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アードベッグ レアカスク 1998-2020 Cask No,50 For Benjamin tan 56.5%

カテゴリ:
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ARDBEG RARE CASK 
Benjamin Tan's Private Collection 
Aged 22 years 
Distilled 1998 
Bottled 2020 
Cask type American Oak Refill Cask (6 years old), 2nd fill Sherry Cask (16 years old) 
Cask No,50 
700ml 56.5% 

暫定評価:★★★★★★★★(7-8)

香り:トップノートはリッチでふくよかな甘みを伴うシェリー香。ただべたつくような甘さではなく、コーヒーを思わせるアロマティックな要素や、レーズンや無花果等のダークフルーツ、林檎のカラメル煮などフルーツの甘酸っぱさも含んでいる。合わせて落ち着きのあるピートスモーク、ほのかに鰹節っぽさも伴う複雑なアロマ。

味:粘性のある口当たり。色濃いウッディさ、香り同様のリッチなシェリー感が、存在感のあるピートスモークを伴って広がる。香りと異なり、味はピートが優位。ダークフルーツジャムのようなシェリー感を底支えにして、アイラピートのスモーキーさ、カカオチョコを思わせるほろ苦さが余韻にかけてしっかりと広がる。
余韻は焦げた木材、鰹節、そしてほのかな薬品香を伴う特有のスモーキーフレーバーが、甘いシェリー香を伴って長く続く。

樽次第では、近年でもこういうものを作れるのか。古き良き時代を彷彿とさせるような、シェリー系のアイラモルト。甘酸っぱく赤黒系のフルーティーさのあるシェリー感に、どっしりとしたスモーキーさ。余韻にかけてアイラ系の要素、アードベッグと思える風味。微かに溶剤ような異物感が混じったが、全体的には良質なシェリー感とピート感で楽しめる。例えるなら1975年のオフィシャルシングルカスクリリースを、現代の材料で可能な限り再現したと言えるようなクオリティである。素晴らしい1杯。

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ありえないなんてことはありえない。不可能を可能にする方法は存在する。
香味もさることながら、リリースまでの流れにも、それを感じる・・・・・そんな貴重なボトルのサンプルを頂いていたので、今さらながらレビューさせてもらいます。

そもそもアードベッグ含め、ディアジオ(グレンモーレンジ含む)関連のオフィシャルで、PBをリリースするのは不可能と言われてきました。今回はシンガポールの酒販 Whisky Journey代表であるBenjamin Tan氏が発起人となり、有志を募ったうえでカスクを購入。有志はインポーター・酒販としても活動する方々であり、日本からは、Kyoto Fine Wine & Spiritsを経営するOjiさん、Nagataさんが名を連ねています。
こうした経緯から、本ボトルは形式的にはBenjamin Tan氏個人のプライベートコレクションとなりますが、実質的には。。。ということで、ここ最近まず日本には入ってこなかったアードベッグのオフィシャルシングルカスクが、国内市場でも発売されることとなったのです。


今回のボトル、特筆する要素はリリース経緯だけでなく、香味にもあります。
近年のシェリー樽熟成モルトの大多数は、近年シェリーとして分類されるシーズニングによる独特の風味があり、1970年代前半、あるいは1960年代蒸留のモルトに見られたフレーバーがほぼ失われているのは、周知のことと思います。
このシーズニングシェリー系のフレーバーが不味いとは言いません。突き抜けない代わりに安定しており、ちょっと前まであったシェリー酒そのものが混じったような椎茸フレーバーや、爆発するような硫黄感など、トンデモ系は本当に少なくなりました。

一方で、愛好家が求めてやまない、赤黒系のフルーティーさ、独特の艶やかな、妖艶なニュアンスをもったリリースも少なくなっています。
これは、トンデモ系の樽が確変を起こしたということではなく、玉石混合だった中で”石”のクオリティを近年のシーズニングシェリー樽が引き上げたこと。一方で数の限られている”玉”は安定して出回らないため、オフィシャルリリースに回す樽をシーズニングシェリー樽にシフトしたことが背景に考えられるわけですが、本リリースのシェリー感は”玉”に該当するモノであり、愛好家からすれば90年代でこの味はありえない、と思えたことを実現しているのです。

リリースされたカスクは、グレンモーレンジのビル・ラムズデン博士が、試験的に熟成していた3樽のうちの1つ。
・リフィルアメリカンオーク樽で6年
・2ndフィルオロロソシェリーバットで16年
という熟成スペックが紹介されていますが、どちらもセカンドフィルでありながら、まるで1st fillの樽で熟成したかのような濃厚さです。
余程スペシャルな樽で熟成したかのように感じますが、一体どんな素性なのか。。。ここからはラムズデン博士がなにを実験しようとしたのか含め、考察したいと思います。


