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タリスカー 15年 スペシャルリリース 2019 57.3%

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TALISKER 
AGED 15 YEARS 
SPECIAL RELEASE 2019 
Distilled 2012 
Cask type Charred American Oak Hogsheads 
700ml 57.3% 

グラス:シュピゲラウ
時期:開封後1週間程度
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:チャーオーク由来のほのかに焦げたようなアロマ、タールや葉巻葉、微かに魚醤のような癖。合わせてアプリコットジャムを思わせるドライフルーツ香とほのかなピート、スモーキーさがじわじわと広がっていく。

味:度数に反して柔らかい口当たり。乾燥させた麦芽風味、アプリコットのアクセント、ほのかに焦げ感とざらつきのあるチャーオークのウッディさ。徐々に黒胡椒を思わせる風味とスパイシーな刺激、ピーティーで仄かにヨードを含むスモーキーさが鼻孔に。余韻はスパイシーさの残滓と柔らかい甘さを伴う心地よいフィニッシュ。

まさに王道、オフィシャルハウススタイルど真ん中というタリスカー。ピーティーなフレーバーに加えて10年、18年に共通する果実香や、ハイプルーフ故にさらに感じやすくなったスパイシーさ。樽由来のフレーバーは若干チャーオーク系の要素を感じさせるが、バランス良く過剰なチャーオーク感はない。むしろスパイシーさのなかで黒胡椒に通じる風味を後押ししている。
突き抜けて旨いわけではないが、完成度は非常に高くバランスも良い。家飲みで複数本あっても苦にならないタイプ。


2019-2020リリースとなるディアジオのリミテッドエディション。これまではオフィシャルスタンダードをベースにしたデザインが多かったところ、今年のリリースから「Rare & Nature」をテーマとし、ラベルデザインは花と動物シリーズをオマージュしたものへと方針転換。蒸留所を取り巻く野生動物や草花をイラストに加えた、懐かしくも新しいデザインへと変化しました。

タリスカーについては、昨年のスペシャルリリースで8年がオフィシャル・ヤングエイジで初のカスクストレングスで登場。何より、名作と名高いTDラベルのタリスカーと同じ8年スペックということもあり、愛好家の間で話題となりました。
そして1年。アイラ、アイランズ系の人気蒸留所はこの先短熟成メインかと思いきや、ここでミドルエイジの15年がラインナップに。別枠ですが、アードベッグからは19年が昨年リリースされましたし、グレンモーレンジ含むディアジオ系列のリミテッドリリース方針は、本当に何が出てくるか読めずにワクワクしますね。


今回、熟成に使われた樽はチャー済みのアメリカンオークホグスヘッド(おそらく1st fill)。最大の特徴はこのチャー済みの樽由来のキャラメルのような甘さと焦げ感が、くどくなく全体の香味を構成する一要素として存在している点。これがまず作りの上手さとして感じられる要素の一つです。
同系統の香味はオフィシャル10-18年にもあり、ハウススタイルとして認識する要素だと思いますが、今回のリリースではそれがスパイシーさと結び付いて蒸留所の特徴をさらに引き立てているように感じます。

また、熟成したモルトと樽感が結びついたフルーティーさも、柔らかい口当たりの後に複雑さを形成しています。
個人的に去年の8年は悪くないけどそれなりというか、熟成の壁は越えられないなという印象があったところですが、この15年に感じられる「熟成したモルト」のバランスには、香味を受け止める鼻と舌側の"余裕"または"あそび"が良い意味で存在し、ハイプルーフ仕様でありながらホッとしてしまうのです。

ボトルとしての完成度は高く、安定感もある。しかし突き抜ける要素は控えめで、例えば豪速球のような目立つ能力で試合を制圧するような絶対的エースではないのですが、居てくれたら安心する数字は残すタイプの選手。。。これ以上をこの価格で求めるのは、それはもう贅沢というものですね。
価格面含めて、今年のラガヴーリン12年同様にグッドリリースだと思います。

タリスカー 10年 2010年代流通 45.8%

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TALISKER
Aged 10 years
2010's
750ml 45.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR CAPERDONICH
評価:★★★★★★(5-6)

