに、スコットランドとアイルランドのモルトで、ロット毎に若干異なるようですが、熟成年数は若めで3~10年程度だったかと記憶しています。今回のボトルをテイスティングするかぎり、体感的にも違和感はありません。

偉そうな書きぶりになってしまいますが、上手に作っているなぁという感じです。
グレーンの割合は高く、プレーンな穀物感に、若干のスパイシーさはライ、カナディアン系。香味から察する比率はグレーン7:モルト3~6:4くらいかなと。秩父のモルトは使っていて1程度で、基本的には輸入原酒をベースとしている印象です。
スタンダードなブレンデッドに比べて若干とがったモルティーさ、クラフト感がありつつ、押さえるところは押さえているので加水、ハイボール、使い勝手も良いように感じます。

ただし補足すると、それは万人向けのレベルとして・・・です。
ハイエンドのブレンデッドをシビアに調整されたレーシングカーと例えるなら、このホワイトラベルはエンジン出力も足回りの限界も低いパーツを使いつつ、マフラーだけちょっとスポーツ寄りにしてある感じのプチスポーツモデル。
なので、普段スポーツカーに乗らない人が乗るとバランスがとれていて楽しく走れる。一方でそうじゃない人が乗ると、タイムが出る訳じゃないけれど、よく考えられて作られていることは伝わってくるというわけです。(人によっては普段乗りはこれでいいと、落ち着く場合もあるでしょう。)

しかしこういうウイスキーを大手ではなく、いちクラフトが大量に生産しているというのは、メーカーとしての進化を感じる点でもありました。

秩父 10年 2008-2019 エイコーン #196 61.3%

カテゴリ:
IMG_20200226_223753
ACORN'S 
CHICHIBU 
MALT DREAM CASK 
Aged 10 years 
Distilled 2008 Dec 
Bottled 2019 Nov 
Cask type Bourbon Barrel #196
700ml 61.3% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:ジェイズバー
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライな香り立ち。華やかさのなかに混じる甘酸っぱいウッディさ。バニラとオーク、ほのかにベリーや無花果のドライフルーツを思わせるアクセント。奥にはいつもの和生姜とハッカのスパイシーさ。

味:強い口当たり。 甘酸っぱいオークフレーバーは、アプリコットジャムや無花果の甘露煮。フルーティーさの奥からスパイシーさがあり口内を刺激する。余韻はドライでウッディ。フルーティーさの残滓を感じつつハッカやあくの残った筍、独特のえぐみ、ウッディな渋みを感じさせつつ、ドライなフィニッシュへ。

長熟バーボンが纏うような赤系のフルーティーさを備えた、不思議な樽感の秩父。オーソドックスに黄色いフルーツのバーボンオークで大正義だけではなく、その樽感がアクセントになっている。ベースの秩父味はいつもの通りだが、樽感が濃いこのボトルは他のそれらより余韻まで分離せず馴染んでいる。

IMG_20200226_223725

美味しいと評判の、エイコーンのMDC(モルト・ドリーム・カスク)です。
エイコーンと言えば先日のウイスキープラス5周年向けが個人的にちょっと。。。だったので、警戒していましたが確かに美味しい。ただし料理に例えるなら、かかってるソースが美味しい肉であり、ベース部分は安定の秩父。そしてなお価格。。。については言わぬが花でしょうか。

熟成樽はバーボンバレルとのことですが、アメリカンオーク由来の黄色系統だけでなく、少し赤みを帯びたようなフレーバー構成になっているのが特徴。バーボンそのものも、長期熟成したものはそういう果実風味をチャーオークフレーバーのなかに備えるものがあり、ひょっとしたらその系統の樽で熟成されたか、あるいは内側野焼き具合であるとか、なにかしらトリガーになる要素があったのかもしれません。
オーナーズカスクでこういう樽に当たるかどうかは、もう運次第ってのが面白さであり難しいところです。

そう言えば全然話は変わるんですが、どんぐりって食べれるんですよね。
息子が読んでた絵本を見て、昨年試してみたのです。あとなんの漫画か忘れましたが、どんぐりでラーメン作るみたいなのもあったなあ。。。と。灰汁抜きして加熱して、食べてみるとなるほど強引に例えるなら栗っぽい。でも灰汁がとても強いし渋い個体がw

そんなときにも連想する秩父味。ああ平常運行のウイスキー脳。秩父は秩父でも第2蒸留所はそういう個性が出ていないようなので、何が要因かはなんとなく。。。酒質由来とするかはともかく、それにしたって面白い個性です。