歴史を紐解くと、1998年は、アードベッグ蒸留所がグレンモーレンジに買収され、再稼働した次の年。有名なリリースでは、ベリーヤングからルネッサンスまで続く、10年リリースへの旅に使われる原酒が仕込まれた年です。
ですがこの時点では、今回の原酒は明確な意図を持って樽詰めされた訳ではなかったと考えます。

2015年、アードベッグの200周年リリースが行われた年。ウイスキーマガジンのインタビューでラムズデン博士は樽の質の低下に触れると共に、「この10年間、アードベッグで様々な実験をしてきた。実験をした樽のいくつかはキープしてある」という話をしています。
今回の樽がその一つとするなら、実験の意図は最初の6年でなく、後の16年間にあったと考えられるのです。

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(アードベッグ・ベリーヤング〜ルネッサンスのシリーズ。1998年蒸留は近年と思えるが、評価されているビンテージでもある。)

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(アードベッグ・ウーガダール初期ボトル。箱裏にビンテージ表記あり。パワフルな中にシェリー樽のコクと甘みのある美味しいリリースだった。今回のシェリー樽はこうしたリリースの払い出し後か、それとも。。。)

では、この16年間の熟成に使ったリフィルオロロソバットは何者か。。。丁度2003年から、アードベッグはウーガダールをリリース。初期のそれは1975,1976年のシェリーカスク原酒を使ったとされており、または当時多くリリースされたシングルカスクか、そうした空きシェリー樽のどれかが使われたと考えるのが一つ。
また、リフィルのアメリカンオークシェリー樽で1st fillかのような色合いは考えにくく、その濃厚なエキスとダークフルーツ系の香味から、使われたのはスパニッシュオーク樽なのではないかとも予想しています。

すると実験は、シェリー樽に関するものだったのではと。そもそも「シェリーバットで長期熟成すると風味がダメになる」「アードベッグはフィニッシュに向かない」というラムズデン博士のコメントが、先のインタビュー記事に見られる中で、この樽はフィニッシュで、それも16年という比較的長い後熟を経ています。
例えば一度熟成に使ってアク抜きされたスパニッシュオークの良い部分、好ましいシェリー系のニュアンスを熟成を経て取り出そうとする実験なら、これは狙いとして成程と思えます。
(実際、グレンモーレンジですが、15年のリリースで1年間だけ新樽フィニッシュをして、明らかに後の原酒のためのアク抜き的なことをした例もあります。※以下ボトル)

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一方でもう一つ興味深いのが、リリース本数500本から逆算すると、最初の6年間の熟成で使われたリフィルアメリカンオーク樽も、500リットルないし、それくらいのサイズだったと考えられることです。
※バーボン樽をニコイチ、サンコイチしたとかでなければですが。

ベースとなった原酒は1998年の樽詰めなので、アードベッグ1975等でのリリースに使われたシェリー樽のリフィルを、アメリカンオーク樽として使っているのではないか。。。とか。
あるいは文字通りバットサイズの新樽を一度使った後に詰めたか、希望的観測も込みで前者かなと思いますが(そうだとすれば、実現した味わいのイメージとの繋がりもあって面白い)、こうして家系図のように歴代リリースを紐解いていくのも、あれこれ考えられて楽しいです。それも全ては上質な原酒であるからこそ、踏み込みたいと思えるんですよね。
結論?すいません、実際の狙いは結局推測の域を出ませんが、実験は成功で間違いないかと思います(笑)。←本記事末尾に公式情報を追記(3/23)

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昨今、原酒の枯渇から良質なリリースは限られた市場にしか出回らなくなり、特に日本に入らないことも多くなりました。
一方、こうしたリリースを楽しめるのはごく一部の愛好家だけ、市場に入っても飲めないという声があるのも事実です。
実際今回のリリースもかなり高額です。ですが、関係者が暴利で売ってるわけではないので、交渉してどうなるわけでもありません。そして手を出さなければ他の国に買われて消えていく。。。

ないものはどうやっても飲めませんが、あれば可能性はゼロじゃない。繋がりが作られてるということが、次の機会にも繋がります。
不可能とされていたリリースの実現、文句なしの中身。その機会を作って頂いた有志の皆様に感謝し、本日の記事の結びとします。
今後のリリースも楽しみにしております!


※後日談(3月23日追記)※
ウイスキー仲間から、本ボトル外箱の内側に経緯らしいことが書いてある。として連絡を頂きました。
実はこのサンプルを頂いた際、一緒に共有頂いたのはトップの表ラベル写真で、それ以外はWEBでも見あたらなかったので見てなかったんです(汗)。カッコいい外箱があるなぁくらいにしか思っておらず。
頂いた画像から恐る恐る読んでみましたが・・・結論からすれば、上記の記載、狙いは概ね間違っておらず、実験について書かれていないことを考察しているような内容になっていた、という感じです。
いやぁ、奇跡的ですね。ブラインドで正解した時とは違う、安堵感のようなものがあります(笑)。
気になる方は以下に転記しておきますので、ご参照ください。

【UNIQUE CASK HISTORY】
The Spirit was distilled on Wednesday, 28th January 1998, during the watch of Stuart Thomson, Ardgeg’s devoted Distillery Manager. Then, in American oak refill casks the whisky began to quietly mature. Six years on, Dr Bill was intent on creating single malt worthy of Ardbeg Uigeadail, a much loved dram with old, sherry-aged stock at its heart. And so he transferred an experimental batch of this whisky into second-fill oloroso sherry casks he had selected personally. Over the next 16 years, one cask gained a particular fruitiness and an intensely medicinal note. Set aside by Dr Bill to celebrate its singular character, Cask no.0050 deserves to be enjoyed in its own right.

