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ボウモア 2002-2017 ボウバー & ターロギーソナ 共同プライベートボトル 53%

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bowmore-bowbar-2002
BOWMORE 
Friendship Private Bottling 
The Bow Bar & Bar Tarlogie SONA 
Distilled 2002 
Bottled 2017 
Cask type Hogshed? #17014 
700ml 53% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:Bar Eclipse
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:シトラスなどの淡い柑橘香とピーティーなアロマ。紙っぽさに通じる乾いた麦芽香やウッディネスが、若干の荒さをもって感じられる。

味:フレッシュでクリア、アタックの強い口当たり。薄めたはちみつやグレープフルーツピール、乾いたウッディさ。奥には木材の燃えカスや魚介の出汁を思わせるニュアンスもある。
余韻はほろ苦くスパイシーで、エッジの鋭いアタックと塩気の刺激。華やかな淡いオークフレーバーがスモーキーさと共に感じられる。

爽やかな柑橘感を香味に備えた2000年代らしいボウモア。樽感は熟成年数に対して平均的というか、アタックのほうが強く、仕上がりはやや荒めでそれもまた蒸留時期を感じさせる。人によっては紙っぽさにも通じる要素もある。加水すると樽感が和らぐ反面、水っぽくなりやすいと感じた。


一時期に比べ、徐々にニューリリースを見ることが少なくなってきた、ボウモアのボトラーズリリース。それもそのはず、オフィシャルからの樽売りがかなり制限されているそうで、今後1990年代はおろか、2000年代すらリリースは危うくなってきていると聞きます。

現在の市場は強いコネクションを持つBARやインポーターの努力、あるいは既存ボトラーがストックとして保有していたものがなんとかリリースされている状況。直近リリースだとOMC 20周年あたりとかはまさにそれで、1990年代のボウモアが安定して購入できた4~5年前には考えられない状況に、ボトラーズ・ボウモアの数年先が見えるようでもあります。

となると、ボウモアのプライベートボトルなぞ中々リリース出来ない時代がまさに今。
今回の札幌・ボウバーさんと、大阪・ターロギー ソナさんの共同プライベートリリースは、そうした厳しい状況の中であえてのボウモア。プライベートボトルではボウモアの代用品を意識したような、別地域のピーテッドモルトがリリースされることも少なくない中で、両店の存在感を発揮したようなチョイスです。

香味はまさに2000年代のボウモアらしい、ボディが少々軽くオークフレーバーの乗りも淡い、良くも悪くもフレッシュなタイプ。しかしオフィシャルのハイプルーフ品にあるような、溶剤や焦げた樹脂っぽいネガ要素が少ないのはポイントで、香味はクリア。紙っぽさもそこまで強くなく、1997年辺りのボトラーズボウモアのいくつかに共通するニュアンスもあるなと。
らしさに加えて若さと荒さがあり、突き抜けて高い完成度ではないですが、なるほどと思えるボウモアだと思います。


なおアイラモルト全体では、例えばキルホーマンやポートシャーロットなど、新興勢力から面白いリリースが増えてきています。
しかしボウモアフレーバーを備えたアイラモルトは、今のところボウモアのみです。
だからこそ、ボウモアはいつまでもボウモアとしてオフィシャル、ボトラーズとも市場にあってほしいものですが、今回のリリースを見るにそう簡単には行かないのも事実。。。

ここから先は市場在庫から、其の時点の相場と照らして良いものから順に消えていき、いつの日か記憶の中だけの存在になってしまうような。そんな一抹の寂しさを感じてしまったテイスティングでもあったのです。

ボウモア 12年 2000年代流通 カモメラベル 40%

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bowmore-12-2000-tasting
BOWMORE
ISLAY Single Malt
Aged 12 years
2000's
700ml 40%

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:スモーキーで塩気とともに黒砂糖やチョコチップクッキーの甘みを思わせるシェリー感、土っぽさ、薬品香に加え、ほのかにダシ系のニュアンスを感じさせる。

味:マイルドな口当たり。かりんとう、プルーンなどの熟した果実、ベーコンのような塩気と脂っぽさ、そしてピーティーな風味。
ややボディは緩く余韻は湿ったようなウッディさ、鼻腔に抜けるヨードとスモーク、タンニンが蓄積する。

シーズニング系のシェリーのニュアンス、そこにボウモア特有の熟したような果実味が感じられる。加水で少々強引に整えたような酒質部分が緩めの構成ではあるが、これはこれでおいしいモルトである。 