IMG_20200314_020242
今日のオマケ:アルト モンカヨ ヴェラトン 2014 グルナッシュ

スペインの濃厚赤。何やら近年パーカーポイント100点を複数回とってるオーストラリアの作り手が、共同ベンチャーとして立ち上げたメーカーによるもの。生産者側の実績は豊富。
エチケットがセンス良く、なにより値段も手頃だったので味も知らずに購入。ドキドキでしたが、これは良い買い物でした。

香りはブルーベリーやクランベリー、あるいはカシス。赤黒系の果実感が濃厚で、そこに杉やハーブ、少しきのこのようなニュアンスも混じる。ギスギスしておらず柔らかい香り立ちに、味も濃厚で度数もそれなりにあるほうだが、香り同様口当たりは柔らかく、余韻にかけて感じられる石榴のような酸味が樽香とともにアクセントになっている。

濃厚だが、それ故のバランスというか、丁寧さを感じる作り。系統はボルドーのカベルネでもブルゴーニュのピノでも、あるいは新世界のそれでもない。どっちかというとイタリアに近いような印象を受ける味わい。ああ赤ワイン楽しんでるなって思える1本で、自分は好きですね。みんなで集まってる時に、ワイワイ楽しめるワインだと思います。

イチローズ モルト&グレーン ワールドブレンデッド 秩父ウイスキー祭り2020 

カテゴリ:
IMG_20200219_232506
Ichiro's Malt & Grain 
SINGEL CASK WORLD BLENDED 
For CHICHIBU WHISKY MATSURI 2020 
Finished Cask type French Oak #7256 
Bottled 2019 Nov 
700ml 58.6% 

グラス:国際規格テイスティング
時期;開封後数日以内
場所:ジェイズバー
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:クリーミーなバニラ香やお香を思わせる甘い木香が支配的に広がる。合わせてウッディで干し草のようなニュアンスに、ややスパイシーで生姜や筍のようなアロマが混じる。

味:濃厚で香り同様にフレンチオーク由来のフレーバーが、含み香としてもわっと広がる。中間にはグレーンの甘味、微かに洋梨の白い果肉、ほのかなえぐみ。じわじわとトーンの高い刺激を伴う。
余韻はスパイシーでウッディ、さらさらとした乾いた舌あたりを残し、フレンチオークの要素が長く続く。

香味ともフレンチオーク由来のクリームのようなバニラ系の香味が主体的に備わった、樽感の強いブレンデッド。その香味は、柔らかくというよりも、お香に火をつけたように鼻腔、口内に広がる。あるいは新築のコテージや桧風呂の木の香りに包まれるようでもあり、特徴的な構成である。加水するとマイルドにはなるが、樽と酒質が分離するようなアンバランスさも感じられた。

IMG_20200219_232432
IMG_20200219_232535

秩父ウイスキー祭りでリリースされる記念ボトルのなかでも、目玉と言えるイチローズモルトからの2銘柄。シングルモルト秩父とワールドブレンデッド、その2020年度リリースの1本です。
販売は会場での抽選となるため運試し的な要素も強く、その後リユース市場での動向含めて良くも悪くも注目される銘柄でもあります。

2019年の同イベントでリリースされたワールドブレンデッドは、ベースとなるウイスキーをバーボンバレルでフィニッシュしたもので、スタンダードな構成というか良くも悪くもイチローズモルトらしさのあるキャラクターであったところ。
一方今年のリリースはフレンチオーク由来の樽香である、バニラクリームを思わせるニュアンスが全面に出て、ウッディなえぐみは控えめ。なかなか個性的な仕上がりとなっています。
ラベルに後熟樽として表記されたT5は、樽を作ったTaransaud社の規格であり、5年間自然乾燥させたフレンチオークを、225~228リットルサイズに組み上げた特別仕様の樽なのだそうです。

4a56f11c
(秩父ウイスキー祭り2019でリリースされたワールドブレンデッド。フィニッシュの樽のキャラクターはあまり強くないが、その反面秩父モルト含めて使われた原酒の個性を感じやすい。今年のリリースとは対局にあるような1本。)

7249c644
(フレンチオークでフィニッシュされた、ワールドブレンデッド"ジャズラウンジ「マデュロ」向け"。全面に感じるバニラクリームのような樽香は共通項で、同系統のウイスキーと言えるが、こちらの方がウッディさや秩父モルトを思わせるニュアンスが強い。)

シングルカスクブレンデッドは、1樽分のみ作られる仕様であるためか、通常のブレンドに比べてはっきりとしたキャラクターとなる傾向があります。
ただ今回のボトルは、秩父モルトも使われているのでしょうが、スタンダードリリースのホワイトラベルの延長線上にあるようなレシピを思わせる構成で。。。プレーンな内陸系モルト比率が高く、グレーンも4~5割ほどか。フィニッシュで付与された濃厚な樽香に反して、ベース部分がそこまで強く主張してこないのです。
それが悪い訳ではなく、これはこれでまとまるとも言えるため、樽を味わうブレンドとして楽しむものと感じました。

