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龍流 ブレンデッドジャパニーズウイスキー 43% 桜尾蒸留所✖️BAR お酒の美術館

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THE RYURYU 
BLENDED JAPANESE WHISKY 
“SAKURAO DISTILLERY” 
For BAR LIQUOR MUSEUM
700ml 43%

評価:-(飲んで評価いただければ幸いです)

香り:ややドライでエステリー、華やかさとスモーキーなトップノート。ドライアップルや柑橘に土や焦げた藁を思わせるピート香が混じる、微かにスパイシーで複雑なアロマ。時間経過でアップルタルト。

味:スムーズで柔らかい口当たり。ピーティーで砂糖をまぶしたグレープフルーツや燻した麦芽の甘さとほろ苦さ。余韻にかけてはバーボンオークの華やかさとナッツやシリアルを思わせる香ばしさ、後からウッディな苦味がピートスモークとともに感じられる。

桜尾蒸留所のモルト原酒とグレーン原酒だけで構成したブレンデッドウイスキー。その香味はピーティーかつエステリー。ミズナラ樽とバーボン樽に由来する清涼感あるウッディネスに、グレーンの緩やかな甘さ、香味ともドライ寄りの構成であるためオールシーズンで楽しめる構成。ストレートやロックでも充分楽しめるが、やはりおすすめはハイボール。スモーキーでいて飲みやすく、その中に桜尾蒸留所の個性がしっかりと感じられる。

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BAR お酒の美術館を展開するNBG社と、広島県の桜尾蒸留所を操業するサクラオブルワリーアンドディスティラリー社(以下、サクラオ)とのコラボリリースです。
桜尾蒸留所の3年熟成以上のモルト・グレーン原酒でブレンドした、ブレンデッドジャパニーズウイスキー。また単一蒸留所で両原酒を製造し、ブレンデッドウイスキーとして製品化しているのは国内では富士御殿場、桜尾のみであり、世界的にも非常に珍しいシングルブレンデッドウイスキーでもあります。(※嘉之助蒸溜所の日置グレーンは別蒸留所として整理)

お酒の美術館のコラボリリースでは、過去リリースされてきた第一弾の発刻、祥瑞、第二弾の琥月、姫兎、全リリースで、蒸留所との初期調整から原酒の選定やブレンドまでを担当させてもらっており、今回のコラボリリース第3弾も同様に協力させて頂きました。
今作に関するリリースの経緯等、概要はNBG社のプレスリリースにまとめられているため、本記事ではブレンダー視点でウイスキーを紹介していきます。
なお、これまで同様にリリースに当たっての報酬、ロイヤリティ等は頂いておりません。



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桜尾蒸留所の操業者であるサクラオ社(旧・中国醸造)は、歴史こそ100年を超えますが、現在の設備における創業はモルトウイスキーが2017年、グレーンウイスキーが2019年と比較的近年であり、それ以前は自社蒸留の原酒以外に輸入原酒を熟成、ブレンドしたものを主力商品としてリリースしてきました。
大きな転換点を迎えたのが2023年。スタンダードなリリースであるブレンデッドウイスキー戸河内を、100%自社蒸留&熟成のモルト原酒とグレーン原酒で造る、ブレンデッドジャパニーズウイスキーへリニューアルするという、クラフトメーカーとしては異例の挑戦を実現させたのです。

今回のPBは、このブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内”プレミアム”の兄弟銘柄、より厳選した原酒を用いたスペシャル版に当たります
構成原酒はモルトウイスキーがノンピートとピーテッド、グレーンは国産の丸麦を100%使用した桜尾蒸留所独自のもの。整理すると、原酒としては以下が使われており、熟成樽はバーボンとミズナラで、モルト比率のほうが高い構成(モルト6:グレーン4)となっています。

【ブレンデッドジャパニーズウイスキー龍流構成原酒】
・桜尾ピーテッドモルト(桜尾熟成:バーボン樽)
・桜尾ノンピートモルト(桜尾熟成:バーボン樽)
・桜尾ノンピートモルト(桜尾熟成:ミズナラ樽)
・桜尾ノンピートモルト(戸河内熟成:バーボン樽)
・桜尾グレーン(桜尾熟成:バーボン樽)
※全ての原酒が3年熟成以上

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(桜尾蒸留所のポットスチル。コラムスチルも併設されており、様々なタイプの原酒を生み出すことが出来る。)

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(桜尾蒸留所の熟成庫。温暖な環境で、力強い個性を持つ原酒に仕上がる傾向がある。奥にパラタイズ式で貯蔵されているのがグレーン原酒。)

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(廃線となった鉄道用トンネルを再利用している戸河内熟成庫。冷涼かつ多湿な環境が特徴であり、樽感は穏やかだが口当たりが柔らかく、エステリーな原酒に仕上がる傾向がある。)

