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タムデュー 21年 1997-2019 オーシャンズ 50.8% 

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TAMDHU 
The Oceans 
Aged 21 years 
Distilled 1997 
Bottled 2019 
Cask type Hogshead 
700ml 50.8%

【ブラインドテイスティング回答】
地域:ジャパニーズ
蒸留所:富士御殿場
樽:バーボンバレル
年数:20年程度
度数:46%程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ややエステリーでドライ、鼻腔への刺激のある香り立ち。樽由来のフルーティーさと甘味がしっかり出ており、リンゴのコンポート、モンブラン、微かにナッツのアクセント。
若干ゴムっぽい香りと溶剤のニュアンス。

味:樹液のような粘性のある濃厚なオークフレーバー。洋梨や黄桃、バニラ、好ましいフルーティーさのある甘味と合わせて、ウッディでドライ、樽材のえぐみ、スパイシーな樽材由来の過熟気味な要素が広がる。酒質由来の香味の線は細く、余韻はビターでドライ、オーキーなフルーティーさと合わせてヒリヒリとした刺激を伴う。

オーキーでフルーティー、グレンバーギーなどを思わせる近年のスペイサイド寄りの酒質だが、樽がかなり強く効いているため、好ましいフルーティーさ以外に若干ネガティブなニュアンスまで一部溶け出ている。熟成環境の違いがあるのではないかと推察。香りで感じたエステリーな要素と樽要素の出方、また通常品より高く感じるアルコール感から、ボトル予想は富士御殿場のスモールバッチ。

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ご無沙汰しております、ちょっと更新感覚が開いてしまいました。
先週末、風邪なのか疲れなのか、38度オーバーの発熱(咳、鼻水など一切なし)があり、それでも無理して出張なんて行ったもんだから余計悪化。療養に専念したので、ちょっとブログのほうまで手が回っていませんでした。
さて、気を取り直して休み明けの更新1発目は、ウイスキー仲間のK67さんから頂いていたブラインドテイスティング出題の回答。今回は非常にタイムリーなボトルの出題をいただきました。

オーシャンシリーズはウィスクイーさんのオリジナルブランド。20作目となる今回のボトルは、メーカーコメントで「完熟ピーチのフレーバーが効いたタムデュー」なんて、期待したくなるようなPRがされていたことでも知られています。
おそらく、アメリカンオーク樽由来のフルーティーさが良い具合に強く出たボトルなんだろうと予想していましたが、結果的にほぼその予想通りという味わいだったと思います。

近年のタムデュー、あるいはスペイサイドモルトの軽めの酒質に対してかなりしっかりと樽が効いた、黄色系のフルーティーさにスウィートな含み香、そしてドライでウッディな構成。フルーティーさだけなら上々の仕上がりです。
酒質と樽要素はややアンバランスですが、50%まで下がった度数はそれらをギリギリ繋ぎとめることに寄与していて、なにより今回一番注目の「完熟ピーチ」は、近いコメントをブラインドで表現しているので、概ねメーカーコメントの通りだなと感じました。
その樽の強さが少々気になりますが、ボトラーズの熟成庫での仕上げか、オフィシャルと比較して少し環境が異なっているのではとも推察します。


ブラインドテイスティングの反省を述べるなら、それはもう邪推ですね(笑)。
仮にスペイサイドモルトと限定されていても、タムデューを導き出せた自信はないですが、まさかK67さんが普通のスペイサイドのボトラーズなんて出さないよな・・・きっと変化球に違いない、なんて深読みがなかったと言えば嘘になります。

当ててやろうとすると、遠退く正解。それは度数予想にも現れていて、富士山麓は酒質がクリーンでピリピリした部分も多少あるから、これくらいの度数でもアタックはこの程度あるはず、なんて無理矢理納得してもいました。(実際は50%はともかく、48%くらいには感じられるアタックがあります。)
最近これまでよりブラインドの頻度が落ちていますが、それもあってちょっと鈍っちゃっているのかもしれません。
何事も、日々の積み重ねですね。

タムデュー 27年 1961-1989 シグナトリー 45%

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TAMDHU
Signatory Vintage
Aged 27 years
Distilled 1961
Bottled 1989
750ml 45%

