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東京インターナショナル バーショー 2018 で遊んでました

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今日はTokyo International Bar Showに参加してきました。
かつてはウイスキーマガジンライブとして、1年に1度のウイスキー好きのお祭り・・・だったのですが、Bar Showとなってからは徐々にウイスキー色がフェードアウトしてる感のある本イベント。今年はタイトルから「ウイスキー」の文字が消えて、ウイスキー色がさらに薄いなんて話も聞くところ。。。とりあえず飲めるだけ飲んできましたので見ていただければ。まあ近年、日本全国でウイスキーフェス的イベントがどんどん増えている中、差別化という意味では正しいのかもしれません。 

記念ボトル狙いの方は早朝から並んでいるらしいのですが、興味の無い自分は開場ギリギリ到着コース。行列を尻目に写真パシャパシャ、スタートダッシュも必要有りません(笑)。
そんなわけで、今回はちょっと実況生放送気味に、回ったブースの情報を更新しながらイベントを楽しんでみました。


【ウイスク・イー】 
ベンリアックグループラインナップがなくなってしまったウイスクさん。しかしキルホーマンとアランに加え、今年は新商品のグレンアラヒーのサンプルが登場!
オフィシャルスタンダードの筆頭となるグレンアラヒー12年は、癖のない酒質にバーボンオーク系のフルーティーさが主体。そこにシェリーオーク由来のコクがバランスを取って上品な味わいで、シェリー樽の比率は全体の3割程度という話。。。には思えない構成(笑)。
ですが決して悪いワケではなく、むしろ今回のイベントで好評だったリリースでした。これはハイボールにしても美味しそうです!
この他、18年は突き抜けた樽感こそないものの、全体的にまとまったマイルドで呑みやすいバランス型、余韻にしみるウッディさが熟成を感じますね。
10年カスクストレングスはバニラと乾いた麦感、あるいは牧草、むせるように納屋の香り。スウィートでモルティ、余韻のオークフレーバーが心地よく感じます。
そして13時から数量限定で試飲が展開された25年は、ナッティーで湿ったオーク、アーモンドやはちみつを思わせる甘く香ばしいアロマ。ややドライながらスムーズな口当たりから、余韻にかけてオーキーなトロピカルフレーバーが広がっていきます。
グレンアラヒーのニューリリース、全般的に癖のないとっつきやすい味わいで、どれを飲んでも美味いシングルモルトです。

【ベンチャーウイスキー(イチローズモルト)】
今年も当然話題になるイチローズモルト。有料ですがWWA2018でワールドベストブレンデッドに輝いたモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッドの試飲が出来ます。そのほかは通常ラインナップに加え、ヘビーピーテッドとノンピートのニューメイク。ラムカスクなどのサンプルが用意されています。 

2018年に仕込まれたばかりの原酒2種。イベントでは普段飲めないニューメイクなどを飲んで貰いたいと言うのは、ブースに居た吉川さんの話。
ノンピートは乾燥させた麦芽香と乳酸系の柔らかい酸味、日本酒のようなコクがあり、クセの少ない素直なニューメイク。
熟成に耐える酒質を作り出すため、発酵時間を変えるなど色々試行錯誤しているとのこと。70時間程度かと思っていたら、今は90時間以上発酵させてるんですね。この乳酸っぽさはそこからきてるのかという理解。
ピーテッドはそうした酒質の上にしっかりとピート、スモーキー。短熟でも仕上がる可能性がある素性のいい原酒です。
昨年のニューメイクとはまた違う仕上がりで、日々の進歩と研究の成果を感じます。

【株式会社都光酒販(ロッホローモンド、グレンスコシア、長濱蒸留所)】
個人的に近年のラインナップで成長著しいと感じるのがロッホローモンド蒸留所。インチマリンの衝撃は記憶に新しいところで、今後の展開に期待。グレンスコシアはオーキーでフルーティーな18年が良い感じですね。 
また台湾のナントウ蒸留所、スタンダードのシェリータイプとバーボンタイプを久しぶりにテイスティング。価格が強気なのは相変わらずとして、クオリティは年々上がっている印象。カヴァランもありますし、日本もうかうかしてられませんよ。