香り:やや荒さはあるが、ドライオレンジピールやハチミツ梅を思わせる酸味、ピーティーで焦げた木材、塩素、微かに魚介粉末のような要素。

味:荒さの残るピーティーさ、香り同様にアプリコットや微かに梅っぽさを含む酸味、とろりとしたコクが舌をコーティングするように感じられる。余韻はドライでビター、ほのかに焦げたようなウッディネス。スモーキーでスパイシー。

突き抜けるわけでも、スケールが大きいわけでもないが、スタンダードグレード枠として見ると中々完成度が高い。特に若さに通じる要素が上手くカバーされており、近年タリスカーの個性を感じ取りやすい。ハイボールも良好。


数年前にラベルチェンジした、旧ラベルのタリスカー。流通時期としては2000年代後半(2006年ごろ)〜2015年の約10年間くらいだったと記憶しています。
さらに旧ラベルの情報をまとめると、
①1990年代後半から2000年代前半
スカイ島の周りに枠が書かれ、印字が濃い。
②1980年代後半から1990年代前半
10年表記でリリース。マップが半分に分割されたようなデザイン。通称マップラベル。グリーンとブラウン、ボトルカラーが前期と後期の流通時期で分かれている。
③1980年代中頃から後半
TDロゴ廃止。ジョニーウォーカーのロゴが入る。
④1970年代から1980年代初頭
エイジングは8年と12年。TDと書かれたロゴが特徴。通称TDラベル。

以上のような遍歴があります。
タリスカーは1990年代、UD社時代の②
ラベルから国内には一定数入ってきていたため、以降の在庫は相応にあると考えられます。
ですが人気の銘柄ということもあり、現行品から見て旧旧ラベルの①ですら、ヤフオク価格で1万円を越えてきている状況。
今回のボトルはまだ当時価格かちょっと高いかくらいですが、②のグリーンカラー時代や③あたりになると、流石に手を出しにくい。勿論美味いボトルであることは間違いないものの、古ければ・・・というような、過剰に高騰してきている感は拭えません。

(2019年時点、現行品のタリスカー。旧ラベルに比べてドライ、コクが薄くなった分樽感や酒質の荒さが強調された印象はあるが、ハイボールで使いやすい。価格良し、個性良し、流通良し。現行品枠の優等生な1本。)
(②と①、1980年代末期から2000年代に前半流通のタリスカー2種。この2本は樽使い違いか、①は現行路線のスパイシーさが、②はマイルドな飲み口の中に麦感と島系の要素。キャラクターに線引きがされている印象。画像引用:https://blogs.yahoo.co.jp/tsuto2106/9515847.html)

前置きが長くなりましたが、この時代のタリスカー10年は、良くも悪くも現行品とフレーバーに大きな違いはない、まさにスタンダードな仕上がりです。
独特な酸味を伴う香味、ピーティーさはまさに近年のタリスカーの特徴。違いは全体のまとまりがいいというか、ボディに多少コクがあり、それがピートやヨードと樽由来のフレーバーを繋いで、バランスのよさに一役買っている。
先に触れたように、現行品はここがドライで、全体的に荒いというか刺々しいですね。

以前MHDの方から、最近はサードフィルあたりの樽で酒質を活かすように熟成した原酒に、ファーストフィルの原酒を加えて香味のバランスを取っているという話を伺ったことがあります。
例えばファーストフィルがかつては2割だったのが、1割になったら、全体のバランスに大きく影響します。
麦や製造行程以外に要因があるならば、このサードフィルやセカンドフィルの比率が増えてきているのかもしれません。

タリスカー 11年 1988-1999 OMC 50%

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TALISKER
OLD MALT CASK
Aged 11 years
Distilled 1988 March
Bottled 1999 June
750ml 50%

グラス:リーデルコニャック
時期:不明
場所:BAR Sandrie
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:度数を感じさせない柔らかい香り立ち。バニラとオレンジやレモンを思わせる柑橘感、焦げた干草のような麦芽香とスモーキーさ、微かに魚介系のニュアンス。

味:出汁感のあるオイリーでコクのある口当たり。バニラ、乾いた麦芽風味、合わせてピーティーで焦げた干草を思わせるスモーキーさが鼻腔に抜ける。
余韻はピリピリとスパイシー、オイリーな要素が舌を包むように長く続く。