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封直後
場所:持ち寄り会@KuMC
暫定評価:★★★★★★★(7-8)

香り:注ぎたてはややドライだが、熟したアプリコットや熟成させたリンゴ酢などを思わせる、角の取れた甘酸っぱいアロマ。厚みのある麦芽香と共に淡いスモーキーさを伴うふくよかな香り。

味:甘酸っぱい酸味を伴う口当たりから、林檎飴、微かに柑橘のニュアンスとおしろい系の麦芽風味。ボディはやや緩いが舌あたりには粘性があり、後半にかけて麦系の香味が主体に。余韻は古典的なトロピカルフルーツが微かなピートを伴い長く続く。

個性的な酸味とフルーティーさを感じるモルト。60年代らしさもある。樽はリフィルのシェリーホグスヘッド(アメリカンオーク)だろうか、微かなシェリー感にオークのニュアンスはあるが、樽が強く出過ぎず酒質ベースの香味が中心にある。突き抜けないが当時の麦の良さを感じさせてくれる通好みの1本。


マニア垂涎のボトル、というべきでしょうか。例えばボウモアやロングモーンの1960年代蒸留で高い評価を受けているリリースが垂涎であることは勿論そうなのですが、こういうメジャーすぎない蒸留所の60年代蒸留に心惹かれてしまうのもまた、コアユーザーの真理だと思います。
今回の持ち寄り会、何開けようかと主催のNS氏から問いがあった際、その場にいた参加者満場一致だったのがこのタムデューでした。

元々、ある程度飲んでいる飲み手は、タムデューなどの内陸系の麦系酒質の蒸留所に興味を持つ傾向が有ります。
また、スペック的な面で言えば、スコッチウイスキーの蒸留所の多くは、消費量が増大した1960〜1970年代にかけてモルティング設備を切り替えたり、蒸留器を新設したり、何らかの拡張工事を行っていることが多くあります。

タムデューもまた1972年(一説では1975年)にスチル増設工事を行っているわけですが、蒸留設備の拡張以外に製麦行程やマッシュタンなどを変えたという記録はありません。
そもそもタムデューは1940年代という早期にフロアモルティングからサラディン式のモルティングに精麦行程を切り替えており、後の時代で替わったのは樽と原料です。(ミドルカットなどの諸条件は勿論変更になっているとは思いますが。)
なにより麦由来の風味でどのような好ましい要素が出ているのか、楽しみなボトルでした。

その香味は加水で少しボディが軽くはあるものの、60年代らしいフルーティーさが備わっていることと、近年の長期熟成70年代とは違う、樽で押し付けたようなドライな香味ではない仕上がりが好印象。寿命はそう長いボトルではないと思いますが、一冬越えて3月の少し温かくなってきた時期に飲むとより美味しくなっているようにも感じました。

今回も素晴らしいボトルのテイスティング機会をいただき、ありがとうございました。

タムデュー 25年 43% 2010年頃流通

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TAMDHU
Aged 25 years
Single Malt Fine Scotch Whisky
2005-2010's
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会に持参
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:しっとりとした粥のような甘さを感じる麦芽香、蜂蜜やオレンジママレード、アーモンドクリーム、ほのかにきび糖を思わせる古酒系のニュアンスも感じられる。

味:マイルドでスウィートな口当たり。ボディはミディアム程度で、甘く香ばしい麦芽風味は、薄めたメープルシロップ、おこし系の甘みやナッツの軽い香ばしさを思わせる。
徐々にドライでウッディ、蜜っぽい甘みとピリピリとした刺激を伴うスパイシーさを感じるフィニッシュ。

甘くマイルドな麦芽風味が、如何にもタムデューらしいタムデュー。加水は必要なし、ハイボールは麦系の風味がくどく、ストレートで。


ショートエイジのリリースが多いタムデューのオフィシャルラインナップから、かつて数年間リリースされていたミドルエイジ以上のボトル。
当時はウイスキーが全般的に低価格で、ボトラーズも1960〜70年代が1万円台でバンバン出ていた頃。。。そのため、このボトルは同価格帯であまり注目されていなかったリリースでした。

ただ、それが2010年頃からの超円高を受けて並行品の価格が七千円前後となり、しかも終売になるという情報もあってスポット的な話題に。自分も家飲み用に最適、なんて当時のブログで記事を書いた懐かしいボトルでもあります。

