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アバフェルディ 12年 40%

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ABERFELDY 
HIGHLAND SINGLE MALT SCOTCH WHISKY 
GUARANTEED 12 YEARS IN OAK 
700ml 40%

グラス:SK2
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★★(5ー6)

香り:ややドライだがすりおろし林檎のような酸と果実香、華やかなフルーティーさのなかにほのかにおしろいのような麦芽香と干し草、スパイスも感じられる。

味:少し水っぽさのあるスムーズな口当たり。薄めた蜂蜜や林檎、品の良い白系の果実味と麦芽風味。オーキーな華やかさも備わっているが、合わせてドライでナッツや籾殻、多少の荒さが徐々に口内を刺激し、ほろ苦くウッディなフィニッシュへ。

加水が効いているため各フレーバー毎の主張はややぼやけた印象もあるが、アバフェルディらしさとモルトとして好ましい部分は充分感じる事が出来る。ストレートではその加水で抑え込んだような構成で、仕上げの荒さが多少気になるもののハイボールにはちょうど良い。

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現行品5000円以内で購入出来るハイランドモルトの中で、オススメの一本がアバフェルディ12年です。以前からリリースされていたオフィシャルですが、2014年頃にリニューアルされ、香味を大きく落とすことなく(むしろ良さがわかりやすくなって)近年に至っている。リカル7月号のでもオススメボトルとして紹介させていただきました(以下、画像参照)。

樽構成のメインはバーボン樽。アメリカンホワイトオークに由来するオーキーな華やかさは、過度に主張せず全体の1ピースとして備わっている程度で、それ意外に酒質由来の麦芽風味、熟成によって生まれる蜂蜜を思わせる甘味、ドライなウッディネス・・・。
オールドのアバフェルディに比べてボディの厚み、麦芽風味が控えめになっているのはスコッチ全体に見られる流れで仕方ないとしても、近年のスコッチモルトに求められているフレーバーや、アバフェルディ蒸留所のハウススタイルを味わえる、良くできたスタンダードリリースだと思います。

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(酒育の会発行、リカル7月号。連載企画でオススメのオフィシャルスタンダードを紹介していく。王道的な良さがあるアバフェルディは、デュワーズのキーモルトとしても馴染みがあるため、迷わず第一弾のラインナップに加えた。ロッホローモンドとでは対極にあるような並びだったと思う(笑))

ただし加水が強めに効いているためか個性がぼやけている部分もあり。これは万人向けリリース故仕方のないところですが、12年のみを飲むと、まあこんなもんかという感想を持つこともあるかもしれません。今回の評価で★5というのは、そうした視点も含めて、単体の香味のみで見た基準になります。
ですが上位グレードである21年とフレーバー構成が同じベクトル上にあるため、12年を飲んだ後で21年を飲むと、類似のフレーバー構成で熟成感と完成度の違いが分かりやすく。またその逆で21年を飲んだあとで時間を置いて12年を飲むと、感じる事が出来る良い部分にピントが合いやすくなり、デイリーに使える1本としての魅力に気づく。。。これが、アバフェルディ12年の総合的な評価になります。

そのまま飲んでもそこそこ美味しいけど、他のグレードも経験すると、さらに美味しく感じられるようになる。間口広く奥深い。オフィシャルスタンダードのあるべき姿ってこういうのだよなと思える1本なのです。

酒育の会 Liqul(リカル)での連載について

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お酒に関する正しい知識や、趣味としてのお酒の楽しみ方を発信するため、イベントやセミナー等の各種活動を行っている一般社団法人酒育の会。
同会が奇数月に発刊している機関誌「リカル」に、2019年7月号からウイスキー関連の記事を連載させていただくことになりました。

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酒育の会 LIQUAL (リカル)
※最新刊ならびにバックナンバーについては上記URL参照。ウイスキーだけでなく、コニャック、テキーラ、ラム、ワイン等様々なお酒やBAR飲みのスタイルなどが特集されています。7月号はアルマニャック特集で、7/1以降WEB公開予定。


連載に当たっては、テーマも含めて自由に決めて良いという条件を頂いており、会の目的とも照らして"オフィシャルスタンダードの再認識"にしました。
ブログを書き始めてから、特にここ1~2年は意識的にオフィシャルスタンダードも飲むようになったのですが、最近そのオフィシャルが美味しくなったという声を、自分だけでなく周囲の愛好家からも聞きます。
この機会に再勉強も兼ねて、良いと思ったリリースや、従来に比べて好ましい変化のあった蒸留所のラインナップを紹介していく企画を考えたワケです。

