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オルトモア 20年 1997-2017 ウイスキーギャラリー 50%

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AULTMORE
Whisky gallery
Aged 20 years
Distilled 1997
Bottled 2017
Cask type Hogshead
700ml 50%

グラス:サントリーテイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:BAR飲み@Gosse
時期:開封後1〜2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:軽く華やかなオーク香、バニラや皮付きの洋梨、草っぽさ、微かにハーブを思わせるニュアンス。

味:オーキーでドライだが徐々に柔らかいコクを感じる。干し草、薄めた蜂蜜、淡くドライファイバーパイナップル。
余韻は華やかでスパイシー。乾いた木材、ほろ苦い麦芽風味に程よい雑味を伴うコクがアクセントとなっている。

所謂オークフレーバーと草っぽさが主体的、酒質はプレーンで主張は強くないものの、樽由来の甘みやコク、淡いフルーティーさがあってバランス良く飲み飽きないモルトに仕上がっている。しみじみ旨い、通好みな1本。


ウィスクイーがリリースするシリーズラベル、ウイスキーギャラリーの第一弾。
ウイスキーは、樽熟成によって無色透明の原酒に様々な色合いと香味がつくことから、無地のキャンパスから描かれる1枚の絵画に見立て、リリースしていくのが同シリーズのコンセプトなのだとか。

記念すべき第1作の中身に選ばれたオルトモアは、あまり個性の強くないスペイサイドモルト。うまく熟成させられていれば麦芽系のニュアンスやコクが残るものの、文字通り樽主体な味わいのボトルは少なくありません。
とするならば、今回の中身とラベルの絵がどのようにリンクしているのかは気になるところで、ラベルを選定した方の意見も聞いて見たいと感じます。
個人的な意見を言えば、草っぽさは感じますが、こんな鬱蒼として暗い感じの味ではなく、もう少し晴れやかで爽やかな味わいだと思うんですよね。。。 

とまあ文句を言うわけじゃないんですが、ラベルに対する疑問はさておき、中身は中々旨いオルトモアです。
ホグスヘッドの過度なウッディさのない華やかな甘みは程よく。余韻にかけての雑味と言いますか、近年のスペイサイドにありがちな、乾いたようなウッディさとドライで軽い感じではなく、麦芽風味にコクもあって飲みあきにくい構成のモルトに仕上がっています。

かつてブレンダーからその酒質を評価され、今でもデュワーズを中心として構成原酒の重要な役割を果たすモルト。
今回のボトルは現行オフィシャル系統の味わいとも感じますので、現行品を飲んで気に入られた方は、BAR等で試して見ても良いと思います。

オルトモア12年 46% オフィシャルボトル

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AULTMORE 
Of the Foggie Moss 
Aged 12 Years 
46% 700ml 

グラス:SK2など
量:100ml以上(個人所有)
場所:自宅
時期:開封後1~2週間程度
評価:★★★★★

香り:麦芽やバニラの甘く穏やかなアロマ、香料のような柑橘系のニュアンスもあり爽やかな香り立ち。スワリングしていると乾いた木のツンとしたエッジ、微かにハーブ、白葡萄を思わせる酸味も感じられる。

味:乾燥させた麦芽をかじったような、ほろ苦さと白い粥のような甘み。柑橘系の酸味と洋梨の香味がアクセントになって後半にかけて伸びて行く。ボディには程よい厚みがあり、浮ついた感じがない。
余韻はほろ苦い麦芽風味、じわりと染み込むように長く続く。
少量加水すると柑橘系の風味が強く感じられるが、バランスが良くなる印象はない。


ロイヤルブラックラ、マクダフ、クライゲラヒと並んで、デュワーズ社が「ラストグレイトモルト」シリーズとしてリリースした1本。
これまで同蒸留所は、原酒のほとんどをブレンデッド用としていたため、オフィシャルシングルモルトは花と動物シリーズや1980年代にリリースされていたものくらい。ほとんどはボトラーズの印象しかない銘柄でした。 
それが世界的なウイスキーブームを受けてか、ブレンド用だった蒸留所からもシングルモルトをリリースする流れが加速しており、今後の動きも含めて非常に楽しみな展開になっています。

