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BEHIND THE CASK (ビハインドザカスク) 代表に聞く ブランドコンセプトとリリース方針

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2021年、 青森県で立ち上がったボトラーズブランド「BEHIND THE CASK」
自分の周囲では、先日 T&T TOYAMA社やドラムラッド社が活動を開始しましたが、ウイスキー市場の拡大を背景にまた新しいブランドがスタートしていました。

BEHIND THE CASK
WEB:https://www.behindthecask.com/
SNS:https://twitter.com/BehindtheCask
ADDRESS:〒030-0862 青森県青森市古川2-10-9
TEL:050-8881-6239

同社のリリースについては、独自調達した原酒を日本国内でボトリングしている風景や、フランスの白ワインを思わせる特徴的なボトルデザインが目を引き、注目を集めています。しかし、リリースコンセプトやメーカースタンス、そしてボトルのラベル表記は謎に包まれた部分がありました。

先日、SNSで同社のローンチリリースADN-97の簡易レビューを投稿した際、公式アカウントから「質問を受け付ける」旨のレスポンスを頂き…。
これはチャンスと直接お話しを伺ってみたところ、これまでの日本のメーカーにはない「ワインとウイスキーのハイブリット」視点のコンセプト等、面白い試みが判明したのです。

今回の更新は前編後編構成。前編記事では、同社代表である澤田氏に伺った内容を以下に対談形式でまとめ、先に触れた「謎」の部分を解説していくと共に。後編記事ではリリースされたウイスキー2種についてもレビューしていきます。

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■対談内容まとめ
同社との対談はかなりボリューミーなものになったため、要点を以下にまとめます。詳細まで把握したい方は、本編を確認ください。

BEHIND THE CASK社概要:
・イギリス等で調達した原酒を輸入し、日本国内でボトリング。
・ワインボトルにワインコルク、ラベル含めワインを想起させる外観が特徴。
・2021年8月に1stリリース。1989年5月蒸留のブレンデッドグレーンIGN-89、1997年6月蒸留のブレンデッドモルトADN-97をローンチ。

Q1:なぜワインボトルでリリースしているのか。コンセプトを知りたい。
⇒「ソムリエがサーブするウイスキー」をコンセプトとしている。それは、ワインのようにウイスキーにおいても瓶内変化、温度、グラス等、原酒の変化とポテンシャルを引き出す手法に拘って楽しんで欲しいというメッセージを込めており、コンセプトを体現する為にワインボトルを採用している。

Q2:原酒の調達は?なぜ国内でボトリングしているのか。
⇒原酒調達は元ケイデンヘッド社のマーク・ワット氏に協力頂いている。ボトリングについては、ワインボトルはイギリスの工場ではボトリング出来ず、自分の考えるコンセプトを形にして発信する為、日本で独自にボトリングしている。

Q3:同ブランドのラベル表記(ボトリング日と熟成年数)に関する疑問。
日本ではなくイギリスで樽から払い出されて輸入した原酒について、表記されたボトリング日は国内のもの。イギリスでの払い出し日から間隔が開いていないか。また、日本への輸送期間も熟成年数に含まれていないか。
⇒輸送期間は熟成年数に含まれていないが、既存ラベルは誤解を招きやすい表記だったと感じており次回から修正する。なお、1stリリース2種の払い出しは2021年6月頃で、その後原酒を空輸している。

Q4:疑問は解消したが、こうした情報を発信した方が良いのでは。
⇒ミステリアスなところから興味関心を持って貰えればと考えていた。しかし誤解にも繋がってしまったと思う。今後は当社が考える飲み方、飲み頃等、SNS等で積極的にコンセプトを発信していく。

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■対談本編(対談者:BEHIND THE CASK 代表 澤田氏)
くりりん(以下、く)「…前略…。”BEHIND THE CASK”は、デザインや中身について評判が良いようです。一方で、ラベルを見て疑問に思うところや、ブランドコンセプトがわかりにくいと感じていました。こちらについてまず伺いたいと思います。」

澤田(以下、澤)「お手柔らかによろしくお願いします(笑)。当社のブランド、BEHIND THE CASKは始動にあたってミステリアスなところをアピールしようと考えていました。これは何だろう、どんな会社だろう、興味を持ってもらえるのではないかと考えたわけです。そのため、リリースにかかる情報や、コンセプト等の発信をあえて積極的に行っていませんでした。ただ、結果として一部誤解を招いたところもあったと思います。」

く「私としてもこの機会に正しく理解していきたいと思います。早速ですが、ラベルの表記についてです。まず1stリリースの2本は2021年8月ボトリングと表記されていますが、これらは日本で熟成されている原酒ではないため、樽出しはイギリスと考えられます。つまり日本への輸送期間分、払い出し日が数カ月単位でズレていますよね。」

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澤「はい、当社は日本国内でボトリングをしていますが、原酒は選定したものをイギリス等からタンク又は仮ボトリングした状態で運んできています。そのため、1stリリース2本については、イギリスでの払い出し日から輸送期間があった上で、国内でのボトリング日となります。」

く「日本では法律上ラベル表記の整理がありません。その記載がルール的にNGかというとそうではないのですが、一般的なリリースの理解で言えば、消費者は直前まで樽に入っていたと誤解してしまいませんでしょうか。」

澤「言い訳がましくなりますが、その点まで考えが及んでおらず、多くのお問い合わせも頂きました。おっしゃる通りですので、次回のリリースでは本国側での樽からの払い出し日を明記しつつ、必要に応じて日本での瓶詰め日を併記する形にしたいと思います。」

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(※同社SNSで公開されているボトリング設備の一部)

く「もう1点気になるのが、熟成年数の表記です。例えば今回のボトルADN-97の場合、蒸留年1997年6月に対し、日本でのボトリング日2021年8月からの起算で熟成年数がカウントされていませんでしょうか。海路で運んだ場合、イギリスからではどんなに早くても4カ月、今は半年くらいかかってしまうと思います。そうなると、熟成年数は24年ではなく23年ではないかと思うのですが。」