ボトルは戸河内と共通のため、単に戸河内の詰替えなのではないか、ラベル替えではないかという声も見聞きしましたが、そんなことはありません。
龍流の味わいを構成原酒別に分解すると、ピーテッドモルト原酒のはっきりとしたスモーキーフレーバーに、バーボン樽原酒由来の華やかさが骨格を形成。そこにグレーン原酒が柔らかさと、ふくらみのあるエステリーな甘さを。ミズナラ樽由来の爽やかでスパイシーなフレーバーや桜尾熟成庫と戸河内熟成庫で異なる熟成感を持つ複数の原酒が複雑さを加えています。

戸河内プレミアムと飲み比べると、戸河内プレミアムのほうがグレーン原酒のフレーバーが主体となっており、スモーキーさもほとんどないため兄と弟というか、兄と妹(あるいは姉と弟)くらい違う感じですが。どちらのブレンドも桜尾グレーン原酒に共通点があり、戸河内プレミアムを飲んだ後で龍流を飲むと、スモーキーフレーバーの中にあるグレーン原酒由来の味わいにピントが合いやすいのではないかと思います。

桜尾グレーン原酒は、国産丸麦100%に糖化酵素としての輸入麦芽1の比率で造られる、麦原料のグレーン原酒です。そのため通常のコーンベースのグレーン原酒よりもボディに厚みがあり、味わいにも勢いがある。バーボン樽との組み合わせで、現時点では富士御殿場のヘビータイプグレーンに似た印象を受けるものに仕上がっています。
2021年に発表された「ジャパニーズウイスキーの基準」以降、ボリュームゾーンのリリース向け国産グレーン原酒をどうするかは各社大きな課題となっていたところ。それをいち早く解決して商品化に繋げた桜尾蒸留所の取り組みに、ただただ感嘆させられます。今回のリリースでは、原酒の豊富さや製造・熟成環境だけでなく、同蒸留所のグレーン原酒に是非注目してほしいです。

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(ブレンデッドウイスキー龍流のブレンド風景。候補となるレシピを試作を繰り返し、絞り込んでいく。)

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(様々な構成を試し、最終的に候補となった3種のレシピ。)

PBを作るに当たり、お酒の美術館からはスモーキータイプで手軽飲めるものをと依頼されていたため、ブレンデッドジャパニーズウイスキーという仕様のままに、ピーテッド原酒をどう活かしていくかがポイントでした。
幸か不幸か、ピーテッド原酒とグレーン原酒は馴染む比率に限りがあるように感じられ、グレーンを4割より多く使うとグレーンのフレーバーが目立ちすぎてまとまらず、4割より少なくするとモルトの若さが強く出て粗い仕上がりとなる。モルトとグレーンの比率はあまり迷いませんでした。

というのも上の写真にあるサンプルAは、一番最初の試作で「こんな感じかな?」と思いついたレシピであり、最もピーティーな構成。
その後何度も試作を繰り返しましたが、個人的にはこのレシピが一番好みでしたね。ブレンダーをやらせてもらっていると、結局一番最初に思いついたレシピが一番好みだった(あるいは完成形に近かった)ということは珍しくありません。

その後も用意頂いた原酒を使って試作を繰り返し、当日印象に残ったレシピの中から、バーボン樽原酒の比率を増やしたフルーティー寄りな構成のサンプルB、ミズナラ樽原酒の比率を増やしてスパイシーかつ複雑なサンプルCが候補として残り。後日、蒸留所側で3種を試作→一定期間のマリッジ→お酒の美術館の店長会議での投票でボトリングするレシピが決まったという流れです。
何れも桜尾蒸留所の個性がしっかり感じられるものでしたが、選ばれたレシピはサンプルB。フルーティー寄りなレシピで、スモーキーさとのバランスがとれているタイプです。万人向けのイメージで造っており、ちょっと残念でしたが狙い通りの結果でもありました。

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今回の企画は、桜尾のブレンデッドジャパニーズウイスキーでPBを造れたら良いなと、ダメ元で話を持っていったところ、この条件なら…→ええ、やりましょう(社長即決)→じゃあくりりんさん、後宜しくお願いします…。という形で話がまとまり、光栄なことにブレンダーも務めさせてもらいました。
国産原酒だけのブレンドは、モルトだけなら過去何度かありますが、モルトとグレーンを用いるケースでは初めて。また一つ、貴重な経験をさせてもらいました。

リリースにあたっての条件は一個人や一店舗で出来るようなものではなく、今国内で最も勢いのあるBARチェーンお酒の美術館だからことやれたという感じですが。何より、サクラオだからこそ、この仕様、この規模のPBを造ることが出来たと感じています。
本PB「龍流」は、全国のお酒の美術館で提供されています。リリース本数は約2000本で、すぐに無くなるものではないでしょうが…次があればサンプルAのレシピをリリースしたいですね(笑)。
皆様、お酒の美術館とサクラオブルワリーアンドディスティラリーのリリースを、引き続きよろしくお願いします。

