ロングモーン 17年 2007-2024 伊藤若冲“老松孔雀図” 46.6% for 乾杯会

LONGMORN
Aged 17 years
Distilled 2007
Bottled 2024
Cask type Bourbon Barrel #700016
for Kanpaikai
700ml 46.6%
評価:★★★★★★(6-7)
香り:林檎のような白色果実やバニラの華やかさ、乾いた麦芽、微かにレモンピールを伴うオーク香。徐々に白葡萄を思わせるフルーティーさも開き、時間経過でクリーミーな質感に変化する。
味:序盤はソフトな麦芽風味から、ナッツ、そしてリンゴや白桃を思わせるフルーティーさ、華やかなオークフレーバーが広がり充実していく。
余韻は白桃を思わせるフルーティーさと軽やかな刺激が、じんわりと染み込むウッディネスを伴い長く続く。
モルティーかつフルーティーな香味が溶け込む充実した一本。46%台まで度数が落ちていることもあって主張は強くないが、それ故に香味のカドが取れ、各要素が馴染み、優しく包み込むような味わいは熟成の妙を感じさせてくれる。王道的なロングモーン。
乾杯会リリースの伊藤若冲ラベルシリーズ。乾杯会の代表である鄭さんが伊藤若冲好きということもあって、これまでもキルダルトンやアイリッシュとクオリティの高い原酒が詰められているところ。今回も熟成ロングモーン原酒がなかなか手に入らない中で、良い原酒を詰められてます。
ラベルに採用された伊藤若冲作「老松孔雀図」は、花王たる牡丹の間、岩の上に立つ白い孔雀と、松の老木が描かれた、落ち着いた華やかさ、格式の高さを感じさせる作品。
今回のロングモーンは、白色果実を中心としたフルーツと麦芽の白い部分を思わせる優しい甘さ、近年のロングモーン蒸留所の王道たる風味が牡丹と孔雀であり、古木のような落ち着きのあるオークフレーバー、ウッディネスが松の老木、まさに老松孔雀図を想起させる構成となっています。
近いリリースのイメージは、信濃屋さんが以前リリースしたOMCロングモーン15年 2000-2016 55.9%(以下写真)。乾杯会のロングモーンを飲んだ瞬間、このリリースが思い浮かんだんですよね。麦感がしっかりあって、それでいてナッティでフルーティー、樽感も華やか。今作はそれより落ち着きがある感じですが、いずれにしろ近年ロングモーンの中でも高い完成度であることは間違いありません。


※先日乾杯会からリリースされた、ロングモーン1996-2014 ホグスヘッド 58.8% 金目猫ラベル。美味な一本だが、王道的なロングモーンとは異なる、華やかでフルーティーでグランシャンパーニュコニャックのような香味が特徴。
なお、乾杯会の鄭さんとは愛好家グループとして、あるいは酒販として乾杯会が立ち上げ前からの付き合いであり、何かとお手伝いをさせてもらっています。
今回のロングモーンも公式コメント等を書かせて貰いました。鄭さんは愛好家視点で自分の好みである原酒を引っ張ってくるので、コメント書くにしてもフォーカスするところがわかりやすいんですよね。あるいは「くりりんさん、これはちょっと違う個性かもしれない…、そこはわかるように描いて欲しい。」なんて言われる時も。
っていうか後発のボトラーズ(インポーター)でありながら、よくもここまで色々な原酒を引っ張ってこれるものだと、ただただ感心します。今、原酒を輸入してきてリリースするタイプのボトラーズは複数社国内にありますが、どこも原酒枯渇の影響を受けているのに…。聞けばアジア圏のグループ(The Lucky Choice)で原酒調達に動いている模様。いやはや本当にすごい。
リリースは4月29日、乾杯会のECサイトにて。またすでにいくつかのBARでもテイスティング出来るので、合わせてぜひ。