そしてその日本のクラフト蒸留所ですが、昨年夏に訪問した長濱蒸留所。バーボン、シェリー、ミズナラなど各種原酒サンプルと共に、ひっそりと都光さんのブースに隣接する形で出展しています。
ニューメイクのヘビーピートが悪くない仕上がりだったので、後は樽と熟成場所ですねという話。色々試行錯誤している ようで、先日はソレラ出のフィノカスクが入っていたようですし、今後のリリースと蒸留所としての成長が楽しみです。

【田地商店(信濃屋食品)】
田地商店さんは信濃屋食品の関連会社で、現地から酒類を調達するインポーター。これまでのバーショーは信濃屋食品がウイスキー中心に出展していましたが、今年は田地商店が同社取り扱いのウイスキー以外のリキュールやカルヴァドスなどを展開しています。
カルヴァドスは昨日記事に投稿したアプルヴァル、有料試飲の1974とヴィクトール含め各種揃っています。 

スタッフ一押しがこのシャマレルのラム。モスカテルフィニッシュとシングルバレル。スタンダードなVSOPも良かったですね。
VSOPは、ヤギューチャレンジならぬクリリンチャレンジで熟成年数当てクイズ。ウイスキー的にはミドルエイジ以上かと思ったら、まさか4年熟成とは。。。そう、若さを感じさせない味なんです。
モスカテルカスクフィニッシュはラム系のブラウンシュガーやハーブのアロマ、コクと粘性のある甘みのある味わい。ウッディな余韻が心地よい。 
そしてシングルバレル。コクと深み、度数を感じさせないウッディさが長い余韻に繋がっています。あーこれはシガーが欲しくなります。 

また、同じラムで今回の出展の中で結構いいバランスとコスパだったのが、レイジドードー。3年、6年、12年の原酒のバッティングらしく適度な深みも感じるバランスのよさ。
トニックで割って、ビターズを垂らしてマジうま。後は塩とグレープフルーツソーダで何このスポーツ飲料的爽やかさw
これはレディーキラーです。田地さんは相変わらず悪い酒を扱われます(笑)。


【フードライナー】
昨年のバーショーで最も気合が入っていたとも言えるフードライナーさん。今年も気合入ってますね!
同社取り扱い、グラッパの有名ブランドであるベルタのほぼ全ラインナップを試飲できて、現地の情報まで聞くことが出来る、グラッパってあまり知られて無いですが、ウイスキー好きに琴線のあるジャンルだと思うんですよね。やはり今年もオススメのブースです。


【キリン】
ウイスキー関連の出展が縮小している中、逆に内容が充実してきていると感じるのがキリンさん。昨年のフェスなどで好評だった樽出しグレーン、今年もやってます。
スペックはバーボンバレルサイズのアメリカンホワイトオークの新樽で、2.5年熟成とのこと。
ヘビータイプのコクが強いグレーンで、ウッディで蜜のような甘みが強く美味い。というか、新樽熟成のグレーンってほぼバーボンに近いんじゃ。
実はスペックは後で知ったのですが、目立った若さもなく、とても2.5年とは思えない味わいですね。

キリンが正規輸入を手がけるジョニーウォーカーブースでは、ジョニーウォーカーが持つフレーバーの要素を加えるハイボール講座を実施。受講するとジョニーウォーカーの帽子(シルクハット)が貰えた粋な計らいも。頂いた帽子、今後のイベントで使う機会が増えそうです(笑)。

【サントリー】
先日発売されて話題となったエッセンスオブサントリーの有料試飲に加え、今年は限定の山崎原酒がエントリー。 
セミナーでは山崎シェリーカスクの2013と2016の比較テイスティングも出す大盤振る舞いだったみたいです。
ニューリリースとなるボウモアNo,1も試飲が出ています。
早速飲んでみると予想以上に軽い香り立ちで淡いスモーク、燃え尽きた灰、ほのかに柑橘、和紙のような紙っぽさ。若干のフローラル。口当たりも軽くスムーズ。余韻にかけてバーボンオークのフルーティーさ。
すごく呑みやすいですね。。。突き抜け感はないですが、バランスはいいと思います。 