キルホーマン 100%アイラ 1stリリース 50%

カテゴリ:
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KILCHOMAN 
THE INAUGURAL 100% ISLAY 
LIMITED EDITION RELEASE 
Aged 3 years 
Release 2011 
Phenol 50 ppm 
Cask type Fresh & Refill Bourbon Barrel 
700ml 50% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★(5ー6)

香り:シャープで焦げた木材や土っぽさの混じるピート香。乾燥した麦芽、レモンピール、微かにオーキーだが垢抜けない。奥には若い原酒由来のニューポッティーさと、溶剤っぽい要素も感じられる。

味:オイリーでやや酸味を伴う燻した麦芽。フルーティーさではなく、焦げたようなピート、根菜系のフレーバーが支配的で塩気と共に口内に広がる。余韻はビターでスモーキー、焦げたゴムのような異物感が微かにあるなかで、若い原酒の酸味を含み長く続く。

田舎っぽいというか、洗練されていないというか、香味とも粗削りなピートフレーバーが支配的で、若い麦芽風味と淡い樽香がそれを支えている。現時点でも悪くはないが、将来性を見る以外の過度な期待は禁物。
香味は厚みはあるがやや単調で、加水すると樽の要素が薄まるためか、原酒のバラツキが目立ってしまう。ストレートの後はキンと冷やしてハイボール等でも。

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ご無沙汰しております。先日22日に信濃屋さんから発売した、キルホーマン100%アイラ for TGM。既に多くの愛好家から「美味しい」というコメント、メッセージをいただいており、個人的にもうそれだけで嬉しさ爆発なところ。合わせて、SNS等ではキルホーマンのリリースそのものに注目が集まる動きも見えて、自分達のリリースがその一端を担っているとしたら、これほど素晴らしいことはないと感じている次第です。

今回の販売は、前回のサードリリース以上に瞬殺だったと聞いています。
グレンマッスルというウイスキーが愛好家のなかに浸透してきたようで、これも嬉しいことでありますが、比例して購入できない方が増えるジレンマもあります。本体のレビュー記事のほうに"飲めるBARリスト"を作成しましたので、興味ある方は最寄りのBARでも楽しんで貰えたら幸いです。

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さて、本題というか今回のレビューは100%アイラ繋がりで懐かしい1本。キルホーマン100%アイラシリーズの1stリリースです。
キルホーマン蒸留所の設立が2005年。100%アイラの仕込みが始まったのはいつ頃からかは正確にはわかりませんが、過去リリースのスペックや蒸留所の歴史を見るに(2006年のモルティング設備火災被害からの再建という流れから)2007年あたりでしょうか。スコッチウイスキーの規定を満たす3年熟成の1stリリースが2011年となったことからも、その辺りと予想しています。

100%アイラの1stリリースは、シングルカスク仕様と複数バッティング仕様の2種類があり、今回のレビューアイテムは後者のほうです。
麦芽の生産から、精麦、蒸留、熟成、瓶詰のすべての行程をアイラ島で行った、100%アイラの原点とも言えるリリースで、今年はちょうどキルホーマン100%アイラの10作目がリリースされる年でもありますし、グレンマッスル4もあります。
ボトルそのものはリリース当時にBAR等で飲んではいますが、当時の味を復習しておこうと抜栓しました。

キルホーマンのみならず、新しい蒸留所の原酒は設備の慣れや調整等から、数年かけて安定していく印象があります。
100%アイラらしいねっとりとした麦芽風味に、土っぽさに根菜感、若いラガヴーリンとアードベッグを足して2で割ったような系統の味わい。熟成を経ていくことで、バーボン樽由来のフルーティーさが馴染んでいくような成長曲線もイメージ出来ますが、現時点では加水&複数樽バッティングでも隠せない、ピートと酒質由来の粗さ、全体的なあか抜けなさ。そう言えば最近美味しくなったと感じるマキヤーベイも、2012年のリリース当初はこんな感じの特徴が目立っていたと記憶しています。
この辺は当時と近年との原酒の仕込み方に違いがあるのか、例えばより短熟で仕上がるよう雑味の少ない酒質になるような調整をしているとか、結果同じ短熟でも近年の方が良くなってると思います。

