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カテゴリ:クライヌリッシュ

クライヌリッシュ リザーブ ゲームオブスローンズ 51.2%

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CLYNELISH 
RESERVE 
GAME OF THRONES 
HOUSE TYRELL 
700ml 51.2% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:不明
場所:ジェイズバー
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:やや発酵したような酸を伴う甘酸っぱいアロマ。樽感に多少の荒さはあるが、湿った木材、杏子や無花果、ブラウンシュガー。仄かにワクシーなニュアンスも感じられる。

味:スムーズで若干の水っぽさ、そこからクリーミーでワクシーな麦芽風味が感じられ、バニラやお粥、オーク由来の黄色系のフルーティーさをアクセントに、余韻にかけて荒さ、強さが口内を刺激していく。
余韻は麦芽由来の白系の甘味とほろ苦さ、籾殻を思わせるざらつき、ほのかなピートを伴う。

香味構成はオフィシャル14年のベクトルにあるが、先にあるのではなくそこまでの途中というモルト。麦芽風味のらしさに加え、バーボン樽だけでなく、複数の樽の個性を感じる。全体的に香味の強さはあるが、味のほうは立ち上がりでもたつく印象あり。ただし万人向けのリリースとして考えると、これくらいのほうが親しみやすいのかも。アクセルオンで即ドカンというピーキーな仕様では難しいか。。。ってなんの話だか(笑)。
こういうリリースを飲むと、通常の14年の完成度の高さがよくわかる。

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ディアジオ傘下の蒸留所ならびにブレンド銘柄と、大人気テレビドラマとのコラボレーションラベル。欧米市場や免税店向けの限定リリースです。
こうして画像をみると、全部限定品とか気合い入ってるなぁと思わせて、大半はオフィシャル既製品のラベル張り替えの模様。そのため、ドラマに興味がない自分は特に気にもしていなかったのですが・・・。クライヌリッシュとラガヴーリンはオリジナルリリースのようで、機会があれば飲んでみたいと思っていました。

現行クライヌリッシュでカスクストレングスと言えば、かつては蒸留所限定品があり(現在は48%加水仕様、写真下参照)、最近だとディアジオのスペシャルリリースで似た名前の「セレクト・リザーブ」があったところ(価格は天と地ほど違いますが)。どちらも良い出来だったので、正直このゲームオブスローンズ向けボトルにも相応のクオリティを期待していたのです。

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(現在販売されているクライヌリッシュの蒸留所限定品。同銘柄らしいワクシーな麦感と、オークフレーバーの華やかな熟成感のバランスが良い。限定品として申し分ない完成度の1本。ラベルも特別感あり。)

で、飲んでみるとどうも思っていたのと違う。バーボン樽系の原酒に加えて、リチャーオーク、または一部シェリー樽かワイン系の樽で熟成された原酒が使われているのか、香りにくぐもったような印象と、酸を伴う樽香が感じられます。若い原酒に樽を押し付けたような原酒に通じるところがあります。
また、中間以降に”らしい”麦芽風味、メーカーテイスティングコメントでみられるトロピカル表現(以下参照)に該当する、オークフレーバーもあるはありますが、これは公式が過剰に使いすぎ疑惑。フレッシュトロピカルでパパイヤでマンゴーは果たしてどうかと。。。
先に書いたように口に含んでももたつくところが、求めているのはもっとこう分かりやすい、パッと広がるような美味しさなんですよね。

一方、クライヌリッシュ・リザーブは、日本だとなぜか強気の価格設定ですが、イギリス等ではオフィシャル14年とほぼ同額なリリースだったりします。
香味の印象に加え、外的要素からも推察すると、10年程度の若い原酒をベースに樽感でそこを補うように仕上げたカスクストレングス仕様ではないかと。ただし、最近オフィシャルでクライヌリッシュのカスクストレングスなんてモノはありませんでしたから、お土産用のボトルとしてなど、現地価格でならアリかなぁとも感じています。