若いボトルだが嫌味な要素はなく、むしろ経年変化もあって柔らかくしっとりとした香り立ちと、コクのあるボディが特徴的。樽感はプレーンなタイプで、UD系のキャラクターを思わせる酒質ベースの仕上がり。少量加水するとまったりとした甘みとコクが引き立つ地味美味い系モルト。


確認したい事があってオーダーした、1980年代蒸留のタリスカー短熟ボトル。
というのも、一つはタリスカー8年がリリースされ、短熟タリスカーのキャラクターの指標に一つにしたかったこと。そしてもう一つが、"グレンブレア"という正体不明のピュアモルトを飲んだ際、その味がどうも昔のタリスカーではないかという香味で、近いビンテージのものを復習したかったから。
探していたところ、サンドリエさんにちょうど良いボトルがあったのです。

(バーンスチュワート社が1990年代初頭にリリースしたグレンブレア12年ピュアモルト。島系のスモーキーな味わいだが、当時の同社所有蒸留所にスモーキーな個性のものはなく、主要原酒は謎に包まれている。おそらくタリスカーではないかと予想。)

グレンブレアの件のついては、後日同ボトルのレビュー記事でまとめるとして。。。
このOMCのタリスカー、樽感はプレーンですが、過度な荒さはなく酒質由来の香味もわかりやすい、素性の良い短熟タイプのボトラーズです。おそらく樽出しは60%くらいだったんでしょうけど、OMC特有の50%加水が効いて、良いまとまり具合です。
先日リリースされた8年とも共通項があり、時代による差はあれど、タリスカー蒸留所の個性が安定していることを感じる指標にもなるボトルだと思います。

ちなみのOMCでタリスカーと言えば、タリスカー名義を使用することを回避するため、タクティカルというブランド名でリリースされていたことで知られています。
ところが今回のボトルはタリスカー。時期が違うのかと思いきや、このボトルとほぼ同時期の2000年リリースでタクティカル表記があり、また最近になってタリスカー表記に戻ったような感じです。

1990年代後半と2000年代で何があったんでしょうか。UDからディアジオへの切り替わりは1997年でタイミングが合わないですし、何よりGMやケイデンヘッドは普通にリリースしてるんですよねえ。
どーでも良いですが、ちょっと気になるウイスキー業界の謎なのです。

タリスカー 8年 59.4% リミテッドリリース 2018

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TALISKER
Aged 8 years
Limited Relase in 2018
Cask type 1st fill American oak Bourbon Casks
700ml 59.4%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:持ち寄り会
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:透明感があり、塩素を思わせるツンとした刺激、シトラス、フレッシュなピート香と淡い焦げ感。徐々に燻したようなニュアンスとヨードを淡く伴う。

味:ピーティーでオイリーな口当たり。奥からグレープフルーツのわた、砂糖漬けレモンピールを思わせる柑橘感をアクセント。合わせてソルティー、乾燥した麦芽、個性が際立っている。
余韻はスパイシーで焦げたようなピーティーさ、口内を刺激する軽い荒さを伴って長く続く。

樽感は比較的プレーンで、フレッシュな香味を邪魔しない程度。それでいてニューポッティーな印象はなく、若い原酒の勢いと個性がまとまっている、作りの上手さを感じる1本。
少量加水すると程よいこなれ具合、ハイボールは微かな柑橘感のある酸味、焦げたようなピーティーさでこれもまた楽しめる。


毎年恒例、ディアジオのリミテッド、スペシャルリリース。日本では例年翌年の4月にMHDからまとめてお披露目されますが、イギリスでは銘柄毎に順次リリースされています。
今年はここ数年必ずラインナップに組み込まれていたポートエレンやブローラが無いなど、価格的な派手さは控え目。
ですが、そのラインナップのうちコアドリンカーの注目を集め、既に話題になっているのがこのタリスカー8年です。


リリースそのものは、昨年ラガヴーリン8年がリリースされたように、NA化やヤングエイジ化という近年のスコッチに見られる傾向の一つ。しかし、ことタリスカーで言えば、8年熟成は1980年代までのリリースで高い評価を受けたオフィシャルスタンダードを連想するスペックであるだけでなく。ヤングエイジで初のカスクストレングス仕様という点も合わせて、その筋の愛好家から興味関心を集めるには充分すぎると言えます。

