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クロナキルティ ウイスキー ハイボール缶 & ジンソーダ缶

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クロナキルティ RTD (Ready To Drink)缶
・潮風感じる クロナキルティ ジンソーダ 7%
・潮風感じる クロナキルティ ハイボール 7%

※ご参考:KOTOコーポレーション公式リリース:https://www.atpress.ne.jp/news/434017

先日、クロナキルティ蒸溜所の1stリリース(自社蒸留原酒)であるクロナキルティ シングルポットスチルをレビューしたところ。
その翌日である4月22日、偶然にもクロナキルティから新リリースであるハイボール缶が公式発表、ローソン限定で発売されました。

いやいや、PBやるくらいの関係だし、くりりん知ってたんでしょ?と、言われそうですが。
本当に知らなかったんですよね。ハイボール缶出すという噂は耳にしていましたが、それ以上のことは。おそらくですが、ローソンという大手企業との絡みの関係上事前にオープンはできなかったのでしょう(そう信じたいw)

そんなわけで最寄りのローソンで早速捕鯨し、まっさらな状態からレビューを書いていきます。
ちなみに、ただレビューするのも面白くないので、行きつけのお店にお願いしてクロナキルティの既存リリースとの比較も行っていきます。
なおこのブログの読者層にクロナキルティの紹介は不要かと思いますが、すごく端的にお伝えするとアイルランド南部のダーンディディで9世代続く農家が2016年に設立、2019年に操業したアイリッシュウイスキーメーカー&蒸溜所がクロナキルティです。詳細は過去記事もご参照ください。

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・潮風感じる クロナキルティ ジンソーダ 7%

ミンクジンは、クロナキルティ蒸溜所で作られるスピリッツをベースとしたジン。スピリッツには同蒸留所の熟成庫と畑がある地域にある牧場産のホエイ(乳清)、またボタニカルの一つには同地域で取れるロックサンファイアを使っているとされています。
ともすると、どんな味なんだ?となりますが、基本的には、オーソドックスかつ王道的な柑橘やジュニパーの要素が主体となったドライジンです。

そのジンをベースとした缶の味はというと、これが非常にすっきりとしてドライ、そこに青みがかったジュニパーのジンらしいフレーバーが広がる、実に爽やかかつ本格的な味わいです。
「すっきり無糖、すっきりフローラル」と缶には書かれていますが、まさにですね。特にキンキンに冷やした状態で缶から直にグイッとやると、ドライな感じが強調され、後からジンらしいスパイスや柑橘、ジュニパーの風味が広がり、私はかなり好みでした。
食中酒として使っても、大概のジャンルに合わせられると思います。

一方で面白かったのが、実際のミンクジンから同じ度数設定でハイボールを作った場合、ミンクジンのほうは柑橘系のニュアンスが強く、缶のほうは青みがかったフローラルな要素が強く感じられた点です。また、香りも缶のほうが強かったように思います。
混ぜ方、度数の落とし方などの違いもあるのだと思いますが。今回は缶のレビューなので、缶の方が良かったと言えるのは歓迎です(笑)、何が違うのか、工夫があるのかは後で聞いてみたいと思います。

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※海辺に生える塩生植物のロックサンファイア。塩味と磯の香りのする草。もちろん食用。画像引用:https://girisyagohan.blog.jp/archives/50470899.html

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・潮風感じる クロナキルティ ハイボール 7%
クロナキルティで作られ、ブレンドしたアイリッシュウイスキーをベースにしたハイボール缶。
このリリースは、ベースとなるウイスキーがラベルデザインの似ているダブルオーク(右)かなと予想したのですが、飲み比べてみると全く味が違いました。おそらく、缶用のオリジナルレシピか国内未流通の商品をベースにしていると考えられます。

プレーン寄りで軽やかな穀物風味、徐々にバニラのような優しい甘さが炭酸と共に広がる。使われている原酒の熟成は5〜7年くらいか。アイリッシュとしては若すぎず、樽感も穏やかでクロナキルティのスタイルの優しい甘さがよく表現されています。
余韻は炭酸に混じるほろ苦さ、ほのかにオーキー。基本的には軽やかでクセのないスッキリ系ながら、温度が上がると穀物風味の広がりも。