澤「実は今回は、イギリスから原酒を輸出してもらう直前で輸出方法に関して待ったがかかり、時間が無かったため空輸に切り替えたのです。当初、選定した原酒をタンクで輸入する予定だったのですが、本国側で仮ボトリングしてくれと言われてしまい。。。AND-97の払い出しは2021年6月で、そこから1か月程度で国内へ。ラベルには2021年8月と表記して造ってしまっていたため、日本国内での詰替えが急ピッチの作業となってホントに焦りました(汗)」

く「エアーだったんですね。それなら納得です。また仮ボトリングという苦肉の策をとったことや、ラベルの表記が消費者の疑問に繋がってしまったと。熟成年数についてはこちらの深読みしすぎだったこともわかりましたし、個人的に最大の疑問点がクリアになりました。」

日本におけるPB ボトラーズの整理
(※日本のボトラーズブランドがPBリリースを行う流れの概要図。本国でラベル貼付け含めボトリングを行うケース①はSWAの審査が厳しいことや、ラベルの自由度が著しく制限されることもあり、現在はSWAの基準を満たす仮ラベルで審査を通し、日本国内で独自のラベルに張り替えるケース②が多い。BEHIND THE CASK社のリリースはケース③の予定が、ケース②とのハイブリッドになったもの。)


■ボトル形状とリリースコンセプトについて
く「BEHIND THE CASKのリリースは、やはりこのシャトーイケムを思わせるワインボトルやコルク、ラベルデザインが目を引きます。1stリリースでは日本国内で詰め替えてまでこのボトルにしている、これらには狙いがあるのでしょうか。」

澤「この説明は、当社が目指すモデルメーカー、当方の経歴、リリースコンセプトという順に説明させて頂ければと考えています。
まず、当社はフランスのウイスキーボトラーズ、ミシェル・クーブレ社を、目指すモデルの1つに掲げています。こだわりの樽の調達、独自の熟成というところには辿りつけていませんが、将来的に実現する方法は既に目星をつけています。
そして当方の経歴ですが、元々ワインから洋酒関連のビジネスに関わり始めました。ソムリエの資格を取得し、ボルドー大学でテイスティングコースを受講しました。一方で、ウイスキー分野ではウイスキーの製造にも関わってきました。そうした経験の上で、自分は“ソムリエがサーブするウイスキー”をイメージし、BEHIND THE CASKのリリースにワインボトルを採用したという経緯があります。」

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く「ミシェル・クーブレ社のリリースもワイン的な外観がありますね。一方で、お話ありました“ソムリエがサーブするウイスキー”について、もう少し詳しく説明頂けますでしょうか。ソムリエのサーブというと、ワインの状態や温度、様々な要素を最適なところでグラスに注ぐ、というイメージがあります。この考えをウイスキーにも取り入れるというメッセージでしょうか。」

澤「はい、この点がこれまで充分説明できていなかった、当社リリースのコンセプトだと思います。
ウイスキーをはじめ、お酒はボトリングされた後も日々変化していくものです。ワインはまさに変化を見極めていかなければならないお酒の代表であり、ピークを迎えて最適な状態で飲むワインの素晴らしさは筆舌に尽くしがたいものです。ウイスキーにおいても、早飲みするもの、多少空気に触れさせたほうが良いもの、数年間の時間を経て面白い変化が見込めるもの、ワイン同様に様々なタイプがあります。私はソムリエとしての経験、そしてウイスキー愛好家としての経験から、変化も含めてウイスキーを楽しんでほしい。こうしたメッセージを込めて、ワインを想起させる外観、仕様をBEHIND THE CASKのリリースに採用させて頂きました。」

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く「なるほど、非常に良くわかりました。それで“ソムリエがサーブするウイスキー”なんですね。確かにサルファリーなシェリー樽熟成ウイスキーが、時間経過でベリー香を纏うものに変化したり、バーボン樽熟成のものもウッディさの角が取れるなど、変化を楽しみながら、我々愛好家は日々ウイスキーと向き合っています。今後、BEHIND THE CASKのリリースは、飲み頃、変化の予測も含め、提案していくということになるのでしょうか。」

澤「そうですね、まだ情報発信ツールやサイトなども整理している最中で、そこまでまとめられていないですが、次のリリースに向けて準備を進めていければと思います。また、SNS等に投稿される愛好家の皆様からの感想も確認させて頂き、リリースしたボトルの変化に関するフィードバックとさせてもらえればと考えています。」

く「ひょっとしてラベルの大部分を占める空白は、ボトルの状態や開封日等をメモしておくようなイメージで作られたりしました?」

澤「いえ、そこまでは考えていませんでした(笑)。ですが、ワインでもセラーに入れた日をメモしたり、タグをつけられたりする方もいらっしゃいますから、そういう使われ方があってもいいかもしれません。」

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■原酒の提供とパートナーについて
く「細かいことで恐縮ですが、ワインボトルを使用する理由は理解できましたが、これを国内でボトリングする理由を教えてください。」

澤「端的に言えば、それを実現できるボトリングメーカーがイギリスに無かったことです。BEHIND THE CASKに用いる原酒は、CADENHEAD’Sのマネージャーだったマーク・ワット氏の協力を得て確保した原酒の中から、趣旨に沿ったものを選んでいます。一方で、これをイギリス本国でボトリングしようとすると、ワインボトルがボトリングラインに合わなかったり、メーカー側にも在庫がないので、当社のように少数リリースで規格にないボトルやラインの調整までは行ってくれません。自分が考えるコンセプト、メッセージを込めたリリースとするためには、国内でボトリングを行うしかなかったのです。
また、だったらノーマルなボトルで良いじゃないかと思う方も居るかもしれませんが、細部にまで拘ってこそ、プライベートリリースの魅力に繋がると考えています。」