ちなみにテイスティング段階で詳細スペックを認識していなかったことで、その木香の強さをして「なにこれ?ミズナラ!?」と誤認(汗)。
冷静になって、過去にテイスティングしたボトルのなかで特に似ている香味を持つマデュロ向けに思い当たり、これフレンチオークじゃんと、間違いをただせた訳ですが、そのままレビューを書かなくて良かったです。
あぶなかったー。。。

イチローズ モルト&グレーン ジャパニーズブレンデッド リミテッドエディション2019 48%

カテゴリ:
IMG_20200215_113826
ICHIRO'S 
MALT & GRAIN 
Japanese Blended Whisky 
LIMITED EDITION 2019 
700ml 48% 

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR Eclipse first 
時期:開封後半年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ナッツや松の樹皮を思わせる武骨なウッディさ。キャラメル、オレンジピールのほろ苦く甘いアロマと微かにハーブ、ドライな刺激も感じられる。全体的に重みのある樽香が強いが、適度に整っている。

味:ウッディだがスムーズな舌当たり。胡桃やブラウンシュガー、徐々に栗の渋皮煮、ほのかに柑橘系のドライフルーツ。色の濃い甘味とほろ苦さが広がり、後半にかけてライムシロップを思わせる酸味とざらつくようなウッディネス。微かにハッカのアクセントを伴いつつビターなフィニッシュが長く続く。

羽生蒸留所原酒を思わせるキャラクターが主体。シェリー樽とは異なるウッディさに、それを引き算する軽いモルティーさと酸味がアクセント。また熟成感のあるメローなグレーンが繋ぎとなっているが、あくまでメインはモルト。バランサーに撤していて、樽感は強いが思いの外スムーズに飲める。

IMG_20200213_234400

WWA2019でワールドベストブレンデッドを受賞した、イチローズモルトのリミテッドエディション。同2018でも同じくワールドベストを受賞しており、2年連続の偉業を達成した限定ブレンドです。

イチローズモルト&グレーンのリミテッドエディションは、秩父などの日本原酒のみならず、輸入原酒を用いるワールドブレンドと、秩父蒸留所が保有する日本産の原酒(羽生、秩父、川崎)のみを使って構成されるジャパニーズブレンドの2種類があり、今回のリリースは後者に該当します。
似たようなラベルで紛らわしいですが、価格も生産量も雲泥の差。ワールドブレンドの方は定期的にリリースされているためまだ市場にボトルがありますが、ジャパニーズブレンドは2018、2019の2年間。2020ロットは生産されていないようで、また本数もそれぞれ500本程度となっています。

IMG_20200205_212646
(イチローズモルト&グレーンのワールドブレンド、リミテッドエディション。秩父原酒に内陸系熟成原酒という構成。ロット差がそこそこある印象で、写真のバッチ5はシェリー系の内陸原酒のキャラクターが厚みを与えている。)

さて、ジャパニーズブレンドも2018年のものと、今回レビューする2019年のものはレシピが異なっている模様。2018年のほうがリッチでウッディ、レシピは27年熟成の羽生モルトに35年の川崎グレーン、そして5年熟成の秩父とのことですが、羽生、川崎の比率が高くウッディな香味が強く。まさにウェアハウス(あるいは材木屋)のなかにいるような、包み込まれるように豊かな木香と甘いアロマが特徴的なブレンドでした。
これは過去にリリースされてきたカードシリーズの一部や、清里フィールドバレエシリーズ等とも共通する要素です。

2019はそうしたニュアンスもあるのですが、該当する羽生らしい武骨なウッディさが、バランス寄りの範囲にまとめられている印象を受けました。
イメージとしては、2018の羽生・川崎原酒の味わいを秩父原酒で引き算したような構成。独特な癖故に混ざりきらないモノも多い秩父モルトにあって、このブレンドは強いウッディさで上手く抑えていると思います。
2019のレシピはわかりませんが、同じ原酒で秩父が増えているか、あるいは羽生の熟成年数が15~20年くらいの、2000年代あたりの原酒も使っているのではないかと推察します。

イチローズモルトの代表的エピソードといえる、東亜酒造から引き取られた羽生原酒ですが、近年はいよいよ在庫が少なくなってきたとのこと。昨年聞いた噂では30樽あるかどうかという話(裏はとれていません)。いずれにせよ、通常のリリースに回す量はもうないようです。(リーフシリーズのダブルディスティラリーとか、どうなっているんだろう。。。)
まさにジャパニーズという樽香、ウッディな味わい。自分は2018のほうが好みでしたが、失われ行く味わいを堪能させてもらいました。

このページのトップヘ

見出し画像
×