香味から推察するにグレーン比率が高く、おそらくグレーン7〜8割、モルト(シングルポット含む)2〜3割といったアイリッシュブレンデッドウイスキー。
コメントに記載した「クロナキルティのスタイルの優しい甘さ」を感じるあたり、軸となる原酒には、自社蒸留&熟成したリリースであるシングルポットスチルウイスキーが使われているのでは…。だとすると結構贅沢なハイボール缶ですね。
(関係者に確認したところ、ほとんど正解だそうです。5/3追記)

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※2024年11月にリリースされたシングルポットスチルウイスキー。ハイボールにすると素朴な麦芽風味の中に優しい甘さとほのかな酸味が引き立つ。今回のハイボール缶にフロートするのも面白い。

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※クロナキルティ蒸溜所の熟成庫。銘柄にもなっているギャレーヘッド灯台の近く(ダーンディディ)の高台にあり、眼下には大西洋が広がる。

さて、今回のリリースには共通して「潮風」という表現に加え、ハイボール缶には「程よいソルティ」という記載もあります。

アイリッシュウイスキーやジンでなぜ海や塩気をイメージする表現が…という疑問に答えると、ミンクジンについては使用されているボタニカルのロックサンファイアが塩生植物であり、塩茹でしないでもしょっぱいと感じるくらいに潮気や磯の香りを含んでいること。
そしてウイスキーについては、クロナキルティの熟成庫が上の写真にあるように海辺で潮風吹き付ける高台にあり、その影響を受けているためと考えられます。
そういわれると、そういう味がしてくるような…?

何れにせよ、ジンソーダはドライで本格的、ウイスキーハイボールは優しい甘さとプレーンでスッキリとした味わいが万人受けする構成。
ジンソーダはサントリーの翠ジン缶で物足りない人に刺さると思いますし、ウイスキーに関してはもっと癖が強いほうが好み!という人もいるでしょうけれど、アイリッシュって元々そういうクセの少ないスッキリとしたタイプですから。クロナキルティブランドの入門と考えても、広報的にもアリなリリースだと思います。

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ここ数年、RTD市場におけるハイボール缶の開発競走、リリース合戦が加速しています。缶のラインを持っている企業に販売プランが確立したためか、大手ビールメーカー所有以外のクラフト銘柄からもリリースが行われているところ。

今回のリリースがそうかはわかりませんが、他社の事例では1ロット10万本以上という話なので、限定で作るにしてもそれなりの販路が求められるものの、スーパーや酒販などのチェーン店であればやってやれない規模ではなく。。。
アイリッシュに限定するなら、昨年から今年にかけては上の写真にあるバスカーやイーガンズからのリリースが行われてきました。

バスカーは元々フルーティーさをウリにした銘柄だっただけに、6%のものは華やかでフルーティーな、8%は芯のある味わいの中に華やかさがあり。イーガンズは樽由来のフレーバーを複数重ね合わせて香味形成する傾向があることからか、このハイボール缶も樽由来の香味が複雑に主張してくる味わい。
お互いがちゃんとベースとなる銘柄、ブランドの個性を意識している点が違いに繋がって、お値段以上に楽しませてもらいました。

今後はRTDジャンルにどんなリリースが出てくるのか。先日は長濱蒸溜所からのAMAHAGANハイボール缶や、福島県内限定で福島県南酒販から963ハイボール缶もリリース、いずれもいい出来でした。そう言えば桜尾からジントニック缶が5月下旬にリリースされるというニュースもありました、これもたまたま4月21日発表なんですよね(笑)。
ハイボール缶戦争に加えてジン缶の仁義なき戦い。。。こちらも楽しみです。

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クロナキルティ シングルポットスチル アイリッシュウイスキー 46%

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CLONAKILTY 
SINGEL POT STILL 
IRISH WHISKEY 
100% IRISH BARLEY 
700ml 46% 