そこから約7年、久々にこのボトルを飲んでみると、スウィートでスパイシーな風味の主要な部分は変わらないものの、余韻にかけて感じられたオーキーな華やかさがマイルドで麦芽風味、蜜っぽい樽のニュアンスに置き換わっていたのが印象的でした。
これはこれでタムデューらしく、ロット差というより、経年での変化かもしれません。

(タムデュー蒸留所全景。精麦工場が併設された同蒸留所は、古典的な蒸留所としての景観に工場的な要素が組み合わさっているのが特徴。

っていうかタムデューらしさって何やねん、という話もあるかと思います。
オールドにしても近年リリースにしても、オフィシャルはシェリー系の樽感が主体のものが多く、これという個性がないモルトと言われることもしばしば。
ただ、この2000年ごろに流通していたタムデューのオフィシャルは、樽の系統がバランス寄りだったため、逆にそうした酒質部分の要素が分かりやすくもあります。
やはり自分にとってこの蒸留所は、麦の甘みなんだなと再認識しました。

タムデュー 25年 1990-2016 OMC 信濃屋向け 56.9%

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TAMDHU
OLD MALT CASK
SPEYSIDE REGION
Aged 25 years
Distilled 1990
Bottled 2016
Bottled for SHINANOYA
700ml 56.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:開封後3ヶ月程度
評価:★★★★★★★(6-7)

香り:ドライで華やかなアロマ。乾いた麦芽とエステリーな熟成感、ドライアップル、オレンジピール、乾いたウッディネス。時間経過で蜜のような甘い香りも。

味:とろりとした口当たり、エステリーで蜜のような甘み。りんごのコンポート、ナッツや麦芽風味のアクセント、しっかりとした熟成感。
余韻は華やかなオークフレーバーからスモーキーで内陸ピートが染み込むよう。ドライでヒリヒリとしたやや硬いフィニッシュ。

古き良き時代を思わせる、ピートの香るオールドスタイルなスペイサイドモルトだが、現代的なエステリーさも融合している。華やかな樽香と蜜のような熟成感、樽と酒質のバランスは良好で、ここにスモーキーさの合わさる余韻は、個人的にストライクゾーン。開封直後は少し硬い。少量加水すると香りが開き、さらに楽しめる。


信濃屋のプライベートボトルとしてリリースされた、OMCのタムデュー。
タムデューは個人的に好きな蒸留所の一つですが、それはオールドボトルや1960-70年代蒸留のボトラーズの長期熟成が思い浮かんでのこと。
近年のタムデューの酒質は、麦感のある素朴な酒質でボディもほどほど、率直に言えばぱっとしないしみじみ系というイメージでした。

それが今回のボトルは、かつてボトラーズリリースで多く見られた長熟スペイサイドの熟成感と、バーボンホグスヘッド由来の華やかなオークフレーバー。
例えるなら、普段地味な友人が突然バリッと着こなして来たような感じでしょうか。あれ、おまえこんな感じだったっけ!?と。
ややドライですがコクのある酒質から、熟成期間のバランスが感じられるだけでなく。余韻にかけてオフィシャルの通常品では樽感に覆われてしまっている土や木材を思わせるピートフレーバーがじわりと広がり、全体を引き締めていく古典的なスペイサイドのスタイルが良いですね。

近年のボトラーズリリースは、需要の高まりからか、バーボンバレルで短期間に華やかさを付与して強引に仕上げたり、そこに加水をして一見すると飲みやすいものの中間以降ぼやけたような味わいになっているリリースが少なくありません。
今回のリリースはその点、熟成期間を経てしっかりと備わった香味が堪能できる、王道的なスタイルです。
リリース直後の口開けから何度か飲んでいて最近から好みの味わいだったのですが、時間経過で硬さが和らいでさらに良くなって来たなという印象。

ちなみにこのボトルはリリースからあまり話題にならなかった気がします。タムデューというネームバリューか、色が薄いからか、あるいは少し高めの価格も要因としてあったのか。
ただ、それこそこれがロングモーンだったら。。。そんなリリースだと感じるわけです。
ひとつのスペイサイドモルトとして、フラットに楽しみたい1本です。