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(※マーク・ワット氏。ケイデンヘッド社を退職後、Watt Whisky Campanyを立ち上げ引き続きウイスキーリリースに関わっている。画像引用:https://whiskyfacile.wordpress.com/2020/05/16/interview-mark-watt-campbeltown-whisky-company/)

く「神は細部に宿る、ということですね。確かに、今回リリースされた2種類については、色合い的にもまさにイケムのような仕上がりで、ボトルを手に取ってみると独特な存在感があり、バックバーにあっても目立ちそうです。なお、コンセプトに絡んだ想定はどのあたりだったんでしょうか」

澤「IGN-89は長期熟成のグレーンで、瓶内変化のスピードは非常に緩やかです。すぐにでも飲めますが、ややドライでウッディな質感があるため、その点の変化が期待できます。温度としては常温で、ただし冬場は少し温めるくらいがいいと思います。
AND-97は開封直後から蜂蜜、洋梨、そして花のような甘みと酸味を感じる香りがあり、香味ともあまりトゲトゲしいところはありません。これらの要素がグラスの中で馴染み、開いていくことから、比較的早飲みのイメージです。温度としては、軽く冷えた状態からサーブすると、常温に戻る過程で変化をさらに楽しんで貰えるのではないかと思います。」


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く「赤ワインや白ワインのような捉え方ですね。そうした発信がリリースと合わせてあると、他社にはない試みとなって一層面白さが出てくるように思います。後はグラスの指定や…デキャンタージュ等も考えられますね。」

澤「はい、まさにデキャンタージュについては考えていました。ウイスキーをデキャンタージュする方法を取り入れている愛好家がいるとも聞いていますが、オフフレーバーの軽減、アルコールや樽香のトゲトゲしさをコントロールできるのではないかと考えています。ウイスキーにはウイスキーの良さが、ワインにはワインの良さがあり、無理にこれらを融合させるつもりはありませんが、良さを引き出せると感じられる手法は試していきたいと考えています。」

く「長々と質問にお答えいただき、ありがとうございました。最後に今後のリリース予定や、BEHIND THE CASKとしての活動予定についても教えてください。」

澤「現在第2弾のリリースに向けて準備を進めています。詳しくはコメントできませんが、今回はシェリー系で記号はGNR-13とだけ…。なお、先ほどコメントさせて頂きましたように、今後はラベル表記に誤解が生じないよう表記を見直すとともに、BEHIND THE CASKのコンセプトに沿った発信もしていくつもりです。そういう意味では、2ndリリースこそ真の意味でのローンチであり、皆様に評価頂く機会になるものと思っています。
また、当社の活動について長期的な視点で言えば、現在所管の税務署とも相談しながら、日本国内でどのような取り組みを実施できるのか、新しいアイディアも模索しています。既にいくつかは整理を終えており、後はリリースが落ち着き次第、次の動きを展開していきます。」

く「日本国内ではプライベートブランドが珍しくなくなり、当たり前に市場にある時代となりました。そんな中で、どうやって独自色を出していくか、持ち味を活かすか、それが我々愛好家にとっても重要な指針となります。是非、その魅力をさらに打ち出していけるようなリリースや活動を展開していってください。本日はありがとうございました。」


※補足※
ボトラーズメーカーの定義について。明確に定められていませんが、
①原酒を買い付け、独自ブランドを販売しているオフィシャル以外のメーカー。
②買い付けた原酒を独自に熟成し、シングル○○としてボトリングしてリリースしているメーカー。
一般的にボトラーズの理解は①、②の条件を満たすものとなります。しかし日本企業の場合、②を満たすことが以下背景から困難であり、厳密にいえば日本のプライベーター、酒販等がリリースする独自ブランドの大半は、ボトラーズと言うよりはインポーターのPBブランドとなります。

現在のイギリスの法律では、シングルモルトを樽で輸出することが出来ないこと。日本においても樽で原酒を保有し、熟成させたうえで課税してボトリングするには、酒販免許ではなく酒造免許が必要で、しかも酒造免許の取得には様々なハードルがあること。大きくはこの2点が障壁となるためです。
従ってBEHIND THE CASK社も現時点ではボトラーズとは言えない区分となりますが、この点について新しいプランを進めているそうです。

~後編に続く~

ドラムラッド合同会社 ボトラーズ事業を開始

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6月上旬、日本において新しいボトラーズメーカー(ブランド)、DRAMLADが産声を上げました。近日8月5日には1st リリースも予定されています。
ブランドを立ち上げたのは、ウイスキー愛好家にしてスピリッツバイヤーとなる伊志嶺 尚 氏。同氏に関しては、10年程前からウイスキーを飲まれている方は、ウスケバで執筆されていたブログを見たことがある方もいらっしゃるでしょうし、ここ最近ではイベントのメーカーブースで直接会っている方も少なくないと思います。

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DRAMLAD 
ドラムラッド 合同会社

URL: DRAMLAD & Co.
※Facebook:https://www.facebook.com/DramLad.Whisky
※Instagram:https://www.instagram.com/dramlad.whisky

ボトラーズメーカーとは何か。
ざっくり言えば、自社や傘下の蒸留所で製造した原酒をリリースするのがオフィシャル。
そうした製造元から原酒を買い付け、独自のブランドとしてリリースしているメーカーがボトラーズと整理できます。

スコッチウイスキーはオフィシャルリリースに対して、ブレンドメーカーやボトラーズメーカーがブランドを相互補完しながら、それぞれの国で市場が造られてきました。
それはイギリスのみならず、ヨーロッパについても同様で、フランス、イタリア、ドイツなど各国にボトラーズメーカーがあり、多様なリリースを生み出すに至っています。
(例:フランス→ミシェル・クーブレ。イタリア→サマローリ。ドイツ→ウイスキーエージェンシー)

