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カバラン トリプルシェリーカスク 40%

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KAVALAN 
SINGLE MALT WHISKY 
TRIPLE SHERRY CASK 
700ml 40% 

評価:★★★★★★(6)(!)

香り:枝付きレーズンやクランベリー、ダークフルーツを思わせる果実の香り、オールドタイプのシェリー樽を思わせるチョコレートやカラメルを思わせる色濃い甘さ。開封直後は微かにサルファリー、ややドライで鼻腔への刺激もあるが、好ましい要素の方が強く、非常に充実している。

味:スムーズな口当たりから香り同様、ダークフルーツを思わせる甘酸っぱいフレーバー、アーモンドチョコレート。苺シロップやフレーバーティーを思わせる含み香から、余韻は若干後付けしたような甘さが軽くスパイシーな刺激、程よいウッディネスと共に残る。

色濃い甘さと果実感を伴う甘酸っぱさ。ボディは少々軽いが、香りだけならもう1ポイント上の評価をしてもいいくらい、古き良き時代のシェリー樽熟成ウイスキーの一つを連想させる1本。多少作為的なところもあるが、オロロソ、PX、モスカテル、3種の樽を組み合わせることで、上記香味を作り上げたブレンダーの手腕は見事。言うならばこれは完成度の高いレプリカ。70〜80年代流通のシェリー系オールドボトルを連想する1本。
なお、そうした経験からくる整理を除いても、よく出来たリリースでる。

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昨年、某所でこのボトルを飲んで「こいつは面白い」と即購入した1本。本レビューは開封後、1年ちょい経過時点という感じですね。
開封直後はテイスティングコメントでも触れたように少しサルファリーな要素がありましたが、それはすぐに馴染み、今では全体のフルーティーさ、ベリー系の香味を支える香味の一つに転じています。

最も特筆するべきは、その香味の方向性です。
昨今のシェリー樽は、シーズニングのアメリカンオークやスパニッシュが主流となり、甘くクリーミーで、ドライプルーンやチョコレートのようなフレーバーを感じるものが多くあります。
普通に買えてそのフレーバーを確認できる代表的なものは、エドラダワー10年とかですね。先日当方関連でリリースがあったT&T TOYAMAのTHE BULK Vol.1も同様。まずここで断っておくと、本リリースのフレーバーは、それらとは異なるものです。

では、どういったモノか。10年以上前のウイスキー市場には、一口にシェリーカスクといっても、様々なフレーバーの方向性が見られました。
そのうち、代表的なものが某ボトラーズのリリースや、有名家族経営蒸留所のリリースに多く見られた、カラメルのような緩い甘さと程よいフルーティーさがある、今はなきオールドシェリーの一つです。
これは時系列的には通称パハレテ、古樽に甘口シェリーを圧入して再活性化させた樽によるものと考えられ、1980年代以前には、いくつかのブレンデッドウイスキーにも見られた個性です。

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※本リリースを飲んで連想したオールドブレンドは、ロイヤルサルートの1980年代以前流通や、同時期のグランツ21年、スチュワート・クリームオブザバーレイなど。
今回のこのカバラン・トリプルシェリーカスクの最大の特徴は、そうした当時の味わいに通じるフレーバーが備わっていることにあります。
といっても、昔の樽を使ったとかそういう話ではなく、今ある素材を組み合わせて、限りなくかつての味わいに近いものを仕上げています。偶然か、狙ったか、それはわかりませんが、市場で評価されている香味であることは確かです。

元々カバランは、クリアで軽く、フルーティー寄りの酒質を、厳選した樽で仕上げることで、愛好家の好ましいと感じるフレーバーに上手く焦点を当ててブランドを確立してきました。
例えばソリストのシェリーカスクには、スパニッシュオークのフレーバーを上手く使って、赤黒系の果実味と豊富なタンニン、ミズナラとは異なる香木系のアロマを付与した、さながら山崎シェリーカスクを思わせるリリースが多く。フィノカスクはアメリカンオークの古樽熟成がもたらす角の取れたフルーティーさ、トロピカルフレーバーとも称される個性が付与されているものが多い。
わかりやすく好ましいフレーバーが強いため、国際コンペ等でも非常に強い銘柄ですね。

今作の樽構成はオロロソカスク、PXカスク、モスカテルカスク。熟成年数は比較的若く、5〜7年といったところで、それ故少し刺激もあります。
PXはシェリー酒そのものが濃厚な甘さであるのに対して、確かに味わいに厚みは出るものの、樽由来のフレーバーはビターになる傾向があり、おそらく3種の中では控えめ。口当たりの甘酸っぱさはモスカテルで、ベリー系のフレーバーにも寄与している。そして軸になっているのがスパニッシュオークのオロロソ。。。
自分の経験値から分析すると、これらが絶妙なバランス(記載順に、2:3:5あたりと予想)で組み合わさり、加水で整えられ、万人向けでありながら自分のような愛好家にも刺さる、さながら高品質なオールドレプリカとなっているのです。