評価:★★★★★(5)

香り:やや酸の混じる黒パンのような素朴な麦芽香。合わせて薄めたキャラメルと柑橘、干し草のような甘い植物感を伴う。

味:柔らかく甘酸っぱい口当たり。柑橘のクリームのようなソフトな甘さのケミカルなニュアンス、徐々に軽やかなスパイス。余韻は麦茶のようにほろ苦い麦芽風味を残してじんわりと長く続く。

自家栽培含む100%地元産の麦芽を用いた、クロナキルティ蒸留所のファーストリリース。まだ4年程度の熟成とあって複雑さには欠けるが、煌びやかでも華やかでもない、どこか素朴な味わいに懐かしさを感じる。また、口当たりはソフトでアイリッシュのシングルポットスチルらしい柔らかさがあり、親しみやすい。ストレート以外にハイボールやロックでも。

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アイルランドの新星、クロナキルティ蒸留所で蒸留されたシングルポットスチルウイスキー。クロナキルティ蒸留所については過去記事にて紹介しているので説明を省きますが、現地で農業を営む一族がオーナーとなって創業した蒸留所で、海沿いの高台に建てられた熟成庫や、蒸留には自ら育てた麦芽を用いるなど、ユニークな特徴があります。

同ウイスキーのニューメイクはWWA2020でベストアイリッシュニューメイクを受賞(WWAの評価は賛否ありますが、一定以上の品質があるのは間違いなく)した実績があるだけでなく、調達した原酒を後熟&ブレンドして作られてきたこれまでのリリースは、愛好家からも一般のユーザーからも評価されているところ。

特にフルーティーさのわかりやすいクロナキルティ・ギャレーヘッドが人気であり、ユーザーが求めている味わいを作り出すブレンドセンスの高い蒸留所だと注目していました。
外部調達した原酒をアレンジしてリリースを作るメーカーは、アイルランドではイーガンズなど複数社ありますが、日本に流通しているものを一通り飲んだ限り、クロナキルティの味作りが1番好みだったのです。そのため、上述のローカルバーレイの取り組みなどと合わせて自前の原酒を使ったリリースを楽しみにしていました。

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※注目ついでに自分が関わるリリースまで調整してしまいました(笑)。イラストは昨年11月にリリースを発表した駐日アイルランド大使公邸にてオーナー夫妻とメンバーで撮影した写真を加工。多分今年の夏頃にリリースされます。

そんなクロナキルティから、準備期間を経て満をじしてリリースされたのが、今回のシングルポットスチルです。
自前の畑で栽培された麦芽に、足りない分は周囲の契約農家から麦芽を調達したローカルバーレイ仕様。ラベルにはクロナキルティの象徴たる鯨の尾、外箱には蒸留所、大麦畑、熟成庫、それぞれの場所が描かれています。

蒸留回数は伝統の3回蒸留、熟成年数は現時点では4年程度で、原酒はバーボン樽、オロロソシェリー樽、アモンティリャードシェリー樽で熟成したものをブレンド。バーボン樽のオーキーでドライな感じにならない、麦芽風味と酸味、特に香りで感じた黒パンのような、どこか素朴な味わいとなっているのは、シェリー樽から甘味と酸味が加わった味作りからでしょうか。
過去のリリースの傾向から、ライトでソフトで、そしてフルーティーな感じに仕上げてくるかなと予想していたので、個人的にこの路線は意外でしたね。

ただフルーティー路線のアイリッシュはいっぱいあるし、なんならギャレーヘッドなどの自社の過去リリースと同じ路線にのせるよりも、違う方向に調整したのはアリだなと。またローカルバーレイを掲げている中で、こうした素朴な味わいが雰囲気的にもマッチしてると思います。
蒸留所の熟成庫周辺の風景を知っていると、今回のリリースの味わいから牧歌的な風景が連想できる。。。ような気がするのは自分だけでしょうか(笑)