お酒の美術館 PBリリース第2弾「琥月」「姫兎」江井ヶ嶋蒸溜所とのコラボに協力

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お酒の美術館のプライベートボトルリリース第2弾、シングルモルトジャパニーズウイスキー琥月(KOGETSU)、ブレンデッドウイスキー姫兎(HIMEUSAGI)が、9月上旬から同BAR店頭にて提供されています。
2022年にリリースされたPB第一弾、発刻、祥瑞同様に、くりりんがブレンダーとして原酒選定と、製品候補となるレシピ作成で協力させていただきました。

公開されていないものも含めると、関わらせていただたウイスキーリリースは20を超え、商品開発という視点での面白さ、難しさ、通常みることが出来ない奥深い世界を経験させてもらっています。
今回のリリース内容については、以下お酒の美術館からのプレスリリースに詳しく記載されていますが、本ブログではブレンダーとしての当方の視点から記事をまとめていきます。

公式プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000041825.html
お酒の美術館:https://osakeno-museum.com/


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今回のコラボは、昨今評価が高まっている瀬戸内のブナハーブン※こと江井ヶ嶋蒸溜所とのコラボレーションで実現。(※瀬戸内のブナハーブンは自分が勝手に言ってるだけです。公式名称ではありません。)
シングルモルトジャパニーズウイスキー琥月は、2018年に蒸留され、5年間オロロソシェリー樽で熟成された10PPM未満の原酒を、シングルカスク、カスクストレングスでボトリングしたもの。
ブレンデッドウイスキー姫兎は、琥月をキーモルトとして、江井ヶ嶋蒸溜所が保有するスコッチモルトウイスキー、グレーンウイスキーをブレンドしたもの。モルトとグレーンの比率は5:5で、50%に加水してリリースされています。

琥月からは江井ヶ嶋蒸溜所のハウススタイルであるシェリー樽のフレーバーと昨今の酒質向上を感じることができ、姫兎は輸入原酒とのブレンドによってキーモルトの個性を感じつつもソフトで飲みやすい味わいに仕上がっています。
また、どちらのウイスキーからもシェリー樽のフレーバー以外に“にがり”のような潮のニュアンスが微かに感じられ、これもまた同蒸溜所の個性の一つ。
飲み方としては、琥月はハーフロックで、姫兎はハイボールがおすすめです。涼しくなってきたとはいえ、まだ1杯目はシュワシュワが恋しい。1杯目は姫兎か祥瑞をハイボール、2杯目は琥月か発刻をロックで、PBコースなんていかがでしょう。

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■リリース経緯など
お酒の美術館から、次のPBについて相談があったのは確か2022年年末のこと。
同年4月にリリースしたPB第一弾が好評で、特に祥瑞のほうはもう在庫がなく、ハイボールですっきりと飲めるウイスキーを新たに作れないか。
提案内容はざっくりとこんな感じで、どこか対応してくれる蒸留所は無いかと、日頃やり取りさせて頂いている複数社に相談・・・、結果、T&TのラストピースやKFWSさんのPB等で繋がりがあった、江井ヶ嶋酒造と話を進めることとなりました。

ご存じの通り、江井ヶ嶋酒造は1919年からウイスキーの製造を開始した国内でも屈指の歴史を持つウイスキーメーカーです。立地は兵庫県瀬戸内海沿岸沿いと、ストーリー性もある環境。1984年に整備された蒸留棟は、導線の確保された設備一式を有しています。
ただ、その造りは安定しておらず、長らくメーカーとしてもウイスキーは優先順位が低い状況にありました。それが大きく変わったのが2016年以降、設備の改修やスタッフの意識改革等が効果を発揮し、特に2018年以降の原酒はこれまでとは異なる高い品質のものとなっています。

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本リリースに限らず、自分がブレンダーとして関わらせてもらう以上、愛好家視点で蒸留所の個性とユーザーから求められている味わいをリンクさせたウイスキーを提案することを目指しています。
お酒の美術館は全国で約70店舗を展開する、もはや全国規模のBARチェーン店です。ここでウイスキーが情報発信と合わせて提供されれば、蒸留所の魅力、造り手の努力が知られる一助となるのではないか。そんな想いをもって、企画に関わらせて貰いました。

ただ当初はブレンドだけの予定で、その前提で前捌きをして江井ヶ嶋蒸溜所から候補となる原酒を出して頂いたのですが・・・。
カスクサンプルをテイスティングしたお酒の美術館の社長:富士元氏から、このクオリティならシングルモルトも希望したいとリクエストがあり。だったら、シングルモルトのカスク選定を進めつつ、ブレンデッドのほうはシングルモルトでリリースする原酒の一部をキーモルトとすることでどうかと提案(これが後々自分の首を絞めることに…)。