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クライヌリッシュ 25年 1993-2019 for TWC 52.2% #11192

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CLYNELISH 
CARN MOR "CELEBRATION" 
For THE WHISKY CREW 
Aged 25 years 
Distilled 1993.10.21 
Bottled 2019.03.01 
Cask type Bourbon Barrel #11196 
700ml 52.2% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後数日以内
場所:自宅
評価:★★★★★★(6ー7)

香り:おしろいを連想させる、麦芽の白い部分の香りに、洋梨や林檎の蜜っぽいフルーティーな熟成香。オーキーな華やかさに、オレンジピールやドライアプリコット等を思わせるウッディさが合わさった多層的なアロマ。

味:やや硬質さを感じるウッディな口当たりだが、すぐにクライヌリッシュらしいワクシーな麦芽風味をベースに、熟した洋梨のフルーティーさが広がる。
余韻はほろ苦く、香り同様のオレンジピール等の柑橘感を伴うウッディなニュアンスが、ジンジンと心地よく口内を刺激する。

らしい麦芽風味に加え、オーキーなフルーティーさだけでなく、ニッカのウイスキーにあるようなリメード系の要素も備わっている多層的な香味構成が特徴的な1本。加水すると洋梨や林檎、さらにはマスカットを思わせる華やかな白色系のフルーティーさが開く。一方で冷えていると堅さが強く出るので、冬場の寒い部屋でのテイスティングはオススメしない。
クライヌリッシュファンだけでなく、ニッカ好きに薦めたいグッドリリース。

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過去の記事で何度か触れているように、最近のハイランドモルトは昔に比べて麦由来の風味が弱くなり、らしさを失いつつあるように感じています。
ただ、いくつかの蒸留所は昔ながらの個性を残しており、クライヌリッシュはまさにそのひとつ。1990年代以降の新しい原酒であっても、ワクシーでフルーティーな味わいを感じられるものが多くあります。

勿論全てのボトルが良いわけではなく、一時期よりは落ちた部分はありますし、樽によって左右される部分も多分にあります。
ですが今回のリリースは酒質由来の香味もさることながら、熟成感はピークギリギリの範囲でとどめられ、ウッディでありつつフルーティー。ウイスキー愛好家の間に何となく漂う、スコッチモルト1993アタリ説はやっぱりあるのかと感じてしまう、素直に良いモルトだと思いました。

また今回のリリースは上述のクライヌリッシュらしい麦芽風味だけでなく、その樽感が個人的にヒット。
バーボンバレル熟成表記のため、いわゆるアメリカンオークのオーキーで華やか、フルーティーなタイプかと思いきや、どこかニッカのリメード樽的なニュアンスも含んでいるのです。

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(確認のため、自宅にあるリメード樽熟成の宮城峡10年と比較。熟成年数だけでなく、酒質部分のフレーバーが異なるため一概に比較はできないが、やはり同系統のニュアンスが備わっている。)

ニッカのリメード樽は、バーボンバレルをベースに鏡板を新樽にして組み直した、バーボンホグスヘッドサイズ(250L)の複合樽です。樽材は同じアメリカンオークであるため、バーボンバレルとの共通項は間違いなくあるものと思いますが、新樽要素が含まれるためバーボン樽とでは仕上がりが異なります。

じゃあ今回のリリースは、ニッカの樽がクライヌリッシュでも使われたとか、荒唐無稽な説を述べるつもりはありません。
神のみぞ知るところですが、樽材が同じなのだから、たまたまそういう仕上がりになっただけか、あるいはウイスキーの熟成前に樽の修繕があり、一部が新樽に切り替わっていた辺りが、現実的な範囲だと考えます。
いずれにせよ、個人的にはニッカ独自のものと整理していた香味を備えている点が、今回のリリースの嗜好品としての面白さを後押していると感じます。

「専門性とは切り離されたところに、愛好家としての愉楽はある。」あるいは「女(ウイスキー)は秘密を着飾って美しく(美味しく)なる。」と言いますか。
ちょっとミステリアスな部分があって、あーだこーだと考えながら自己完結する嗜好品の楽しさがあり、それでいて美味しい。このボトルはまさに、というものなのです(それが正解かどうかは重要ではない)。
カスクチョイスをされたWhisk-eないしTWCのご担当者様、いい仕事してますね!