では日本はどうか。シングルモルトという区分で言えば、一部のインポーターや酒販店が原酒を調達してオリジナルリリースを行っており、広義の意味ではボトラーズメーカーと言えるのかもしれませんが、独自のブランドを展開しているメーカーはごく一部です。
ポイントとなるのは、この「独自のブランド」です。独自のブランドを立ち上げるには、現地とのコネクションで良質な原酒を買い付けることだけでなく、何をもって独自のリリースとするのか、ブランド付加価値の創出が課題になってきます。

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今回記事を書くにあたり、伊志嶺さんとドラムラッドの今後のプランについて、オンラインでやり取りをさせてもらいました。
かつて自分もウスケバでブログを書いていましたし、伊志嶺さんとは繋がりが無かったわけではありませんでしたが、コロナ禍にあって直接会う機会がなく、久しぶりの情報交換となります。

伊志嶺さんは、過去のウイスキーメーカー勤務等で培った経験からスコットランド現地とのコネクションを持ち、その繋がりを活かしてより良いウイスキーをダイレクトに市場に届けるべく、「能動的な(攻めの)原酒調達を行っていきたい」と。また、信頼できるテイスターによる評価で、選定者の顔が見えることや、完成度だけでなく原酒の個性にもフォーカスすることが、ドラムラッドの付加価値であると、意気込みを語られていました。
本記事では、こうして聞いた内容を対談形式で一部紹介していきます。


■攻めの原酒調達とは?
(前略)
伊志嶺「世界的なウイスキーブームの中で、良質な原酒は待っていても手に入りません。インポーターに頼んで受け身で原酒を待つスタイルでは、選んでいる間に樽が他社の手に渡る等、ますます良質なリリースが減っていくことになります。」

くりりん「つまり、こういう原酒が欲しいという明確な働きかけ。意思決定のスピードや現地との調整が重要であると?」

「コロナ禍にあって難しい部分もありますが、現地での原酒買い付けは勿論、市場がどのようなウイスキーを求めているのか見極めていくことが重要です。ドラムラッドは私自身が立ち上げた会社であり、これまでの経験から現地との調整、折衝、販売までの手続きを全て自分で行うことが出来ます。これはチャンスだという原酒があったら、そこで躊躇なく抑えに行くことができるわけです。」

「スコットランドと日本では、ビジネスシーンで時間の流れ方が違いますよね(笑)。よく言えばおおらかと言いますか。。。一方で原酒の見極めについてはどうでしょうか。」

「私自身何千種類とウイスキーを経験して、販売にも関わっていたことから自分の中に基準を作ることが出来ています。ですがドラムラッドがビジョンに掲げる「伝統を重んじ、新しいものを提案、創造する」を満たすには十分ではありません。高いテイスティング能力を持つプロフェッショナルや、ユーザーに近い場所でウイスキーを提供する酒販・バーマンらで構成するテイスティングチームの、多角的な視点を用いることがドラムラッドの付加価値の一つとなります。」

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■ウイスキーに精通したプロが選ぶ、ドラムラッドのウイスキー
「自身でPBを出されたり、あるいはテイスターとしての経験も持つ実力派(かつ個性派なw)メンバーですね。個人ではどうしても好みに寄りがちですから、有識者による視点は重要だと思います。また、こうして選定者の顔が見えるというのも魅力的です。」
※メンバーの詳細については、こちらを参照。

「仰る通りです。調達したカスクサンプルは多岐にわたります。そこで、テイスティングチームの出番となるわけです。官能評価は勿論、市場の傾向、発売時期、価格帯、さらには地域別の嗜好の違いに至るまで、ディスカッションを行ってリリースを選定します。単に市場の傾向をなぞるだけではなく、新しいトレンドも生み出していきたいですね。」

「一昔前のように100点満点で80点以上のウイスキーを安定してリリースできる状態ではなくなったのが現代のボトラーズ市場だと思います。特に価格の高騰は顕著であり、いくらコネクションがあっても、テイスターがいても、価格を下げるマジックはないと思います。こうした状況下で、どのようなリリースを行っていくつもりなのでしょうか。」

「いきなり踏み込みましたね(笑)。確かに総合的に優れた長期熟成のウイスキーを低価格でリリースすることは難しくなりました。しかしウイスキーブームから市場が育ち、各メーカーがシングルモルトでのリリースを意識したことで、若くても面白い個性を持った原酒、一定の完成度を持った原酒は増えてきていると感じています。これが今のウイスキーなんです。ドラムラッドでは味わいや個性、ヴィンテージや熟成年数、カスクタイプ、そして価格帯など、全てのスペックを考慮し、ブランドを3つのレンジに分けてリリースしていきます。」

「なるほど、ここでドラムラッドの理念に繋がるわけですか。ブランドが整理され、リリースの方向性が統一されていることは、ユーザーから見てもわかりやすいと思います。」(中略)

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ドラムラッドがリリースするブランドラインナップ
・エイジオブイノセンス:価格帯(低~中)
 若いウイスキーが持つ楽しさを味わう。熟成を経ていないからこそ楽しめる純粋さ、新鮮さ、驚きを基準とする。
・ワンドラムセレクション:価格帯(中~高)
 ドラムラッドにおけるメインブランド。テイスティングメンバーがプライドを持って選ぶカスク。蒸溜所のハウススタイル、地域の特性等を体現したカスクであり、テイスティングする喜びを感じることが出来るもの。
・アフェリオン:価格帯(高)
 ドラムラッドがリリース出来るカスクの最高峰。長い熟成を経て円熟と言われる領域へと至った至高のカスク。

※ここまではっきりとリリースが整理されているのは、GMやシグナトリー等、スコットランドの古参ボトラーズでは一般的だが、日本のこれまでのボトラーズ、プライベーターにはあまり見られなかった取り組みである。なお別途OEMとしてPBの外注も受け付けている。


