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バランタイン17年

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BALLANTINE'S
AGED 17 YEARS 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
Lot 2020~
750ml 40% 

評価:★★★★★(5-6)

香り:ややドライで穏やかな香り立ち。洋梨や林檎等の白色果実を思わせる華やかでフルーティーなオーク香、乾燥した乾草や穀物のような軽く乾いたウッディネス。

味:コクがあってクリーミー、スムーズな口当たり。オーキーで華やかな含み香、グレーン由来の蜜のような甘さ、熟成したモルトの甘酸っぱさがアクセントにあり、微かなスモーキーさとほろ苦いウッディネスがじんわりと残る。

穏やかでバランスの整った味わい。アメリカンオークで熟成された内陸モルトらしい、華やかでフルーティーな香味と、グレーンのコクのある甘みが混ざり合い、近年のトレンドとも言えるキャラクターを形成している。
面白みは少ないが、実に飲みやすい。飲む温度によってキャラクターに変化があり、20度以上ではグレーンがオークフレーバーを後押ししながら前に出て、クリーミーな質感が強調される。一方で、20度未満だと線が細く爽やかな味わいとなり、ロックやハイボール等、冷やして飲むことでも強みが発揮される。繊細なバランスの上に構築された、ガラス細工のようなブレンドながら、飲み方とシーンを選ばない、ブレンダーの技が光る1本。

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ザ・スコッチことブレンデッドスコッチウイスキーを代表する銘柄の一つである、バランタイン17年。
ジョニーウォーカー、シーバスリーガルと並んで、日本では”ど定番”とも言えるブレンデッドスコッチウイスキーですが、そのためか現行品をちゃんとテイスティングしたことがあるという人は少ないようにも感じます。

バランタインというと、マニアな愛好家ほど、赤青紋章、赤白紋章と、オールドボトルをイメージしてしまうかと思います。
実際、現行品とオールドのバランタインと比べると、モルト由来の香味はライトになり、それをグレーンの甘さで補っているところや、60~70年代のものと比較するとスモーキーフレーバーもかなり控えめで、癖が無いというか、面白みがないというか・・・愛好家の琴線を刺激する個性は強くありません。

ですが、軸となっているグレンバーギーに由来する華やかさや、近年のトレンドの一つと言えるオーキーなフレーバーは昔のリリース以上に際立っており、まさに王道と言える構成。じっくりテイスティングすれば、ミルトンダフやトファースに由来する麦芽風味が感じられるだけでなく、こうしたモルトの香味をまとめ、どう飲んでも崩れないバランスの良い味わいは、他有名ブレンドとは異なる造りと言えます。
ジョニーウォーカーが力のブレンドなら、バランタインは技のブレンドです。その場を壊さない、わき役としての働きから、飲み手の経験値に応じて表情も変わる。時代によって原酒の違いはあっても、ブレンダーの技は変わらない。現行品であっても楽しめるウイスキーなのです。


酒育の会 Liqul 
Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.13
バランタイン17年 ブレンドの奥深さと”魔法の7柱の真相”

https://liqul.com/entry/5700

そんなわけで、先日公開されたLiqulのコラム 「Re-オフィシャルスタンダードテイスティング」では、バランタイン17年を取り上げてみました。
前半部分はバランタイン17年の個性や楽しみ方についてということで、あまり捻った内容にはなっていませんが、重要なのは後半部分です。

バランタイン17年と言えば、”The Scotch”に加えてもう一つ、”魔法の7柱(Ballantine's magnificent seven)"という構成原酒に関する通称があり、主観ですが、日本においては後者のほうがメディア、専門書等で多く使われている表現だと感じます。
魔法の7柱は、バランタイン17年が誕生した1937年からの構成原酒とされ、まさにバランタインのルーツという位置づけなのですが、実際はどうだったのでしょうか。本当に7蒸溜所の原酒がキーモルトとして使われていたのか。当時の状況を、各蒸溜所の操業期間や市場動向などを参照しつつ、考察した記事となっています。

要点だけまとめると、
・1937年当初、バランタイン17年は、”魔法の7柱”を用いてリリースされていなかった。
・主に使われたのは、グレンバーギーとミルトンダフ。
・残る5蒸留所は、1950年代のブランド拡張時期に結びつき、実際に7蒸溜所がキーモルトとして使われたのは1968年~1980年代後半まで。
・魔法の7柱のうち、バルブレア、プルトニーの操業期間が考察の鍵。
・1987年以降はブランドが他社に移行。構成原酒が変化。