なお、クロナキルティの熟成庫は、上述の通り海沿いの高台にあり、大西洋から吹き付ける潮風が原酒に影響を与える…とのことなのですが、香味から潮気が目立って感じられるわけではありません。今後熟成が進むと、ソフトな酒質に合わさって塩スイーツみたいな感じが期待できるのかもしれませんが。
現在、シングルモルトの仕込みにも着手しているとのことで、今後のリリースや展開にも期待しています。

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クロナキルティ ギャレーヘッド シングルモルト 40% (新バッチ 2023.10〜)

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CLONAKILTY 
GALLEY HEAD 
SINGLE MALT IRISH WHISKEY 
Cask type Bourbon Barrel 4 years, Rum Cask finish 
Batch 2023~
700ml 40%

評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでオーキーなトップノート。ややドライな香り立ちだが、土や殻付き麦芽を思わせる要素に果実感豊富。洋梨や林檎、マスカット、微かに青瓜やジャスミン。奥から蜂蜜のような粘性を思わせる甘さも感じられる。

味:口当たりは柔らかく適度なコクがあり、麦芽風味から軽やかなスパイシーさと微かな青み。香り同様にしっかりとフルーティーで、黄色や白色の果肉を思わせるフレーバー。余韻は華やかで、ナッツや果実の皮のようなほろ苦さに、塩を数粒舌の上で溶かしたような出汁感を伴う長いフィニッシュ。

想像以上に王道で、想像以上に美味しかったシングルモルト。第一印象はバーボン樽の12年熟成程度のスペイサイドモルトかローランドモルトだが、それだけではない個性が印象的なウイスキーである。長期熟成アイリッシュウイスキーのケミカルトロピカルとは異なるが、麦芽風味と樽由来の豊かな果実風味は万人受けする構成。現代のウイスキー愛好家に広く評価されるだろう。最初の1杯にどうぞ。ハイボールもGOOD。

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アイルランド南部、大西洋沿いにある街、その名を冠したクロナキルティ蒸留所のシングルモルトのスタンダードブランドが、今回のテイスティングアイテムである”GALLEY HEAD”です。
このリリースをご存じの方だと「知ってるギャレーヘッドとラベルが違う?」と思うかもしれませんが、今回の1本は今後市場に流通してくるリニューアル品で、構成原酒の異なるバッチ。個人的に前作より好みの味に仕上がってます。

蒸留所を操業するアトランティック・ディスティラリー社は2016年設立。蒸留所のオープンは2019年3月。
自社蒸留の原酒が充分熟成するまでの間は、同じアイルランドの蒸留所(ブッシュミルズやグレートノーザンなど)から調達した原酒をベースに、後述する海岸沿い高台にある熟成環境でのカスクフィニッシュやブレンドを経たリリースが行われています。

現在市場にある銀色のスタンプ(以下、画像参照)のギャレーヘッドは、バーボン樽で4年間熟成させた原酒を、ワイン樽で数カ月フィニッシュしたもの。軽やかな味わいにワイン樽由来のナッティなフレーバーが合わさって、ハイボールで楽しむにはピッタリなウイスキーでした。
一方で今回リリースされた新しいロットは、バーボン樽で4年以上熟成した原酒をアグリコール・ラムカスクで追熟。華やかでリッチなフルーティーさが好ましく、若さも感じず飲みやすい1本に仕上がっています。

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先日、とあるBARで偶然クロナキルティ蒸留所の関係者、日本エリアマネージャーのフィオナさんとお会いしたことが、今回のレビューの発端でした。
せっかくなのでと、バックバーにあったギャレーヘッド(シルバースタンプ)のハイボールを頂きながら、色々お話を伺ったのですが・・・。お恥ずかしいながら、本ウイスキーについては「見たことある」程度、ハイボールの味もさっぱり系だったしで。。。作り手の熱量に対して「ほんとにほんとぉ~?」みたいな、多分そんな雰囲気を私が出してしまっていたのだと思います。

