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ストラスアイラ 35年 1986年リリース 200周年記念ボトル 43%

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STRATHISLA
Years 35 old
Bi-centenary Release 1986
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:KuMC
評価:★★★★★★★★★(9)

香り:スモーキーでピーティー、燻した麦芽と甘いバニラ香、チョコウェハースやキャラメリゼ、徐々に生チョコレートのような甘み。奥にはドライアプリコットやオレンジピール。古びたウェアハウスを思わせる落ち着いたウッディネス。ゾクゾクするような妖艶なアロマ。

味:マイルドな口当たりだが、ボディの芯はしっかりとしている。香り同様に存在感のある燻した麦芽のピーティーなニュアンスに加え、キャラメルプディング、土っぽさとヘザー。余韻は心地よくドライ、ビターな内陸系のピートフレーバーが強く感じられ、染み込むように長く続く。

麦とピート、そして熟成したモルトのまろやかさ。しっかりとスモーキーでオールドスタイルのストラスアイラの魅力がこれでもかと詰まった1本。樽はプレーンオーク系で、適度に感じられる程度であり、酒質の引き立て役に徹している。スコッチとして求める今は無きスペイサイドのスタイルの一つ。間違いなく感動できるモルト。

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ストラスアイラ蒸留所、創業200周年記念リリース。もはや解説は不要というレベルで文句無く伝説級のモルトです。
自分が飲み始めた頃は、なんだかんだ飲む機会の多かったボトルでしたが最近は疎遠気味。久々に飲みましたが、樽感を底支えにしてあくまで主役は麦とピートという構成に加え、加水と熟成で整った飲み口から、オールドらしく厚みのあるボディと妖艶なアロマが大きなスケールをもって展開してきます。

単純に逆算すると蒸留時期は1950年、1951年ということになるのですが、間違いなくそれ以前の原酒が使われていると思います。
ただし1940年代は第二次世界大戦の影響から多くの蒸留所で生産に影響が出た時期であることや、このスモーキーさと麦由来の風味の強さから、40年代の前半を飛び越えて1930年代の原酒まで使われているのではないかと。それこそ、以前テイスティングさせていただいた1937年のGMストラスアイラに近いニュアンスがあったようにも。。。

現行品のストラスアイラからは失われてしまった、このフレーバー。もはや別世界の代物と言えばそうなのですが、改めて飲むと自分がウイスキーに求めているのはこの味わいなんだなと感じさせてくれます。
カウンターでただただ幸せを満喫させてもらいました。OJさん、ありがとうございます!

ちなみに・・・一つカミングアウトすると、あれは今から7年前くらいですか。ウイスキー仲間からのブラインドでこのボトルをジョニーウォーカーの60年代と答えたのは中々恥ずかしい思い出です。古酒っぽさと、オールドピートの強さをメインに感じてしまったのでしょう。今飲んだらもうちょっとマトモな回答が出来ると・・・いいなぁ(笑)。

ストラスアイラ 1949-1996? GM 蒸留所ラベル 40%

カテゴリ:
STRATHISLA
Gordon & Macphail
Distilled 1949
Bottled 1996?
(Metal Screw Cap)
750ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:持ち寄り会@KuMC
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:存在感のあるピート香、腐葉土、古酒感、焦がしたカルメ焼きやチョコレートマカロンの苦味のある甘さ、奥にはおしろい系の麦芽香も感じられて多層的。芳醇で妖艶さに通じる要素をそなえている。

味:マイルドな飲み口、ややドライな舌触りだが、合わせてコクも感じる。キャラメリゼ、オレンジピールチョコレート、おしろい系の麦芽風味。後半はどっしりと強いピートフレーバーで、燻したアーモンドや香り同様土っぽいアロマが鼻腔に届く。
余韻はスモーキーで微かに焦げたようなピートフレーバー、スイートな麦芽風味を伴って長く続く。

熟成による古酒感、どっしりと存在感のある内陸系ピートと麦芽風味の組み合わせ。熟成期間にしては過熟感はなく、樽はリフィルのアメリカンオークシェリーバットあたりと推察。
ややピートの主張が強い印象を受けるが、少量加水すると香味の良い部分が伸び、奥からトロピカルフレーバー、妖艶な香りが引き立つ。


何種類かリリースが確認されている、GM蒸留所ラベル・ストラスアイラの1949年。今回のボトルはメタルスクリューキャップ仕様で、1980年代から1990年代流通のロットと推測。1980年代のものはラベルの1949表記がもう少しずんぐりしているため、おそらく1990年代でリリースが確認できる1996年ボトリング、46〜47年熟成原酒のシングルモルトと考えられます。