製造側には手間のかかる提案ですが、江井ヶ嶋蒸溜所の平石社長、中村工場長、両名から快諾頂き、シングルモルト琥月、ブレンデッド姫兎としてリリースの方向性が決まりました。

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■シングルモルトジャパニーズウイスキー 琥月 62%
シングルモルトは個性の酒。江井ヶ嶋蒸溜所のハウススタイルの一つは、全熟成樽の約7割を締めるというシェリー樽由来のフレーバーです。
バーボン樽も魅力的ですが、ここは瀬戸内のブナハーブンたる江井ヶ嶋の個性をアピールする方向で、オロロソシェリー、ペドロヒメネスシェリー(PX)、クリームシェリーの3種類の樽から、候補となる原酒を複数出して頂きました。

クリームは妙にスパイシーな癖があり、今回のリリースの方向性には合わないと除外。悩んだのは親しみやすいが癖も少ない樽感のオロロソシェリー樽の1つか、濃厚だがビターでウッディなPX樽の1つか。
今回は選んだ原酒をキーモルトとしてブレンドも作成するため、ここでミスチョイスすると取り返しがつきません。ここにきて、あ、これ結構難しいアイディアを出してしまったぞと、自分が置かれた状況を認識するに至ります…。

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悩んだ結果、シングルモルトとしては甲乙付けがたいため、ブレンドレシピとしてどちらが希望に沿ったレシピを作れるかで決めようと一旦保留。ブレンドの作業量が2倍になってしまいましたが、決められないのだから仕方ありません。

オロロソベースとPXベースとで、それぞれ候補となるレシピを複数造り、原酒群の中で最もバランスが良かったオロロソシェリー樽原酒の1つ(Cask No,101808)でリリースを進めることとなりました。
5年と若い熟成期間ですが、酒質が向上した2018年の仕込みだけあってベース部分の味わいは親しみやすく、特に加水すると非常に柔らかく飲みやすい味わいへと変化することから、素性の良さも感じられます。

ややビターなウッディネス、麦チョコや黒糖麩菓子のような甘さ、かすかにドライフルーツやピートのアクセント。
おすすめはハーフロックですが、お酒の美術館らしい楽しみ方として、ストレートにオールドブレンデッドを少量加えた飲み方を、裏メニューとして提案します。
正式なメニューではありませんが、お店で飲まれる方はぜひ裏メニューとして注文してみてください。(自分のおすすめは1980年代流通のジョニ黒です。)

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■ブレンデッドウイスキー 姫兎 50%

先に触れたように、琥月をキーモルトとし、江井ヶ嶋蒸溜所のモルトウイスキーに輸入モルトウイスキー、輸入グレーンウイスキーを加えたワールドブレンデッドウイスキーです。
モルトとグレーン比率は5:5。企画立案当初、お酒の美術館側からコンセプトとして提案された通り「ハイボールですっきりと飲めるウイスキー」をテーマにブレンドしています。

メレンゲや綿菓子を思わせる甘いアロマ、干し草、グレープフルーツやハーブ、青りんごを思わせる果実のアクセントに、微かにビターで潮気や樽由来の要素が混じる味わい。
琥月の原酒を一部使用しているためシェリー樽由来のフレーバーが感じられるだけでなく、江井ヶ嶋蒸溜所のもう一つの個性であるにがりのような潮のニュアンスがポイントです。

このニュアンスは、明石海峡が眼前に広がる熟成環境や、敷地内の深井戸からくみ上げられる仕込み水の関係からか、江井ヶ嶋蒸溜所のウイスキーに感じることが多い特徴で、今回は琥月より姫兎の方がこの特徴を捉えやすい印象があります。
ブレンドと加水で樽由来の要素が落ち着いた結果、個性を感じやすくなったのでしょうか。また、全体を通して感じられる麦芽風味は、輸入ハイランドモルトを江井ヶ嶋蒸溜所でリフィル樽に入れて追加熟成した原酒に由来するフレーバー。ノンピートタイプで麦芽風味が豊か、これだけでも通用するレベルの原酒で、正直これを別リリースとして出したいとも感じたほどでした。

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ただし、個性の強いシェリー系短熟ジャパニーズモルトである琥月に、モルティーなハイランドタイプの原酒を主体に構成するとなると、全体的にリッチな味わいとなって「すっきり飲めるウイスキー」に仕上げるのは難しくなります。
例えるなら、シェリー樽の原酒が”ざる用の濃さの麵つゆ”で、ハイランドモルトが小麦の風味豊かなうどんです。これがどんぶりいっぱい、ぶっかけうどんの量で出てきたら・・・すっきりとは食べれません。
じゃあ水で薄めれば・・・味がペラペラになってバランスが悪くなってしまう。つまり味を調えつつも奥深さは消さない、ダシのような存在が必要になります。

