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響 ジャパニーズハーモニー 43% サントリー

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HIBIKI
JAPANESE HARMONY
SUNTORY WHISKY
700ml 43%

グラス:響フレグランスグラス
時期:不明(開封後そう長い時間は経過してない)
場所:HIBIYA BAR WHISKY-S
評価:★★★★★(5)

香り:軽い香り立ち。ドライでやや青みがかったウッディネスと穀物香、干草。奥から淡い植物感と金柑のようなほのかな果実香もある。

味:若干若さを伴うピリッとした軽い口当たり。干し草、スパイス、乾いたウッディネス。果実味はあまりなく、シロップのような甘みと木材感のあるほろ苦さ、ドライな余韻。

全体的に若さが感じられ、ビターでドライな構成。加水するとかなり薄くなるが、奥にはオーキーな華やかさも感じられるようになる。ハイボール要員としては使いやすいか。
なお大ぶりのグラスで開かせることで香りのネガティブな点は隠れてはいるが、全体のピンボケにも繋がっている気がする。

近年ロットのジャパニーズハーモニー。
同銘柄は2015年のリリース時に何度か飲む機会があり、12年や17年に比べ特筆して深みのある香味ではないものの、響らしいウッディネスの層が若いなりに備わっている。エントリーグレードという限られた条件の中で「ブレンダーの努力が見える酒」、というのがこれまでの認識でした。

以降、居酒屋などでハイボールは飲むものの、ここ1〜2年ストレートでテイスティングすることはなく。
上位グレードに当たる響ブレンダーズチョイスがリリースされたので、比較も兼ねてテイスティングをしてきたのですが。。。
同ボトルのテイスティングでも触れましたが、自分の中にあったキャラクターからはだいぶ離れた姿に感じられ、これならいっそローヤルでもいいんじゃ?と思ったほど。

その違い、具体的には熟成感と樽感ですね。
以前からドライというか樽の苦味が先行気味でしたが、少なからずコクがあり、それが樽由来の華やかさを繋いでいたところ。サントリーの製品に限らず、発売初期は気合入れて原酒が使われてるけど、ロットを重ねる毎に味がドライで熟成感が軽くなるケースは、ロット差のあるウイスキー全般少なくありません。
仕込んだ原酒の関係から時代の流れで味は少なからず変わるものですが、それでもこの短期間じゃちょっと露骨かなという印象を受けました。

そんなわけで一層ブレンダーチョイス悪くないじゃん、って思ったわけですが、響、山崎、白州、例外なく感じる近年の変化。これが2020年問題を超えて今の香味を維持できるのかは。。。結局消費量次第なのかもしれません。

響 ブレンダーズチョイス 43% 2018年リリース

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HIBIKI
BLENDER'S CHOICE
SUNTORY WHISKY
2018's
700ml 43%

グラス:響フレグランスグラス
場所:日比谷BAR Whisky's
時期:開封後1日時点
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーク香に、ツンとした刺激と乾いたウッディネス、淡く干し草っぽさ。洋梨のタルト、マスカット、ファイバーパイナップル。白系にうっすら黄色系の混じる品のいい果実香。

味:ドライで軽さもあるが、途中からコクを感じる口当たり。序盤はオーキーなフレーバーが中心で、心地よいスパイスの刺激とねっとりした舌触りが、焼き栗、バニラ、微かに柑橘の皮を思わせるニュアンスも。
余韻はウッディでほろ苦く、ややタンニンも伴う。

ホワイトオークのドライで華やかな香味をメインとし、長期熟成原酒が全体のバランス、ワイン樽の粘性のある甘みやタンニンがアクセント。わかりやすい構成で、比較的よくまとまっている。少量加水すると口当たりのドライさと粘性ある舌あたりが混ざり合い、一体感のある華やかさと微かなミズナラの残滓、香木香が感じられる。


今年2月、エッセンスオブサントリーの発売と合わせてPRされていた響の新商品、BLENDER'S CHOICE (ブレンダーズ チョイス)。9月4日発売予定で、1ヶ月前くらいから試飲会とか色々情報が出てくるやろーって思っていたら、見事に何もなく(笑)。
友人から「飲んだ?」と聞かれるまで、完全に忘れてました。

【響 BLENDER'S CHOICE】
発売:2018年9月4日(火)
希望小売価格:10,000円
仕様:ブレンデッドウイスキー
容量:700ml
度数:43%