一方、100%アイラ1stリリースの疑問が、裏ラベルにフェノール値が50PPMと書かれている点です。
香味は短熟&リフィル系の樽構成もあってか、ピートフレーバーが支配的で、50PPMという説明を見ても違和感はなかったのですが、よくよく考えると、キルホーマンが使う麦芽は、50PPMのものがポートエレン精麦工場の仕込みで、20PPMのものが蒸留所でのモルティングによる仕込みとされており、100%アイラは後者のはず・・・。

初期の100%アイラの仕込みは50PPM統一だったとするなら話は単純ですが、昨年リリースされた9thエディションに使われた2007年仕込みの100%アイラ原酒は20PPMでしたし、2008年仕込みの原酒にも20PPMのものが同様に確認できます。
ファーストリリースは3年熟成で若いので、ピートを強く焚いて未熟さをごまかそうとした?それにしては、2ndリリースが同じような熟成年数であるにも関わらず20ppmです。
海外サイトを見ても、1st Releaseのピートレベルに言及したものが見当たらないのもネックで、まさかの誤表記?でもそれにしてはピートが強いような・・・うーん。
なんだかはっきりしないままですが、まあ50PPMタイプがあれば15年、20年と長期熟成した先の姿が楽しみだなんてお茶を濁して記事をまとめます(汗)。

キルホーマン 100%アイラ 8年 forチームグレンマッスル 55.9% ※BARリスト追記

カテゴリ:
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KILCHOMAN
100% ISLAY MALT
SINGLE CASK RELEASE
For TEAM GLEN MUSCLE
Aged 8 years
Distilled 2012
Bottled 2020
Phenol 20 PPM
Cask type Fresh Bourbon Barrel #29
700ml 55.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:自宅
評価:★★★★★★(6-7)

香り:ややドライで硬質感のある香り立ち。燻した麦芽のスモーキーさと、グレープフルーツやレモンピールを思わせる爽やかな柑橘香、ジンジャーエールを思わせる甘さ、仄かに消毒薬。注ぎたてはスパイシーな刺激もあるが、時間経過でやわらぎオーキーなニュアンスがその分開く。

味:粘性と塩気を伴う厚みのあるほろ苦い麦芽風味。それに馴染んで広がるピートフレーバーと、熟したパイナップルやグループフルーツを思わせる甘酸っぱさ。余韻にかけてはバーボンオークの甘味、モルトの香ばしさとジンジャーの刺激、ピートスモークが強くはないが微かな焦げ感を伴って長く持続する。

麦由来の旨みとも言えるフレーバーが強い、まさにローカルバーレイという1本。粘性と厚みのある風味は、さながらエールビールを思わせる質感にも通じている。
開封直後や注ぎたては香りで硬さを感じるが、グラスの中で比較的早く変化して開いていくだけでなく、麦芽風味にバーボン樽由来のフレーバーとピートが混じり、熟成を経て一体となった味わいも楽しめる。少量加水すると序盤の硬さが穏やかになり、黄色系のフルーティーさを感じられる、短熟ながら旨いモルトである。ストレート以外ではハイボールがオススメ、麦芽風味に程よいピートが感じられる。

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先日予告していました、自分が関わらせてもらっているオリジナルウイスキーブランド”GLEN MUSCLE(グレンマッスル)”シリーズに、初のシングルモルトが登場します。位置づけはキルホーマン100%ISLAY シングルカスクのプライベートボトルで、カスク選定からメンバーで関わらせていただきました。

今回のボトリングに協力いただいたのは、インポーターのWhisk-eさん。我々の想いを汲んで、蒸留所から素晴らしい原酒を調達してくれました。
ボトリングは247本。うち一部がWhisk-eさんの保有分となり、信濃屋さん経由で一般販売も行われる予定です※。販売開始は店頭・WEBとも6月22日(月)、WEBは12時からオープンで、価格は税込み12100円とのことです。 詳細は以下の信濃屋WEBショップをご確認ください。
※完売いたしました、お買い求め下さった皆様、ありがとうございました。こちらで把握しているBAR等の入荷情報は、記事の最下部を参照ください(2020年6月25日追記)

※ボトルの販売はWhisky-eと信濃屋食品が行うもので、我々チームメンバーが販売による利益を得ることはありません。またリリースにあたっての協力料、監修料等の類も一切受け取るものではありません。チームメンバーが所有するボトルは、必要本数を各自が購入したものになります。

既に前置きの必要もないと思いますが、グレンマッスルは、ウイスキー好きが笑顔で楽しんで貰えるような”味わい”や”エピソード”、中でもちょっと尖った魅力のあるウイスキーを、蒸留所やメーカー協力のもとで国産・輸入原酒を問わず活用して作り上げる、愛好家による愛好家のためのウイスキーです。
プロ、アマを問わずウイスキー愛好家で結成された”チーム・グレンマッスル”が、ウイスキーメーカーにユーザーの求める味わい等の情報を提供し、言わば新商品のリリース企画を監修するもので、これまでグレンマッスルとしてブレンデッドウイスキー3作がリリースされてきました。

