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トマーティン ファイブ ヴァーチューズ ウッド 46% ブラインドテイスティング

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TOMATIN
FIVE VIRTUES SERIES
"WOOD"
Selected Oak Casks
700ml 46%

【ブラインドテイスティング】
蒸留所:ー(絞り切れず)
地域:ハイランド
年数:10〜15年程度
樽:新樽及び異なる樽材
度数:46%
仕様:オフィシャル加水、複数樽

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅@サンプルT野さん
暫定評価:★★★★★(5)

香り:酸味を伴う若いモルティーさと強い木香。バニラを思わせる濃い甘み、樹液やほのかにゴムっぽいニュアンス。 時間経過で香木、洋梨を思わせるアロマが感じられる。

味:クリーミーで柔らかい口当たり、強い樽感、ホワイトオークのバニラ、蒸した栗、鼻腔に抜けていくような木香がメイン。洋梨のようなフルーティーさもあるが、合わせて酒質の若さが刺々しい刺激を感じさせる。
徐々に樽由来のえぐみ、ウッディネス。苦味と共にスパイシーなフィニッシュ。

樽感は原酒の若さに対し、強く溶け出ている印象。 所謂樽と加水で若さを押さえつけたようなタイプ。また樽の種類というより樽材の種類だろうか、新樽と思しき強い香味の裏に、単一ではない異なるニュアンスのものが複数種類混じっている。
結果、酒質そのものはハイランドタイプだが、ハウススタイルに該当しないため絞り込めない。限定品あるいは熟成場所が違うのか、日本のクラフトがリリースしそうな構成でもある。 

ウイスキー仲間のT野さんからのブラインド出題。
トマーティン・ファイブ・ヴァーチューズシリーズは、人間に文明をもたらしたとされる5大元素、木、火、水、金属、土のそれぞれと、トマーティンにおけるウイスキーづくりとの繋がりをテーマにしたシリーズです。

自然界や神話などとのコラボレーションリリースはこれまでも数多くあったところですが、また大きくでたな〜と感じさせるには十分すぎるPR。その5本の中で今回テイスティングしたウッドは、シリーズの起点に位置付けられ、このボトルから火(リチャー)、土(ピート)、金属(蒸留器)、水(仕込み水)と順次リリースされていく、同シリーズの旅が始まります。※2018年4月でシリーズの5作品は全て発売済みです。

参考(国分プレスリリース 2017年4月19日):http://www.kokubu.co.jp/news/file/download/2440

本ボトルは"木"の位置付けそのものを見るような、3種類のオーク材からそれぞれ作られた樽を用いた、特徴的な原酒をバッティングしています。その原酒構成は以下の通り。
・1999年蒸留 ハンガリアンオーク樽 10%
・2006年蒸留 アメリカンオーク樽 20%
・2006年蒸留 フレンチオーク樽 70%

これらの樽が新樽か否かは、国内外どのサイトにも情報がないものの、少なくとも構成の大半を占めるフレンチオークはチャーを行なっていない新樽ではないかと推測。柑橘系のニュアンスが出るバーボンオークとは異なる濃い木香に加え、後付けしたような粘性を伴う甘い香味が感じられます。
またテイスティングで感じたその他の要素についても、熟成年数、度数共にほぼ印象通りでした。

それだけに、ここまで絞れて蒸留所やボトルにたどり着けないのが非常に悔しい。。。
無理やり書くなら、この手の意欲作がありそうな筆頭はモーレンジ。しかしこんな樽感や若さのあるボトルはなかったですし、若く刺激のあるニュートラルな酒質とフレンチオーク系の組み合わせは、リベットという可能性も感じましたが、ここまで意欲的なリリースは例がない。
ということで蒸留所は絞り切れず、回答無しとしてしまいました。なんでしょうこの相手が勝負してきたのに、四球で逃げてしまったような消化不良感。。。(汗)

ちなみに、ストレートで飲むには特徴的で樽の強いこのボトル。持ち主のT野さんオススメの飲み方であるハイボールにすると、バランスが取れて若さも気にならない、ふわりと香るオークと蒸し栗のような甘みで中々楽しめる1本です。