オルトモアの酒質は癖の少ないタイプで、穏やかでありながらボディに一本芯がある、ブレンドに使いやすそうだと感じる味わいが特徴。言い換えればシングルモルトの場合はシェリーでもバーボンでも、樽との馴染みの良い酒質であると言えます。
今回のボトルもまた際立った個性はないものの、柔らかい口当たりから余韻にかけてバランスよく広がる麦芽風味とオークフレーバー、ノンピートでくどさのない穏やかな余韻。少し若さを感じる部分もありますが、気になるほどではありません。
香味全体を通して柑橘系の風味がアクセントになっていて、麦芽風味一辺倒の単調なタイプではないのもポイント。古き良きかつてのオフィシャルを感じる要素であり、オフィシャルスタンダードとして家飲みするなら丁度いい塩梅、と思える味わいに仕上がっています。 

オルトモア21年 (1992-2014) よしのや&キャンベルタウンロッホ

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先日アランについて紹介した際、ボトラーズからは良く出る傾向にあると書いたバーボン樽熟成。ちょっと前にリリースされたその系統で、評価の高かったのが、このBBRのオルトモアでした。
味の傾向は大多数のバーボン樽熟成のスペイ・ハイランド系モルトと同じです。ただ、熟成のバランスが良いというか、完成度が高いというか、つきぬけはしませんが「あぁ、旨い」と飲める、そんなモルトに仕上がっています。
 
AULTMORE
BERRY BROS & RUDD LTD
(Specially bottled for Yoshinoya & Campbeltoun Loch)
Aged 21 Years
Distilled 1992
Bottled 2014
52.7% 700ml

評価:★★★★★★★(7)
 
"青りんごと蜂蜜、そして麦芽の甘く爽やかな香り立ち、微かに乾いた木のアロマ。スワリングすると天津甘栗を思わせる焦げた甘いオーク香も出てくる。
まろやかでコクのある口当たりからドライフルーツの濃い甘さ、バニラクリームとビスケット、後半に白桃のシロップ漬け。刺激は少なくスイスイと飲めるだけでなく、後半に広がりがある
フィニッシュはオークの香りと蜂蜜の甘さ、微かにグレープフルーツのワタの苦味、優しくドライで染みこむように残る。"


バーボン樽熟成の傾向としては、樽が小さいためど樽材の影響が強くなりがちで、ドライだったり、木香やアルコール感が強かったり、ギスギスした味わいになりがちです。しかしこのオルトモアは上述の通り非常にバランスが良く、オーク由来のドライさも、甘さも、全てが良いところに落ち着いています。

先日カヴァランのピーテッドのコメントの中で少し触れましたが、原酒は熟成させればさせるほどカドが取れて丸みを帯びてきますが、例外を除けば度数も下がりパワーも落ちていきます。
一方で、樽の影響は通常の熟成環境であれば経年と共に強くなっていきます。
これはシェリー樽にしろバーボン樽にしろ同じことですが、ただ熟成させれば良いわけではなく、樽の影響と原酒の変化に「適切な妥協点」を見つけるかが、熟成のピークの見極めなんだと考えています。

原酒の変化は入れられた樽の素性も少なからず影響を与えると考えられます。例えば木目が良い部分に当たったとか、樽の組み方の関係で他の樽より通気性が若干良かったとか。
そういう様々な要素の積み重ねが熟成期間中に作用して、たまたま今回のように21年の経過でこうした原酒が出来た。
味の要素はちょっと良いバーボン樽熟成のモルトという感じですが、この熟成のバランスは評価に値しますね。

原酒を選ばれたよしのやさん、キャンベルタウンさんには感服の一言です。
 

余談:
自分がテイスティングでたまに使う「桃のシロップ漬け」は、いわゆる桃の缶詰です。
白桃缶も黄桃缶も、それぞれウイスキーに共通する香味があると感じています。

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