それじゃあこれを飲んでよと、取り出されたボトルがゴールドスタンプきらめく新ロットのギャレーヘッド。その場で開封、マスターすいません。グラス貸してください。
いや驚きました。シルバーのほうはストレートだと普通だなーという印象でしたが、ゴールドはレビューでも触れたように、想像以上に王道で、想像以上に美味しかったんですよね。
市場流通価格はわかりませんが、聞くところでは現在とそう変わらないとのことで、他社製品とも充分に渡り合える、センスの良さが光る1本だと思います。

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◆クロナキルティ蒸留所について
せっかく色々お話しも伺ったので、ここからはクロナキルティ蒸留所についてざっくり紹介させて頂こうと思います。
同蒸留所は先に触れた通り、2019年3月からクロナキルティの街中で創業、熟成庫は町から約10㎞離れた、海岸そばの高台にあります。
原料となる麦芽もまた同地域にある自社畑で栽培されているものと、周辺の契約農家で栽培されたもののみを使用する、言わばローカルバーレイという原料、環境で造られている特徴があります。

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※クロナキルティ蒸留所の熟成庫。眼前に広がる大西洋からは時折強い海風が吹き付ける。この熟成環境がもたらす個性は、現在のリリースからもその片鱗を感じることが出来る。

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※クロナキルティ・ギャレーヘッドのリリースにおいて、ブランドストーリーにもなっているギャレーヘッド灯台。写真奥の矢印の場所に熟成庫が建てられている。 

このこだわりの背景には、クロナキルティ蒸留所が原料の栽培から、熟成、ボトリングを全て蒸留所のある地域内で行う「GRAIN TO GLASS」をコンセプトに掲げていることがあります。
ただし創業時から蒸留していたのはアイリッシュ伝統のシングルポットスチルウイスキーのみで、シングルモルトは作っていなかったとのこと。
また現在シングルポットスチルウイスキー、またはアイリッシュウイスキー(ブレンデッド)としてリリースされているラインナップも、原酒が充分確保できていないこともあって、そのコンセプトを全て反映したものではありません。

これはこの蒸留所に限らず、新興蒸留所においては大概同じですね。大事なのは、そのコンセプトを継続することなんです。
そして新たなロットとして先日からラベルが切り替わり、日本では2023年11月からリリースされるクロナキルティ・アイリッシュウイスキー、ポートカスクとダブルオーク(以下、左、中央)には、クロナキルティ蒸留所で蒸留され、上記熟成庫で4年以上の熟成を経た原酒が使用されているとのことです。

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また、クロナキルティ蒸留所の原酒を用いた100%シングルポットスチルウイスキーは、2025年のリリースを予定していること。2023年からはシングルモルトウイスキーの蒸留も開始しており、熟成後は今回レビュしたギャレーヘッドにも活用していく予定だそうです。
着実に、理想を形にするための歩みを進めていますね。

蒸留所を立ち上げたメンバーは、熟成庫がある地域のそば、ダーンディディで9世代に渡って農業を営んでいるスカリー家。今回紹介した「ギャレーヘッド」は半島の先端にある、この地域の象徴とも言える灯台をブランド名に採用したものであり、クロナキルティ蒸留所にとってのスタンダードブランドの一つとなっています。
今はまだワークインプログレスなクロナキルティ蒸留所ですが、この成長過程を楽しめるのが新興クラフトの面白さ。
酒販メーカーからも期待している蒸留所の一つとして名前を聞きますし、今回のギャレーヘッドも市場のニーズを満たす味作りに光るものを感じます。今後のリリースが楽しみです!

