バランタイン 17年 1990年代流通 43%
BALLANTINE'S
17 Years old
Very old scotch whisky
1990's
750ml 43%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(5-6)
味:マイルドな口当たり。麦芽風味とピーティーなほろ苦さ、微かにオレンジピールと薄めた蜂蜜、中間はグレーンを思わせるマイルドさ。余韻はややビター、焦げた樽香、微かにスモーキーでピーティーなほろ苦さを伴う。
意外に樽感が強いが、全体的には穏やかでまとまりのあるブレンド。加水するとさらに飲み口が柔らかく、麦芽風味が開くように感じられる。ハイボールはすっきり系で、可もなく不可もなしだが、食中に使うなら案外これくらいの方が良いのかも。
1990年代、アライド・メドック社傘下時代のバランタイン17年。
日本ではこの頃からサントリーが取り扱っていましたが、バブル崩壊に加えて酒税法改正で安価になったことで逆に日本におけるブランド価値が下がってしまったという、不遇な時代のボトルでもあります。
まあロット差を除けば、何かが変わったわけではないんですけどね。
この時期の見分けとしては、1990年代後半ないし2000年代になるとキャップシールの色が変わるので、そこで見分けるのがポイントとなります。
一方古い時代、1980年代との整理ですが、これが難しい。1980年代初頭はキャップシールのロゴデザインが異なるので見分けられますが、1980年代後半と1990年代の境界は、日本向けや免税向けなどで明確に表記がされている場合を除き、表裏のラベル、キャップシール、全て同じだったりするのです。
まあ80年代後半から90年代初頭で無理に線引きをしようとするのは、酒税法改正の概念がある日本だからで、バランタイン社としては細かいこと気にすんなってことかもしれません(笑)。
とりあえず以下の通りの整理で、1980年代後半からの5〜10年はふわっと認識して貰えればと。
(同じく1980年代後期から1990年ごろ流通のバランタイン。度数表記でGLと%Volの違いが見られるが、流通先の違いであり、どちらが古いとはこの時期のラベルは整理出来ない。)
(1980年代最後期流通(左)と、1980年代初頭流通(右)。簡易な見分けは、キャップシールに描かれたロゴの違いがある。)
香味は熟成感があってバランスが良い。ボディは軽めですが、グレーンは強すぎずモルティーな個性も随所に感じられ、下手なオールドのエントリーグレードより使い勝手の良いボトルと言えます。
他方、この80年代後半から90年代前半のバランタインは、不思議なことにパフューミーなニュアンスを多少持っているロットがあります。
以前テイスティングした1980年代後期の並行品(上記特級表記ボトル)など、モロそうしたニュアンスが出ていて、思わず閉口してしまったほど。確認のために購入した写真の43GL表記のあるボトルにも、淡く該当するニュアンスが。。。
一方今回のボトルは問題なく、香味構成も樽香が強めに感じられるなど、当時のアライドグループが所有する原酒で何があったのか、探究心を擽られます。
少なくとも、1970年代前半蒸留で該当する蒸留所はグレンタレットかエドラダワーくらいしかないのですが、グレンタレットは旧エドリントン系列。可能性があるとすれば2001年までペルノリカール傘下で、後にアライドが合流して一時期同門となるエドラダワーですが、ちょっと時代が合わない。
このように、現行品に比べモルトの香味が強いことの多いオールドブレンデッドは、キーモルトを時代背景や香味から予想し、あーでもないこーでもないと考えることが、マニアックな楽しみでもあるのです。ああ、今回も満足です(笑)