そう言えばこのラベルのボウモアもだいぶご無沙汰だなあと、久々にテイスティング。確かこの時代のラベルは、2006〜7年ごろに現行品に続く肩張りボトルに仕様が変更されたと記憶しています。
香味から察するに、今回のボトルはその間際の流通。原酒は全てサントリー資本が入ってからの1990年代前半の蒸留だったのでしょう。所謂パフュームフレーバーがなく、特有の熟した果実を思わせるフルーティーさが特徴として感じられます。
(サントリーのWEBサイトの記載がなく、www.morrisonbowmore.comのみの表記なのも時代を感じる要素です。)

また、久々に飲んで感じたのが、結構シェリー系のニュアンスが強いということ。原酒はシェリーとバーボン樽の混成だと思いますが、その中でファーストフィルのものがエッセンスとなっているのか、あるいはリフィルシェリーの比率が高いのでしょう。
当時の情勢を考えると前者の可能性が高いと感じますが、こってり濃厚シェリーと言うタイプではなくあくまでバランス型で、香味の要所要所でシェリー樽原酒由来のアロマ、フレーバーが主張してきます。

(今回のボトルの1世代前にあたる、シルクプリント時代のボウモア12年。この時代のラベルデザインは素晴らしいのだが、フローラルなパフュームフレーバーが好みを大きく左右する問題児であった。)

サントリー傘下でのボウモアのラベルは、
・1990年代のシルクプリント時代
・1990年代後半から2000年代中頃までのカモメラベル(丸肩ボトル ※前期・後期アリ)
・2000年代後半から2017年のカモメラベル(肩張りボトル)
そして現行品の白壁ラベルへと続いていきますが、スタンダード品のボトルの中で、好ましい要素が揃っていたのは、仕込みの時期が1990年代でサントリー資本に完全に切り替わったカモメラベル時代であったと今更ながらに思います。

現行品が必ずしも悪いと言うわけではないですが、紙っぽさや溶剤系の要素が目立っており、ストレートで飲むなら個人的には前時代を推したいところ。
そのカモメラベル(肩張りボトル)は、酒質がやや軽くなった印象こそあるものの、バーボン系の樽感からフルーティーさはわかりやすくなっており、時代時代のリリースで、メーカー側の方針というか、貯蔵していた原酒の方向性がわかるようにも感じます。

5/2追記:ボウモアカモメラベルの丸肩ボトルには、流通時期で2種類あることを紹介しそびれていました。
後日レビューしていますので合わせて参照ください。

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ボウモア 12年 1980年代流通 ダンピーボトル 43%

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BOWMORE
Aged 12 years
Islay single malt
Distilled & Bottled Morrison's Bowmore Distillery
1980-1990's
1000ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:個人宅持ち寄り会
評価:★★★★★★★(6-7)

香り:トップノートは華やかな熟成香、蜂蜜や熟したリンゴ、合わせて淡いヨードや塩素、じわじわと土っぽいピーティーさが開き、アイラ要素を強く感じる。

味:マイルドで柔らかい口当たりから熟した洋梨を思わせるエステリーさ、軽く香ばしさのある麦芽風味、染み込むようなピーティーさ。余韻は淡くトロピカルフレーバー、スモーキーで染み込むように長い。

フルーティー&スモーキー。アイラ要素に加えて、熟成したスペイサイドモルトのようなフルーティーさ。加水するとマイルドというか水っぽさが強く、微かに鹸化したようなニュアンスが舌に残るため、ストレートでじっくり楽しみたい。


先日モリソン時代のグレンギリーを記事にしましたので、その流れで今日はほぼ同時期流通のボウモア、ダンピーボトル。ボウモアのオールドと言えば、まず連想されるのがこのボトルというくらい、有名なリリースの一つですね。一度は飲んだことがあるという方も、多いのではないかと思います。

この形状のボウモアは、デラックス表記のものと、12年表記、そしてあまり知られていない8年ものの3パターンがあり、全体では1970年代から1990年ごろ、モリソン社傘下時にリリースされたもの。
オールド系の情報では1980年代とざっくり表記されることが多いですが、12年表記の方が近年寄りのロットで、今回のボトルは1987年に社名変更したモリソン・ボウモア社表記であるため、1980年代後半、最後期の免税向けと見るのが妥当と思われます。