ただ若干パフュームにも振れそうな要素があったのは気になりました。んーこれが例の時代に逆戻りなんてならなければ良いのですが。


【アサヒビール】
ブラックニッカの新商品の試飲が出てるのかなと思ったら、意外なことになかった件。リキュール系主体でカクテルブースでした。ただウイスクイーでの取り扱いを終了した、ドロナック、ベンリアック、グレングラッサが6月からアサヒでの取り扱いになるみたいですね。
特に試飲はしませんでしたが、これが今後どのような形で展開されるのか注目です。

【ミリオン商事(EMILIO LUSTAU)】
グレンファークラスでおなじみのミリオンさん。同ブースではグレンファークラスに加えてルスタウのシェリー酒も提供中。ベネシアンドールからの樽出しが楽しめる粋なサービスも!
ナッツ、カラメル、ドライフルーツの酸味。スタンダードのオロロソですが、こうして飲むと香味が開き染み込むような旨さです。

このブースは学ぶことも飲むものも多く、ウイスキーそっちのけで今回一番長く居たかもしれません(笑)。
印象に残っているのが、シェリーブランデーのニューメイク(1回蒸留時点40%)と、同社シェリーブランデーリゼルバの飲み比べ。そしてヴェルモットのベースとフレーバー後の飲み比べ。
シェリーブランデーのニューメイクはウイスキーと違って要するにグラッパ系、香り立ちは多少ツンとしますが、味はフルーティー。
そしてベルモットは普通にベースで美味い。ハーブと柑橘、シロップの甘さ、これはいいリキュールですよ。

ブースにはシェリー委員会の日本代表を勤められる明比さんと、ルスタウのマスターブレンダーであるペレス氏もいらっしゃって、シェリー酒そのもののみならずウイスキー向けシェリー樽の件とか、いろいろ話を聞くことが出来たのも良かったです。
「次はこれを飲んでみろ」と、ペレス氏による本家本元のベネシアンドール?w
ちょうど先日ルスタウ・アルマセニスタのオールドボトルを購入したのですが、流通時期がわからなかったんで「これ知ってる?」と質問。それをきっかけに「よし俺がルスタウについて教えてやる」と言わんばかりにシェリー酒のみならず、シェリーブランデーや熟成による香味構成など、熱く語っていただきました。
これは貴重な経験だ。。。質問したボトルについても「シェリーは長く置くと澱がでるが、それは悪いものではない。度数も高いから問題ないよ」と太鼓判。むしろボトル持っていけば良かったかな(笑)。

【本坊酒造(マルスウイスキー)】
新商品のしなのたんぽぽと、ダブルセラーズ含め、通常ラインナップを出展。
しなのたんぽぽはバーボン樽や新樽系の風味とコクのある味わい。古酒がバランスとってますね。信州の長熟は樽が強い感があるので、むしろこのシリーズのようにブレンドで使うことで活きている気がします。
対してダブルセラーズはフレッシュで若いながら、スモーキーなニュアンスがいいアクセントに。対極にあるボトルですが、よくまとまってこういうウイスキーはハイボールで呑みたいです。

この他、ブースでいくつかサンプルを飲ませて貰っていると、「くりりんさん、次のウイスキートークは参加されるんですよね。現地で待ってますよ〜逃しませんよ〜」と、悪魔のささやきが。
お許しもらえるかなー。是非とも参加したいんですが。。。

【デュワーズ】
ブースとしては12年のハイボールをオススメしていましたが、各レンジの試飲もOK。15年は少々プレーンですが、18年のスムーズな口当たり、オーキーで華やかな熟成ハイランドモルトを思わせる余韻は、長く負担なく楽しめる美味しさです。