文字数に制限があるため、細かい部分の解説やテイスティングコメント、スコアリング等はブログで補足する整理。書くのは良い部分をざっくり程度となるため、テイスティングレビューというよりコラムに近い構成になりますが、内容やラインナップに共感して貰えたら嬉しいですね。

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記念すべき連載一回目。掲載は巻末のほうかと思いきや、隣のページは吉村さんで、しかも一番開きやすいセンター部分。例えるならプロ入り1年目のピッチャーが、ブルペンでエースと一緒に投球練習をするような心境。。。になりましたが、自分の記事がこうして紙媒体に掲載されるのは本当に感慨深いです。(プロになったこともピッチャー経験もありませんがw)

チョイスしたのは、アバフェルディ12年とロッホローモンド系列の12年クラスで、ロッホローモンドやインチマリンを想定。
アバフェルディは今も昔も普通に美味しいハイランドモルトで、コスパも素晴らしいだけでなく、上位グレードとの共通点もある佳酒であることから。そして同じハイランド地方から、かつてはダンボールと呼ばれて珍味扱いされていた蒸留所ですが、近年好ましい変化が見られたロッホローモンドを。
どちらも記事化に当たって、外せないオフィシャルボトルだと思っていました。

一方オフィシャルスタンダードと言っても幅広く、もうひとつ基準に考えているのが、1本5000円台までの価格で販売されている、エントリーグレードであるということ。
例えば同じオフィシャルでも、スプリングバンクの10年は近年文句なく良くなったボトルのひとつですが、今回使わなかったのは8000円弱という価格が他のミドルグレードと同じ区分で整理出来てしまうためです。
同価格帯からカダム15年とか、ノッカンドゥ18年とかも。。。本当は使いたいんですけどね。5000~10000円のクラス、あるいはそれ以上の価格帯にも注目の銘柄は多く、そのうち各価格帯から1本ずつという形式にシフトしても面白いかもしれません。
他方、このあたりを制限しても候補は多いので、どれを取り上げるか悩むことにはなりそうです。


今回の話は、年に2回招聘頂いている、非公開のブラインドテイスティング会をきっかけとして、同会代表の谷嶋さんから頂きました。
これまで酒育の会と特段接点のなかった自分ですが、今までの経験を微力でも同会の理念に役立てられればと思います。
先に述べたように、最初はオフィシャルで最近注目している美味しい銘柄、面白い銘柄を中心に。その上で来年からは、日本のリユース市場に一定数以上在庫があるオールドボトルについても別特集で掲載していければと考えており、企画案は提出済みです。

なお、本著述については会社の許可をとった上で実施しています。今後は許可範囲内で、自分の時間のなかで無理なく参加させていただくつもりです。
そのため、締め切り前は執筆を優先するためブログの更新が止まるかもしれませんが。。。そこは察して頂ければ幸いです。(笑)
リカルでのくりりんも、よろしくお願いします!

アバフェルディ 25年 1993-2018 GMコニッサーズチョイス 58.8%

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ABERFELDY
GORDON & MACPAHIL
CONNOISSEURS CHOICE
Aged 25 years
Distilled 1993
Bottled 2018
Cask type 1st fill Sherry Punchon
700ml 58.8%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR GOSSE
時期:開封後1ヶ月未満
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:注ぎたてはハーブっぽいニュアンスを伴う、ハイトーンなウッディネス。カラメルソースやカカオチョコレート。時間経過でレーズン、ベリー感も開いて濃厚なシェリー香が充実してくる。

味:香り同様にリッチなシェリー感。カラメルソースやベリージャムを思わせる粘性のある甘み。奥には微かな硫黄、かりんとうっぽさ。余韻はドライでスパイシー、古酒感を伴う懐かしい味わい。

カラメルっぽさ、蜜っぽい甘みでGMらしさのある香味と、それ以上にベリー系の香味を伴う古き良き時代を連想させるオールドタイプのシェリー感。微かにサルファリーなニュアンスもあるが、むしろそれがベリー系の香味を底上げしている。近年少なくなったグッドシェリーカスク。


ちょいと仕事が立て込んで、いつもよ早く出社してるのに帰宅は終電という生活が続いたので、更新作業まで手が回っていませんでした。
こういう時は休日に書きなぐって残るは微修正くらいにしておくのですが、休日も家庭行事と休日出勤で潰れるってね(汗)。