タムデュー 33年 1969-2003 ハートブラザーズ 40.5%

カテゴリ:
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TAMDHU
HART BROTHERS
Aged 33 Years
Distilled 1969
Bottled 2003
Cask type Hogshead
700ml 40.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後3年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでオーキーな軽い香り立ち。乾いた牧草、バニラ、バナナケーキの甘み、ほのかにパイナップルを思わせるフルーティーさ。時間経過で林檎や土っぽい香りも開いてくる。

味:ドライでナッティ、ほろ苦い乾いたウッディネスから軽い刺激を伴う口当たり。すぐにバニラの甘みと麦芽風味、洋梨。ボディはライトで樽感主体の構成。
余韻はスパイシーで華やか、オーキーなフルーティーさと麦芽風味を伴い長く続く。

所謂樽しゃぶり系ウイスキーで、ホグスヘッド系のフレーバーが主体的なボトルだが、中間以降の麦芽風味にタムデューらしさを感じる。少量の加水で香りは麦芽香主体に、味はドライさが和らぐものの、全体的にプラスとは言いがたい。
タムデューは2010年に一時閉鎖され、2013年に再稼働。古くは1972年及び1975年にそれぞれ改修工事がされており、今回のボトルはその前の蒸留。原酒にどんな違いがもたらされたのかは。。。


度数落ちの典型例とも言えるフレーバー構成。当時のハートブラザーズはこの手のリリースが多い印象があります。
ハートブラザーズは1990年代頃は43%や46%の加水ボトルを主体にリリースしていましたが、ラベルが変わってからはカスクストレングスで度数落ちリリースがメイン。元々加水で出すので度数はあまり関係なく樽買いしていたものの、カスクストレングスの需要が増えたのでそのままリリースするようになった(結果、低度数が多かったが、最近は高度数化)、という流れでしょうか。あくまで推測に過ぎませんが、最近見なくなってしまったリリースの傾向です。

このブログでも度々触れていますが、ウイスキーの熟成は足し算と引き算の積み重ねです。
(某メーカーが「何も足さない、何も引かない」というキャッチコピーを使っていましたが、それでは一体何を作っているんだと。)
足し算は樽由来の香味、あるいは熟成させる場所の空気を介したその土地の何か。引き算はウイスキーを構成する成分。熟成が進めば樽由来の香味の足し算と共に、樽の呼吸を解してアルコールや雑味といった要素が引かれていくのですが、実は引き算される要素もまた、ウイスキーの香味の厚みや複雑さ、言い換えれば個性を担っているところもあり、必要以上に引き算が続くとこの度数落ちのボトルのようにボディが軽く、樽の香味だけが残っていくような構成になる。つまり、過熟です。

ピークがどこにくるかは熟成させる原酒の酒質に加え、樽の種類、さらには熟成環境(気温や湿度)が大きく異なり、一概には判りませんが、流石にホグスヘッドで度数が40%ギリギリまで落ちる40年はやりすぎ。
とはいえ、テイスティングにも書いたように、樽感主体の味わいの中に、1960年代のモルトに感じられる土っぽさ、麦の味わいが残っており、最後の輝きを楽しむことは出来ます。
また、度数が低いので開封後足の速いモルトかと思いきや、あまりへたることなく、樽感もまだまだパリッとしている。最近ようやく麦芽系の甘い風味が感じやすくなったのは収穫でした。

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以下雑談。
さる3月25日は私の誕生日。今年で33歳となりました。
せっかくなので生まれ年、1984年蒸留の何かを開けるかとも思いましたが、ちょうど良いモノが無かったので33年熟成のウイスキーを飲むことにしたわけです。
こういうとき、1980年代のロストビンテージ生まれはなかなか苦労しますね。

家族での誕生パーティーメニューは、我が家の最重要事項である息子の一声で"餃子"に。ハンバーグとかステーキじゃなくて、餃子なのか・・・(笑)。これにケーキですから、テーブルの上にちょっとした異世界が広がっています。
土曜の日中外出する妻に代わり、自分で自分の誕生日を祝うメニューを作る妻子持ち会社員(33)。
そんな疲れも吹き飛ぶ息子と妻が歌う誕生日ソング。後片付け含め、昨晩は完璧にやりきりました。

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