ということで、”魔法の7柱”は1950-60年代、ハイラムウォーカー社が輸出を拡大する際、原酒確保のために傘下とした5蒸溜所の情報が、元々あった2蒸留所と合わさって”構成原酒”として誇張(あるいは誤解)されて伝わったのではないかと。
つまり「魔法の7柱なんて最初はなかったんだよ!(ナッ、ナンダッテー)」と、ブランドエピソードの核心部分に踏み込んだ内容となっています。

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(バランタイン魔法の7柱が使われていた時代の17年、1960年代から1980年代初頭のラベル遍歴。一番右のボトルは1980年代後半、アライド社時代のものであるため、レシピ、フレーバー共に異なる。)

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ちなみに、”魔法の7柱”を誰が最初に使ったかと言うと、1942年設立の輸出管理団体SWA:Scotch Whisky Associationであるとされています(ただし、時期不明)。また、それを誰が日本国内に広めたかというと、調べた限り60年代から80年代にかけては、正規代理店であった明治屋の広告※上記参照 には該当する記述が見られず・・・。初めて情報が出てくるのは、1988年から正規代理店となるサントリー・アライド社の発信のようです。
参照:https://www.suntory.co.jp/whisky/Ballantine/chp-06-e.html

現在の市場を見てみると、”魔法の7柱”は欧州等他国でほとんどPRに使われていないこともあり、いわゆるマッカランにおける“ロールスロイス”と同じようなモノだったと考えられます。
サントリーが正規代理店になった当時、既にアードベッグが創業を休止していたりと、キーモルトは変わっていた時代なのですが…。(アライド社時代、公式ページのキーモルトには、ラフロイグの表記があった。)
それでも広まった魔法の7柱。語呂が良かったということもあるとはいえ、これぞ広報戦略だなと、考えさせられますね。

バランタイン構成原酒シリーズ

なお、現行品17年の公式ページからは”魔法の7柱”という表現は消えており、あくまで歴史上の1ピースという整理。キーモルトはグレンバーギー、ミルトンダフ、グレントファース、スキャパの4蒸溜所となっています。
紛らわしいのが「レシピは創業時からほとんど変わっていない」という説明ですが、このレシピというのは構成原酒比率ではなく、モルト:グレーン比率とかなんでしょう。このグレーン原酒についても、リリース初期に使われた原酒は不明で、1955年からはダンバードン蒸留所のものが使われていたところ。同蒸留所は2002年に閉鎖・解体され、現在はペルノリカール傘下、ストラスクライド蒸溜所の原酒を軸にしているようです。

これら構成原酒については、2018年から写真の3蒸留所のシングルモルトがバランタイン名義でリリースされたり、その前には〇〇〇エディション17年、という形で4蒸溜所の原酒を強調したレシピがリリースされるなど、ブランドがペルノリカール社傘下となってからは、新しい世代のバランタインをPRする試みが行われています。
ただ、新しい時代といっても、先に記載した通りグレンバーギー、ミルトンダフはバランタイン17年をブランド設立当初から構成してきた最重要原酒であり、実は核の部分は1937年から変わっていなかったりもします。量産分を補うため、トファースとスキャパが追加されていると考えると、実にシンプルです。

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余談ですが、バランタイン・シングルモルトシリーズからスキャパ蒸溜所の原酒がリリースされなかったのは、同蒸留所が1994年から2004年まで操業を休止していたため(原酒そのものは、1996年からハイランドパークのスタッフが年間6週間のみアルバイトで操業しており、ブレンドに用いる量は最低限確保されていた)、シングルモルトに回すほどストックが無かったためと考えられます。後継品も出ていることから、少なくともシリーズの人気が出なかったことが原因…と言うわけではないでしょう。

休止の影響を受けた時代は2021年で終わりを告げ、来年以降は17年向けに確保できる原酒の量も増えてくることになります。バランタインは昨年17年以上のグレードでラベルチェンジを行ったところですが、また2022年以降どんな動きがあるのか。
香味だけでなく、現行の王道を行くスタイルを形成するブレンダーの技を意識して飲んでみると、面白いかもしれません。

