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サントリー 響 17年 2017-2018年流通 43%

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HIBIKI
SUNTORY WHISKY
17 years old
2017-2018's
700ml 43%

グラス:サントリー響テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:直近開封
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライな香り立ち。乾いたオーク、バニラ、干し草のようなニュアンスに加え、ドライアプリコット、干し柿、淡い香木感。微かに青みがかった要素もある多彩なアロマ。

味:まろやかだがややドライな口当たり。蜂蜜や杏のジャムを思わせる粘性のある甘み、乾いた木材、微かに青みがかったオーク、焼き芋の皮。
余韻は焦げたようなウッディさ、ほろ苦くドライなフィニッシュ。

バランスの良いブレンデッド。アメリカンホワイトオーク主体と思わせる構成に、奥から開いてくる淡い香木感が"らしさ"に繋がっている。
ややドライな口当たりだが、少量加水するとまろやかさに加え、香味の一体感が増す。


日本が世界に誇るブレンデッドウイスキーブランド響。多彩で複雑な香味、しっかりとしたボディ、滑らかで長い余韻。1989年の誕生から改良を重ね確立した、ブレンデッドスコッチのそれと異なるキャラクター。
香味の上で日本らしさ、サントリーらしさを備えたブレンデッドウイスキーの到達点と言える構成なのですが、ここ最近はちょっと様子が違うようです。

聞けば、一時期に比べて味が変わっているという話。まあこのウイスキーブームで原酒不足に拍車がかかり、出荷規制がかかっているくらいですから、構成原酒の傾向も変えざるを得ないわなぁと。
それを確認すべく、白州や山崎18年の最近のロットをテイスティングしたついでに、響の最近のロットも飲んできました。

まず、純粋に現在の響17年単体としての味わいですが、依然として安定した美味しさがあるのは事実。多少樽感が乱暴というか、テイスティングでも触れたようにアメリカンホワイトオーク由来の香味が強く、フレーバー同士の繋がりがギスギスしているようにも感じますが、少量加水での変化し、幾多の原酒が織りなす香味の多彩さは健在です。
ただ、かつての響17年に比べると、原酒の割合に変化が生じていることも間違いなく。熟成した原酒によるクリーミーな口当たり、シェリー樽由来と思しき甘みや、ミズナラの香木系の厚みがそれぞれ軽くなっているように感じました。
確かに以前と違うと言うのも頷けます。

最近のロットでの山崎、白州、そして響の近い熟成年数のテイスティングをそれぞれ行ってみて思うことは、山崎は樽で、白州は熟成した原酒の総量で、どちらかと言えば山崎が特に苦労している印象を受けます。
そうなると、同一の原酒が使われている訳ではないとは言え、シングルモルトの構成原酒が変更(あるいは仕上がりの変化)を余儀なくされている以上、ブレンデッドである響も同様の影響を受けても不自然ではありません。

しかしながら、原酒が苦しいとされる今、これだけのウイスキーを安定して量産するサントリーのブレンド技術は流石というほかはなく、精一杯の仕事はされているのだと理解しています。
9月には新しい響であるブレンダーズチョイスがリリースされる予定ですが、その技と経験を活かして安定した品質のブレンデッドを作って欲しいと思います。

サントリー 響 17年 50.5% ノンチルフィルタード

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IMG_3035
SUNTORY WHISKY
HIBIKI 50.5
NON CHILLFILTERED
Aged 17 Years
700ml 50.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:華やかな熟成香、林檎のカラメル煮、ややアルコール感を伴うアタック。加水すると天津甘栗の香ばしい甘み、エステリーなニュアンス、ほのかにタバコ葉を思わせるウッディなアロマが開いてくる。複雑で多彩な香りだが少し野暮ったさもある。