<構成>
・様々な樽や様々なエイジングの原酒を厳選し、ブレンダーの匠の技でブレンドした特別な一品。
・平均酒齢15年程度、一部30年を超える高酒齢原酒を使用。
・ワイン樽後熟原酒を使用し、甘くまろやかで深みのある味わい。

上記が、PR用のビラに使われていた情報になります。
30年熟成原酒を一部使いつつも、平均酒齢15年という表記は気になるところ。まあ冷静に考えて、原酒不足なのに熟成感たっぷりで、全盛期の響を思わせるような構成のものがリリースされるなんてことはないんですよね。
飲んで見ると、やはりピリピリとした刺激や10年程度の若い原酒らしい軽さは感じられます。しかしテイスティングの通りフレーバーの繋がりに加えて口の中での変化と起伏があり、ただ若く、薄っぺらいだけの味わいにはなっていません。
正直なところ、思ったよりも悪くないというのが本音の評価です。

原酒についてはワイン樽後熟の表記がありますが、それはあくまでアクセント。メインになっているのは、パンチョンやバーボン樽のホワイトオーク系の原酒であるように思います。
他のジャンルに例えるなら、スコッチモルトでバーボン系の樽熟成のスペイサイドモルトや、ブレンドではシーバスリーガルの上位グレードにあるような華やかさ。この香味が主体にある事で、はっきりとわかりやすい構成を軸としたブレンドになっていると思います。

また、そこに長熟原酒やワイン樽の後熟原酒、あとはシェリー樽などの要素が加わり、オークフレーバーを軸に口当たりから余韻にかけての香味の変化、起伏、繊細にも感じる複雑さ。それは十二単のようなとまではいきませんが、樽由来の香味が幾つかの層を成す、日本らしいウッディネスが感じられる点も印象的でした。 


響ブレンダーズチョイスは、発売時期的にも価格帯的にも、休売となった響17年の後継品という位置付けが見える銘柄です。
また、今後響のラインナップは、
・ジャパニーズハーモニー(5000円)
・ブレンダーズチョイス(10000円)
・21年(25000円)
・30年(125000円)
※( )はメーカー希望小売価格
と、エントリーグレードから2つのノンエイジが並ぶことになります。
まずこの2本を飲み比べて見ると違いは明確。ジャパニーズハーモニーは比較的近年の発売であり、ベクトルは似ている部分もあるのですが、熟成感、果実味、複雑さ、ウイスキーとしての格の違いは明確で、値段なりの差は間違いなくあると言えます。(っていうかジャパニーズハーモニー、若くなったというかドライというか、味変わりましたね。。。)

一方で、響17年と比較すると、これは時代が変わってしまったのだと思わざるを得ません。
熟成感はそもそもエイジングとノンエイジ表記で条件が違うので、その差は当然あるものとして、それ以上に和的な要素に繋がっていたミズナラ系の香味が、最新ロットの響で3(全盛期の17年で5〜6)とすれば、ブレンダーズチョイスは1くらい。シェリー系のニュアンスも減っている印象です。
様々な原酒の香味、ウッディネスが多層的な香味を織りなすブレンドの方向性は変わらないでも、原酒構成がそもそも違うことが時代を感じてしまう要因となっています。

他方、原酒不足の中、それでも良いものを作らなければならない。まして新商品は響シリーズの代表格とも言える17年の後継的な位置付けとして、常に比較されるわけですから、様々な悩みと苦労があり、ブレンダーにとってはまさにチャレンジだったのではないかと思います。
その想いが結実したブレンデッド。単品として見れば、値段なりの美味しさはありますし、見るところがある良作だと思います。

ジャパニーズウイスキー「響」のフェイクボトル報道に思うこと

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いつか話題になるだろうと思っていた、ネットオークションにおけるジャパニーズウイスキーのフェイクボトル。その逮捕者が出たというニュースが、本日配信されています。

中身は別のウイスキー 偽「響30年」販売容疑で逮捕(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL8P41T0L8PONFB006.html

自分がウイスキーを本格的に飲み始めた2010年頃、フェイクボトルと言えばスコッチでマッカランやスプリングバンク、あるいは陶器瓶のラガヴーリンなど、海外から買い付けるような一部のレアなボトルに限られていました。
代表的なものが、昨年ニュースにもなった100年前のマッカランとかですね。
国内ではマッカラン30年ブルーラベルが話題になるくらいで、よほど高額なものでなければフェイクづくりは割に合わないというのが定説だったとも記憶しています。