【ディアジオモエヘネシー】
MHDさんはラグジュアリーモルトのいつものラインナップ。今年は去年はアードベッグのVRがありましたが、今年は完全にカクテル系。
ウイスキーは200周年のラガヴーリン8年がスタンダード化に伴い積極的に展開。ハイボール美味しいです。
ラガヴーリン8年は今月発売、定価は6100円ってつまり16年と同価格帯なんですが、その辺の整理はどうなるんでしょう。今度教えてボブー!(笑)。

【スコッチモルト販売】
ウイスキーはウルフバーンとコーヴァルを中心に出展。(何気にビールも面白かったという。。。そう、スコモルさんの事務所がある板橋のM's両隣では、なんだか怪しいこと一杯やってるんですよね(笑))
一連のウルフバーンのラインナップを飲んでみると、北ハイランドでスタンダードを取っていけるような、プレーンで丁寧な作りを感じさせる。
また某蒸留所から使用後のクオーターカスクを買い付けているようで、使われた原酒は淡くピーティー。これが意外にいいバランスで、今後も楽しみになりました。


【まとめ(帰宅後追記)】
全てのウイスキー関連のブースを紹介仕切れませんでしたが、気がつけばスタートからラストまで7時間。ぶっ通しで遊ばせて貰いました。普段はWEBで絡むウイスキー関連の知り合いとも会えましたし、充分楽しいイベントだったと思います。
イベントとしては昨年同様にバーショーという名前そのままにブースもエンターテイメント色が強く、バーカウンターを再現したような、かなり凝った造形のものも見られました。
一方ウイスキーはオフィシャルスタンダード中心。マニアックなリリースを求める方には、確かに需要に応えられないと感じるところはあります。ただウイスキー以外の酒類も含めて総合的に楽しむのであれば、上記のように面白さはありましたし、関係者との話の中で勉強になることも多々ありました。

なお一部の出展者からは「こういうイベント構成なら、逆にボトラーズとか持ってきても良かったかも」なんて話もあり、今年をきっかけにまたウイスキー関連の出展が増えるかもしれません。
昔からの参加者としては、やっぱりバーショーはウイスキーマガジンライブであって欲しいんですよね。
そんなわけで出展者の皆様、2日間連続での長丁場大変お疲れ様でした。個人的には今年のイベントもバッチリ楽しませて貰いましたし、来年も参加したいと思います。

ニッカ カフェウォッカ 40% サンプルレビュー 6月27日発売

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NIKKA WHISKY
COFFEY VODKA
180ml 40%

(常温)
淡いアルコール感、穀物香と柔らかい酸味も混じる。クリアな中に穏やかな原料由来の香味が残っている。
柔らかいコクのある口当たりから、微かに穀物のほろ苦さと乳酸のようなニュアンスを伴う甘み、ジンジンとした刺激も混じる。余韻はほろ苦く淡い酸味を伴いすっきりとしている。

(冷凍)
香り立ちはクリアで澄んでおり、清涼感を感じる。ほんの微かに乳酸、パイナップルのような爽やかなアロマが混じる。
飲むと柔らかいコクを感じる口当たり、クリアな味わい。品の良い穀物風味と果実にも通じるまろやかな酸味がアクセントに。余韻はほろ苦く、嫌なところが少なくすっきりとしている。

下手なウイスキーよりも面白い、驚きのウォッカ。
常温ではカフェスチル由来の柔らかいコク、香味の残った味わいがわかりやすく、冷凍すると清涼感すら感じる香り立ち。
総合的に見ると冷やして飲んだほうが"らしさ"をより楽しめるか。夏場は冷凍庫へ。

カフェウォッカ

昨日紹介したカフェジンとあわせ、アサヒビールが6月27日に発売する、もう一つのカフェシリーズ。カフェスチルを用いて作るピュアなホワイトスピリッツ、カフェウォッカです。