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※ダーンディディで蒸留所創業者一族が耕作する大麦畑と収穫風景。シングルモルトのリリースが待ち遠しい。

レッドブレスト 21年 シングルポットスチル 46%

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SINGLE POT STILL ISLISH WHISKY 
Aged 21 years 
Cask type Oloroso Sherry Butts & Bourbon Barrel 
700ml 46% 

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:ケミカルっぽさとバニラの甘さ、仄かに青みがかった植物感と品の良いシェリー感。ドライプルーン、や砂糖をまぶしたオレンジピール。奥にはオーキーなフレーバーとしてパイナップルを思わせるフルーティーさに洋菓子の香ばしさを伴う。

味:香り同様にウッディさとやや青みがかった植物感があり、そこから麦芽風味とバニラの甘さ、合わせてシェリー樽由来のダークフルーツと紅茶を思わせる程よいタンニン。スパイシーな刺激も若干感じられる。
余韻にかけてその渋みと共にケミカルなフルーティーさが広がり、好ましいフィニッシュへと繋がる。

アイリッシュらしい植物っぽさにバニラの甘味。シェリー感はくどくなく、むしろ余韻のケミカルさを伴うアイリッシュフルーツへの繋ぎとしてバランス良く備わっている。飲み疲れず多彩さもある。これはオフィシャルとして完成度の高い1本。

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レッドブレストは、アイリッシュのなかでも特にシェリー樽熟成の要素を感じさせるリリースが多い銘柄。シェリーの大手ルスタウと繋がりがあるのか関連するリリースもあります。ただ、個人的な好みを言えば、ハイプルーフのものは該当するシェリー感をくどいと感じるものが多く、苦手とは言わないまでもあまり自分の好みにヒットしない印象がありました。

一方、カスクストレングスの印象に引っ張られ、加水の通常リリースはイベントで試飲した以外は特段試さないまま現在に至っていました。
そんななか、ウイスキーサロンで「最近ハマってるボトルなんですよ」と薦められ、それならと頂いて見たところ、これがなかなか悪くない。。。っていうか美味しいアイリッシュウイスキーだったので認識を改めた次第なのです。

個人的に好印象と感じるのはアイリッシュらしいフルーティーさと、シェリー樽のバランスです。
近年、愛好家からアイリッシュに求められているのは、アイリッシュトロピカルと言うべきか、ジェネリックトロピカルと言うべきか、いずれにせよフルーティーさに分類されるもの。この手のフレーバーは、アイリッシュでは3回蒸留の銘柄に多く見られる傾向がありますが、こうしたフレーバーがなぜ備わるのかは正確には不明。蒸留設備か、あるいはアイリッシュに使われるグリーンモルト(未発芽の麦芽)が影響しているのかもしれません。

一方で、該当するフレーバーはシェリー感が強すぎると潰されてしまうし、かといって樽が効いていないと3回蒸留らしくドライな甘味の傾向になりやすい。
この21年はバーボン樽熟成の原酒がフルーティーさを、シェリー樽熟成の原酒が甘味や厚み、全体のバランスを取っているようで、お互いの良い部分を活かしあっているオフィシャルらしい高い完成度のバッティングだと感じました。

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今日のオマケ:クスダワインズ シラー 2015

ニュージーランド・クスダワインズの赤。日本人の醸造家が現地で作られており、非常に高い評価を受けているワイナリーです。ピノ・ノワールが有名ですが、シラーも世界レベルとのこと。ウイスキーでは秩父のフィニッシュにも使われたことがありますね。

言うても若いシラーなのでスパイシーさが強く、タンニンもギッチギチな味わいかな。。。なんて思ってましたが、これは驚かされました。
香りは淀みなく、冷涼感を伴う赤黒系のエレガントな果実香とスパイシーさのアクセント。味わいも濃厚ながら過剰な酸味はなく、タンニンは端正で、あざとさのないブルーベリーやクランベリーの甘酸っぱさ、程よいフレッシュさ。
新世界で完熟系ドカーンという香味ではなく、若さは香味のフレッシュなニュアンスにあるものの、全体の作りが非常に丁寧なのです。

オージーな雰囲気も漂うガッツリ肉料理と合わせましたが、単品で飲んでも充分楽しめると思います。
世界で評価されるのも納得のクオリティでした。

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ザ・ホイッスラー 10年 アイリッシュシングルモルト 46%

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THE WHISTLER 
IRISH SINGLE MALT WHISKY 
Aged 10 years 
Cask type Refill Bourbon Casks
Oloroso Sherry Cask Finish 
700ml 46% 