クライヌリッシュ 蒸留所限定 2018年詰め 48%

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CLYNELISH 
DISTILLERY EXCLUSIVE BOTTLING 
Cask type Ex-Bourbon 
2018's 
700ml 48% 

グラス:
場所:BAR Fingal
時期:不明
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:オーキーで華やか、合わせてワクシーさのしっかりある香り立ち。バニラやおしろいの甘いアロマ、すりおろし林檎、微かに黄色い柑橘のアクセント。

味:香り同様にオーキー、オイリーな口当たりから麦感厚く、骨格がしっかりしていてアタックもほどよい、口内をホワイトペッパーが刺激する。
余韻にかけてグレープフルーツなどの柑橘のニュアンス、ウッディでほどよくドライ、長く続く。

蒸留所の特徴がしっかり出たウイスキー。加水だが適度に酒質のパワーが残っており、それがアメリカンオークの樽感と合わさって素直に旨いモルト。バーボン樽との相性が良いのだろう。蒸留所限定品としての特別感もある。


クライヌリッシュ蒸留所で販売されている限定品。以前は同じバーボン樽熟成で57.3%のカスクストレングス仕様でしたが、2018年頃に加水仕様へリニューアルしたようです。
加水に変更されたことで少々残念な印象を持つかもしれませんが、加水は加水で良さがあります。

熟成年数はオフィシャル現行品の14年と同じくらいだと感じますが、完成度の高さは現行品と比べて頭一つ抜けている。樽がバーボン樽で構成されていることが、酒質と馴染みの良いフルーティーさに繋がっているだけでなく、酒質由来の香味も分かりやすい構成です。
そして加水されていることで、それらがまとまり、全体的なレベルの高さに繋がっているものと感じます。

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中身以外でもう一つ変更されたのが、ラベルデザイン。
以前のカスクストレングス仕様はオフシャル14年に近いものでしたが、写真のようにラベル下部に山猫のイラストが大きく書かれています。
クライヌリッシュと言えば山猫。元々野生のものではあるのですが、ラベルのそれを拡大すると結構リアルな感じだったんですね。
このイラスト、なんだか威嚇されているような・・・(笑)。

ただし威嚇されてはいるものの、頭を撫でたら以外とフレンドリーだった。そんな味わい。スコットランドに行く人がいるなら、お土産に買って損のないボトルだと思います。

クライヌリッシュ 20年 1997-2018 BARレモンハート 46%

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clynelish-lemonheart
CLYNELISH 
KINGSBURY 
For BAR LEMON HEART 
Aged 20 years 
Distilled 1997 
Bottled 2018 
Cask type Hogshead 
700ml 46%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR LIVET
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーク香、ワクシーかつおしろいを思わせる麦芽香。すりおろしたリンゴや洋梨を思わせる品の良いフルーティーさを伴う。

味:香り同様の構成。しっかりとした口当たりから、おしろい系の麦感と洋梨のピューレのようなフルーティーさ。微かに柑橘やアプリコット。余韻にかけてしっかりとパンチがある。フィニッシュはドライなウッディネス、華やかだがやや荒いオーキーさを伴って長く続く。

王道的なクライヌリッシュと言える個性を楽しめるリリース。加水だが、虚勢されているわけではなく、樽と酒質にはほどよい強さが残されている。


ウイスキー好きなら、あるいはお酒好きなら一度は見たことがあるであろう、漫画「BAR レモンハート」。最近はドラマも放送されていたため、より知名度が上がっているのではないでしょうか。