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(グレンマッスルNo,1は福島県南酒販・笹の川酒造、No,2は長濱蒸留所、No,3は若鶴酒造・三郎丸蒸留所と協力してリリースされた。またNo,3は構成原酒として2.5年熟成の三郎丸シングルカスクも同時にリリースされている。リリースの一覧とレビューはこちら。)

グレンマッスルのコンセプトは先に述べた通りで、過去の3作では、求める味わいをブレンドを経て”作り出す”ことに重きを置いていました。
一方、今回のリリースはシングルカスクです。作るのではなく、明確なテーマを定め、”選び出す”ことがポイントになります。

そのテーマのベースとなるのが、キルホーマンから1年に1度リリースされているシングルモルト、100%アイラシリーズです。
2011年の1st Relaseから今年で10作目となる同シリーズは、リリースを重ねる毎に熟成した原酒が使われるようになって、厚みのある麦芽風味とそれに馴染んだピート香、アイラのローカルバーレイとして年々愛好家の人気も増してきています。
特に昨年の9thは好評で、美味しいという情報が広まると日本市場割り当て分が即完売し、海外から取り寄せる人まで居たほどです。 

ただ、このシリーズは毎年樽構成が異なっており、リリースによっては好ましい要素とそうでない要素が混在している部分があります。
そのなかで愛好家が求める要素に繋がっていると思われるのが、バーボン樽で一定以上(最低でも7~8年)熟成を経た、フルーティーなタイプの原酒です。ただし、2019年時点でそうした100%アイラのシングルカスクは、日本市場向けにはリリースされていませんでした。
ならばそれを実現出来ないか・・・。今回のグレンマッスルでは、キルホーマン100%アイラシリーズにおいて、特に7th~9thリリースに感じられた”魅力的な要素”の素となっている原酒を、選定の際のテーマとしました。

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(ボトリングテーマについてのミーティング風景。照明は暗いが、真剣に想いと筋肉をぶつけ合った場であり、決して悪い相談ではない(笑))

企画が動いたのは昨年秋。今回スペシャルトレーナーとしてジョイント頂いた、Whisk-eの誇るリアルマッソー市川さんにブランドコンセプトを説明し、キルホーマンからカスクサンプルが届いたのが年の瀬のこと。
聞くところでは、通常より少量生産となる100%アイラは、蒸留所側がなかなかサンプルを出してくれないのだそうですが、今回は運良く複数のサンプルを調達してもらうことができました。

原酒の仕様は蒸留日以外同じものでしたが、飲んでみるとそれぞれに明確な違いがあり、小規模蒸留所故の仕込みの手作業や、少量生産から生じる個体差が大きいように感じられました。
ピーティーでフルーティーなタイプだけではなく、樽由来の粘性、オークフレーバーが強いタイプや、中には焦げたゴムを思わせる個人的にネガティブなフレーバーを強く持つ原酒もあり・・・ そして満場一致で選ばれた原酒が、今回のCask No, 29です。
マッスルで29(肉)なんで、番号で決め打ちしたように見えるかもしれませんが、実際にサンプルの中で我々が求めていた味わいに合致していたのがこのカスク。なんだか不思議な縁を感じてしまいます。

その味わいは、まさにローカルバーレイという麦感の強い構成を主とし、黄色系のフルーティーさや、麦芽風味に馴染んだピートフレーバーが副次的に備わった、通好みな構成です。(100%アイラの仕込みに用いられるフロアモルティングは、麦芽の乾燥具合の不均一さが味わいの幅に広がるだけでなく、時間をかけて乾燥させるため麦芽にピート香が深く馴染むのではないかと予想。)
サンプル時点ではフルーティーさを強く感じましたが、ボトリングしてみると麦芽風味が強く厚くなっており、系統としては熟成したラガやカリラに近い印象。若さに由来してか香味に硬さが多少ありますが、グラスのなかでの開きは早く、開封後の変化にも期待できると感じています。

何より、これまでの100%アイラに感じられた好ましい部分との共通点が明確にあり、それがカスクストレングス故に力強く(いささか暑苦しく)広がっていく。。。手前味噌ですが、グレンマッスルという名前的にも、カスク選定の際のテーマとしても、合致したリリースなのではないかと思います。

レビューの評価としては、★6から開いて7を伺うクラスで、厳しめに見ても現時点で昨年の100%アイラ9thと同等レベルのクオリティがあるとし、同じ評価とします。
しかし熟成8年でこれだけの完成度ってのがすごいですね。過去のリリースとの比較で、この原酒が突然変異で生まれたわけではなく、今後もリリースされていくと考えられるのも特筆すべきところ。熟成感でいえば、アイラの他の蒸留所に比べ5年は成長が早い印象があり、更なる成長を遂げるであろう今後が楽しみでなりません。
我々チームメンバーが惚れた成長株。次世代アイラモルトのエース候補となれる逸材の現在地としても、本リリースを楽しんで貰えたら幸いです。