そこで使用したグレーンが、非常にプレーンでさっぱりとしたタイプ。樽やモルトの強い個性を引き算し、均一化するような感じで整えて、全体をうまくまとめてくれました。
心情的にはモルト、グレーン比率を6:4、あるいは7:3あたりのクラシックなタイプにしたかったのですが、モルトの個性が強くなりすぎてしまう。スコッチウイスキー縁の下の力持ちと言えるグレーンの重要性を改めて感じましたね。
試行錯誤の多かった作品ですが、何とかテーマの通りまとめられたと思います。ぜひハイボールで楽しんでいただけたらと思います。

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■お酒の美術館PBについて
お酒の美術館PBは源氏物語絵巻をラベルに用いた、シリーズ構成のウイスキーです。
2022年にリリースされた発刻、祥瑞は長濱蒸溜所の協力でリリースされたもの。
「発刻」は長濱蒸溜所の濃厚なシェリー樽原酒とピーティーな原酒を合わせ、輸入モルト、長期熟成グレーンでバランスを取りつつ加水なしでボトリングした、パワフルでスモーキーな愛好家向けのブレンデッド。
「祥瑞」は若い輸入原酒に発刻と同様の長期熟成グレーン、そして同じ濃厚なシェリー樽原酒をブレンドし、加水して47%でリリースした、華やかでフルーティーな万人向けのブレンデッドです。
今回はここに新たに「琥月」、「姫兎」の2種類が加わったわけですが、今後も国内クラフトメーカーとタイアップしたリリースが計画されています。

これらのリリースに関して、私は監修・協力の立場にありますが、報酬や給与、監修料等の金銭は一切受け取っておりません。(同チェーン店で飲んでいると、1本売れたら何%懐に入るんですか?という質問を受けることがありますがw)
あくまでお酒の美術館の常連として、一人のウイスキー愛好家として、趣味として協力させてもらっています。具体的には、蒸留所との繋ぎ、原酒選定、ブレンドレシピの提案までで、そこから具体的な契約や価格設定、店頭での提供はお店側の領域、私は関わっていません。
逆に、お酒の美術館側からもコンセプト以外は蒸留所とのやりとりなど、お任せ頂いてる状況。だからこそ、手間をかけて納得のいくブレンドを作れるという強みがあります。

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BAR お酒の美術館のラインナップは、元々ベースとなっていたのが中古酒販として買い取ったウイスキーでしたが、昨今はそのコンセプトに加えて手軽に洋酒全般を楽しめるBARチェーンとして、領域をオールドから現行品へも広げつつあります。

従来のBARが階段を上った先や微妙に目立たない路地の裏など、隠れ家的なコンセプトであるのが多いところ。もちろんそれは魅力であるのですが、同店は逆に路面店、コンビニとのタイアップ、駅構内、空港の保安検査後のスペースといった、人が多く集まる場所に出店しています。ウイスキーの魅力はまず飲んで、知ってもらわないことには伝わりませんから、このPBを通じて広く日本のウイスキーの魅力が広まったら。。。と、それが冒頭にも書いた私の想いに繋がります。

改めて、今回もまたこうした貴重な機会を頂けたことを、この場を借りて御礼申し上げます。
クラフトの成長を心強く感じると共に、ブレンドの奥深さに悩み、そして楽しむ。なんと贅沢な経験でしょうか。
今回のリリースは先月からお酒の美術館全店で提供されています。機会がありましたら是非飲んでいただければ幸いです。

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お酒の美術館 祥瑞 & 発刻 オリジナルブレンデッドウイスキーのリリース

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全国にBARチェーンを展開する”お酒の美術館”から、同社初となるプライベートボトル、ブレンデッドウイスキー祥瑞(しょうずい)発刻(はっこく)が、各200本限定でリリースされます。
ウイスキー原酒の提供、製造は長濱蒸溜所。ブレンダーはくりりんが務めさせて頂きました。
※いつものように、趣味の活動の一環としての協力であり、売り上げや監修料といった報酬は一切受け取っておりません。

どちらのウイスキーも、長濱蒸溜所のモルト原酒、同社が輸入したスコッチグレーン、スコッチモルトを用いたブレンデッドウイスキー。
祥瑞は入門向けのブレンドであり、軽やかでフルーティーな、わかりやすさを重視した味わい。
発刻は愛好家向けのレシピであり、どっしりとスモーキーでシェリー樽原酒の効いた濃厚かつ複雑な味わいが、それぞれ特徴となっています。

また、祥瑞は47%に加水調整して飲みやすさを重視し、ウイスキーに馴染みのない方でもロックやハイボールで気軽に楽しんで貰う確信とをイメージして、価格もその分控えめに。
一方で発刻は加水調整をしていない、58%とハイプルーフ仕様のブレンド。シェリー系でヘビーピートという愛好家が好む、ちょっと尖った仕上がりをイメージしてブレンドしました。

