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カテゴリ:モートラック

モートラック 19年 1991-2010 ムーンインポート 46%

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MORTLACH
MOON IMPORT
Aged 19 years
Distilled 1991
Bottled 2010
cask type Sherry
700ml 46%

グラス:
場所:BAR Kitchen
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:香ばしい甘みを伴うシェリー香。ダークチョコレート、コーヒー、微かにハーブ。淡くサルファリーで椎茸っぽさも感じる。グラスの残り香はレーズンやダークフルーツケーキを思わせる色濃い甘み。

味:とろりとしたコクのある口当たり。ドライプルーン、カカオチョコレートやかりんとう、香り同様に微かにサルファリーさも感じる。ボディはやや平坦で、少しべたつきがあるが長く続く余韻。

花と動物のシェリー感に共通する仕上がり。濃いめのシーズニングを加水で整えている。思わず葉巻でも吸いたくなってしまう。加水すると水っぽく、バランスが崩れてしまうのでストレートで。


最近何か面白いボトルありました?という雑なオーダーでチョイスされた1杯。この辺懐かしくありませんか?と。
モノは当時多く出ていたムーンインポートの割高な1990年代。まだウイスキーが本格的に価格高騰する前の流通時期でしたが、ムーンインポートやシルバーシールのボトルは当時から妙に強気の価格で、積極的に飲む機会もないまま今に至っていました。

一方、中身は確かに「今飲むとこのシェリー感は懐かしい」と思える構成。ボトラーズモートラックでは、近年リリースされているシガーモルトの系統ではなく、花と動物のモートラック16年を少し濃厚にした感じ。
洗練されたわけでも、フルーティーなタイプでもなく、経年で多少こなれた硫黄香が野暮ったさを感じさせる。そうそう、モートラックってこんな感じだったよねと。

モートラックの麦感が厚い酒質とは、ホグスヘッドやバレル熟成のフルーティーな華やかさも馴染みがよく、近年蒸留でも出来の良いものは多い一方。その酒質の強さを活かした加水の濃厚シェリー系もまた、らしいキャラクターの一つなのです。

オマケ:昨年リリースされた、ディスティラリーコレクションのモートラック29年 1989-2018。熟成年数は違うが、蒸留時期や度数はほぼ同じ。こちらはオーキーで華やか、フルーティーなタイプ。樽の違いはさておき、ベースの良さはどちらのボトルにも感じられる。

モートラック 23年 1995-2018 萌ボトル第一弾 46% 仙道ますみ書き下ろし

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MORTLACH
BAR LEMON HART PB
Aged 23 years
Distilled 1995
Bottled 2018
Cask type Hogshead
700ml 46%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR LIVET
時期:開封後1ヶ月以内
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:華やかで乾いたオーク香主体のアロマ。干草、ジンジャー、ココナッツやドライパイナップルをフルーティーさ。時間経過で麦系の要素も伴う。柔らかい香り立ちだが芯がある。

味:ややドライな口当たり、薄めた蜂蜜、熟したアプリコットや洋梨を思わせる品の良い果実味、微かに青みがかったニュアンスや、奥にはまろやかな麦芽風味。
余韻は程よくドライ、華やかでオーキー、黄色い果実がフェロモンを連想させる戻り香を伴い長く続く。

ホグスヘッド熟成らしいフルーティーで華やかな香味が主体。本来ならもっとドライなウッディさが残るはずだが、厚みのある酒質が底支えになり、突き抜けない代わりに加水で綺麗に整えられた美味しさが魅力。
飲んでからラベルを改めて見ると、なんとなく引き寄せられるように感じるのは自分だけではないだろう。(特に男性陣)


先月BARレモンハートのPBとして、一部BAR関係者を中心に販売された、なんとも目を引くラベル。
既に第二弾が計画されているとかないとかですが、第一弾は成年向け漫画を主に手がけている仙道ますみ氏による、リベンジHの主人公・鈴音秘芽子と思しきキャラクターが書かれた1本です。

絵画、猫、漫画、そして今回の萌え系のラベルは、近年のウイスキー業界(特に日本の)でトレンドの一つになりつつあるジャンルです。
個人的にこれらのリリースの一部には、内容と関係のない組み合わせに疑問を感じる気持ちが無いと言ったら嘘になりますが、古くはムーンインポートなどボトラーズリリースで見られた手法にして、味で「まあこういうのもあるか」と納得させてくれるモノがあるのも事実。

今回のボトルもその中身の話をすると、「普通に美味い」という表現が偽りないところ。
モートラックでホグスヘッドという組み合わせでは、過去にも同様な系統の香味を備えたリリースはありました。ただ、モートラックは麦感がしっかりしてボディも厚く、樽に負けない強いウイスキーであるため、加水されても崩れず、このボトルは樽感も酒質もちょうどいい具合で仕上がっているのです。