しかしそうは言っても放置すれば気持ちはどんどん冷めていく。こういう時はハイプルーフなウイスキーを煽って、気合を入れて書くしかありません。
さて今回は先日大幅リニューアルしたGMのコニッサーズチョイスブランドから、注目の1本にして、自分のお気に入り。既に一部ドリンカーの間では話題になっているので今更感はありますが、涼しくなってきた今こそ飲みたい、アバフェルディのシェリーカスクです。

このボトルの最大の特徴は、近年の濃厚シェリーといえばシーズニングスパニッシュオークがトレンドとして定着しつつある中で、アメリカンオークで商品用のシェリー(おそらくクリーム)が長期間入ってたと思しきカスクが、パンチョンを作る際のベースに使われたと考えられる香味にあります。


アバフェルディのスタンダードラインナップは、12年から28年まで麦芽風味や蜂蜜を思わせる甘みをベースにした、リフィル系のアメリカンホワイトオークカスクを中心に構成されているため、濃厚なシェリーカスクはあまりなじみが無いかもしれません。

しかし、過去にはオフィシャルのカスクストレングスで近い香味のものを、ほぼ同じビンテージから複数リリースしており(写真上一例)、個人的にアバフェルディはリアルシェリー系列の1st fillでも良い原酒を持っているのでは・・・と感じていたところ。その香味の共通項から、ひょっとして今回のリリースはGM所有ではなく、オフィシャルから買い付けた樽なのでは?とも感じたほどです。

まあこの際樽の出元はどこでも良いのですが。先にも触れたように、近年主流のスパニッシュオークのオロロソシーズニングは、樽材の特性からウッディなニュアンスが強く出すぎるため、どうしても甘みが重く、ベリー系のニュアンスを伴うフルーティーさは出づらくなります。また、スパニッシュオークだと、香木のようなアロマが強く混じるのも特徴的。
それが悪いと言うワケではないのですが、今回はそうしたタイプとは異なる樽感がアバフェルディらしいコクのある酒質が合わさって、粘性のある甘みを後押ししている印象。これはナイスリリースですね。

先日リンクウッド1973の記事で触れた、2010年ごろまで主流だったシェリーカスクリリースのひとつが、まさにこの系統なのです。
現在は急速的に市場から失われており、それをブランドリニューアル後の初期リリース枠にピックアップしてきた。この他、ハイランドパークやプルトニーなど、同じくコニッサーズチョイスからリリースされたボトルもそれぞれキャラクターを感じやすく、完成度の高いリリースは流石の一言。
原酒の選定でこうもレベルが上がるのか。このクオリティが維持されることを期待して、新生コニッサーズチョイスの今後の展開もたのしみにしています。

アバフェルディ 21年 40% オフィシャル

カテゴリ:
アバフェルディ21年
ABERFELDY
Aged 21 years
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:不明
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:華やかで甘い香り立ち。バニラ、おしろいのような麦芽香。あわせてアプリコットやオレンジのドライフルーツを思わせるアロマに、ほのかに乾いたウッディネス。

味:スムーズでまろやかな口当たり。香り同様に麦芽風味が充実しており、バニラ、蜂蜜、序盤から柔らかい甘さが広がる。続いてオレンジママレード、クラッカー、微かに干し草のニュアンス。ウッディなタンニンが心地よく甘みを引き締める。

端的に表現するなら「麦芽と蜂蜜」。ハイランドらしさに加え、アバフェルディのハウススタイルを体現している1本。ストレート、加水、ロック・・・ただしハイボールは麦感が好みを分ける印象。


現行品1万円以下のシングルモルト、南ハイランド部門代表。 味にうるさいコアなウイスキー愛好家の中で、安定して高い評価を受けているのが、このアバフェルディ21年です。
2014年ごろにラベルチェンジが行われましたが、以前より良くなったという声多数。ゆるく家飲みしてもよし、ハウススタイルを学ぶもよし、使い勝手の良い1本だと思います。 
(※コメント頂き確認したところ、6/12時点で10000円以下で販売している酒販店がWEB上に確認できませんでした。記載を訂正致します。)