トマーティン 39年 1976-2016 ケイデンヘッド 43.8%

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TOMATIN
CADENHEAD
Age 39 years
Distilled 1976
Bottled 2016
Cask Type Bourbon Hogshead 
Bottle Number: One of only 162 bottles released 
700ml 43.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:バニラやドライパイナップル、微かにハーブ、乾いたウッディさの華やかなオーク香。合わせてケミカルなニュアンス、果実香が穏やかに香り立つ。

味:ドライで華やかな口当たり。バニラ、ラスク、熟した洋梨、パイナップルキャンディ。ほのかにピリピリとした刺激も伴う。
序盤のフレーバーは大人しめで力強く広がる感じではないが、余韻にかけてはケミカルなトロピカルフルーツが広がり、ウッディなスパイスと共に長く続く。

美しい76トマーティン。この時期のトマーティン特有のケミカルなフルーティーさが過度に主張せず、序盤はホグスヘッドらしい華やかな樽感主体でドライ、余韻にかけて綺麗に広がる。


飲んでいた時期の関係もあり、1976トマーティンは数多く飲んできました、美味いボトルも、そこそこなボトルも沢山ありました。そのシングルカスクリリースの中で最も綺麗な仕上がりと感じたのが今回のトマーティンです。
先日レビューさせて頂いた175周年記念のカリラ同様に端正な仕上がり。長期熟成となって、熟成のバランスでプラスに作用しているボトルと感じます。

1976前後のトマーティンは、子供の風邪薬シロップのような、独特なフルーティーさに繋がっているケミカルなニュアンスが特徴であり、わかりやすい魅力でもあります。
しかしボトルによってはそれがしつこく、鼻についてしまうものも少なくないのですが、今回のリリースは熟成を経る中で酒質部分が削られ、度数が落ちたことが良い方向に作用。序盤はそのケミカルさが抑えられて適度にドライで華やかな口当たりが心地よく、そして余韻にかけてフルーティーなフレーバーが解き放たれていくのです。

個人的にウイスキーの熟成のピークは20〜30年くらいに多く、後は度数が落ちて酒質が枯れていくだけという印象があるのですが、突き抜けていくようなエネルギーはないものの、こうしてバランスが取れて長期熟成としての飲み頃を魅せてくれるボトルがあり、熟成の偶然や神秘の一つであると感じています。
他方、今後このようなリリースが続いてくるかというと、酒質に力のあった1960〜70年代だからこその産物とも考えられ、80年代、90年代はまた違った仕上がりになることが予想されます。

今だから出会えたことに感謝しつつ、将来には期待と不安(そもそも飲めるのかという話もあり)を感じつつ、様々な思いはあると思いますが、今飲んでいるからこそ楽しめるボトルを記憶していきたいですね。

トマーティン 25年 2000年代流通 43%

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TOMATIN
Single Highland Malt
Aged 25 years
2000's
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:華やかでケミカル、やや人工的でフルーティーな香り立ち。ピーチや洋梨、ほのかにパイナップルも混じったミックスジュース。乾いた麦芽を思わせる植物感、香ばしいアロマもある。

味:口当たりは甘く、香り同様にケミカルで、シロップのような甘み。熟した洋梨、ほのかにハッカの混じったリッチなフルーティーさが鼻腔に抜けていく。
余韻はハイトーンで程よくドライ。バニラ、ほのかに乾いた植物感、喉にヒリヒリとした刺激を残して長く続く。

70年代後半蒸留のトマーティンらしいケミカルフレーバーがしっかりあり、全体的なバランスも良いまとまり感のあるモルト。フルーティーさと合わさって同時期のハウススタイルを楽しめる。加水すると骨格がぼやけてしまうのでストレートで。


現在のトマーティンには無い25年、オフィシャルラインナップの2世代前ボトル。2005年ごろから5年間ほど生産されていたようです。
少なくとも自分が飲み始めた頃、このボトルは市場在庫が割と普通に残っていたわけですが、その後1976トマーティンのブームがあった後でも「まあトマーティンやし・・・」と完全にノーマーク、マガジンライブの試飲も出ていましたが飲みもせず。
先日ウイスキー仲間のRさん宅でテイスティングさせてもらい、らしいハウススタイルと熟成感のバランスの良さに驚きました。

ちょうど先日、このトマーティンの後継となる1世代前の25年について記事にしていたので、タイミングも良かったです。
その25年に感じられた過熟気味なウッディさ、ボディの軽さがなく、香味共にケミカルなフルーティーさがしっかり広がるのがポイント。原酒はフレーバーから察するに25から30年熟成、つまり1975年から1980年ごろに蒸留されたものが使われているのではないでしょうか。