今回のストラスアイラで特筆すべき点は、強く存在感のあるピートフレーバーです。
当時のスペイサイドを含むハイランド地域の蒸留所は、今以上にピートを使っているところが多くありました。しかしその時代背景に加え、50年弱の熟成と加水による度数調整を経てなおこれだけ強いのですから、かなりピートを使っていたのではないかと考えられます。

それはこれまで何度か飲んだ1950年代蒸留のストラスアイラに感じたどれよりも際立っており、先日記事にしたコニッサーズチョイスのストラスアイラ1937同様、この時代の同蒸留所は何か違うのではないかと感じる要素でもあります。
歴史を紐解くと、ストラスアイラはかつてMilltown(ミルタウン)という蒸留所名で、違うオーナーの元操業していましたが1949年に破産。買収を経て、1951年にシーバスブラザーズ社傘下でストラスアイラとして操業しています。
つまり、このボトルは前オーナー時代最後の年の原酒。アメリカに販路を広げていたシーバス社において、仕込みの傾向が変わっていたとしてもおかしくありません。

(記録上は、決して操業等が不安定だったわけではないミルタウン蒸留所。海外サイトにまとめられた情報では、蒸留所オーナーは脱税が原因で破産したという。。。Photo by K67)

さて、近年流通するピーティーなウイスキーは、ピートが「俺が俺が」と強く鋭く自己主張するものが多く見られます。
一方、今回のボトルのような長期熟成の原酒や、オールドボトルなどにあるピートフレーバーは、鋭いタイプではなく、どっしりとして図太い。
ドラマなどに例えると、前者が声高に絡んでくるチンピラ的なキャラクターに対し、後者は吼えることはなく、ワンテンポ置いて威圧感を持って登場するボス的なキャラクターという違いがあります。

なぜこの違いが生まれるのか。ピートを構成する成分の違いもあるかと思いますが、おそらくは熟成や経年変化によって、尖っている部分が削られた結果、土台の部分のどっしりとしたところだけが残るのではないかと推測しています。
か細いピートフレーバーのものは途中でピートそのものが感じられなくなってしまいますが、最初から強いものは土台の"存在感のあるフレーバー"が残る。そしてそれが、シェリー樽などの甘く芳醇な香味と合わさることで、えも言われぬ陶酔感を構成していくのです。

今回のボトルは、このピートフレーバーに加え、樽感がとても50年弱熟成とは思えない自然さ。過度なシェリー感、タンニンや樽由来の苦味がなくまとまっているのも特徴的。うーん、流石1990年代のGM、恐ろしい樽を持ってますね。
果実味豊富というタイプではなく、洋菓子のようなタイプではありますが、上記陶酔感のに通じる要素があり、ボディもしっかりと厚い。水数的少量加水して調整すると見事に花開く時間の贈り物。
充実した1杯を堪能させてもらいました。     

ストラスアイラ 35年 1937-1973 GM コニッサーズチョイス 43%

カテゴリ:
STRATHISLA
Gordon & Macphail
Connoisseur's Choice
Over 35 years old
Distilled 1937
Bottled 1972-1973
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:KUMC
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★★★(9)

香り:ウェアハウスを思わせる古く落ち着いた香り立ち、キャラメルナッツ、熟したオレンジ、燻した麦芽から土っぽいピート香、存在感のあるスモーキーさ。ほのかに貴醸酒のような古酒感や、陶酔感を感じる。グラスの残り香も素晴らしい。

味:まろやかでコクがあり、どっしりとした麦芽風味主体の口当たり。サルタナレーズン、林檎のカラメル煮。後半にかけてじわじわとピーティーでスモーキーなフレーバーが開き、鼻腔にも抜けていく。
余韻はカラメルソースやローストした麦芽風味、染み込むようなほろ苦さが長く続く。

ピートと麦芽風味の素晴らしい一体感。そこにリフィル系の枯れたオールドシェリー樽のアクセント。アルコールも立っており、状態は素晴らしい。少量加水するとスモーキーさが穏やかになる一方、陶酔感あるシェリー香、麦芽香が主体的になり、うっとりとするようなアロマが広がる。ただし味は水っぽさが強くなり、加減が難しい。


エドワード&エドワード表記、ジャッコーネ向けのコニッサーズチョイス。これはもう時代と経年がもたらした贈り物と言える、オールドモルトの良さが結実したようなボトルです。
懐古厨と言われようと、ラベル酔いと言われようと、良いものは良い。やはりスコッチモルトは麦とピートの酒なのだという、そのものの本質と、格の違いを感じさせられてしまう1本でした。