グラス:リーデルテイスティング
場所:BAR ROYAL MILE 
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:シェリー樽由来の要素を感じさせる、色濃い甘さ、ウッディネスを感じる香り立ち。オランジェット、キャラメルラテ、やや渋味を連想する要素もあるが、全体的には穏やか。

味:マイルドで整った口当たり。デーツやブラウンシュガー、柔らかいウッディネスが広がり、続いてオーク由来の華やかさと、アイリッシュ系統のフルーティーさがじわじわと感じられる。
余韻は程よくウッディで、薄めたキャラメルの甘味とフルーティーさの残滓、仄かにオーキーなニュアンスが鼻腔に抜ける。

バランスよく、程よいシェリー感。香りはシェリー感メインだが、味ではスウィートな香味の奥にアイリッシュトロピカル。ケミカルな要素がうまく軽減され、加水で整った飲み口から負担なく味わう事ができる。無名だがレベルの高いシェリー系アイリッシュモルト。

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アイルランドの新興ウイスキーメーカー、ボアン蒸留所のリリースする1本。先日紹介した、ブルーノート7年の上位グレードという位置付けになります。
ブルーノートに光るものを感じていたので、是非その他のラインナップも飲んでみたいと思っていたところ、先月のウイスキーフェスに続いてBAR飲みの機会にも恵まれました。

このボトルをリリースししているボアン蒸留所は、2016年に創業したばかりでまだ自社蒸留の原酒を販売する体制が整っていません。そのため現時点では原酒を他社から購入し、それを自社で調達したシェリーの古樽等で2~3年程度後熟させてリリースするという手法をとっています。
ただ、運営母体となる会社がアイルランド最大のアルコール飲料メーカーで、蒸留所の規模や設備が整っているだけでなく。樽もボデガでシェリー酒を長期間熟成していた古樽を確保してスタンダードリリースに使うという、平均的なクラフトメーカーでは考えられない贅沢な仕様を実現しています。

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(ホイッスラーのスタンダードラインナップ3種。左から、ブレンデッド、シングルモルト7年、10年。すべてオロロソシェリーカスクでフィニッシュされているのが特徴。ブレンデッドはエントリーグレードとなる位置付けだが、同じ販売価格帯のなかで最もシェリー感が備わった1本と言えるリッチな味わい。)

先月のウイスキーフェスでの試飲中、これは良いんじゃないかと注目した1本が、ホイッスラー10年でした。
ベースとなった原酒はクーリー蒸留所のもの(以前のレビュー時は香味の推察でしたが、フェスで間違いないことを確認)を、リフィルバーボンバレルで8年間熟成。ボアン蒸留所でオロロソシェリーバットに移して2年間フィニッシュした構成で、シェリー樽由来の甘味やウッディネスのなかに、アイリッシュモルト+バーボンオークの華やかなフルーティーさが感じられる二つの樽の良いとこ取り。バランスよく、変化を楽しめる1本に仕上がっています。

7年のほうはシェリー感がリッチでコスパに優れた構成ではあるのですが、10年と比較するとどうしてもシェリー感に若干の粗さが気になってしまう。また、ベースの原酒由来のフルーティーさも存在感を増していて、価格なりの完成度の差は感じられます。
それこそ、このシェリー樽仕上げアイリッシュウイスキーは、同じ販売価格帯のアイリッシュと比較しても劣っていないというか、ありそうでなかったバランスのウイスキーで、素直に良くできているなと感じました。
しいて言えば10年熟成表記という点が、他社の15年、16年クラスと並べた時に見劣りしますが、味重視だという人は是非試してほしいですね。

なお、こうしてフィニッシュに使ったシェリー樽は、現在ボアン蒸留所で作られている原酒を長期貯蔵するために使われると考えられ・・・。体制、販路、環境、贔屓目に見ても将来性抜群な蒸留所と言えるメーカーの製品なのです。
その評価は自社蒸留の原酒次第ではあり、まだ期待の域を出ませんが、同社の今後の製品に加え、5年後、10年後が今から楽しみです。

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