■ファーストリリースと今後の方向性
「後日予定されるファーストリリースについて教えてください。今回どんなコンセプトでカスクを調達し、チョイスしたのでしょうか。」

「ファーストリリースということで、あまり尖ったチョイスにはしていません。季節やシーンを問わず、誰でも楽しめる、親しめるようなリリースだと思います。スコットランドでは伝統的にシェリー樽熟成の原酒が特別なものと位置付けられることが多く、様々なアニバーサリーシーンを彩ってきました。そうした古典的な味わいと、熟成した原酒の織り成すフルーティーさ。切り良く20年熟成と行きたいところでしたが、この原酒が来年まで残っているとは思えません。中身重視で選ばせてもらいました。」

「シークレット系やブレンデッドモルトのリリースは最近増えていますが、これは”今のウイスキー”という視点が見えますね。ティースプーンということでしょうか。」

「いえ、スペイサイドの複数の蒸溜所の原酒をバッティングし、1つのシェリー樽で熟成せたブレンデッドモルトです。スペイサイド地域らしい華やかさがあり、熟成感のある味わいはまさにテイスティングの喜びを感じることが出来る、バランスの取れた1本だと思います。メンバーの評価も高く、それを裏付けています。」

1st Release

DRAMLAD ”1st Release”
THE ONE DRAM SELECTION 
Aged 19 years old 
Distilled 2001 
Bottled 2021 
Cask type Sherry
700ml 44.0%
発売:8月5日(木)18:00 ~
販売サイト:https://www.dramlad.co.jp/?pid=160964809

「ブレンデッドモルトは安定して美味しいモノが多いですし、色合いからも期待値が上がりますね。1年1000円、現在の市場から見て価格に納得感があるのも消費者側の視点で嬉しいです。まさに伝統を重んじつつ、新しいものを発信するというリリースですが、今後については他にどのような予定がありますか?」

「今回リリースしたボトルを選んだ時点で、既に複数のサンプルを選定しており、今後はTHE ONE DRAM SELECTIONだけでなく、THE AGE OF INNOCENCEも年内いくつかリリースしていく予定です。前者についてはドラムラッドのブランドを確立しつつ、後者のほうでは、市場に新しい風を吹き込めるような、新鮮かつ意欲的なリリースにもトライしていきます。」

「ジャパニーズのリリース、クラフトとのタイアップは如何でしょうか。自分はグレンマッスルという取り組みに関わってますが、大手以外にクラフトも可能性を秘めたジャンルだと思っています。」

「我々は原酒を調達してからが始まりですから、クラフトメーカーはまだ早いかもしれません。しかし保有する原酒に光るものがあれば、それこそ我々のリリースの方向性に見合うものです。国内からの調達も進めていきたいですね。」(後略)

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■ドラムラッドのリリースに期待したいこと
という感じでやりとりをさせて頂きました。この他にも色々情報交換をさせていただきましたが、これまで培ったノウハウを活かしてやっていくぞ!という気概と意気込みを感じる、此方も前向きになるような時間でした。

かつて今ほどウイスキー市場が大きくなかった頃、PBはごく一部の、特別な組織や著名人でないと実施できない高いハードルがありました。
一方現在は、多くの酒販、BARでボトラーズ経由のPBが当たり前となり、PBが市場に溢れた結果、ただオリジナルリリースを出すだけでは注目されない時代になっています。

ラベル、人、ウイスキー以外の部分に付加価値を見出す方法も見られる中、T&TやWhisky hoopなど、王道の戦略を取り続けるプライベーターも少なからず居ます。
その中でドラムラッドの取り組みは、王道にしてある種の原点回帰とも言えるブランド戦略です。これは今後もリリースを続けていくんだ、これでやっていくんだという覚悟がなければとれない戦略でもあります。

何が正しいという話ではありませんが、日本にこうしたボトラーズメーカーが誕生したことが、非常に嬉しく思います。
これから先のウイスキー市場でも、原点回帰にして王道の戦略で、きらりと光る個性や、完成度のあるウイスキーのリリースが3種のブランドから続いていくことを願って、本記事の結びとします。
伊志嶺さん、ドラムラッドの立ち上げ、そしてファーストリリースおめでとうございます!

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※補足:DRAMLADの意味とロゴについて
DRAMLADとは、1杯のウイスキー(A Dram of Whisky)の「Dram」と、スコットランドで男性が「古い親友、気の置けない親友」に対して使う「LAD」を組み合わせたもので、「ウイスキーを楽しむ人」を表している。また、そこから派生して「ウイスキーを共に楽しむ仲間」という意味も込められている。
ロゴは、日本の水引「梅結び」とウイスキーの聖地スコットランドのケルティック文様の融合です。「梅結び」は、その結び目から「絆」や「固く結ばれた」という意味を持ち、また、梅の花が春に先駆けて咲くことから「運気向上」の意味も持っており、縁起の良い結び目として古くから親しまれてきた。そして、ケルティック文様との融合は、DRAMLADがウイスキーのプライベートブランド・カンパニーであることを表現している。

近況報告 GLEN MUSCLE と Liqul掲載記事など

カテゴリ:
マッスルPR

今日はウイスキーレビューではなく、雑談。ブログ以外の"ウイスキー関連の活動"で色々ネタが溜まっているので、近況報告します。特にリリースについては、メッセージやコメントで質問を受けることもありますし。

直近では、7月発売予定のGLEN MUSCLE No,7です。
GLEN MUSCLEは、美味しさもさることながら、スペック等でワクワクするような面白さ、ちょっと尖った魅力を持ったウイスキーをテーマに、メーカーリリースを有志で監修するものです。今回も最大限そこを意識しつつ、私個人としてはやりたかったことを詰め込んだブレンドに仕上がっています。

※今回の特徴。
・3年~30年という、構成原酒の特徴を活かす過去最大に幅広い熟成年数の幅。
・日本産原酒は、ピーテッド仕様。アイラ島の蒸留所で使われていたクォーターカスクで熟成。
・スコッチ原酒は10年~30年熟成のものを複数使用。30年はマッスルブランド史上最長熟のモルト原酒。(これらについてはマッスルらしい企画も同時進行中です)。