一方、ハイプルーフで若いオフィシャルと言えば、タリスカーノース57%あたりと香味の重複があるんじゃないかと思いきや、そこは流石のリミテッドです。
ノースは若く荒々しい味わいに、樽香も強目な作りですが、この8年は樽香はあくまで自然に、淡く柑橘感とコクを後押ししている程度。無難と言えばそうなのですが、若い酒質由来のフレッシュな香味が嫌味少なく楽しめるあたりが、これまでのスペシャルリリース路線から外れない丁寧さを感じる構成であり、違いとも言えます。

かつてのTD ラベル時代のタリスカー8年とは構成から違うので、比較するようなモノでもありませんが、これはこれで好まれる味わいなのではないでしょうか。
先述の通り話題性も抜群。価格も現地を見る限りそれほどでもないですし、国内入荷の暁にはちょっとした争奪戦になるんじゃないかと思います。

タリスカー ネイストポイント 45.8% 免税向け並行品

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TALISKER 
NEIST POINT
For Travel retail
700ml 45.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:BAR飲みなど
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:燻したスモーキーさ、キャラメル、杏ジャムや微かに梅干しを思わせる甘みと酸味。サラミ、胡椒を思わせるアロマ、塩素系のツンとしたニュアンスも感じられる。

味:スムーズでコクがある。燻したピーティーさとオレンジママレード、合わせてスパイシーで焦げたようなオークのニュアンス。
余韻はピリピリとスパイシーな刺激に加え、塩気と染み込むようなピートが長く続く。

タリスカーのオフィシャルらしさを、若さ由来の勢いのある個性と熟成した原酒のコクで全体のバランスとして整えている。これはこれで完成度が高いというか、面白さのあるシングルモルト。
ハイボールはすっきりとした飲み口だが、ややパンチというかボディに欠ける印象もある。ストレートで蒸留所の個性を楽しみたい。


免税店向けにリリースされていた、タリスカーのノンエイジ仕様。Neist pointはスカイ島の最西端にある岬の名前で、スカイ島を象徴する名所の一つのようですね。ラベルにはその緯度経度が書かれています。
リリースは約3年前、日本には2年ほど前から並行品が入ってきていました。自分も何度かテイスティングし、オフィシャル18年とは異なるベクトルで面白さのあるリリースと感じたことから、対抗馬として紹介していたところです。

一方、最近はオフィシャル18年が値上がりしただけでなく、熟成感が減ったというかボディの薄さが目立つようになってきたこと。何より、1万円を下回る並行品(最安税込7k台)が今年の夏頃から某酒販に入ったこともあり、2つの理由でオススメと言えるボトルになってきました。

原酒の構成はNA仕様らしく、若い原酒から熟成したものまで、比較的幅広く使われている印象で、樽構成はオフィシャルスタンダードと同系統。
若いタリスカーのスパイシーさや、存在感のあるピートフレーバーが感じられる一方、それらをコーティングするようにマイルドな酸味、熟成した味わいもある。おそらく、10年弱あたりから20年くらいの間でバッティングされている銘柄なのではないかと推察しています。


先日とあるイベントで、2018年ロットの18年とネイストポイントを改めて飲み比べましたが、ベクトルは違えど見劣りするような構成ではありません。
一方、海外のレビューを見ると結構辛口な評価が目立ちます。
こんなんだったら10年で充分だとか、18年が素晴らしいからそっちをお勧めするとか・・・。先に書いたように、熟成したニュアンスだけでなく、10年程度の熟成を思わせる若さ(といってもニューポッティーなものではなく、香味の勢いや刺激的な意味)も感じられるため、熟成して一体感のある味わいか、様々な要素が主張するキャラクターか、人によって好みが分かれるということなのだと思います。

これが例えばマッカランのようにスムーズな飲み口をキャラクターとする銘柄なら、確かに一体感に欠ける点は弱点であると言えます。しかしタリスカーは荒々しさや、黒胡椒を思わせるスパイシーさをキャラクターとする蒸留所であり、その点を感じさせつつ熟成した香味も備わっているネイストポイントは、自分としては楽しめる要素の多いリリースであると改めて感じました。


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