今回のロットはマイルドな口当たりから、フルーティーさは洋梨系のキャラクターを主体に淡くトロピカル。染み込むようなピーティーさで、60年代前半の南国感全開!というキャラクターではなく、1960年代後期から70年ごろの蒸留を思わせる構成です。
過去の経験と照らし合わせると、モノによってはトロピカル系のニュアンスがはっきり出てるボトルもあるため、おそらく同じ12年でも時期が微妙に違うのでしょう。

ここで残る謎が流通時期と熟成年数、そして蒸留時期のキャラクターが合致しないことにあります。
というのも、ボウモアのパフューム香は1973年蒸留の辺りから姿を見せ始め、1970年代後期から1988年蒸留ごろまでは完全にパフューム系のキャラクターが出ていた時期に該当します。
今回のボトルの流通が1980年代前半とかであれば、マイナス12年しても違和感はなく。他方で、先に推測した通り1980年代後半とすると、キャラクター的にはパフューム時代に該当するはずで、5〜10年間のギャップがあるわけです。

ボウモア・ダンピーボトルの1970年代から1980年代中頃流通となるデラックス表記は、キャップが金属張りで、違う意味で悪夢を見た愛好家も少なくないですが。味を変えないために同じような原酒を選んで、例えば12年と言いつつ18年前後の熟成年数の長い原酒をメインに使っていたとかかなあとも予想しています。

ボウモア 1993-2003 ゴールデンカスク 65.5%

カテゴリ:
BOWMORE
The Gordon Cask
Distilled 1993
Bottled 2003
Bottle No,1 of 282
Cask #50056
700ml 65.5%

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封直後
場所:萌木の村
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:フレッシュで強い香り立ち。潮気とレモン、魚介っぽいアクセントに香ばしいピート香が合わさって、白身魚のポワレのよう。奥から乾いた木材、ハイトーンで軽いアクのようなニュアンス。時間経過でグレープフルーツやシトラス、柑橘を思わせる香味がさらに開く。

味:フレッシュな口当たりから、じわじわとコクのあるオイリーな甘み。グレープフルーツ、乾いた麦芽、時間経過でバニラやドライマンゴー。灰っぽいピーティーさを伴う。
余韻はスモーキーでグレープフルーツのワタを思わせるほろ苦さ、フレッシュで長く続く。

度数の高さゆえアタックも相応に強いが、ボウモアらしい柑橘系のフルーティーさとピートフレーバー、何より樽のくどさのないフレッシュなバランスが印象的。若さがポジティブに働いたが故の仕上がりと言える。ただし加水するとボディが薄くなり、アンバランスになってしまう。これも若さか。。。


萌木の村にて「飲みたいボトルは全部開封するから」という舩木さんの漢気により、開封直後をテイスティングさせて貰った、1993年蒸留の短熟ボウモア(しかもボトルNo,1!)。
同程度の熟成には"前田の9年"もありますが、あれは加水でしたので、シングルカスク&ハイプルーフ仕様のフレーバーのインパクトは得難いものがあります。
65%という度数の高さとボウモアの酒質がもたらす、フレッシュでコクのある味わい。ネガティブな要素少なく、樽使いも合わせて短熟の良さを認識出来る1本です。

ここでちょっと昔話。今では"当たり年"と言われるこのビンテージですが、今回のボトルのリリース当時は、特別なPRやビックビンテージなる売り込みもありませんでした。
というか同じ時期では、キングスバリーが1993年のボウモアとカリラをバッティングしてリリースしていたくらいで、今では考えられない人気のなさ(笑)。
まあ2000年代初頭はウイスキー人気も下火でしたし、ボウモアに至っては70〜80年代蒸留のパフューム系原酒が主体だったので、それも仕方ないのかもしれません。(その手の愛好家の方には否定的な書き振りで、申し訳ありません。)

そんな中でリリースされた、脱パフュームでビンテージ入りのボトルがこれ。
今より情報拡散が緩やかな時代。愛好家の間で「1993年のボウモアは化粧香が消えて美味しいらしいぞ」という評判がじわじわ広まり、今後どう変化するかわからないボウモアのハウススタイルもあって、"当たり年"という表現が使われていきました。
またこの2年後、whisky funのサージ氏が、BBRがリリースした姉妹樽1993-2005(#500061)を絶賛したことも流れを決定づけましたが、爆発的に有名になったのは2009年のキャンベルタウンロッホ周年記念や、2010年のパーフェクトドラム。そこから各インポーターを通じた当たり年リリースが、近いビンテージを巻き込んで急増していったわけです。