ラベルやブランド名についてはお酒の美術館側で作成されており、私は一切タッチしていませんが、ラベルには源氏物語絵巻が用いられ、日本的な雰囲気と共に複数枚で1つとなる構想が。祥瑞は吉兆を、発刻は始まりを意味する単語であり、お酒の美術館のPBシリーズがこれから始まる、その行く先が明るいものであることを期待したネーミングとなっています。

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企画が動き出したのは昨年末。。。そうなんです、動き出してから半年経ってないんです(笑)。自分も大概ですが、この会社のスピード感ヤバいですね。
制作にあたり「1本は入門向けで、1本は愛好家向け、価格は同店の提供価格帯から外れないもの」という指定は受けていました。そして「後はくりりんさんに任せます」とも。
いち愛好家にすぎない自分を信頼頂いた、とても光栄な申し出ではあるのですが、酒美常連として変なものは作れませんし、責任も重大です。

だってコロナ明けで昔のように気軽に夜出歩くようになった時、自分のブレンドがいつまでも減らずに残っていたらと思うと…ぞっとします。
ただ今回、原酒を提供いただくのは長濱蒸溜所です。勝手知ったるとは言いませんが、これまでPBで何度もお世話になっているので、企画の進め方や原酒の個性を掴みやすいのは有り難かったです。(長濱蒸溜所からも、自分の起用を推薦してくださったとも聞いています。)

ということで、連絡を頂いてから速攻で伊藤社長&屋久ブレンダーに連絡をとり、コンセプトに自分のイメージを加えて原酒のピックアップを依頼。
ここも早かったですね、1週間程度でモルト、グレーン、10種類の原酒が揃う長濱蒸溜所のスピード感。入門向けで3種、愛好家向けで3種、計6種のレシピを作成し、屋久ブレンダーとも相談しながら、加水やレシピの微調整を実施。
最終的にどれをリリースするか、そもそも企画を進めるかは、お酒の美術館にお任せしました。

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(今回のブレンドの原酒候補。ここにもう一つ加わって10種類のモルト・グレーンウイスキーからレシピの模索を行った。)

結果、選ばれたレシピのキーモルトとなっていたのが、どちらも写真右側の1本、ラインナップの中で異彩を放つ濃厚なシェリー樽熟成原酒(長濱蒸留モルト)です。
また左側にある色の薄いモルトウイスキーは、リフィル系の樽構成ながらフルーティーでモルティーな味わいが魅力的。ここに20年熟成のグレーンウイスキーを加えて、祥瑞と発刻の主要構成原酒となっています。

この3種の原酒だけなら2つのレシピの香味はそう変わらないところ、ここがブレンドの面白さです。
これらをベースとして、長濱蒸溜所のヘビーピート原酒や、熟成輸入原酒など、他に使用した原酒の比率や個性で、味わい、熟成感、全く違うスタイルにが仕上がったのは記載の通り。軽やかでフルーティーな祥瑞、リッチでピーティーな発刻。是非、飲み比べもしていただけたら嬉しいです。

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THE SHOZUI 
BLENDED WHISKY 
“Sherry & Fruity”
Malt 90 : Grain 10
Blender Kuririn
Bottled by Nagahama Distillery
700ml 47%


乾いた麦芽香にケミカルなフルーツ。洋梨、シトラス、パイン飴。軽やかなフルーティーさが香味の主体で、奥にはホームパイのような香ばしいモルティーな甘さも感じられる。
余韻は軽いスパイシーさとメローな甘み、染み込むようなフィニッシュ。
飲み方はなんでも。個人的にはスターターな1杯。ハイボールで気軽に飲んでほしい。

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THE HAKKOKU
BLENDED WHISKY
“Sherry & Peaty” 
Malt 90 : Grain 10
Blender Kuririn
Bottled by Nagahama Distillery
700ml 58%


燻製チップ、ベーコン、BBQソースを思わせる、スモーキーで香ばしく甘いアロマと、ピーティーでリッチなシェリー感を伴う口当たり。ドライプルーンや濃くいれた麦茶、奥にはエステリーな要素もほのかに混じる。
余韻はスパイシーでビター。どっしりとしたスモーキーフレーバーが長く続く。
飲み方はストレートか少量加水で。

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記事のまとめとして、お酒の美術館の近況について。
同BARはリサイクル業等いくつかのビジネスを行っていた、株式会社のぶちゃんマンが運営する事業の一つです。
同社はバブル期や第一次洋酒ブームで輸入されたウイスキー、つまりリユースのオールドボトルを使ったBAR事業に注目し、2017年に京都に1号店(三条烏丸本店)を開店。その後2018年には神田店を、さらには日本各地にフランチャイズ店を展開し、2022年4月1日には銀座店(写真上)も出店されています。