これを原作を知らない人が飲む分には、上記のようにボディを残しつつ綺麗に整った美味しさに、成る程ラベルに書かれたイラストにもリンクするようなボトルじゃないかと感じる。
しかしリベンジHはエロスと復讐劇が合わさった、多少ダーティーなストーリーです。キャラの位置付けを知ってる人が飲むと、口当たり柔らかくとっつきやすいが、この奥にはどんな罠があるのか。。。この表情の意味は。。。なんて二面性を秘めたボトルとなるように感じます。(古いネタですが、なつ◯STEPみたいな。)

余談ですが、今回の萌えボトル(スウィートギャラリー)のコンセプトは、「バックバーに恥ずかしくて飾れないボトル」。話のわかる常連にこっそり出すというものだったそうですが、流石新宿、普通にバックバーどころかカウンターに鎮座(笑)。お出迎え頂きました。
なおBARではカウンターにあるボトルを勝手に開封することはもちろん、断りなく手に取ったりすることもNGな作法であるわけですが、このボトルの場合は2つの意味で「おさわり厳禁」であると言えそうです。
いずれにせよ味もよくラベルも見応え?がある、面白いリリースですよね。

モートラック 37年 1968-2006 GM プライベートコレクション 45%

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MORTLACH
GORDON & MACPHAIL
PRIVATE COLLECTION
Aged 37 years
Distilled 1968
Bottled 2006
700ml 45%

グラス:サントリーテイスティング
時期:不明
場所:Y's Land IAN
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:濃厚でスウィート、ややベタつきがあり、長期熟成のクリームシェリーを思わせるようなアロマ。カラメルソース、黒蜜、レーズン、微かにベリー感を伴う果実香と、湿った木材を思わせる落ち着いたウッディネス。

味:マイルドで滑らかな口当たり。クリームシェリー、レーズンや皮付きの葡萄、ブルーベリージャム、濃く入れた紅茶のタンニン。濃厚な甘みを主体とする中で、ほのかな酸味とタンニンがアクセントになっている。
余韻は渋みが強く、タンニンが収斂するドライなフィニッシュへと続く。

見るからに圧殺シェリーだが、近年のスパニッシュオーク系ではなく、GM独特の甘みの強いカラメル系。なんとも葉巻に合いそうである。加水というよりチェイサーで余分なシェリー感を流すと、余韻の強いタンニンが軽減され、フルーティーさが残る。


GM社のディレクターがカスクチョイスしたというシリーズ、プライベートコレクション。
要するに立場ある人間のチョイスだから、普段のリリースより特別な樽を選んでるぜ、って位置付けだったのだと思うのですが、最近は特別感のある1950〜70年代の蒸留原酒以外に、カスクフィニッシュなど意欲作もリリースされており、位置付けがよく分からない印象もあります。(中にはプライベートコレクション=カスクフィニッシュに限定しているようなPRもあったり。。。)

ではこの時期のGMのリリース傾向と、このプライベートコレクションで考えてみると、如何にもGMらしいカラメルっぽいシェリー感のこってりした味わい。45%加水でありながら、このシェリー感の濃厚さは特筆モノですし、加水だからこその滑らかな口当たりもポイント。タンニンは強くあるものの、なるほどこれは中々悪くない濃厚系シェリーです。

ただ、モートラックでこの他リリースされていた、イーグルラベルの1960年代単一蒸留年モノなどと比較してどうかというと。。。突き抜けている印象はなく、良いも悪いもあとは好みの問題という印象。
それだけ同時期のボトラーズリリースのレベルが高かった結果にして、GMの豊富な原酒保有量だからこそ、逆に埋没したリリースとも言えそうです。


今回のテイスティングはいつもお世話になっている日本橋のBAR IANにて。
ちょっと前のGMでシェリーの濃いヤツないっすかねと頼んで奥からしれっと出てくる、今となってはレアなボトルたち。価格も良心的で、こういうかつてのGMらしさを経験したいという近年のドリンカーには是非オススメしたい環境であり、1本だと思います。


モートラック 1982-2002 ジェームズマッカーサー 55.2%

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MORTLACH
James Mac Arthur
"OLD MASTERS"
Distilled 1982
Bottled 2002
Cask type Sherry #4174
700ml 55.2%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:自宅@借り物
時期:開封後半年程度
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:強い香り立ち。やや青みがかったニュアンスを伴うハイトーンで乾いたウッディネス。合わせてエステリーで林檎のコンポート、蜂蜜、微かにカカオ。奥には木材の燃えかすのようなスモーキーさも伴う。

味:スパイシーでフルボディな口当たり。香り同様ハイトーンでヒリヒリとした刺激があるが、蜂蜜を思わせるコクのある甘み、香ばしくスモーキーな麦芽風味が淡いシェリー感やほのかな古酒感と共に広がってくる。
余韻はピーティーでビター。微かに青みがかった樽香を伴いパワフルで長く続く。

モートラックらしい強さと個性のある酒質に淡いシェリー感。口開け直後に比べ、柔らかくなってきた印象もあるが、ストレートでは未だパワフルな印象は拭えない。少量加水すると好ましい変化があり、特にピーティーさが際立つ。