ストラスアイラは1950年にシーバスリーガル社の傘下となり、現在はペルノリカールグループにおける文字通り"キーモルト"を提供する、主要蒸留所であり続けています。
今回はその買収遥か前、当然設備や製法なども旧式だったと思われる時代の作。1940年代、30年代のモルトは平均して語れるほど多くの蒸留所を飲めていませんが、これまで飲んだモノに共通してあるのは分厚い麦感、そして内陸とは思えないほど存在感のあるピートの層。
おそらくボトリング当初はもっと強い主調があったものの、経年によってまとまった香味の形が、この時代のウイスキーを飲む醍醐味だと感じています。

また、コニッサーズチョイスは単一ビンテージで複数樽バッティングがあるのもポイント。バッティングによる香味の複雑さと安定化、今の原酒はそうでもしないとってのはありますが、香味の強いこの時代でそれをやってたらもう反則ですよ。
それをオフィシャルではなくボトラーズ1社が定常的にリリースしている点が、GM社が様々な蒸留所の準オフィシャルとして機能する、圧倒的な原酒保有量を垣間見る要素とも言えます。
いやはや、本当にスケールが違うメーカーです。

(今回のヤッテヤッタデス事例。主犯は自分では無いが、結局一口便乗したので同罪か。美味い、美味いがこれじゃなくても。。。あまりの罪深さに手が震えて、写真のピント合わせもままならない(笑))

なお、GM社は今年から既存ラインナップの全面的な見直し、リニューアルを始めています。
この動きは、GM社の100年を越える歴史の中で初めてのこと。近年のGM社は物凄い勢いでラインナップを拡充してきましたので、差別化がわかりにくいものや、継続しているのかもわからないシリーズもちらほら。ここで一気に整理して、選択と集中を行うのもアリだと思う一方、こういうのは大概値上げとセットになりがちですから消費者としては一抹の不安が。。。(JISさんの発表ではディスカバリーなるシリーズも誕生するようですし。)

既にリニューアルが発表されたのが、今回の記事でもあるコニッサーズチョイス。1968年にリリースが開始され、今年で半世紀、節目の年のリニューアル。
ラインナップにおける基本的な方針はこれまでと変わらずですが、カスクストレングスとウッドフィニッシュが正式の加わる模様。ラベル下部の色でラインナップを分けており、ゴールド:従来通り46%加水、シングルカスク並びにスモールバッチ含む。グレー:カスクストレングス。レッド:カスクフィニッシュタイプ。と整理されるようです。

気になる店頭価格は70ドルから500ドルの間くらいとのことですが、日本だと諸々込みで1万円弱くらい〜でしょうか。
後はどんな中身で来るか、続報を待ちたいです。

ストラスアイラ 21年 セスタンテ マイナルディコレクション 1980年代流通 40%

カテゴリ:
STRATHISLA
SESTANTE
Mainardi import collection 
Years 21 old
Matured in Sherry Wood
1980's
750ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:KuMC@Oさん
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

味:クリアな麦芽香、薄めた蜂蜜、かすかにえぐみを伴うリフィル系の樽香。ハイトーンで若さを感じるようなスパイシーさ。

味:スムーズでクリア、ピリッとした刺激を伴う口当たり。王林系の柔らかい酸味とさらさらとした果実味、麦芽風味と微かな土っぽさ。コクと粘性のあるボディ。
余韻はハイトーンで軽い香ばしさ、ドライで染み込むように消えていく。

度数以上の酒質の強さを感じる味わい。シェリーウッド表記だが樽は3回目くらいのリフィシェリーバットか、酒質由来の風味が主体、クリアな熟成感である。
加水するとスウィートでスムーズ、飲みやすくはあるがやや軽さが目立つ。


今は無きイタリアのボトラーズメーカーにしてインポーターであった、セスタンテ。
今尚高い評価を受ける名品の数々をリリースしてきた実績から、一部では伝説とも称されるメーカー。そのボトルというだけで期待が高まってしまう愛好家は少なくないと思います。

今回のボトルは樽の出元はGMで、セスタンテからMainardi(マイナルディ) import 社が展開。
このマイナルディ社は、おそらくセスタンテの設立者であるErnesto Mainardi氏に縁がある企業であり、Mainardi Import Collectionとして、1年ごとの年数違いでミルバーン、ストラスアイラ、モートラック、グレンバーギー、クライヌリッシュ、リンクウッドがリリースされたようです。
他にもあるかもしれませんが、海外オークションサイトにて以下の出品を見つけましたので、写真を引用させていただきます。