予定価格は14850円(税込み)。
ボトリング本数は200本。
勿論、ノンカラー、ノンチル、カスクストレングス。
写真やスペックから日本側の蒸留所はお察し頂けるかと思いますが、ここは若くても柔らかく未熟感の少ない原酒に仕上がるので、決して3年を感じさせません。麦芽風味とスモーキーさ、そして熟成した原酒と樽由来のフルーティーさが混ざり合う、好ましい要素を多く感じる構成です。
販売は同蒸留所のオンラインショップにて行われる予定です。ラベル含めて発売日などセットされましたら、再度紹介を書かせてもらいます。

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 GLEN MUSCLE は、昨年11月のNo,6以来で約半年ぶりのリリースとなります。
何も動いていなかったわけではなく、計画は同時並行で進んでおり、今年確定しているものでGLEN MUSCLEが上述のNo,7を皮切りに、10月にも1本。あとリリース時期は確定していませんが、2~3本話が動いています。

先日も最終サンプルが関係者に配布されたところ。また、マッスル以外でくりりん単独で協力しているリリースがあり、こちらについても今年中に何本か紹介記事を書くと思います。
あとはウイスキーリリースではないですが、7月頃に出版される予定の、とあるウイスキー本にも寄稿や構成内容に関して協力させてもらいました。まだ内容は公開できませんが、これも発表・発売が楽しみです。
※これまで同様、いち愛好家の立場で選定等に助言、協力しています。発売にあたり収益や監修料等報酬は受領していません。

コロナ禍にあって蒸留所に伺うことが出来ず、今までのように集合して打ち合わせというのも控えなければならないなど、各種調整にはいつも以上に時間がかかってしまいました。
また、原酒選定やレシピの構築にあたり、カスクサンプルを小分けにして送って下さった蒸留所の皆様の手間を考えると頭が上がりません(上、写真参照。どこのブレンダールーム?って、我が家です。)。
少しでも良いものを提案しようと頑張りましたが、リリースまでの間に原酒も多少変化するので結果は神のみぞ知る…いやホント、ウイスキーって難しい。
無事発売されましたら、手に取って頂けたら嬉しいですね。

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続いては酒育の会のWEBメディア「Liqul」です。
寄稿していた、サントリー・オールドの記事が、先日公開されました。

サントリー・オールド 多様なキャッチコピーに彩られた最古のジャパニーズ:
Re-オフィシャルスタンダードテイスティングVol.11 | LIQUL - リカル -


ジャパニーズウイスキーの基準制定を受け、注目され始めたサントリーのJW低価格帯御三家。3種比較レビューとかすると文字数がとんでもないことになりそうだったので、オールドに絞りました。
オールド:山崎、シェリー樽(濃いめ水割り)
リザーブ:白州、バーボン樽(ハイボール)
ローヤル:響、ミズナラ樽等(ロック)
それぞれの樽使い、キーモルトから、上述のように各銘柄の延長線上にフラグシップのブランドがあり、改めて飲みなおしてみるとすごく考えて造られていることがわかります。※()はお薦めの飲み方。

中でも、広く親しまれ、多彩なCMに彩られたオールドは逸話も多く、コラムを書いていて純粋に楽しかったです。ブログの記事とは違う方向性でまとめていますので、こちらも是非ご参照ください。
なお6月頃に投稿される予定の、次のコラムはフォアローゼズです。広く知られているブランドエピソード(プロポーズの返事説)について掘り下げてみましたが、これも色々考察する要素が残されていて、歴史学者になった気分で楽しく書かせて頂きました。
書ききれなかったことも多いので、コラムが公開された補足記事を書こうと思います。

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オマケ:最近飲んでるデイリーワイン。
セガル ドライレッド 12% 2016 (イスラエル)。

近所のカクヤスで投げ売りされている、ラベルのイスラエル語で怪しさ増量なワイン。しかし飲んでみたら香りはちょっと熟成した仏モノに似て正統派、赤黒系果実のいい香り、微かにスパイス。味は軽めだけど、新世界っぽい果実味を感じるし、過剰な渋みや酸味はなく酔い方も心地よい。12%で低めだからか、あるいはちょいバックビンテージだからか。。。ホント、デイリーにぐいぐい飲めてしまう。

調べてみたら、イスラエルってワインの産出地だったんですね。(内戦とITテクノロジーの産地というイメージしかない。。。)
品種はメルロー、プティシラー、土着品種で、メルローが良い感じに効いてるのかなと。まあガチ勢の舌は満たせないですし、ボルドー系などしっかりとしたタイプのワインが好みだとシャバいと感じるかもしれませんが、ライトで綺麗目、あるいは自分のように新世界ピノとか好きな人はイケるんじゃないかなぁと。
ぶっちゃけ、下手に3000円前後の仏モノ買うなら、これでいい。ワイン飲みたい欲求が出てきたら、これで満たすつもりですw


前略、改めて前略。
渦中のGWでありましたが、皆様は如何お過ごしでしたでしょうか。
私はこんな感じで酒活動もちょっとやりながら、子供と遊んだり、料理を作ったり、ここ最近の休日と変わらない日々を過ごしました。BARも遠出も、できませんしね。。。
ウイスキーレビューのほうも記事を投稿しますが、とりあえず雑談回はこの辺で。

【必読】レモンハートがBAR予約チケットの販売代行を開始

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BARレモンハートが、自社で運営する酒販サイトにおいて、BAR予約チケットの販売代行を開始しています。

※関連する取り組み、サービスの情報をまとめた記事を公開しました。合わせて一読いただけば幸いです。(4/11公開)
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1077270980.html

このサービスは、BARの経営者が掲載を申し込むと、以下酒販サイトで該当するBARの予約チケット(1枚1000円)が販売され、売り上げが毎月指定口座に入金されるというものです。
また、購入されたチケットについては、郵送にて購入者の手元に届きます。
要するに、料金の先払いを代行する取り組みです。詳細は本記事末尾の説明文書を参照ください。