普通に美味しいモートラック。持ち主曰く、怒りのモートラック(笑)。テイスティングの通り酒質の"らしさ"が感じられ、ハイプルーフボトリングも手伝って香味に勢いがある。ジェームズマッカーサーのこのリリースは、これまで何本か飲んできたものの詰めたてが硬かったろうなってボトルが多い印象で、今回の1本も同様な構成です。

それでも15年程度の経年に、熟成年数20年程度と、樽に染まりきらないバランス型の熟成感は通好みであるだけでなく、真価を発揮するのは少量加水から。ハイトーンなアタックが落ち着き、程よい甘みを残してピートと林檎系の果実味が香ばしい麦芽風味と共に開くのが好印象です。
こういう古典的なスタイルの内陸系モルトは好みなんですよねえ。余韻の引き締めるような苦味がたまらんです。

ただ、あえて言えば裏ラベル。モートラック蒸留所のハウススタイルと思しき内容が解説されていて、このボトルを飲んで納得できる要素が多い反面、ストロングシェリーというにはさすがに樽感淡すぎという印象も。。。
香味の系統からすると、シェリー樽が不足し始め、シーズニングも今ほど一般的でなかっと思われるこの時期のアメリカンオークのリフィルシェリーだと思います。こういうもんだと思って飲めば良いんですが、シェリーだと思って飲むと「あれ?」という感じなのです。
冒頭書いた持ち主の怒りは、ここに起因しています。

それでも、近年増えてきたわかりやすくもやや露骨な樽づかいから見れば、こういうかつてのケイデンヘッドとかにありがちなタイプの樽づかいは貴重になったとも言えます。
期待したシェリー感とは違いましたが、これはこれで楽しめる味わいでした。

モートラック スペシャルストレングス 49% 免税向け ブラインド

カテゴリ:
MORTLACH
"Special Strength"
2015's
For the Travel Retail Market
500ml 49%

【ブラインドテイスティング回答】
仕様:加水
原産:スペイサイド
熟成:シェリー主体、スパニッシュやアメリカンオークの複数タイプのバッティング
年数:15-20年程度
度数:48%程度
蒸留所:グレンファークラス
暫定評価:★★★★★★(6)

シェリー樽熟成を思わせる甘い香味。ドライプルーン、ブラウンシュガー、アップルパイ。濃いめの紅茶を思わせる渋み、乾いたウッディネスにリチャー系の焦げたようなニュアンスもある。
口当たりの粘性を伴うキャラメルのような甘みから、ピリっとした刺激、淡く徐々にローストした麦芽、アーモンド、焦げたトースト。余韻はややトーンが高くヒリヒリとした刺激を伴い、ほのかな草っぽさ、ほろ苦さが長く続く。

シェリー、バーボン、リチャーの有無。シェリー樽を中核としつつ複雑な樽感が感じられるウイスキー。複数タイプの樽が混ざり合う中で、しっかりとした酒質がバランスの良さに繋がっている。熟成感は中熟主体に幅広く、フレッシュであり落ち着きもある。
(ボトル全容。このシリーズは容量が減ってくるとラベルが見えづらい。。。)


モートラックが2015年にラインナップを一新し、ダフタウンの野獣というニックネームを纏って登場した際、通常ラインナップ3種と合わせてリリースされたのが、この免税店向けのスペシャルストレングス。最近は並行品が国内市場に入り始めたようです。
49%仕様でカスクストレングスというわけではなく、加水仕様ですが、通常よりも度数を高く調整することで、より原酒の個性を際立たせつつ、オフィシャルとしてのバランスを保つ狙いもあるようです。

実際に飲んで見た感じも、酒質由来のアタック、香味がしっかりと残っていて、飲みごたえがありました。体感的な熟成感は15〜20年程度の中長期熟成原酒を主体にしたイメージで、加水を少量に抑えているためか、香味のアタックに強さがあり、一緒にブラインドにトライしたウイスキー仲間は50%Overのハイプルーフを予想していたほどです。

特徴的なのはその香味の強さに加え、複雑な樽感。これも度数の高さに由来してか、スパニッシュ系のシェリー樽の香味を主体としつつも、リチャーオークの焦げ感やアメリカンホワイトオーク由来と思しきニュアンスなど、各樽の要素があまりぼやけることなく伝わって来ました。
テイスティングのとおりそれらのバランスがとれており、渾然一体となって楽しめるのは、様々な原酒を持って大量生産出来るオフィシャルならではの作りと言えるかもしれません。


そんなわけで今回のブラインド、各スペックだけ見ればかなり近いところまで絞り込めていて、テイスティング的には及第点ではあるものの、ここまできて蒸留所が出てこなかったのは不覚でした。
悩んで酒質的に強いグレンファークラスとしましたが、冷静に考えるとオフィシャル・ファークラスでこの手の複数樽バッティングがリリースされた記憶はなく。。。モートラックが選択肢にも出なかったのが悔しい(笑)。
前回のブラインド記事でもあと一歩絞りきれない状況でしたが、今回もあと一歩。この精度を上げることを目標としていきたいです。

今回の出題は神田のBAR Groovy の藤島さんに頂きました。楽しく分析出来ただけでなく、いい経験になる出題、ありがとうございました。

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