評価される背景には、麦系の柔らかい味わいの旨さもさる事ながら、先述の通り同蒸留所の特徴、ハウススタイルとも言える香味がわかりやすいという点があるように感じます。
加えて愛好家間で旨いと話題になった同銘柄のハイエンド、28年と比較すると、同一ベクトルの香味が21年にも備わっており、光るものを感じます。
度数は40%と低め。おそらくこれは麦系のニュアンスや柔らかさを出すため、同リリースなりのこだわりなのではないでしょうか。
46%以上の使用を飲みたい気持ちもありますが、決してそこまで薄い酒質ではないので現状で充分満足感もあります。

また、免税店向けや蒸留所限定のリリースではカスクストレングスも出ており、これがまた近年レベルが高いと話題になっています。
40%加水のもののような柔らかさはない反面、厚みのある酒質が樽感を受け止め、20年前後で素晴らしい熟成感に。
バーボン樽熟成のものは安定してハズレなし。それ以上にシェリーカスクのリリースが、樽感の素晴らしさも相まって突き抜けた1本となっているケースも見られます。
当然、ベースは同じアバフェルディなのですから、それらの評価基準としてもオフィシャルリリースは1飲の価値ありです。

しかしアバフェルディにしろ、クライゲラヒにしろ、オルトモアにしろ、近年バカルディ社からリリースされる「ラストグレートモルト」シリーズの完成度は眼を見張るものがあります。
日本への正規品は基本スタンダードのみですが、先日紹介したマクダフ30年やアバフェルディ28年のように、海外リリースされていた各銘柄の長期熟成品が、並行品や海外通販で日本にも入ってきています。今後そうしたリリースに出会えるのが楽しみです。

アバフェルディ 28年 40% オフィシャルボトル

カテゴリ:
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ABERFELDY 
Highland Single Malt 
Aged 28 Years 
700ml 40% 

グラス:サントリーティスティング
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(GOSSE)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:リッチで甘く華やかな香り立ち。はちみつ、バニラ、リンゴのコンポート、合わせて麦芽、干し藁の嫌味のない香ばしさ、植物感。軽やかにドライでバランスの良さを感じる。

味:まろやかで甘い口当たり。しっかりとした麦芽風味、おしろい、ワクシー、オーキーなニュアンスは蜂蜜、洋梨、かすかに白桃のニュアンス。リッチで麦芽風味に濃縮感がある。
余韻は軽やかなウッディネスを伴ってドライ。微かな土っぽさを伴うほろ苦い麦芽風味と干し藁、淡い蜂蜜の甘みがあっさりと消えていく。


仲間内でちょっとした話題になっているボトル、アバフェルディの免税向け(?)リリース28年。
アバフェルディは、ウイスキードリンカーからすればオフィシャルリリースにハズレ無しと言えるほど信頼性が高い蒸留所。特にシングルカスクはバーボン、シェリー問わず良いモノが多い印象で、近年リリースで突き抜けた1本が存在するだけでなく、通常品でも21年が抜群の安定感です。

この28年は某酒屋さんが告知したところ、ものすごい勢いで購入希望者が殺到。もちろんこの酒屋さんが信頼できるというのもありますが、それは前段階としてアバフェルディへの評価があってのことと思います。


同蒸留所のキャラクタはー、ハイランドの基本的なスタイルとも言える麦芽や蜂蜜の甘みに、樽に応じたフルーツ感、程よくドライでバランスの良い酒質というのが自分の印象。
今回のボトルは、そんなキャラクターを濃縮したような味わいで、度数は通常品と同じ40%でありながら、口に含むとどっしりとした麦芽風味、バニラ、林檎などの濃いフレーバーが広がり、バランスも良好です。
樽の構成は複数使われているのでしょうが、リフィルホグス系が主体の通常ラインナップの延長線上という感じで、尖ったところはなく、しっかり磨き上げられている印象を受けます。

可能であれば40%ではなく46%、48%の仕様を飲んでみたいボトルでもありますが、これは40%加水だからこそ得られるバランスであり、飲み進めることで差が出てきそうです。
突き抜けて陶酔する味わいではありませんでしたが、この完成度は加点せざるを得ませんね。

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ちなみに、先にも述べましたが同蒸留所のラインナップには同系統のフレーバーを備えた21年があり、これもまた旨いのです。
もちろん21年とは完成度に差がある印象で、例えるなら28年が高級フレンチレストラン、21年は評判の下町のレストランという感じですが、どちらも美味い料理は出てくるイメージ。
今回テイスティングした28年は、ボトルそのものの良さだけでなく、オフィシャルラインナップ全体に通じる良さの評価軸となるようなグットリリースでした。

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