レモンハートは架空のBARですが、嘘から出た誠と言いますか、実際に東京・大泉学園前にBARレモンハートを作者・古谷さんが開業しただけでなく、昨年は酒販店も別途オープン。連載初期の頃に掲載されたものなど、終売などで入手が難しいものはさておき、漫画で知ったお酒を飲み、購入するという興味深いモデルが作り出されています。

今回のクライヌリッシュは、その酒屋レモンハートのオープンを記念して80本限定でボトリングされたものです。
ウイスキーではなくワインっぽいですが、ウェアハウスでテイスティングしているマスターの姿が、知ってる人には「おっ」と思わせるラベル。
中身のチョイスも一般に有名どころなウイスキーではなく、モルトラヴァーにファンの多いちょっとコアな銘柄代表とも言える、クライヌリッシュなのが惹かれますね。

それがまたテイスティングの通り、クライヌリッシュの王道的な味わいなのもポイントです。
ワクシーで、バニラや洋梨、あるいはおしろいのような甘い香りに、日本人に馴染みがあるところだと、お粥のようなとろりとした麦系のフレーバー。ここにオーク由来の華やかさとフルーティーさがマッチする。
リフィルシェリータイプの樽だと、酸味が強かったり多少くどくなる傾向もあるため、こういうのが良い塩梅だよなと。じっくり楽しませてもらいました。

クライヌリッシュ ブティックウイスキー 50.6% Batch No,2

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CLYNELISH
BOUTIQUE-Y WHISKY 
Batch No,2
Release in 2013
500ml 50.6%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:ブラインドサンプル@Wennyさん
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

【ブラインド サンプルB】
地域:ハイランド
銘柄:ベンネヴィス
年数:20年程度
流通時期:2010年代
度数:48〜50%
樽:バーボンホグスヘッド
仕様:シングルカスク

香り:干草や乾いた麦芽のドライなアロマから、乳酸系の酸味、キウイフルーツや人工的なパッション香、時間経過でおしろいを思わせる甘みも感じられる。

味:少し水っぽさのある口当たり、バニラ味の風邪薬シロップ、おしろい、オーキーで黄色い果実味。後半にかけてヒリヒリとした刺激、ケミカルな甘みも伴う。
余韻はドライでほろ苦く、乾いたウッディネス。オーキーな華やかさの残滓を伴い長く続く。

ハイランド系の酒質と熟成感。人工的なニュアンスのあるフルーティーさとおしろいを思わせる麦感は、度数落ちホグスのベンネヴィスだろうか。同系統のフレーバーを出すものとしてはアイリッシュにしては麦系の香味が厚く、ロッホローモンドにしては熟成が長い印象。


リカーショップ、マスターオブモルトがリリースする、ブティックウイスキーカンパニーブランドのクライヌリッシュ。スペックの詳細は明かされていないものの、度数、樽、熟成年数、流通時期などの諸条件は、そこまで大きく外してはいないと思います。蒸留は90年代前半で、ボトリング本数から、樽はホグスヘッドでしょう。

しかしいただけないのが、蒸留所に結びつく特徴の捉え方。今回は白粉っぽい厚めな麦芽風味以外に、人工的なニュアンスのある甘み、リキュールやシロップのような果実味を強く拾ってしまい、こりゃ多少麦感もある90年代の前半から中頃くらいのベンネヴィスかなと。結果は大外し、麦系が強いクライヌリッシュだったワケです。
地域指定ハイランドと言えば予想は近いようですが、正直猛省ですね。

正解発表の後で改めて飲んでみると、ああ、これはクライヌリッシュだよというワクシーで白粉っぽい麦感の方が強く感じます。こんなにわかりやすいキャラクターだったのに、ピントが合わないとこうもズレる。
これが情報を飲むということであり、どこにフォーカス出来るかというブラインドの難しさ。まだまだだぞと良い刺激を頂いた出題でした。ありがとうございます!

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