(現行品1世代前のトマーティン25年。2010年ごろの発売。1970年代中頃から後半らしいケミカルなキャラクターと長熟原酒らしい強いウッディネスから、原酒の残りをそのまま熟成させてベースにしているような味わい。)

2005年当時のオフィシャルハイグレードと言えば、例えばハイランドパーク、タリスカー、マッカラン・・・今となっては名だたる銘品の数々がひしめいているわけですが、その中にあっては地味なトマーティンもこのレベル。海外サイトでは55ポンドで販売されていた履歴も残っていて、良い時代だったなと、感じざるを得ません。
また、当時飲んだ方には荒さ、アタックの強さに個性的な味わいを指摘されている方もおりましたが、10年弱の経年変化でこなれ、そろそろ飲み頃になってきているのではと感じます。

そう言えば、トマーティンは最近ラインナップの全面リニューアルを行なったばかり。
2000年代のトマーティンは個性の穏やかなニュートラルな酒質で、70年代のケミカルなフレーバーとは異なる、新世代に突入した感はあります。
最近飲み始めた方々は70年代でケミカルと言ってもナンノコッチャという感じ。突き抜けて素晴らしいボトルは少ないですが、モルトの楽しみとしてこの辺りのトマーティンフレーバーは一度経験しておいても良いかなと思います。

トマーティン 25年 43% 旧ボトル オフィシャルリリース

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TOMATIN
Highland Single Malt 
Age 25 Years
Matured In North American Oak Casks
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:自宅持ち寄り会@Tさん
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでリッチなフルーティーさと、すぐに機械油を思わせる特徴的なケミカルフレーバーを伴う香り立ち。オーク由来のバニラやバタークッキーの香ばしい甘さ、パイナップルキャンディー、風邪薬シロップ。香りは徐々にドライになっていく。

味:お菓子のフルーツキャンディーや熟したオレンジのような甘みを伴うまろやかな口当たりから、すぐにドライに変化。ボディは軽く、奥に乾いた牧草を思わせるウッディネスが余韻にかけて存在感を増してくる。余韻は華やかでドライ、ウッディーで強いタンニンを感じる。

ラベルに書かれた"Matured In North American Oak Casks"はバーボン樽とシェリー樽のバッティングの意味か。香りはフルーティーでふくよかだが、味はややドライで軽い。かなりの長期熟成が使われていると考えられる。加水すると特に味が水に負ける印象があり、ストレートで時間をかけて香りを開かせ、楽しみたい。
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最近大幅なボトルデザインチェンジをした、トマーティンの旧ボトル。
このボトルの最大の特徴は、何と言ってもトマーティンの当たり年といわれた、1976年蒸留を思わせるフルーツフレーバーがしっかりあるところにあります。
ただ、流通時期をざっくり2010年として計算しても、25年原酒の蒸留時期は1980年代半ばとなり、この時期は酒質の系統が中性的になってきていて、これほどのケミカルフレーバーは感じられません。
とすると、最も若い原酒として25年は使われつつも、ブレンドには1970年代蒸留の原酒(35~40年)が相当量使われているのではないか・・・というのが個人的な印象です。

それを裏付けるように、香りはフルーティーでややケミカル、バタークッキーのような甘みもあって充実していますが、味はややドライ気味で特にボディが軽く、余韻にかけては強くタンニン。長期熟成のウイスキーに見られる傾向が感じられます。
43%加水であることも、この構成となる要素の一つなのでしょう。トマーティンはそこまでボディの強い酒質ではないので、長期熟成原酒を使ったことで出てしまう渋みやウッディネスを加水で整えた結果、こうした仕上がりになったのだと思います。
これらは自分の推察で実際のところどうなのかはわかりませんが、これだけの原酒を使っているとすれば、同時にメーカー側の気合も伝わってくるようです。

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(1972年蒸留のトマーティン30年。この頃になると特徴的なケミカル系フレーバーは無く、柔らかい口当たりで個性はそれほど強く無い内陸系モルトという印象。1960年代も同様。)