※ご参考:キルホーマン for チームグレンマッスルが飲めるお店一覧(6月30日追記)
BAR BOTA (北海道小樽)
Bar Fishborn (北海道帯広)
バル ハルヤ (北海道菊水)
Malt Bar Kirkwall (北海道すすきの)
BAR 無路良 (北海道すすきの)
洋食屋さん りもーね (岩手県滝沢市)
BAR Harry's高岡 (富山県高岡市)
テキーラ道場 (千葉県千葉市)
旬味 菜野 (東京都北千住)
BAR HONESTY(東京都北千住)
BAR GROOVY(東京都神田)
BAR 官兵衛(東京都神田)
Bar&Sidreria Eclipse first (東京都神田)
BAR Hexagone (東京都銀座)
BAR CAPERDONICH(東京都新橋)
BAR CAMPBELLTOUN LOCH (東京都有楽町)
BAR Algernon Sinfonia(東京都赤坂見附)
BAR レモンハート(東京都大泉学園)
J's BAR (東京都池袋)
ワイン&ビストロ シュエットルージュ (東京都池袋)
BAR もるとや(東京都池袋)
カフェバーJam Lounge(東京都高田馬場)
BAR 新宿ウイスキーサロン (東京都新宿)
BAR LIVET (東京都新宿)
ハイランダーインTokyo 人形町(東京都人形町)
BAR Shu-shu(東京都葛西)
BAR GOSSE(東京都目黒)
酒処 石場 (東京都祖師谷)
Highlander Inn Tokyo (東京都中野坂上)
BAR 私(東京都高円寺)
からだに優しいごはんとSAKE◎醁醽 RokuRei(東京都西荻北)
BAR BLACKHEART(東京都国分寺)
Bar Sandrie (東京都立川)
BAR Shanty Shack(神奈川県横浜市西区)
&BAR Old⇔Craf(神奈川県関内)
BAR ICHINANA(長野県伊那市)
BAR QuanZ(愛知県刈谷市)
マリオットアソシアホテル メインバー(愛知県名古屋市中村区)
BAR よっち(愛知県名古屋市中区)
BAR BARNS(愛知県名古屋市中区)
BAR Rubin's-vaseルビンズベース (愛知県名古屋市栄)
BAR 100 (愛知県名古屋市中区大須)
BAR TANKS (京都府京都市上京区)
BAR Silver moon(京都府京都市伏見区)
BAR kaguya(京都府宇治市)
京都洋酒研究所(京都府京都市北区)※
ANNIE HALL BAR (京都府京都市下京区)
BAR Minmore House(大阪府大阪市北区)
BAR パラディ(大阪府大阪市北区)
BAR SIMON(大阪府大阪市中央区)
BAR Rosebank(大阪府大阪市港区)
The nineteenth bar(兵庫県神戸市三宮)
あじどころはる(兵庫県神戸市長田区)
憩処 ありがとう(岡山県笠岡市)
DAINIG BAR MALFISH(岡山県笠岡市)
BAR Shamrock(香川県高松市)
BAR HIGUCHI(福岡県中洲)
BAR kitchen(福岡県舞鶴)
BAR poco rit(沖縄県那覇市)近日オープン予定

※京都洋酒研究所様からは、近日中にTHE SHARE BARを通じてテイスティングサンプルの販売も行われる予定です。 

この他、購入いただいたお店に関する情報がありましたら、コメントまたはメッセージにてお伝えいただけますと幸いです。
なお、6月下旬現在、お店によっては他商品とタイミングを合わせて入荷する等から、一部ボトルが届いていないお店もあるようです。
もし本リリースを目的としていただく場合は、事前にお店側がSNS等で発信されている入荷情報を確認を頂ければと存じます。

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キルホーマン 6年 2009-2015 for サロン・ド・シマジ向け 59.9%

カテゴリ:
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KILCHOMAN 
SINGLE CASK RELEASE 
For Salon de SHIMAJI 
Aged 6 years 
Distilled 2009 
Bottled 2015 
Cask type Oloroso Sherry Butt #407 
700ml 59.9% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後2年程度
場所:自宅 
評価:★★★★★(5ー6)

香り:微かにサルファリーなニュアンスがあるが、それ以上にヨード香と磯っぽい香り、燻した麦芽や焦げた木材、ピートスモークのアクセントが強い刺激と共に薫る。

味:パワフルでピーティー。オイリーな質感のある麦芽風味から、後半にかけて口内を刺激するアルコールの高さ、ひりつくような飲み口。
余韻は強いピートフレーバーに、微かにチョコレートの甘さ、塩気を伴って長く続く。