バランタイン 30年 1980年代後期 VERY OLD BLENDED表記 アメリカ向け

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BALLANTINE'S 
AGED 30 YEARS 
VERY OLD BLENDED SCOTCH WHISKY 
1980-1990's
750ml 43% 

グラス:国際企画テイスティング
時期:不明
場所:BAR BLACK HEART
評価:★★★★★★★(7)

香り:軽い香ばしさと存在感のあるスモーキーさを伴う、モルティーで厚みのあるアロマ。ほのかなカラメルっぽい甘さ、ナッツ、林檎のコンポートやオランジェット、古びたウェアハウスのような落ち着きと多層感がある。

味:モルティーで香ばしさを感じる口当たり。まろやかな口当たりからコクがあり、古典的な麦芽風味にじわじわと存在感のあるピートフレーバー。香り同様のオールドシェリーのニュアンスがほんのりと効いて、それが全体をまとめている。
余韻はスモーキーでしっとりとしたウッディネス、染み込むように長く続く。

熟成とブレンドによって整ったまろやかな飲み口、ハイランド系のコクのあるモルティーさと、どっしりと存在感のある古典的なピートフレーバーがオールドラヴァーの心に響く1本。ストレートでゆったりと楽しみたい。

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バランタインは12年以上のグレードで、アメリカ向けのラベルに一部異なる表記を使っていた時代がありました。グレードで異なるものの、30年の場合1960年代頃まではLIQUEUR BLENDED で世界共通。1970年代から90年代頃までは本国やアジアがVERY OLD 、アメリカ向けがVERY OLD BLENDED 表記となります。(LIQUEUR BLENDED の由来はスコッチオデッセイ第4版巻末エッセイを参照)
経緯はわかりませんが、バーボンというか古くはライトなアメリカンブレンデッドが一般に根付いていた国ですから、知名度を意識していたのでしょうか。

これらの表記による香味の違いはあるのか。オールドブレンド好きの間で、たまに話題になるテーマです。
作り手による意図的なものか、あるいは単なるロット差か。。。経年変化と保存環境という条件の違いもあり、断定するのは困難ですが、ボトル毎の違いは確かにあるというのが自分の感想です。
今回の30年は、下に写真のある日本向けが甘やかでフルーティー、余韻にかけてじわじわスモーキーという感じである一方、フルーティーさは押さえつつその分モルティーさとスモーキーさに厚みがあるといった感じ。見るからに色合いも異なってますね。

どちらも大変良くできた、これぞスコッチという佳酒であることに違いはありませんが、個人的には厚みのある味わいを重視して今回のボトル、アメリカ向けのほうに軍配。いやほんと、飲むほどに贅沢な味わいですよ。
どの年代も軸は熟成したミルトンダフなどのハイランド系の原酒と思われる風味で、そこに樽の強弱、あるいは香味のアクセントとなるアイラの原酒の強さがロットによって異なるのか。スモーキーなものもあれば樽感の強いものもあり、なんとも十瓶十色です。

バランタインのこの変化は、12年や17年より、30年のほうが違いが大きい印象。17年も古いやつは結構ロット差がありますが。。。熟成年数の長さから、そのとき使える原酒や樽の強弱に由来する香味の幅がもたらす影響が大きいのかもしれません。
しかしなんだか今日の記事はいまいちまとまりきらない中身になってしまった。。。まあ当たりのロットに出会えたら、大事に飲みましょうってことでw

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(同じ時代の日本向けボトル。トレードマークの下、VERY OLD のみでBLENDED表記がない。色合いも今回のボトルより若干濃い気がする。レビューはこちら。)

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今日のオマケ:コカ・ブトン 1950年代流通
コカインで知られる麻薬の原料である、コカの葉を使った甘口系薬草リキュール。Nさん持ち込みの1本。
1990年代あたりに流通していた、液体が透明に近い時代のものは、あまり薬草感がなくコカとはなにか?と考えてしまう仕上がりですが、今回のように古い時代のものは色合いからして異なっており、毒々しさを感じるライトグリーンで、香味はシャルトリューズを薬草感そのままで甘口にしたような。。。ウイスキーを飲んだ締めに飲むと、これまでの全部を台無しに出来る、なんというか頭の悪い美味しさ。