また、最近はリリース高騰と原酒枯渇により、貴重になってしまった1970年代中ごろのトマーティンの味が感じられるという意味でこのボトルもまた貴重な1本であるように感じます。
こうした背景からネット市場では既に在庫がないボトルですが、トマーティンを扱う国分は個人経営の酒屋やスーパーマーケットなどにも商品を卸していましたので、ひょっとすると当時価格で店頭に残っているモノもあるのではないかと思いますので、見かけたら懐と相談ですね(笑)

トマーティン 10年 2005年蒸留 バーボン樽&シェリー樽 信濃屋ニューリリース

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ここ最近超精力的にオリジナルボトルをリリースしている信濃屋から、バーボンバレル熟成とオロロソシェリー樽熟成のトマーティンが2種類発売されます。
どちらも2005年蒸留の10年熟成。
短熟やなー、バーボンはともかくシェリーは前にオフィシャル12年で地雷踏んでるしなぁ、と飲まずにスルーを決め込む予定でしたが、サンプルを試飲したところ、その考えは愚かだったことが良くわかりました。

トマーティンと言うと、76ビンテージを知っている方にはケミカルなフルーティーさというイメージが強いですが、近年のトマーティンは酒質がニュートラルというか、少なくともケミカルなニュアンスはなく、樽感とあまりケンカしないような印象があります。

今回のリリースに使われている2樽は近年系の構成ですが、しっかりとした樽感に、甘みやフルーティーさがあり嫌味の少ないタイプ。単体で飲んでも一定以上の評価が期待できるだけでなく、同一ビンテージ、同時発売、ほぼ同じ度数という仕様で、「樽」の違いを知る、飲み手の経験値を高める教材ボトルとしても非常に面白いと感じました。
今後のBARでの飲み比べが楽しみです。

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TOMATIN Aged 10 Years Distilled 2005
Cask type 1st Fill Bourbon Barrel 59.0%
ハイプルーフらしいヒリヒリとしたスパイシーな刺激はあるものの、ねっとりとした樽感に、洋梨、蜂蜜レモン、ウッディーな渋みとオーキーな華やかさ。典型的なバーボンバレルのフレーバーが感じられます。
特に一口目は後半にかけて広がるというか、弾けるようなイメージ。10年の若さゆえ単調ではありますが、今回のカスクは近年のバーボンバレルの中でも「らしい」要素が感じやすいと思います。

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TOMATIN Aged 10 Years Distilled 2005
Cask type 1st Fill Oloroso Sheery Butt 58.0%
シェリーの濃さを特濃、濃厚、普通、薄い・・・とするならこのボトルは濃厚のゾーン。
香りにオロロソそのものの酸味を思わせる、とってつけたようなニュアンスは感じられますが、味わいの酸味と甘みのバランスは良好。近年系のウッディーなシェリー感の中にイチジクの甘露煮、ほのかにクランベリー、アーモンド、ハーブ系の香味を感じる。硫黄などの嫌味の少ないリッチな味わいで、これは10年くらい置いて、ボトルの中で馴染ませても面白そうです。


今回のリリースを試飲して感じたのは、時代が完全に切り替わったのだなということ。
ほんの数年前までこの価格帯は60〜70年代蒸留の長期熟成原酒に手がとどくレンジでしたが、最近は80-90年代はおろか2000年代に突入してしまいました。
昔を懐かしむのも時には良いですが、どんなに望んでも時計の針は戻らない。
であれば昔は昔、今は今で楽しんでいくしかないのかなと。そう考えると、今回の10年ものも、2016年の他のリリースと比較して、見るべきところのあるボトルであると感じました。

バーボン、シェリーともに近年系の王道という感じですが、特にシェリーの方はウイスキー熟成用の樽の質の向上(あるいはノウハウの蓄積)が見られると感じる1本。今回のような樽がさらに 10、20年後に60年代とは異なる新しいシェリー樽の魅力につながってくれればと期待出来る内容でした。

それにしても信濃屋さん、1ヶ月に1~2本くらいのペースでPB出してませんか?
以前から活発でしたがここ最近さらに高頻度なような。いち酒屋がここまでの頻度でプライベートボトルをリリースするのはちょっと凄いことだと思います。
もう日本を代表するボトラーズブランドと言っても良い状況ですね。
今後の活躍、展開も楽しみにしています!

※画像引用:http://www.shinanoya-tokyo.jp/shopdetail/000000006721/ct29/page1/recommend/

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