※6月27日発売、カフェジンのサンプルレビューはこちら

「ニッカのカフェスチルは旧式で、アルコール精製度が低い分、香味成分が残った豊かな味わいのグレーンを作り出せる。」
ウイスキーを嗜む人ならば、一度は聞いたことがあるであろうニッカの売り文句の一つです。
確かにカフェグレーンは他社のそれよりも甘みが強く、しっかりとした穀物由来のフレーバーが感じられるのですが、それは蒸留機由来の香味なのか、あるいは使われる原料の比率や種類、樽、熟成環境・・・などの諸要素からくるものなのか。多くの要素が重なっている熟成原酒ゆえに、どこまでがそれか確証が持てずにいました。

そしてその疑問は、このカフェウォッカを飲んで氷解するのです。
製造方法はカフェスチルで蒸留した、大麦とトウモロコシを原料とするスピリッツをブレンド、加水の後、白樺炭で濾過。いたってシンプルなものですが、クリアな味わいを出しつつ香味成分は残したい、白樺炭濾過は強度を極力少なくする代わりに、スピリッツの質にこだわっているそうです。
その結果、透明感のあるウォッカらしい香味に加え、ウォッカらしからぬ柔らかいコクのある口当たり、原料由来の優しい香味が残る味わいへと繋がっているのだと感じます。

自分はもっぱらブラウンスピリッツ派で、ジン以上に、ウォッカはカクテルベース。ストレートで飲むことはまずありません。
「とろっとろに冷やせば美味しいよ!」という意見も少なからず聞くのですが、独特とも言える無臭のアルコール感は慣れる事が出来ず、この感覚は理解できないなと、いくつかのウォッカを飲んで感じていました。
正直今回のカフェシリーズのリリース情報を聞いても、ジンはまだ楽しみな部分があった一方、ウォッカは「ブラックニッカクリアのカラメル色素抜きでしょ」なんて思っていたのです。

それだけに、最初の一口の衝撃は大きかったですね。その後1日冷凍庫に入れ、その清涼感あるアロマに2度驚かされました。
ウォッカらしいアルコール感が完全にない訳ではありませんし、麦を含む穀物由来の香味や、コクのあるボディがウイスキー党の自分にとって馴染みやすかったというのもあると思います。
しかしながら、そうした構成から下手なウイスキーよりも楽しめると感じたのはテイスティングの通りです。
このカフェウォッカ、素性が良いだけに様々な飲み方で使えそうです。
夏場、キンキンに冷やしたものをストレートであおるのも良いですが、ゆるく飲むならロックがこのウォッカのいい部分を長く楽しむ事が出来たと感じます。

カクテルもいくつか試したところ、キリッとドライに仕上げたい場合はさておき、コクのある味わいが土台となってカクテルを構成するフレーバーを包み込む、このボディ感は強みになると感じます。
オーソドックスなウォッカトニックは、ベースとなるカフェウォッカに甘みがあるので、ドライなタイプのトニックウォーターを使うか、あるいはソニックにしても面白い。レモンは控えめで、すっきりとして柔らかい甘みと爽快感を楽しめます。

この夏のお供候補生にして、ウイスキー好きにこそ飲んでもらいたいウォッカ。価格はカフェジンと同じ4000円少々。ウォッカとしてはプレミアムグレードですが、ウイスキーとしてならエントリーグレードで常識的な範囲・・・。
それこそ、黒塗りグラスでブラインドテイスティングなんてやったら、面白いと思いますよ。

ニッカ カフェジン 47% サンプルレビュー 6月27日発売

カテゴリ:
ニッカカフェジン
NIKKA WHISKY
COFFY GIN
180ml 47%

(常温)
柔らかくフルーティーな酸味、林檎、オレンジ、微かに柚子も思わせる爽やかさ。徐々に山椒のスパイシーさ、ベクトルの違う香りが開いてくる。
香り同様柔らかくコクのある口当たり。そこから柑橘、オレンジピールを思わせるほろ苦さ、山椒の爽やかな香気が鼻腔に抜け、スパイシーな刺激がジンジンと染み込むように長く続く。

(冷凍)
ややドライ、クリーンで高い香り立ち。シトラス、柑橘系の爽やかさ主体。微かに山椒とジュニパーのアロマ。 
口に含むと香り立ち同様にドライ、柑橘系の爽やかさから山椒の香気が鼻腔に抜けていく。余韻は常温同様にスパイシーでほろ苦い。