味:とろりとコクのある口当たり、カラメルソース、アプリコットジャム、干し柿を思わせる甘み、ジンジンと舌を刺激するウッディネス。徐々に甘栗を思わせる香ばしい穀物風味。ミズナラを思わせるオーキーな熟成香が鼻腔に届く。
余韻はスパイシーで微かなピートを伴い長く続く。

ストレートはコシの強い香味が魅力的だが、ぜひ少量加水を試してほしい。より多彩な香味を引き出すことが出来る。
グラスは大振りのワイングラスを使っても面白い。

サントリーが2004年から2009年までの短期間、ノーマルの17年と並行する形で発売していたノンチル、ハイプルーフ仕様の響。2009年12月まで有効のマイレージ倶楽部シールが貼られているので、おそらく終売間際のボトルと思われます。
新年早々友人とのトレードで入手したボトルですが、トレードしたその場で「新年あけまして〜」のノリで開封しました(笑)

ウイスキー不況の時代、その打開を目指した動きをそのまま表すかのようなリリースで、販売価格は43%加水の17年(通常品)とほぼ同額。現在のラインナップからは考えられない設定でしたが、当時はそこまで話題にならず。
時期的にハイボールブームが起こり出したあたりで、角の原酒が足りない、山崎の原酒が足りないとなり、ふと気がつけば市場から消えていました。

香味の系統はノーマルの17年と同じですが、さすがに度数の高さに比例して香味が濃く、重層的という表現はまさにしっくりくる反面、野暮ったさすら感じるところもあります。(ノーマル17年の方が華やかで、洗練されている印象も。)
当時からノンチル仕様で香味を多く残していることがPRされると共に、飲み方はハーフロックや、トワイスアップなどの加水系が推奨されていますが、響の良さはそのバランスはもとより加水で開く香味にあります。
この17年50.5も少量加水することでブレンドの妙、香味の多彩さを楽しむことが出来る、まさに銘酒です。


余談ですが、自分が社会人になった2008年4月、初任給で初めて買ったウイスキーがこの響17年50.5%でした。
学生時代5000円以上のウイスキーは中々手を出せなかったので、よし買ってやるぞと。ノーマルの響17年と50.5ノンチル、どちらを買うか悩んでこの50.5を買ったわけですが、パワフルなその香味に「ノーマルにしておけばよかったかな」なんて感じてしまったのも、今にしてみれば懐かしい話です。

サントリーウイスキー 響 1990年代流通 43% 第2期ボトル

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SUNTORY WHISKY
HIBIKI
(No Aged)
1990's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:最初はみたらしや干し柿を思わせる濃い甘さのあるアロマだが、徐々にオーキーで華やかな熟成香が開いてくる。林檎のカラメル煮、熟した洋梨。加水すると奥にあった華やかな要素が前に出て軽やかに香る。

味:とろりとリッチな口当たり、鼈甲飴を舐めているような甘みから、ウッディーで心地よいほろ苦さ。中間は少し軽いが余韻は軽くスパイシー、干し柿、ドライフルーツを思わせる粘性のある甘みが口の中に張り付くように残る。加水すると香り同様華やかさはあるが、やや水っぽさが出てしまう。

経年由来か若干のヒネがあり、また原酒構成も少々乱暴な印象を受けるが、現行品の響17年に共通するブレンデッドらしい多彩な香味が感じられる。香りは加水、ロック共に良い変化があった半面、味はやや水っぽくなってしまった。レーズンなどとあわせると甘みが補われて良いマリアージュとなる。
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ファーストリリースの響(1989年4月)から約1年後、1990年に入ってから市場流通した響です。
この時期のボトルの特徴については、金色のヘッド、ネック部分に金のワンポイント、そして大きく書かれた響の文字と、一目見ていただければ判ると思います。
ではファーストリリースとの違いはというと、それは1箇所、ラベルの"SUNTORY WHISKY"の上にあるロゴマークが、1989年まで使われていた"向獅子"から"響"に変わっているところにあります。
これは1990年に"人と自然と響き合う"が企業方針として採用されたことを受けて変更されたもので、ここだけ見ればある程度時期の特定が出来てしまうのが、サントリー製品の見分け方のポイントとなります。