コカブトンは現在は生産されておらず、類似商品としてコカレロというリキュールが販売されています。
コカインは抽出精製して濃度を高めたものに、強い興奮・幻覚作用などがあって麻薬として規制されるだけでなく、アルコールとコカインが併用されると人体にとって有害なコカエチレンとなる反応もあり、それをお酒にするなんてとんでもない。という意見がありそうですが、元々コカインの葉をお茶にする習慣が一部地域であったり、またリキュールに使うにあたってコカインの成分は除去されており、飲用に心配はないとのことですが・・・
古い時代のものに関しては、実は成分残ってるんじゃないか?と思ってしまいます。
大変貴重な一杯でした!

バランタイン 21年 ヨーロピアンオークエディション 40%

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BALLANTINES 
AGED 21 YEARS 
SIGNATURE OAK EDITION 
European Oak 
700ml 40% 

グラス:サントリーテイスティング
時期:開封後1ヵ月程度
場所:日比谷BAR
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:シーズニングシェリー系統の黒蜜やドライプルーン、湿ったウッディネス。時間経過で乾いた草や穀物など、奥に潜んでいた要素も感じられる。

味:スウィートで徐々にドライさを帯びる口当たり。ほのかな古酒感があり、黒砂糖、ドライプルーンやチョコウェハース、干し草のようなウッディさが後半にかけて感じられる。中間はやや単調気味だが余韻にかけてしっかりとスパイシーで程よいタンニンを伴う。

黒蜜系で圧殺にならない程よい濃さ、バランスのいいシェリー感が備わっている。ただし時間経過でシェリー感が抜けて乾いた草やグレーン感が顔を出す。また、少しオレンジ系のニュアンスも。序盤は★6台なのだが。。。
少量加水で刺激が和らぎバランスは多少整うが、これならストレートでも変わらない。

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バランタインから免税店向けにリリースされた、一つの樽の個性を際立たせたブレンデッド、シグネチャーオークエディション。
アメリカンホワイトオーク樽、ヨーロピアンオーク樽のものがそれぞれリリースされており、今回はヨーロピアンオークエディションをレビューします。

先日レビューしたアメリカンオークエディション(バーボン樽)は、オーキーなフレーバーが構成原酒に馴染みやすく、熟成期間もちょうどいい時期に当たる原酒が使えます。実際、らしいフルーティーさが備わっていて、美味しくバランスの良いブレンデッドでした。

一方で、このヨーロピアンオーク(メーカー情報ではシェリー樽)は、どこまで樽を効かせるか、加減が難しかったのではないかと推察します。
というのも20年程度の熟成なら、酒質部分のキャラクターが残りやすいバーボン樽に比べ、シェリー樽は文字通り酒質由来の香味を圧殺する恐れがあります。
真っ黒なバランタインも飲んでみたくはありますが、それはもはやバランタインなのかという疑問。逆に薄すぎると他の原酒の個性に負けてしまい、コンセプトに反するブレンドになってしまうのです。

その視点で今回のブレンドを見てみると、シェリー感は適度。通常のバランタイン21年に比べて黒糖系の甘味やダークフルーツの香味の備わったリッチな構成でありつつ、ハイランドモルトを軸にしたブレンデッドであることも感じられる。バランスの良い味わいに仕上がっています。
ただ惜しむらくは、樽由来の香味と酒質の軽くなったところが加水とチルフィルで整地され、単調さというか中途半端な印象も持ってしまうこと・・・ですね。
決して不味くはないのですが、この組み合わせの限界も見たように思います。

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以下、ウイスキーとほとんど関係ないスマホ雑談。
昨日HUAWEI社のスマートフォン最新モデル、P30シリーズが発表されました。
このシリーズはカメラ性能を最大の売りにしており、現在発売されているP20ですら下手なコンデジを凌駕して、全スマホ中最高レベルのカメラ性能と言われていたのですが。。。