しっかりとした飲み応えと柑橘や山椒の爽やかな香味が特徴のジン。常温か、冷凍か、オススメの飲み方は少々悩ましい。
カフェスチル由来のコク、果実由来の柔らかい酸味は常温のほうがわかりやすいが、このレシピのキモとも言えると山椒のスパイシーで爽やかな香気は、冷やしたほうがダイレクトに鼻に抜けていく印象。とりあえずまずは常温で一口、その上で様々なレシピも検討したい。

アサヒビール、並びにニッカウイスキーが、世界的に広がりを見せつつあるプレミアムジン市場に投入する意欲作。ニッカのウリの一つとも言える、カフェスチルで作る"カフェジン"です。
先月、同カフェシリーズのジンとウォッカのサンプルを入手し、早々に雑感をご紹介したところですが、発売日となる6/27も近づいたところで個別に記事にしていきます。

※6月27日発売、カフェウォッカのサンプルレビューはこちら。

ウイスキーブームにより市場が拡大し、ハイボールなどの文化が定着したことで瞬間最大風速ではなくウイスキーが日本で日常的に飲まれる酒類として定着しつつある昨今。ブラックニッカの限定品でウイスキー入門層にこのジャンルの楽しさをPRするアサヒビールの次なるチャレンジは、ブラウンスピリッツではなく、ホワイトスピリッツ、ジンとウォッカでした。
この発表はウイスキー愛好家に少なからず驚きを与えたところですが、時同じく、サントリーもプレミアムブランドとなるROKUと共にジン市場への参入を発表。
その他、マルスウイスキーや京都蒸留所などクラフトディスティラリーが以前からクラフトジンを展開しており、今年の夏はジン市場における、爽やかでありながらアツい各社の戦いが見られそうです。

今回発売日されるカフェジンは、カフェスチルで作るとうもろこし、大麦を主原料とするグレーンスピリッツに、
①山椒。
②ゆずなどの和柑橘、りんご。
③ジュニパーベリーなど。
のボタニカルの元となる原料をそれぞれ漬け込み、再蒸留しブレンドしたものです。
先日開催された東京バーショーで聞いたところ、この「山椒」についてはかなり拘って、産地から厳選したとのこと。また、その一部にりんごをチョイスしてるところが、ニッカらしいですね。

個人的に、タンカレーに代表されるようなジンの香りは好みなのですが、アルコール感あるドライな口当たりや、ジュニパーがきいてギスギスするようなタイプが多く苦手。カクテルはともかく、ストレートを好んで飲むことは基本ありません。
しかしこのカフェジンは、意外と飲めるのです。
こだわったという山椒の香味は、スパイシーで爽やか。好みを分けるかもしれませんが、果実の柔らかい酸味とほろ苦さ、カフェスチル由来と思しきグレーンスピリッツのコクがそれを包み込んで、アクセントの一つとして楽しませてくれるのです。

それこそ山椒のニュアンスはパンチ、アイラモルトのピート香のように、和の個性の一つという位置付けなのだと推察。もっとフルーティーで柔らかく飲みやすいジンを作ろうと思えば作れたのだと思いますが、カクテルのベースとして使うに当たって、あるいは海外に売り出していく中で、それでは面白くないという方針なのかもしれません。
(林檎ベースのカフェジンとか、飲んでみたくはありますが。。。)
というわけで、ストレートやロックでのテイスティング以外に、ジンソーダ、ジントニックと基本的なカクテルレシピから試してみます。
今回の販促サンプルは、試飲以外にカクテルも試せるようにと、180ml仕様なのです。有難いですね。

まず、ジンソーダは大人の味、かなりドライでシトラスと山椒の香るさっぱり感の強い味わいに仕上がる一方。ジントニックはスピリッツそのものの柔らかさがトニックウォーターの甘みと混ざり、染み渡るような味わい。
ライムの皮のほろ苦さ以外に、微かに残る山椒の香気。いやーこれはゴクゴク系です。
トニックウォーターはフィーバーツリーと、広く流通している万能型のシュウェップネスで試しましたが、どちらも問題なく馴染んでくれます。
強いて言えば甘口が好みな人はシュウェップネスのほうがオススメですが、ジンの香味をより活かせたのはフィーバーツリーだったかな、という印象です。