その中身ですが、リッチで美味しいブレンデッドウイスキーであるものの、初期ロットの響に比べてミズナラ系の香味や濃い熟成香が薄くなり、ややバランス型に移っているように感じます。
また、テイスティングにも記載したように、加水で中間が弱く水っぽくなってしまうのが惜しいですね。これはノンエイジ時代の響に共通する特徴で、最初は現行品以上にぶわっと口の中にモルティーなフレーバーや熟成香が広がるのですが、それが長続きせずにボディや余韻が先細りしてしまうのです。 

ロックやハイボールなどの変化も同様。現行品が良く考えられて作られているなと感じるのはこの部分で、おそらく当時は熟成年数の長いモルトは使えたものの、グレーンや原酒の種類、あるいはブレンドの技術という点では、まだまだ手探り状態だったのではないかと。
あくまで主観ですが、響のラベルはNA時代から現行品まで5パターンくらいリリースされている中で、17年表記となる2000年頃にかけて完成度が高まっていく印象です。 

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(響の初期ラベル。ロゴマークは向獅子が採用されている。)

なお、先にも少し触れましたが、響のノンエイジ時代はギフトとして相当数が出回り、多くの酒販、個人宅などで保管されていたモノが多数中古市場に出回っています。
そのため、数年前までは非常に安価で手に入れることが出来、普段使いや会社の飲み会への持ち込みなど、随分使わせてもらいました。
一方で、そうした保管状況の違いから横置きコルク臭や温度変化などから来るヒネ香など、ボトル毎の状態にかなり差もある印象。今回のボトルはヒネはそれほどでもないものの、少しコルク臭が感じられました。 

今なお、古い酒屋で当時のボトルを見つけたと、発見報告を見ることも少なくないわけですが、1990年代のボトルはだいぶ"やられている"ものもあるので、保管状態はよくチェックされた上での購入をオススメします。

響 ジャパニーズハーモニー マスターズセレクト NA 43% 免税限定

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HIBIKI JAPANESE HAEMONY
Master's Select
Suntory Whisky
(No Aged)
43% 700ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml(サンプル@NYさん)
場所:自宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★☆(6)
※少量加水で★6評価。

香り:干し藁を思わせる乾いた植物感と香ばしさ、メンソールのスーッとする爽やかさに、ほのかに若い原酒の酸味と硫黄も感じられる。徐々にプルーン、カカオチョコレートを思わせるシェリー樽由来のアロマ。奥にはオレンジママレードやエステリーなニュアンスも感じられる。
時間をかけてじっくり飲んでいく必要がある。あるいは少量加水すると華やかでクリーミーなアロマが開く。

味:口に含むとスパニッシュオークシェリー樽の甘みと木の香り。メレンゲクッキー、プルーン、クラッカー、ほのかにカカオを思わせる苦味、椎茸っぽさもある。
余韻は樽由来のえぐみを伴い、淡くドライでビター。みたらしのような甘みが長く続く。
加水するとじわじわとオーキーでバニラやドライフルーツの華やかなフレーバーが開く。これは少量加水して飲むべき。

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2015年から国内に展開されている、響ジャパニーズハーモニー。そのブランドからDFSとのコラボで、免税限定品としてリリースされたボトルが、今回のマスターズセレクトです。

通常品のジャパニーズハーモニーがややあっさり目のブレンドであるのに対し、マスターズセレクトは香味の随所、特に味わいに近年のシェリー樽のニュアンスが感じられるブレンデッド。
おそらくスパニッシュオーク樽のシェリー原酒をベースに組んだんだろうなーと、免税店のサイトを調べてみると「山崎シェリーのニュアンスが特徴的」の文字。原酒の熟成期間は10年以上ともありつつ、多少若いニュアンスは拾いますが、モルティーでリッチ、ボディも程良く厚みがあります。
このように書くと濃厚なタイプをイメージされるかもしれませんが、所謂バランスタイプで色なり、良いも悪いも含めて「シェリー樽だね」というフレーバーが全体の中に感じられるレベルです。