1コインから手軽にウイスキーが飲めるというコンセプトや、駅地下商店街、コンビニ等と提携し、独自の経営システムを構築することで、現在は日本全国で約40店舗と、とてつもないスピードで成長を続けています。
その独自システムの1例がフード提供です。同BARは大半の店舗で「持ち込み自由」であり、中には3月に開店した関内マリナード店のように、近隣飲食店のメニューが置かれて注文が取れる店舗や、「ファミチキ専用ハイボール」なんてメニューがある店舗まで。
下町の個人経営の飲食店とかだとたまに見るシステムですが、全国チェーンでってのは珍しいですよね。

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一方で、急拡大するお酒の美術館には、スタッフのバーマンとしてのスキルが未熟であるとか、オールドボトルの状態良し悪しの見分けがつかないとか、人材的な問題点を指摘する声もあります。
勿論同社として研修は行っているようですが、ただでさえ人材の乏しい業界で、これだけの急拡大。速成教育の弊害というか、既存のオーセンティックBARに比べたら、いわゆる安かろう悪かろうに見えてのことだと思います。

ですが、中にはしっかりとしたスキルを持たれている方も居ます。元神田店の店長で、現在銀座店でカウンターに立つ上野さんはその代表。ウイスキーの状態判断はもちろん、カクテルも銀座にあって恥ずかしくないレベルのものを提供されています。

じゃあその上野さんも神田店開店の3年前はどうだったかというと、同BARの強みであるオールドボトルの知識は走りながら学ばれてきたというのが嘘偽りないところだと思います。現在は銀座店でワインやシャンパンも多く扱うようになったので「勉強しないと…。」と悩まれていましたが、これもすぐに立ち上がるんじゃないでしょうか。
他の店舗でも、20歳ちょっとで入ってきた若手が、1年後には範囲こそ限定的ながらバリバリにオールドブレンドを語れるくらいに成長していたり。同店から別なBARに転職し、その知識を使って看板的な立ち位置を掴んでる人も。
無茶振りってのもある程度までは有効で、環境は人を育てるんだなと感じます。

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お酒の美術館は気軽にお酒を楽しめる分、足りないものはお客が補うくらいでちょうどいいと、私は考えています。
そしてお客がもたらす知識や情報を、現場のスタッフが吸収して、気がつけばお店として独自の空気、スタイル、魅力を身に纏っている。お店としては開店時点でタネが植えられているような状態で、何がどう育つかは環境次第という、そんなイメージがあります。

その意味で、今回リリースされたお酒の美術館初のオリジナルウイスキー「祥瑞」と「発刻」は、経験こそあれどアマチュアであるお客の1人にブレンドを任せるというのが、お酒の美術館らしい企画と言えるのかもしれません。
であれば、私もこのウイスキーのブレンダーとして、皆様からいろいろ意見・感想を伺いたい。そして、お酒の美術館だけでなく、あるかもしれない次の企画に向けて、実績の一つとしたい。
そう、気がつけば今年は既にT&T TOYAMAのTHE LAST PIECEとで、4種類のブレンドに関わっているんですよね。愛好家兼フリーのブレンダー、新しいじゃないですか(笑)。

改めまして、貴重な機会を頂き感謝の念に耐えません。このリリースが、お酒の美術館にとっても、私にとっても、吉兆であり、将来に向けて動き出す後押しとなることを祈念して、本記事の結びとします。

【BAR訪問記】お酒の美術館 神田店 「オールドボトルを堪能出来るバー」

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本日、11月1日15時にグランドオープンする、お酒の美術館 神田店。
元々は関西方面のアウトレット系の企業(のぶちゃんマン)が、自社で購入した中古のお酒をそのまま販売する以外に、1ショット1コインを基本とした価格設定で、気軽に洋酒文化を楽しんでもらおうとしてはじめた事業。
これまでは京都に出店されていましたが、その5号店が東京神田に進出しました。

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お酒の美術館 神田店
住所:〒101-0035 東京都千代田区神田紺屋町46番地
営業時間:15時00分〜24時00分
TEL:03-3527-1746

お酒の美術館チェーン店は、先に書いたような経緯から、リユースのオールドボトルを中心に扱われています。
店内にあるボトルの半数以上は、1970〜1980年代の洋酒ブームかつ、バブル期に流通した遺産。極東の島国にはどんだけのボトルが眠ってるんだという話はさておき、こうしたボトルが発掘されて陽の目を見るのは良いことだと思います。
オールドジャンルも探求の場としている自分としては、東京進出して欲しかった店舗がついにきた、飲食業界では今年一番の嬉しいニュースです。  

開店当日に伺うつもりでしたが、グランドオープン前に10月29日からプレオープンしていますという情報。これは行かねばと、早速仕事帰りに寄り道してきました。



(日替わりのオススメボトル。この日はアルマニャックと、ハイボーラーとして定評のあるスコッツグレイ12年1980年代流通。ストレートで飲んでもハイボールで飲んでも価格は500円で変わらない。勿論ハイボールで。 )