この新商品、アサヒビールとしては一般市場もさることながら、国内外のBARに広く売り込んで、プロのカクテルから愛好者に良さが広まって欲しいと考えているそうです。
確かにウイスキーならともかく、4000円を超えるプレミアムグレードの価格帯にあるカフェジンが、一般にホイホイ売れるとは考えられません。
1000円台のボンベイ、ギルビー、2000円台から展開されるタンカレーシリーズ、スタンダードブランドには実力も伝統もあるライバル多数であるところ、他メーカーのクラフトジンもあります。

正直、ジンについてはさわり程度しか知識もないので、多くは語れませんが、これまで経験してきた中で、ジンと言えばドライで飲み口の硬いものが多い一方、その逆に位置付けられるカフェジンがどのようなカクテルに使われ、受け入れられていくかは興味深く、まさにチャレンジです。
今回は自前でカクテルを作りましたが、発売後のプロのレシピ、プロの味も楽しみにしています。

ブラックニッカ新商品 クロスオーバー が5月発売 今秋更なる限定品も

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先日、ブレンダーズスピリット再販を発表したばかりのニッカウイスキーから、新たなブラックニッカ「クロスオーバー」と、さらなる限定リリースの計画が明らかとなりました。

※クロスオーバーの感想、テイスティングレビューはこちら


商品名:ブラックニッカ クロスオーバー
アルコール分:43%
容量:700ml
参考小売価格(税抜):2,000円 
発売:2017年5月23日
※数量限定商品 (11000ケース、132000本限定。)


同銘柄から何かしらリリースが出るかも、という話は噂レベルで聞いていましたが、ブレンダーズスピリット再販があったので、てっきりそのことだろうと思っていました。
それが某酒販店が先行予約の受付ページを開設したことで情報が拡散。報道向け情報でもリリースに関する説明がされ、いよいよ確定路線。
そこまでブラックニッカ一本槍でなくても。。。という気持ちはさておき、ブレンダーズスピリットの出来が良かったので、このリリースも気になるところ。中身の詳細や流通本数など、いつものルートで酒販店向け情報を確認させてもらいました。


ブラックニッカ クロスオーバーは余市蒸留所のヘビーピート原酒に、シェリー樽熟成の原酒をキーモルトとしたブレンデッドウイスキー。後述するもう一つの限定品が宮城峡ベースのようなので、クロスオーバーは余市ベースということなのかもしれません。
以下に引用するメーカーコメントを見ても、ピートフレーバーを強調したリリースであることがわかります。

ハードでありながら芳醇で豊かなコクが楽しめるウイスキーです。
バニラを思わせる甘い香り、モルトの豊かなコクがゆっくりと広がります。複雑で力強いピートの余韻が続きます。

<香り>
バニラを思わせる甘く、軽快なウッディさ。モルティさとピート香が全体を引き締める。
<味わい>
ドライでスモーキーなピートの味わいと熟した果実を連想させる華やかで芳醇な味わい。
モルトの豊かなコクがゆっくりと広がる。
<余韻>
複雑で力強いピートの余韻が続く。

熟した果実のような華やかで芳醇な味わいが感じられたあと、ヘビーピートならではのドライでスモーキーな味わいが感じられることを、「ふたつあるものが交差すること」を意味する"CROSSOVER"という言葉で象徴的に表現しました。


余市ベースのモルティーでスモーキーなウイスキーについては歓迎ですが、気になるのはハードでドライという表現。価格帯から推察するに、長期熟成で樽由来のタンニンが染み込むようなドライさではなく、キレの良い淡麗な意味で使われるドライさと考えるのが妥当か。若い原酒もそれなりに使われているのだと思います。
ちなみに、数量限定販売の本数については酒販向け情報では「数量限定」以上のことは確認できませんでした。このグレードで1000本、2000本の生産とは思えませんので、これまでのブラックニッカ同様結構な量が販売されるのではないでしょうか。