Mainardi Import Collection 1980's Sestante GM (画像引用:

ラベルの雰囲気もさることながら、創始者の名を冠するコレクションシリーズの1本とくれば、どんなものを詰めたのか気にならないわけがありません。
このストラスアイラは、先日の京都ウイスキーパーティーのサテライトBARのメニューの一つに、持ち主であるOさんが提供していましたので、自分と同じ衝動で飲まれた方もいらっしゃるのでは(笑)。

一連のシリーズは1980年代後半のボトリングで、蒸留時期は1960年代中頃から後半。泣く子も黙る黄金時代。樽の出元であるGMでストラスアイラと言えば、60年代蒸留にはシェリー樽のしっかり効いたリリースが多く、同様の構成かと思ったら、今回のボトルはこの時期のストラスアイラにあって珍しい、樽感淡く酒質主体の味わいなのです。

意外なキャラクターに面食らいつつ飲み進めると、奥には香ばしい麦芽風味や、テイスティングの通り40%加水に負けていないかつての原酒らしい酒質の強さが感じられ、これなら強い樽感とのバランスも取れるなと。ただ、21年相当の熟成感かと言われれば、少し首を傾げるところで、当時らしいシェリー系の樽感や厚みのある麦芽風味を期待していたのが本音であったりもします。
一連のコレクションや、その他のリリースとの繋がりを考えさせられる1杯でした。

ストラスアイラ 12年 ピュアモルト表記 1990年代流通 43%

カテゴリ:
STRATHISLA
PURE HIGHLAND MALT
Aged 12 years
1990's
750ml 43%

グラス:ルイジヴォルミオリ ヴィノテクスピリッツ
場所:BAR飲み@サンドリエ(立川)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかで香ばしい麦感と共に品の良いリフィル系のシェリー香。バニラ、洋梨、ほのかな植物感を伴う柔らかい甘み。

味:柔らかい口当たり。香り同様の品の良いシェリー感、ケーキシロップ、白ぶどう。青みがかった植物感も感じられる。
余韻は軽い香ばしさのある麦芽風味から、ほろ苦く染み込むようなフィニッシュ。

加水で整えられた柔らかい口当たり、適度にコクのあるボディ。やや青みがかった植物感があるが、全体の中では一つのアクセントに過ぎず、むしろスペイサイドらしい熟成香を形成している。


1990年代(一説には1994年)からリリースが始まった、ストラスアイラ12年熟成オフィシャルボトル。その後、ラベルを変えながら現在まで続く同蒸留所唯一のスタンダードボトルであり、今回のボトルはその初期ボトルです。

ストラスアイラがシーバスブラザーズ社のブレンデッドウイスキーの主要原酒であることは、もはや説明不要と思います。現在はそのシーバス社を傘下とするペルノリカールグループに属しており、華やかでフルーティーでややドライな、同社のブレンデッドにみられるモルティーさは、今回のボトルをテイスティングしても感じられる共通の要素が多く。ロングモーンやグレンキースなどと合わせ、原酒の特徴がしっかりと現れていると感じます。

(スコットランドで最も絵のように美しい蒸留所とされるストラスアイラ蒸留所の外観。ラベルに描かれているのはここから更に引いた地点からの構図。Photo by K67)

ストラスアイラは、オフィシャルボトルこそ少ないものの、シーバスブラザース社以外の多くの企業に原酒が販売された蒸留所の一つであり、GM社の蒸留所ラベルシリーズを筆頭に、短熟から長期熟成まで多様なリリースが行われてきた蒸留所でもあります。
そのため、10年くらい前までにモルトにハマっていた人からすれば、オフィシャル12年よりもそうしたボトルがのほうが馴染みがあったのではないでしょうか。
私なんかはストラスアイラ=30年以上の長期熟成がいっぱいリリースされる蒸留所、なんて印象を持っていた時期があったほど。今思えば、なんとも贅沢な話です(汗)。

ボトラーズで多くみられた長期熟成でホグスヘッド系のオーク香、あるいはシェリー感全開のストラスアイラが、実に美味しいモルトであったことは間違いないわけですが、その酒質にはあまりフォーカスしていなかったようにも感じます。
改めてこうして12年のオフィシャルボトルを飲んでみると、樽感とのなじみが良く、加水でありながら柔らかいコクと麦芽風味がしっかり残っている。
現行品のオフィシャルは樽感が強い印象を受けますが、この時代のものは淡いシェリー感と共にバランスの整ったなんともしみじみ美味いモルトウイスキーだと感じます。

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