お酒の美術館は店舗によって形態が異なっており、神田店はノンチャージで、立ち飲みというスタイル。店内の内装は写真からもわかるように、簡素で最低限、アンティーク系の要素はほぼ皆無です。
PUBの立ち飲み。あるいは酒屋の角打ちが、酒類豊富に拡張されたようなイメージといいますか。メジャーなところで例えるなら、リカー●フなどの中古酒販店の店頭で、そのまま飲んでいるような感覚です。 

注文はメニューから示しても良いですが、書かれていないボトルは多数あり、ボトルを探して直接手にとって注文するのもOK。特級時代のウイスキーでもその殆どは1ショット500円均一という、破格かつチャレンジングな設定ですから、色々試したくなるのが愛好家の心情。。。
一方プレオープン中にこられたお客さんの中には、特級時代の角瓶の水割りを1コインで楽しまれて帰路に着く、そんな方も結構いらっしゃったとか。なんだか粋ですよね。


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メニューの一部。ウイスキー以外に簡単なフードや、ビール、カクテルも1コインで楽しめる。個人的にはハイボールとタコスチップスの組み合わせがオススメ。

1shotは30mlではなく、40ml程度で提供される。古酒は飲み口が柔らかいので、酔い過ぎには注意(笑)。
当日開封したサンディーマック1980年代流通品は、キャップ臭もなく状態バッチリ。

プレミアムグレードから、ジョニーウォーカーブルーラベル1990年代流通(こちらは1shot 1200円)。※プレミアムはハーフ可。
経年から若干コルク臭を感じたが、華やかな熟成香とモルティーな味わいは健在。現行品の島系要素の強いタイプとは異なる内陸主体の熟成した味わい。

ブレンデッド以外に、モルトも懐かしいものから素性が謎なものまで。グレンリベット12年は、80年代後半の特級表記付きピュアシングルモルト表記。蜜の入った林檎のフルーティーさと麦感をしっかり感じる、爽やかかつコクのある味わい。グレンブレア12年は島系モルトのピーティーさが主体、無銘ながら味は保証。

基本500円均一である強みとも言える、ウイスキーカクテルのベースを自由に選べるシステム。例えばミントジュレップを注文する際は、自由にバーボンを指定できるのが魅力。45%時代のジャックやメンチ切りターキーなどもチョイス出来る。

樽出しのオリジナルブレンデッドウイスキー。意外にさっぱりとした味わい、先斗町の方がややコクが強いか。ハイボールに合いそう。

ワインもちょっと良いものが複数あり、こちらも1杯500円から。店長はむしろワイン派で、お任せで色々飲めるのも楽しい。

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洋酒以外には、かつてのブームの残滓とも言うレア焼酎も。魔王、百年の孤独、森伊蔵、全て1杯700円。今後は日本酒も入る予定であるとか・・・。


さて、これらのボトルの出元の大半がリユースと聞くと、素性は大丈夫かという気持ちがあるかもしれません。
ですが、蒸留酒はワインなどの醸造酒と異なり10年単位での保管も問題なく。
ウイスキーBARであっても、過去に購入してストックされていたボトル以外、オークションやリユースショップで買い付けるケースは増えていて、この店だけが特別というわけではないと思います。

むしろ、そうしたオールドボトルを扱う場合、重要なのは「状態の判別」にあります。
普段オークション等でボトルを調達されている方は、地雷を掴んで悲しい想いをしたことも少なくないはず・・・。注文されてから開封する場合は特に、開けてダメでしたというのも勿論あり得ます。
実際、この日新規開栓したボトルが1本死んでおりましたが、そこはオールドボトルを数多く扱う販売店にして、餅は餅屋です。

事前に怪しいボトルの除外は勿論、そうしたボトルに当たった場合、会計には計上するつもりはないとのこと。
店頭にあるボトルは未開封でも注文があれば全て開封されますし、自分のようなオールドラヴァーからすれば気になっていたボトルを気軽に試せるのが何よりのプラスと言えます。


もう一点補足をすると、お酒の美術館 神田店は、オーセンティックBARのように落ち着いた雰囲気の中で、バーマンの洗練された技、ゆったりと流れる時間を楽しむという空間ではありませんので、そうしたニーズには合わないBARと言えます。(京都に出店されている店舗は、オーセンティックに近い雰囲気の内装です。)

ただ、上述のとおりボトルの種類は日本流通のオールドボトルを中心に豊富で、手軽な価格で様々な飲み方が出来るのは魅力。逆に肩肘張らずにワイワイとウイスキー談義や、次に購入するボトルの検討、あるいは仕事帰りに1〜2杯心のガス抜きをしてサッと帰る。そんな止まり木のような感覚で楽しめるお店かなと感じました。

最後になりましたが、この度の新店舗開店、おめでとうございます。是非今後も利用していきたいと思います。

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