新たに発表されたP30は、コンデジを凌駕っていうか、もはや駆逐しに来ましたね。そのまま一眼レフの領域まで踏み込んでいく勢い。
なんすか、ISO409600って(笑)。お馴染みのライカレンズのカメラは、メインが光学手ぶれ補正付きでf/1.6。ボトル撮影で活躍する望遠は光学5倍デジタル50倍ズームのf/2.4。イメージセンサのサイズは前作同様に1/1.7ですが、光を取り込む独自の工夫がマシマシ。
これってつまり、ハイエンドコンデジに最新のAI補正機能やらがついてポケットにすっぽり入るようなもんですよ。
手持ちで月が撮れるとか、その気になれば天の川まで撮れるとか、暗所に強いってレベルじゃない。ファーウェイまじハンパないって。

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https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1903/27/news056.html

なぜこのニュースに食いついてるかというと、自分が現行機種であるP20ユーザーであるため。
使っていたコンデジが古かったので、買い換えるか兼用狙いでスマホをカメラ重視にするか検討し、2月からP20(無印)に機種変したところ。使ってびっくり、暗いBARでもそれなりに奥行きや質感が出て、手軽に綺麗な写真が撮れてしまう。今やブログの写真は全部スマホ撮影です。
オーセンティックなお店でカメラ撮影って、許可してもらってても少々憚られるものですから、さっと出してフラッシュ無しですぐ撮れて、それでいて綺麗って、SNSやブログユーザー的には凄い付加価値だと思うんですよね。

なお、HUAWEIのスマートフォンには”余計なものが見つかった”なんて報道があって、警戒している方もいると思いますが、以下のレポートにあるように、そんなものは存在しないと思います。
クラウド上のデータは、確かに中国というお国柄、国の要請で参照される可能性はありますが、それはアメリカとて同じこと。一般人が個人用途で使う分には、何ら問題はないわけです。

製品分解で探るアジアの新トレンド(34):“余計なもの”って何? 「Mate 20 Pro」の疑惑を晴らす。

明るいところで綺麗に撮れるスマホカメラはいっぱいあります。ただ条件が厳しい暗所に強いカメラを搭載したスマホとなると、他社製品ではiPhoneXsが筆頭ですが、iPhoneは価格が高いのと、P20で同格だったところにP30の発表で一歩先にいかれた感じが。。。
日本での実売想定価格はP30無印で7~8万くらい、Proで10万~。1年くらい経って値下がりしてきたら、今のP20から機種変しようかな。
あぁ、お金ためいなと(笑)。

バランタイン 21年 アメリカンオークエディション 40%

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BALLANTINE'S 
SIGNATURE OAK EDITION 
American Oak Casks 
Aged 21 years 
700ml 40% 

グラス:サントリーテイスティンググラス
場所:日比谷BAR
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかい香り立ち。ドライで乾いた木材、オーク系の華やかなアロマ。メレンゲクッキーやカスタードを思わせる甘み。微かに青みがかった要素もあるが、バランスがとれており品の良さがある。

味:クリーミーで角のとれたウッディネス、柔らかい口当たり。徐々にスパイシーさとバニラや洋梨などのフルーティーさ。バランスの良い味わい。
余韻はドライでほろ苦いウッディネス。鼻に抜けるオーキーな華やかさ、近年系のトロピカルフレーバーも伴う。

アメリカンオーク由来のフルーティーさと華やかな特徴が、くどくない程度に備わったブレンド。バランスが破綻しておらず、加水ブレンデッド故に突き抜けはしないが、完成度の高い味わいと言える。
なお少量加水で一瞬フルーティーさ、クリーミーで華やかなウッディネスがさらに開くが、味はやや苦味が強くなる。

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バランタインから免税向け商品として、2015年と2016年にリリースされたシグネチャーオークエディション。バランタイン21年をベースに、特定の樽由来の香味を際立たせたブレンデッドで、ヨーロピアンオークとアメリカンオークがリリースされています。
リリース時期は上記の通りで、並行品が一部日本にも流通もしていたものの、この度正規品が今年の1月から日本でもリリースされています。

この手のリリースの大多数は、正規品がなくても特に困ることもないのですが、このタイムラグはなんだかなと感じてしまうことが、今回のリリースに限らずスコッチウイスキー全般でありますね。
今回のように免税品の場合、むしろよく入荷してくれた!!って話なのかも知れませんが。。。蒸留所の親会社なのに、その限定品や通常商品すら入らないケースもありますので。