粗さの残る口当たりだが、カリラとラガヴーリンを足して2で割ったような、王道系アイラモルト。
開封直後はシェリー感は淡いのにサルファリーなニュアンスが目立つ、なんとも評価に困るモルトだったが、時間経過で硫黄要素が抜けて、麦とピートにヨード、樽由来のコクのある甘味、ヤングアイラとしてなかなか楽しめる1本に変化してきた。
加水すると香りで硫黄要素が目立つが、味にはシェリー樽由来の甘味もあり、バランスは悪くない。なにより、葉巻との相性は光るものがあり、選定者の意図が伝わってくる。

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テレワークで家から出ていないこともあり、曜日感覚、日付感覚が欠如し、月末だったという認識がなく・・・思いっきり「リカル」の締め切りを失念していました(汗)。
自分は原稿を長々書いてしまうので、字数制限の関係上紙媒体向けとWEB向けでそれぞれ1本ずつ書くことから、平日夜の時間はリカルに集中。そして週末は子供に集中。というわけでブログがご無沙汰になりました。

今日のレビューは、来月6月にリリースされる、自分関連のボトルとかけ、キルホーマンのストックから。
4年前、信濃屋さんからリリースされた、サロンドシマジ&PEN向けのキルホーマン・シングルカスクリリース。この時期はポンド/円の相場が1ポンド190円と日本側に厳しく、中身も若い熟成年数故にシェリー感が淡く、バチバチと粗さの残る口当たりにサルファリーなニュアンスが目立ってしまう。。。
1本購入していたのですが、香味的にも価格的にもちょっと扱い辛いリリースという印象でした。

シェリー感は淡いのに硫黄が目立ったのは、硫黄感とシェリー酒由来の要素が樽材の表層にあるのに対し、その内側にある樽材由来のエキスでは、熟成の影響が時間差になるためと考えられます。表層部分から先に溶け込んでいくので、熟成の若いウイスキーは樽感がそこまで強くないのに、硫黄要素が目立つ結果になったのではと。
ただ、開封直後から葉巻との相性は良く、選び手の好みが反映されているボトルでもありました。完全禁煙な家飲みでは使い辛いけどBARでなら…と、今は無き池袋の某BARで葉巻を持ち込んで楽しんでいたのを覚えています。

また、硫黄系の要素は開封後の時間経過で抜けていく部分があり、若さ由来の粗さ、刺激も多少角が取れていきます。今回久々に飲んでみて、この硫黄要素が抜けつつあり、ベースにあるアイラモルトとしてピート、ヨード、塩気、それらを含む麦芽風味という、まるでラガヴーリンとカリラを足して2で割ったような好ましい変化が見られました。
度数の強さもあってがばがば飲むボトルではないので、今後じっくりと成長を見ていくことが出来そうです。

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さて、続いては個人的には今日の本題というか、冒頭触れた自分絡みのリリースであるキルホーマンです。
先日の記事でも紹介させてもらったチームグレンマッスルからのプライベートリリースが、無事に日本に到着したとのことで、銘柄もオープンにしたいと思います。(もともと隠すレベルのものでもありませんがw)
今回はキルホーマン蒸留所から希少な1樽、100%アイラのバーボン樽熟成をボトリングすることが出来ました。

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  KILCHOMAN
100% ISLAY MALT
SINGLE CASK RELEASE
For TEAM GLEN MUSCLE
Aged 8 years
Distilled 2012
Bottled 2020
Phenol 20 PPM 
Cask type Fresh Bourbon Barrel #29
700ml 55.1%


企画が動いたのは昨年末。
近年のキルホーマン100%アイラのリリース7th~9thに大きな可能性を感じ、その構成原酒と同じスペックである、バーボン樽のシングルカスクで7~10年熟成のものを日本市場にリリース出来ないかと、Whisky-eさんを通じてキルホーマン蒸留所に働きかけていただいたところ。我々の熱い想いに共感頂けたのか、複数のカスクサンプル(すべてバーボン樽で100%アイラモルト仕様)が届き、その中から選んだのが今回の1樽となります。

キルホーマンの100%アイラは、通常のリリースに比べて生産量が少なく、まとまった熟成年数のものがなかなか市場に出回らないそうです。
サンプル段階では、バーボン樽&100%アイラキルホーマンという組み合わせから想定される、らしいフルーティーさと厚みのある麦芽風味、さらにカスクナンバー29(肉)というマッスル的めぐり合わせ。何より求めていたスペックのオフィシャルボトルに個人名まで入るという、普通は考えられないことまで実現させてもらいました。
いやーもう感無量ですね。
コロナウイルスの影響で混乱があったのか、ちょっとイレギュラーもありましたが、何とか日本に届いてくれました。