ところが、近年のジャパニーズウイスキーブームを受けて、まずはイチローズモルトのフェイクと思しきボトルがヤフオクなどで見られるようになり。スコッチモルトも高騰し始めた結果、近年リリースでもフェイクを疑われるボトルが徐々に増えていました。
そして極め付けが、今年発表された白州、響の休売ニュース。海外からの買い付けで流通価格の数倍という価格高騰を引き起こした結果、メルカリやヤフオクの所謂転売系の出品物に明らかにフェイクと思しき響17年以上が混じり始めたのです。(メルカリの方が多い印象。)
それは散見というほどの数はないものの、事件化することは時間の問題だったようにも思います。


疑わしきは・・・ということで、この場でWEB上に出品されている(されていた)ボトルを名指しすることはできませんが、例えば最近メルカリやヤフオクで見かけた響で、明らかに怪しかったモノの特徴は以下の通り。

①開封済みである。
②液面が通常より高い。
③撮影の影響を差し引いても、色が濃いor薄い。
④ラベルが張り直されたような跡がある。
⑤キャップシールのデザインが異なる。

はっきり言って、上述のレアなオールドボトルのそれと比べると殆どは雑なフェイクであり、個別に解説するまでもありません。ラベルをルーペで拡大したり、キャップシールを一部切り取ってコルクの状態を確認しないと認識出来ない精巧なフェイクに比べれば、あまりにも稚拙。
現時点ではキャップシールまで複製して詰め替えているようなケースは少なく、①、②、③がセットになっていたりで、笑いのネタにすらなるレベルです。

他方、④や⑤は解説の余地があるので少し述べていくと、まず④は最安価の響ジャパニーズハーモニーのラベルを剥がし、響17年以上のグレードのラベルを調達(あるいはプリント)して貼り直した、所謂ニコイチと思われるものです。
響はボトルのカットがグレード毎に変わるのと、ウイスキーの色合いもジャパニーズハーモニーと17年以上では異なるため、注意して見ればわかるのですが・・・。以前あったこの怪しい出品物は、残念ながら落札されていました。
また、⑤については、今回ニュースになっているケースが該当すると思われるもの。響のキャップシールは現行品だと斜めにカット(30年は垂直)が入り、HIBIKIなどの印字があるのですが、それらが全くないのっぺらぼうなモノがありました。

そして、このような市場状況が続くと確実に増えてくるのが、先に述べた「精巧なフェイク」です。
既に高額なジャパニーズウイスキーの空き瓶が、オークションなどで数万単位の価格でも落札されており、その行き先は純粋なコレクターだけとは思えません。
キャップシールを複製して詰め替えされると、少しでも液面の高さ、色合いをごますように見える写り具合のような、怪しいところがあれば購入しないという予防策を取る以外に手はないのです。

これまで海外から調達されてしまったオールドボトルのフェイクは、泣き寝入りするしかなかったケースが殆どであるように思います。現在は逆に、海外の愛好家がジャパニーズのフェイクを掴んでしまったという悲しい話もあります。
しかし現行品で国内となれば、明確なフェイクは責任の所在を辿ることはある程度まで可能であると思います。

今回のケースは、まさに氷山の一角。容疑者らが悪意を否定している状況(偽物と知ってたけど、騙す気はなかったって、弁明にならんがな。。。ってか何入ってたんだ)ですが、少なくとも逮捕者が出たことで、フェイクの出品に歯止めがかかってくれることを期待したいです。

サントリー 響 ディープハーモニー 43% 2013年リリース

カテゴリ:
SUNTORY WHISKY 
HIBIKI
DEEP HARMONY
2013's
700ml 43%

グラス:サントリーテイスティング
場所:Y's Land IAN
時期:不明
評価:★★★★★★★(6-7)

香り:ウッディでリッチなアロマ。木苺、ベリーシロップ、甘栗やマロングラッセ、香木香。樽由来の様々な香りを束ねるしっとりとした甘みとほのかな渋み。

味:スムーズでふくよかな口当たり。ベリーシロップを思わせるややべたつくような甘み、メレンゲクッキー、複数の香木香が鼻腔に届くシルキーなウッディネス。フィニッシュはドライで苦味は少ないが、徐々に水分が奪われていく感覚がある。

響らしい華やかで多層的なウッディネスが感じられる中に、ワイン樽とシェリー樽由来のシロップやジャム的なベリー感、ほのかなタンニンも含めて深くリッチな香味がバランスよく合わさっている。サントリーの高いブレンド技術を感じさせる仕上がり。少量加水するとさらに香味が広がるが、加水しすぎやロックは腰砕け気味になりやすい印象も。