(ボウモア蒸留所の黄昏時。リリースの続いた当たり年は消え去り、この1〜2年は1990年代の原酒すら珍しい。今後同蒸留所のボトラーズリリースは益々貴重になっていくと言われている。Photo by K67)

以上の経緯から、ボウモアは1993年蒸留だけがある種神格化されつつあります。
しかしリリースを振り返ると、93年は樽使いや酒質が安定していたイメージがある一方で、90年代前半全般に突き抜けたボトルの存在と、同様の良さがあることも実績としてあり、決してグッドビンテージは93年だけではありません。

アイラモルト90年代の良さは、先日記事にしたラガヴーリン12年でも触れた話。理由は定かではありませんが、ラフロイグやカリラなどは80年代も良い出来でしたし、ボウモアに関してもパフュームでマスクされて分かりづらかっただけで、本来はアイラとしてこの時期までが良い時期で、その後麦芽品種や樽使いの変更などで変わっていってしまったのかもしれません。
何れにせよ、今飲むと考えることが多く、魅力の多い蒸留所です。

ボウモア 25年 2017年リリース ニューラベル 43%

カテゴリ:
BOWMORE
Aged 25 years
"Amazingly Rich & Complex"
2017-2018's
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅@サンプル
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライでナッティーなアロマ。乾いた麦芽香を伴うスモーキーさ、乾いた木材、オレンジ、奥には微かにインクっぽさを伴うシェリー香。そして時間と共にフローラルな要素も感じられる。

味:オイリーだがじわじわと品の良いドライさを伴う口当たり。フローラルでキレイなパフューム、ピートスモーク、オレンジママレード、ほのかにマンゴーシロップ。ダシっぽいコクを伴う。
余韻は心地よいドライさ、ほろ苦くピーティーでフローラル、持続性のあるパフューム香が戻るように長く続く。

酒質と樽感、そして加水、弱くもなく強くもなく全体的なバランスがとれており、非常に整っていると感じる香味。少量加水すると香りが開き、ピートやオーク由来の華やかさが出てくる。マンゴー感はゼリーやキャンディにある加工品的なそれ。これで苦手な香味がなければ。。。


昨年ラベルチェンジと共に中身のリニューアルも行われた、ボウモアのオフィシャルラインナップ。
25年は熟成年数から構成原酒を単純計算すると、1991年から1992年の蒸留となっていよいよ当たり年期間となるのですが、例によって80年代のものも使われているのか、テイスティングの通りフローラル系のパフューミーさも備わっています。

個人的にこの香味は苦手な要素で、出ているウイスキーはモノによっては一口飲むのもノーサンキュー。。。なのですが、今回のボトルは全体のバランスの高さから不思議と飲み進むことが出来てしまいました。(パフューム系のフレーバーは余韻に蓄積して残るので、後々後遺症に苦しむワケですが。)
それこそこのパフュームをフレーバーの一つと見るなら、オフィシャルのシングルモルトとして完成度は高いと感じる程です。
(ボウモア蒸留所のポットスチル。1970年代から80年代にかけて発生したパフューム香は、ポットスチルに取り付けられた冷却装置の高効率化が原因だったとする説が有力。Photo by T.Ishihara)

このボウモア25年の完成度は、樽感が大きく影響していると感じます。
一つ下のグレードである18年はバーボン樽、シェリー樽のニュアンスが共に強く比較するとやや大味に感じられるほど。ともすると年数が増える25年は、単純に考えてさらに味が濃くてもおかしくはないのですが、リフィル系の樽がメインなのかバランスの良い樽感。長期熟成によるカドの取れた原酒の質感に、加水も効いて塩気もピートも穏やかで、さながら丁寧に組み上げ磨き上げられた一つの美術作品のような香味が、抵抗なく飲ませてくれるのです。
ボトラーズリリースとは異なる、オフィシャルボトルらしさを楽しめる1本ですね。

今回のボトルは先日記事を公開したグレンドロナック18年同様、ウイスキー仲間のMさんとトレードしたサンプルから。
相変わらずそこにボトルがあるかのような、素晴らしい質感の写真とセットです。
さらに記事中の補足画像はIshiharaさんから現地の写真を提供頂いて、単なる平凡なレビューが一気に完成度高く仕上がりました!

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