なお、関係者から確認したという情報では、この秋、10月から11月頃に宮城峡原酒をベースとした、フルーティーなブラックニッカのリミテッドリリースも予定されているとのこと。
報道ベースでも今年はブラックニッカから2種類の限定品がリリースされると発表されていますから、1本目はクロスオーバー、2本目が宮城峡ベースのブラックニッカということでしょう。(安易な予想ですが、ボトルの色は赤地のフロストなのではw)

ニッカウイスキーは多くの消費者が手に取りやすい価格帯にブラックニッカブランドを打ち込み、売り上げを大きく伸ばしてきました。
今後は同社のウリである余市蒸留所と宮城峡蒸留所、それぞれのキャラクターを際立てた商品で、個性を楽しんで貰ってファン増やしていく計画か。
こうしてみると、先般噂になったニッカウイスキー関連商品の終売は、これらの生産を優先していくため、ラインの割り当てを変えたことから一部問屋に商品が回りづらくなったということなのかもしれません。
限定品発売に加えて販促キャンペーンも行われるようで、今年のニッカは「ぶらーっく!(某墓場風)」な1年になりそうです。


ニッカウヰスキー 余市 15年 1976年蒸留 1991年ボトリング 58%

カテゴリ:
YOICHI 
NIKKA WHISKY 
Years 15 Old 
Distilled 1976 
Bottled 1991 
Cask type Sherry #126121 
750ml 58% 
 
グラス:サントリーテイスティング
量:30ml以上
場所:個人宅
時期:開栓1か月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:甘く香ばしい香り立ち。うっすらと硫黄、焙煎した麦芽、メープルシロップ、微かにプルーンの酸味、ピーティーなニュアンスもある。時間経過で鞣し皮や少し発酵したような癖、魚の煮付け、漁港を思わせる匂いが漂う。

味:かりんとうのような香ばしい甘さ、微かにサルファリー。薄めた黒蜜、土っぽいピートフレーバー、松の樹皮、ねっとりと粘性がある。酒質は余韻はドライでスパイシー、ほろ苦く淡いウッディーさを伴う長い余韻。

 
スコッチに限らずジャパニーズも相当量飲んできましたし、実質的な蒸留年ではこのボトルより古いものもありました。しかし今回のボトル、ニッカのシングルカスクとしてはおそらく最古のビンテージになるのではないかと思います。
とある卸業者が独自にボトリングしたもので、1976年蒸留で58%、驚異的なスペックです。
いやーこういうボトルもあるんですねえ、存在すら知りませんでした。

飲んでみると重めの酒質、パワフルで香ばしい麦芽風味、ベースの部分は余市らしく、それは1990年代も1980年代も、そしてこの1970年代もあまり変わってないように感じます。
ただ一番の違いは樽なんでしょう。要所で面白い風味を感じる仕上がりに、その場にいる全員が唸っていました。
 
別途頂いた資料から、熟成に使われた樽はスパニッシュオークシェリーカスクであることはわかっています。シェリー樽由来と思しきフレーバーが適度にあり、通常テイスティングする分には悪くないウイスキーです。
ただスワリングすると香るんですよね、漁港の香りというかナンプラーというか、少し発酵したような独特の癖が。
補足すると決して状態が悪いわけではなく、ボトリング後のオフフレーバーに類するものは感じられません。なので、元々使った樽にそうしたシェリーが少量入っていたか、あるいは樽の保存状態によるもので、このようなフレーバーが混じってしまったのではないかと思います。

何れにせよ大変貴重なボトル。70年代余市のシングルカスクというだけでも、ウイスキーファン垂涎の1本であることは間違いありません。
今回のボトルはウイスキー仲間の集まりで、自転車仲間でもあるKさんが持ち込まれました。
本当に貴重なボトル、ありがたい限りです。Kさんとはオフィシャルボトル探求の旅もしようと話をしており、引き続きお世話になります!

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