今回のリリースはチームグレンマッスル向けのプライベートボトルになりますが、メンバーの立ち位置はこれまで同様、本リリースへの協力で一般的に言うところの監修となります。
勿論、リリースを通じて我々が監修料や売り上げ等の利益を得ることはありません。
リリースにあたってはメンバー並びに関係者の購入分を差し引いた後、Whisky-eさんから酒販店を経由して一般販売となる予定です。(一般販売は6月22日から、税込み12000円前後予定)
ボトルは6月2週目あたりでメンバーの手元に届く予定なので、まず先行でレビューさせてもらいます。購入を検討されている方は参考にして頂けたら幸いです。

ボウモア 14年 1997-2011 セレブレーションカスク for 信濃屋 60% #80028 

カテゴリ:
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BOWMORE 
CELEBRATION OF THE CASK 
For SHINANOYA 
Aged 14 years 
Distilled 1997 
Bottled 2011 
Cask type Hogshead #80028 
700ml 60%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後2年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:ハイプルーフ故に鼻腔を刺激する強さと、バニラなどの樽由来の甘さ、微かに薪の灰。シトラスやグレープフルーツを思わせるニュアンスを含んだピート香。磯っぽさと魚介粉末のようなアイラ要素の奥には、古典的な麦芽風味に通じるアロマも潜んでいる。

味:ハイプルーフらしく強い口当たり、塩気を伴うオイリーさ、燻した麦芽のほろ苦さとピートフレーバー。ヨードや魚介系のニュアンスを強く感じる含み香が続くが、グレープルーツ系の果実感、仄かにトロピカルなフレーバーもあり、ボウモアらしさに通じるアクセントになっている。
余韻はスパイシーでピーティー。口内がひりつようなフィニッシュだが、フルーティーさの残滓がピートフレーバーと合わさって長く続く。

香味の傾向としては、アメリカンオーク系フレーバーにボウモアの組み合わせという、ブラインドで最も正解率が高いだろうアイラモルト王道的な組み合わせの1つ。中身はやや粗さの残るボウモアだったが、経年変化(瓶熟)によってか多少丸くなっており、それによって奥に押し込まれていたベース部分の酒質由来の麦芽風味、オイリーな質感を伴うアイラフルーツとピートフレーバーが感じやすくなっている。加水も少量までならさらに香りの開きがある。グラスで時間を置いた際もいい変化が見られたので、まだ時間を置いても良いかもしれない。その時まで残っていればだが・・・。

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GWはステイホームということで、自宅で微妙な量を残したままになっているボトルや、頂いたテイスティングサンプルを楽しませてもらいました。
今回のボトルは、その飲み残しボトル1本。信濃屋向け・セレブレーションカスクのボウモア1997。最近めっきり見なくなった90年代ボウモアですが、これは当時飲み進まなかった1本。それがレビューの通り、瓶熟を経て結構良くなっていたのです。

発売当時はキャンベルタウンロッホの1993を筆頭に、1990年代蒸留ボウモアが注目された時期。脱パフューム、60年代への回帰、まあとにかく様々なリリースがありましたね。この信濃屋向けは、イベントあたりでサンプルを飲んで、これ結構良いじゃんと購入したボトルだったのですが・・・。開封直後の印象は、アルコール感が強く、ドライで果実味よりも塩気やピートフレーバーのほうが強く出ている印象。なんというか旨みが薄く感じられてあまり飲み進まなく、当時はハイボールで消費しきったと記憶しています。60%あったので、凶悪に酔えたんですよねぇ、これ(笑)。

97、98、99と、90年代後半あたりのボウモアは、90年代初頭から中頃に比べて味の幅というか、ボディが薄いものが増えていくので、樽次第でフルーティーなフレーバーが際立つ反面、それを外したボトルも散見されるのが、特に1997年のボウモアの特徴でもあります。
今回のボトルはホグスヘッドで14年熟成。王道系の味わいですが、使われていたのがバーボンバレルか、あるいはもう3~4年熟成していたなら、開封直後からわかりやすくフルーティーで美味しいボトルだったのではと思います。少なくともリリース当時は、樽感に対して、度数の強さが勝ってしまっていたのです。

このボトル、諸事情により2本あって、残っていた1本を1年半くらい前に開栓。開封直後の印象は当時とあまり変わらず。。。しかし約8年の瓶熟(うち、約2年弱の開封後放置)が変化を与えており、久々に飲んでみると先に触れた若さ、強かったアルコール感、ドライさが収まり、その奥にあったコク、魚介系のニュアンス、古典的なボウモアのフルーティーさに通じる要素が開いてきていました。そういえば試飲して感じた印象ってこんな感じだったなと。記憶はあいまいですが・・・。

おそらく、試飲の時は、飲んだのがカスクサンプルだったか、イベントでの輸送や環境によって結果的にこなれたような感じになっていたのでしょう。回り道はあったが、その状態に時間をかけてたどり着いた。度数の高さ故に経年変化を許容出来たことも、今のボトルの状態に繋がっていると思います。
先日、Wu Dram Clan向けハイランドパークのコメントで、瓶熟に関する質問を受けたばかりでしたが、思いがけずその事例を楽しむことが出来ました。

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