次の一杯は何を飲もうかと逡巡していたところ、バックバーの奥に姿が見えたディープハーモニー。今となっては懐かしいボトル、久々にテイスティングしてみました。

ディープハーモニーは、ウイスキーの消費量がハイボールブームで回復しつつある中で、次なる一手としてBARなどの飲食店における響ブランドのプレゼンス向上を目的に開発された商品。「より深く、濃厚な響」をコンセプトに、響17年の構成をベースとしつつ、シャトーラグランジュの赤ワイン樽で熟成させた白州1996、スパニッシュオークシェリー樽熟成の知多グレーン1988などを効かせ、さらにリッチな香味に仕上げたブレンデッドウイスキーです。

発表された当時は「ハイハイ最近流行りのワイン樽ね」、なんて甘くみていたのですが、飲んでみると結構美味しくて業務用酒販店を巡ってお買い上げ。4000本の限定品でしたが、当時は本格的なジャパニーズウイスキーブーム前で、多少出遅れても買えたんですよね。そしてそれを実家に帰った時のギフトに使ってしまったのですから、これが時代か(笑)。
改めて飲んでみると、コンセプトとなる濃厚さの中にも響のキャラクターを感じさせる香味とその熟成感。なんであの時もう2〜3本買っておかなかったかなぁという後悔の念が、響17年休売の報せもあって一層強くあります。

ちなみに、ワイン樽の響といえば9月に発売される予定の響ブレンダーズチョイスも、ワイン樽熟成の原酒が用いられているとされています。
流石にこのディープハーモニーのような濃厚さはないと思いますが、これまでのサントリーのワイン樽を用いたリリースにあるような、フルーティーさを備えるリリースを期待したいです。

サントリー 響 21年 2017-2018年流通品 43%

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HIBIKI
SUNTORY WHISKY
21 years old
2017-2018's
700ml 43%

グラス:サントリー響テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:直近開封
暫定評価:★★★★★★(6-7)

味:ドライで乾いたオーク香、徐々に香木、ドライフルーツはオレンジやアプリコット、林檎のカラメル煮を思わせる複雑さが開いてくる。多数の原酒の仕事を感じる。

味:香り同様ドライでオーキーな口当たり。バタークッキーや黄色いドライフルーツ、干し柿、淡い香木香。最初はほろ苦く軽めの口当たりだが徐々に粘性のある甘み。
余韻はドライでほのかに焦げ感を感じるウッディネス、高い華やかさで長く続く。

オーク香主体でシェリー感は薄いが、多彩な樽感、ウッディさが織りなす香味は渋すぎず軽すぎず、ブレンダーの技を感じる。少量加水すると華やかさが増し、ブレンデッドとして高い完成度。姿は変わったがこれはこれ。


お久しぶりです、響さん。山崎、白州に次いでこれまた最近飲んでなかったので、久々にテイスティング。ひょっとすると今後さらに出会えなくなってしまうかもしれないので、飲めるうちに飲んでおきます。

サントリーのブレンデッド、それも上位グレードにおける樽構成をざっくり分析すると、厚みと華やかさを出す鍵となるのがシェリー樽とミズナラ樽。そこにホワイトオークの原酒でモルティーさのバランスを取るという印象があります。
近年はシェリー樽の代わりにワイン樽や、華やかさもホワイトオークで代替。グレーンも作り分けて総合力で新しい形を作るような動きが見られますが、ブーム前の21年は逆にシェリーやミズナラのニュアンスが強く、17年の方がストレートで飲む分には全体のバランスが取れていると感じたほど。しかし多彩な香味が数滴の加水で解き放たれる様など、21年もまた、まさにブレンダーの技を感じさせる仕上がりでありました。

では直近ロットはどうかというと、シェリー系の香味が減った分、ボディが軽くなったようにも感じますが、その分構成がバランス寄りになっています。レーズンを思わせる香味はオーク香由来の林檎、アプリコット系に。違う形の多層感はありますが、ミズナラ香もほどよく効いて、それはさながら、かつての17年がそのまま21年になったような印象。
日本らしさがあるブレンデッドとして高いレベルにあることは変わりなく、これはこれなんじゃないか?と思える味わいです。


ちなみに、一昨年の年末に限定リリースされた響の最高峰となる35年は、とてつもない香木香、濃縮されたミズナラとシェリーの古樽のような甘さと苦味のミルフィーユのようなウッディな香味。ほんの数滴舌の上に乗せて解き放たれる香気を楽しむような。流石にあれはやり過ぎと感じつつも、サントリーのブレンデッドで何が鍵になっているのかを学ぶ上でいい経験になりました。

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