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(バランタイン・シグネチャー・オークエディション、ヨーロピアンオークエディション(左)と、アメリカンオークエディション(右)。すべて同一の樽で熟成された原酒から作られているわけではないようだが、どちらもしっかりとテーマとする樽由来の特徴が備わっている。)

ヨーロピアンオークエディションは、言わばスパニッシュオークであり、シェリー樽を思わせる黒糖やキャラメルのような甘みが主体。アメリカンオークエディションはバーボン樽を思わせるバニラの甘みと、黄色いフルーティーさと言えるトロピカルなフレーバーが、バランタインという枠の中で主体的に、しかし過度に主張しないバランスで感じられます。

特に、今回レビューするアメリカンオークエディションのほうが、ベースとなるブレンドとフレーバーの違和感がなく好みですね。
元々バランタインは、以前シングルモルトもリリースされたグレンバーギーやミルトンダフなど、内陸系の原酒を軸に作られています。
それらの原酒とアメリカンオークカスクの相性のよさは、これまでの個別のリリースで折り紙つき。結果、バランタイン21年との相性も悪いわけがないのです。

度数が40%なので、ボディが弱すぎないか、香味のへたり具合が早いのではとも思いましたが、そんなことはなく。意外にしっかりモルティーで、飲み疲れないバランスの良さはブレンデッドこその完成度。家でじっくりのみたい美味しいウイスキーであると感じました。
いやあ、良い仕事してますねぇ。

バランタイン 30年 1990年代流通 43%

カテゴリ:
BALLANTINE'S
Very old scotch whisky
Aged 30 years
1990's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:ややドライだが、角の取れたニュアンスを伴うエステリーなアロマ。林檎のカラメル煮、熟した洋梨を思わせる柔らかい華やかさ。奥にはスモーキーなピート香も感じられる、バランスの良い香り立ち。

味:スムーズでマイルドな口当たり。濃く入れた紅茶と洋梨のタルト、ほろ苦く乾燥した麦芽、中間はカステラのようなグレーン由来の甘み。余韻はオーキーな華やかさ、心地よくドライでビター。ピーティーで染み込むように長く続く。

長期熟成による熟成感がしっかりと備わっている。少し中間が軽い印象もあるが、多彩な香味がバランス良く整った味わい。奥に感じられるスモーキーさがスコッチウイスキーらしさに繋がるいい仕事をしている。


日本ではサントリー・アライド社時代のバランタイン。1980年代後期からのスタイルは、それまでのオールドシェリーとピーティーでこってりした構成から、エステリーで林檎や洋梨のお菓子を思わせるオーキーな華やかさ、フルーティーさがメインとなり、徐々に樽感やピートフレーバーがライト路線へとシフトしていく傾向が見られます。

(1980年代前半流通品。伝統的?にブラウンカラーのボトルが採用されて来た30年で、唯一のグリーンカラー時代。強いスモーキーさと複雑さ、品のいいシェリー感。個人的に是非一度飲んで欲しいバランタイン。)

(バランタイン30年赤青紋章ラベル、1970年代流通。先日ブラインドテイスティングの出題を頂いた際は、しっかり備わったシェリー感とスモーキーさに、赤玉リベットの20年前後とミスリード。。。)

今回のロット、原酒は腐っても1960年代蒸留の黄金期。現行品とは異なるモルティーさがあります。また、アイラ系のスモーキーなモルトではなく、ミルトンダフなどのハイランドタイプのモルトが中心と思われる香味構成ですが、少しボディが軽く感じられるのはグレーン由来でしょうか。

樽は恐らくシェリーカスクのセカンド、サードフィルがメイン。角の取れたアメリカンホワイトオークの華やかさと、モルティーさの合わさったフルーティーさは、短熟のファーストフィルバーボン樽のような華やかだがギスギスした感触やえぐみを伴う系統ではなく、長期熟成こそのマイルドで整った味わいを構成しているのです。
こういうボトルが家に1本あると、飲み疲れずどう飲んでも美味しく、結果使い勝手がいいように感じます。


さてバランタイン30年は、これで1960年代以降全ラベルをコンプリート。。。と思ってカテゴリーを見直すと、2000年代の700ml表記が足りないことに気がつく。
また、最近カスクエディションなるものもリリースされている模様。バランタインの旅は、まだもうちょっとだけ続くようです。

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