他方で、少量加水して少し置くと、シェリー系フレーバーの奥にある、オークやミズナラ原酒由来と思しき華やかなニュアンスも顔を出し、ストレートでは感じ取りにくかった"響らしい香味"を楽しむことが出来ました。
響ブランドにある特徴の一つに、少量加水で開く香味というのもありますが、そのブレンドの方向性もしっかりとありますね。

今回のサンプルは、ウイスキー仲間のNYさんが、海外旅行の際に購入してきてくださったもの。いつもありがとうございます。
最初はストレートで飲んで「ウーン」となりましたが、記事を書きながら加水して置いておいたところ、あれ、これええ感じやんと。
テイスティングはストレートと少量加水に集中したため、他の飲み方は試していませんが、これならロックなども期待出来そうです。

サントリーウイスキー 響12年

カテゴリ:
HIBIKI 
Suntory Whisky 
12 years old 
43% 700ml 
 
グラス:国際規格テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:BARイベント(IAN)
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで乾いたオーク香、微かにスモーキー。ドライパイナップルや蜂蜜の爽やかでコクのある甘さ、徐々に穀類を思わせる軽い甘さへと変化する。奧にはアプリコットやミズナラ香を思わせるウッディーさも。
 
味:まろやかで軽い口当たり。バニラ、コーンシリアル、ほのかにバナナの甘み。
中間以降はエッジを感じるオーキーさ、黄桃を思わせる品の良い酸味、フィニッシュにかけてはスモーキーであっさりとしている。
香り、味共に以前飲んだ時よりも熟成感やトロりとした口当たりが軽くなったような・・・。
 
昨年の値上げやらのドタバタの中で休売扱いとなり、次の値上げでNAのジャパニーズハーモニーが同価格となって、一気に過去の酒になってしまった感のある響12年。休売と言いつつ現状では実質終売みたいなものだと感じます。
先日最終ロット付近の物を飲みましたが、味はシェリーやミズナラの香味を隠し味にパンチョン系の樽感が主体で、乾いた木香にグレーンの風味。濃淡はあれど「響だな」と思わせる香味と味の幅を感じるものの、昔飲んだ時よりもライトになった印象を受けました。
飲み方としてはストレートも良いですがロック、そしてハイボールが良かったです。
 
響12年のリリース時、話題となったのはメーカーPRの「梅酒樽熟成原酒を隠し味に使った」ということと、飲み手の間では「海外流通品と味が違う」ということ。ちょうどウイスキーを本格的に飲み始めたころで、名古屋のBARNSさんで海外品と国内品の飲み比べをしたのを覚えています。
そういえば後追いで山崎12年梅酒樽熟成原酒、なんてのもリリースされましたっけ。あれはウイスキーっていうか梅酒な味だったなぁ…(遠い目。

その後何度か飲む機会があって、上でも書いた「うん、12年でも響の味はするんだね」なんて話をしていながら、ウイスキーフェスティバルのブラインドコンテスト決勝、響12年を思いっきり外したのも良い思い出です。
あぁ、何だかすっかり過去の酒、過去の話ばかりになってしまいました(汗)。
 
過去の話ばかりじゃなんですので、雑談ついでに最近の話も。
響シリーズの開発にも関わり、名ブレンダーとして知られる輿水精一氏。
既にサントリーを退職されて、2015年7月に設立されたベンチャー企業、株式会社ハセラボの副社長に就任されていました。
この会社の主たる目的は「高齢化社会における食事の多様性の確保」。
先日のイベントでお会いした際には、この会社でもウイスキーを作れればと話しており、近い将来、響やサントリー製品とは違う輿水ブレンドが味わえるかもしれません。楽しみですね。

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