私たちBAR利用者からすれば、ここに馴染みの店が掲載されることで、感染という危険を回避したうえで、確実な支援が出来る方法であり、広く利用されればと思い紹介させていただきます。
是非、BARならびに飲食店関係者は本取り組みの活用をご検討いただければと思います。
また、我々”お客側の皆様"は、自分達からの支援が届くように、本取り組みについて行きつけのお店にご紹介いただくだけでなく。掲載された際は、例えば普段自分達が使っている金額の範囲内で、対策期間後の楽しみを定期的に購入頂ければと思います。

トップ画像BARチケット販売

BAR レモンハート WEB SHOP ページ

https://barlemonhart.com/shopbrand/ct48/


【同WEBページに掲載するための必要事項】
・店舗名
・郵便番号
・住所
・電話
・営業時間
・定休日
・店舗コメント(一定額購入いただいた方への、追加サービス有無など)
・お振込み先
・店舗のロゴや写真

登録先、問い合わせ先
riku@barlemonhart.com ← コピペ後、@は半角にしてください。

※掲載にはBARレモンハートとの取引実績が求められるわけでも、クラウドファンディングのように企画審査と募集期間が必要というものでもありません。通常、申請から12時間以内に掲載されるとのことです。

※入金される金額は、予約チケット購入者への郵送手数料、クレジットカード決済並びに指定口座への振込手数料として8%を差し引いた金額となります。

※チケットは本来非課税販売ですが、本サービスは消費税分を含めて各店舗にチケットの売り上げが入金される建て替え的な方式であるとのこと。そのため、該当チケットでの飲食分については利用時に消費税が不要となります。

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新型コロナウイルスの感染拡大にともない、政府や地方自治体から不要不急の外出の自粛に加え、バーやカラオケ、ナイトクラブを名指ししての利用自粛要請など、様々な情報発信があり、酒販業界、BAR業界にも大きな影響が出ています。
平日21時過ぎ、本来は活気溢れる新橋銀座や新宿が、まるで丑三つ時のように静まり返っている姿はさすがに衝撃的でした。

料理を主とした飲食店では、テイクアウトやデリバリーサービスを開始するなど、なんとかこの事態に対応しようと工夫しています。
しかしBARはどうでしょうか。
私の周囲のBARでも営業時間の変更、禁煙化、席の間引きや人数制限、3密への対策が行われていますが、広義的に言えば"夜遊び禁止"が叫ばれ、街から人が居なくなっている状況では、今まで通りの売り上げなど見込めるわけがありません。
お店によっては、ノーゲストの日が続いているというケースも間違いなくあるでしょう、

レストランの料理とは異なり、通常の営業形態ではBARにあるお酒を小瓶でテイクアウトするわけにはいきません。小瓶同様、お酒そのものをボトルで売ろうにも、酒販免許が必要です。多くのBARにとって、大前提は人がお店に来なければ成り立たたず、結果ここらが潮時という声も聞こえてくるほどです。


この状況だからこそ、普段お世話になっている馴染みの店に何かできないか。と我々お客サイドが考えるのは自然なことです。
無くなってしまってからでは遅いのです。最悪の事態になる前に、支援が必要です。
そのため、「飲んで応援」としてお店に行かれている方もいるようです。
しかしコロナウイルスでは、”無症状の感染者”という事例が明らかとなり、実は自分たちも感染しているかもしれないこと。そしてお店に行くことで万が一でも感染を広げてしまった場合・・・その際に起こる影響、被害がどうなるかも考える必要があります。
単に自分が苦しむだけではないのです。それは、既に感染が発生してしまったライブハウス等の前例を見れば明らかです。

日本における感染者は日に日に増え、いつ緊急事態宣言が出てもおかしくない状況です。(4月6日追記:緊急事態宣言が出ることが確定し、その内容も明らかとなりました。)
1ヶ月前とは、もはやステージが変わってしまいました。
感染し、そして発症してしまえば、そこからさらに被害が拡大するだけでなく、事態収束もまたその分遅れてしまうことになります。
一刻も早くこのウイルスの感染拡大を収束させるためには、一人一人が当事者意識を持ち、自分の置かれている立場の中で、最大限の予防策を講じていくことだと思います。

そうすると、「落ち着いたら飲みに行くから、料金先払いしておく」という仕組みは実に理にかなっています。
個人的にもこの方法が出来ればと考えていたのですが、先払いを受け付ける場所として、BARレモンハートが手を挙げてくださっていました。(個別に先払いを受け付けようとすると、税務署への相談、周知と情報管理、チケット発送等多くの手間がかかります。)

漫画レモンハートの著者であり、この取り組みの発起人である古谷三敏氏は、漫画の執筆を通じ多くのBARに支えられてきたからこそ、業界のために何か出来ればと考えられたのだそうです。
私個人も、この記事をきっかけとして、少しでもBARの登録やチケットの購入者が増えてくれればと。また、通常の酒販店でも、こうした先払いチケットの扱いが行われたら良いなとも思います。
そして購入しておいたチケットで、事態が落ち着いた際に、いつもの場所で旨い酒を飲めたらと。。。


一方、一連の問題の中で、我々ユーザーサイドが無傷と言うわけではありません、厳しい立場に置かれている方々もいらっしゃると思います。
政府は、収入が減少した事業者や家庭に対する補償制度の拡充を急いでおり、一部は既に開始されています。厚労省の雇用調整助成金の特例措置拡大や、政策投資銀行の融資もかなり枠を広げています。また、東京都や他の自治体も独自の支援策を開始すると宣言しています。今後補正予算が成立すれば、更なる追加の政策が実行されることでしょう。お肉券やマスク2枚なんて、その中のほんの一部でしかありません。
我々は与えられるのを待つのではなく、まずは情報収集し、この状況を打開しようと動く必要があります。
(この状況における個人事業者の対応策や考え方、政府の支援策の情報を、ブロガーの子供銀行券さんが記事にまとめられています。冒頭手厳しい表現から始まりますが、内容は大変参考になるものです。合わせて参照ください。記事はこちら。)

日本は世界で最も多くの酒類を楽しめる国であると言えます。
そして共に歩む形で進化し、根付いた日本のBAR文化は世界に誇れるものです。
その文化の火が、このままでは消えてしまう恐れもあります。
例えばプロスポーツ。既に多くの競技がコロナウイルスの影響で開催を延期、または中止しています。
当たり前だと思っていたことが無くなって、初めてわかる喪失感。今、我々の生活から少しずつ、しかし確実に余裕と彩が無くなってきています。
BARをはじめとした飲食店についてもそうです。

情けは人の為ならず、巡り巡って己がため。
我々一人一人が、今のため、将来のため、自分の場所のために、少しずつ力を分けていければと思います。

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ワールドウイスキーアワード2019発表 日本は4部門で戴冠

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昨日、ウイスキーマガジン社主催のウイスキーの国際コンペ、ワールドウイスキーアワード2019の結果が発表されました。

このブログの読者の皆様は既にご存じかもしれませんが、今回のWWA2019では、テイスティング全15部門のうち、世界的に作り手がおり競争率の高い主要な区分といえる、ブレンデッド、シングルモルト、グレーンで設けられた7部門中、4部門で日本のウイスキーメーカーが世界一に輝くという、輝かしい結果となりました。
(15部門のなかには、バーボンや、カナディアン、アイリッシュなど、日本が参加できないものや、そもそも生産していないものがある。)


ワールドウイスキーアワード2019 テイスティング部門 主要7部門結果
◼️ブレンデッド(リミテッド)
イチローズモルト ジャパニーズブレンデッド リミテッドエディション2019

◼️ブレンデッド
サントリー 響21年

◼️ブレンデッドモルト
ニッカウイスキー 竹鶴ピュアモルト 25年

◼️シングルモルト(シングルカスク)
サリヴァンズコーヴ フレンチオーク TDo2017

◼️シングルモルト
ティーリング ウイスキー 24年 ヴィンテージリリザーブ

◼️グレーン
キリン 富士御殿場 シングルグレーン 25年 スモールバッチリリース

◼️ニューメイク
スタウニングウイスキー キュリアス ピートスモークドモルテッド ライ

参照:http://whiskymag.jp/wm_award2019/


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「日本のブレンド技術は世界一イィィィィ!!」
と、お約束のネタをつい口にしたくなるような結果です。
それも1社独占でなく、主要メーカーがすべて受賞。なかでも響や竹鶴、富士御殿場グレーンといった、WWAアワードの常連にして、戴冠することに疑問はないド本命な銘柄はさておき・・・。

サプライズはイチローズモルトのモルト&グレーンが、ブレンデッド(リミテッド)区分を2年連続で戴冠したことですね。
ブレンデッドモルトとシングルモルト部門はエントリーが多いだけでなく、各社力をいれてくるリミテッド区分で2年連続、その前のシングルモルトでの受賞を含めると3年連続というのはサントリー、ニッカらと肩を並べる快挙です。

ただ、このリリースは羽生モルトと川崎グレーンという、今はない遺産をメインに使っています。
昨年受賞したモルト&グレーンLE2018を飲んだ印象では、美味しいは美味しいのですが、羽生の特徴がかなり強く出て、長期熟成グレーンでそれを繋ぎ合わせているような構成。今回のリリースは多少秩父の特徴も出ていると言う話も聞きますが、軸になっている2つの原酒の在庫がほとんどない状況で、培ったブレンド技術をもって秩父の新しい原酒でどこまでやれるかが、今後の課題だと感じます。

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ジャパニーズウイスキー以外に目を向けると、シングルモルト部門ではティーリング24年が受賞。これまでのティーリングのリリースから香味を推察するに、アイリッシュ系のトロピカルなフルーティーさ、近年評価されているキャッチーな香味が備わっているものと思われます。
まあ妥当なとこですよねと。日本地区のWINNERは白州25年だったそうですが、ここまでくるとその時々の審査員の趣向の違いで片付けられる差ぐらいしかないんじゃないでしょうか。

一方で、シングルカスク部門が異端。
タスマニアの衝撃再び。オーストラリアンウイスキーのサリヴァンズコーブのフレンチオークカスクが再びの受賞です。
以前もサリヴァンズコーブはシングルモルトでアワードを受賞しており、どんなもんかと飲んでみましたが、世界一かと問われると返答に困る内容でした。
今回は違うのかもしれませんが・・・WWAはたまにこういうよくわからない受賞があるので、それが面白くもあり、疑問でもあるのです。(順当な結果ばかりじゃ面白くないのも事実です。)


この他、惜しくもアワードを逃した地区代表のウイスキーを見ていくのも、WWAの面白さです。
シングルモルト区分だと、スコッチは各地域の代表銘柄が選ばれていて、ローランド部門ではグランツの第4上流所であるアイルサベイが受賞していたり、キャンベルタウン部門はグレンスコシア25年、ハイランドはグレンモーレンジ1989・・・長期熟成のリリースが減ってきている昨今にあっても、やはり層が厚い。

一方で、ジャパニーズ区分を見ると、ブレンデッドでは若鶴酒造のムーングロウがカテゴリー別のWINNERを獲得していたり、次点以降には何かと話題になる倉吉の姿もあります。
日本産原酒が使われていないだろうリリースをジャパニーズと呼んで良いのか(実態はスコッチなのではないか)、という疑問はさておき、今回の結果は日本のウイスキー主要メーカーのブレンドに関する高い技術に加え、力を付けつつある新しい世代の存在も感じられた結果だったと思います。

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なお、コンペといえば、先日、ウイスキー文化研究所が日本初となる「東京ウイスキー&スピリッツコンペディション」を開催したところです。
今後発表される結果が、今回のWWAと比べてどうか。特に上記コンペは日本のテイスターが中心になって審査をしていますから、その違いを見るのも楽しみですね。

キャプチャー画像引用:http://www.worldwhiskiesawards.com/

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