え、カバランの40%加水?
そう感じる方も多いかもしれませんが、このフレーバーのものを安定してこの価格で作れるというのは正直凄いですし、納得できる味わいだと思います。
夏本番のこれからの時期に濃厚シェリーはちょっとキツいかもしれませんが、今から開けておいて秋口から楽しむなんていうのも良いかもしれません。

カバラン キングカーコンダクター 頂極指揮 (金車コンダクター)“ ブラインドテイスティング”

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先日のオールドブレンデットのイベントの中で、複数の参加者からブラインドテイスティングサンプルを頂きました。お時間頂きましたが全種テイスティングして回答しました。皆様本当にありがとうございます。
今回はその中の一つ、カヴァランの金車コンダクターです。ブラインドで飲むと若さと長熟系モルトを思わせるフルーティーさが交互に感じられて、最終的にカヴァランの加水シングルモルトであると回答たものの、思いっきり迷走しかけてしまいました。
短熟モルトであるにも関わらず、こういうモルトを出せる独自の工夫や地域の特徴が、この蒸留所の魅力ですね。

KAVALAN
KING CAR CONDUCTOR
頂極指揮
700ml 46%

【ブラインドテイスティング】
熟成年数:複数年バッティング
度数:46%~48%
樽:判別不明だがリフィルオーク系主体、ワインやラム等の異なるタイプの樽もありそう。
蒸留所:カヴァラン
暫定評価:★★★★★(5〜6)

香り:ナッティーさを感じるオーク香。湿ったクセとフルーティーな熟成香 が同居している。
最初は酸味を感じるが徐々にザラ メ、アップルブランデー、リンゴ のカラメル煮を思わせる甘さと苦味。麦芽、アーモンド、トーストの香ばし
さもある。 

味:ややエッジの立った口当たり、熟成感のあるフルーティーさと湿った酸味のクセ。少し粉っぽさ
アプリコットやオレンジの ドライフルーツ感、モルトスナッ ク系の香ばしい麦芽風味。
余韻は序盤の粉っぽさと酸味、強くは残らないが、バターク ッキーを思わせる甘さが細く長く 続く。


こうしてカヴァランをブラインドで飲んでみて思うのが、スコッチ的なフルーティーさのあるウイスキーであり、樽の出方は気候の関係かジャパニーズ的な特徴を持っているように感じます。
フルーティーさを出す由来は独自開発の酵母らしいですが、まさに南国を思わせるウイスキーに仕上がるあたりすごいなと。同じく台湾でナントウ蒸留所のものもいくつか飲みましたが、こちらは樽感はあっても酒質がフルーティーという感じはなく、違いとして感じられます。

熟成年数はおそらく5年程度、5年でこんなに飲めるなら20年後は・・・樽と酒質を考えないと相当難しいように感じます。若いけどそれを承知で出しているのではなくて、樽感的にはピークに近い状況になってますから。
これ以上行くと何が何だかわからない特濃ウイスキーになりそうです。

ちなみにテイスティングの最初の印象は、バッティングでぼやけた樽感に若い口当たりと熟成感のあるフルーティーさが入り混じっており、長期熟成と短熟の加水バッティングではないかという予想を立てて回答を作成。地域はスコッチともジャパニーズとも取れる特徴で完全に五里霧中フルーティーな長期熟成モルトを秩父の若いモルトで割ったような・・・とりあえず上は25年くらい入っているのではないかと予想したものの、最後の一口でカヴァランの存在を思い出したというのが回答の流れです。

また伝説を作ってしまうところで危なかったですが、何よりいい経験になりました。
サンプルを頂きましたIさん、ありがとうございました!

カヴァラン ピートカスク 2015年ボトリング

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評価急上昇中のカヴァラン・・・というより、そろそろ頭打ちになってきたかな?w
日本には入ってきて居ませんが、現地で販売されているピーテッドカスクのサンプルを頂きましたのでテイスティングです。
実はこのボトルを飲むのは3度目。1度目はメインモルトで、2度目は持ち寄り回で中身がオッサンだけど素敵な女性から、そして今回が3度目。
とはいえ家でじっくりってのはありませんでしたから、ありがたいことです。

KAVALAN
Distillery reserve
PEATY CASK
Distilled in 2007
Bottled in 2015
55% 300ml

nzuF-4OA

評価:★★★★★(5)

”鋭いアルコール感、松の木のような木香に加えて粘性のある熟したパイナップル、シロップ漬けのチェリーのような甘いアロマ。
口当たりはオイリーでパワフル。熟したオレンジを思わせる果実感、紅茶、乾いたオーク材、微かなえぐみ。
後半はピリピリとしたハイプルーフらしい刺激とピートが現れて、フィニッシュに繋がる。
余韻ははピーティーでべた付きが無い。フレーバーはすぐに消えてあっさりとして短い。
加水するとアルコール感は和らぐが、バランスが向上する印象は無く引き出しは少なめ。”

 
ピートカスクといいながら、体感的にはライトピートという構成。
第一印象としては、新樽長熟の余市や、ハイプルーフのバーボンに共通するフレーバーがいくつかあるなという印象を受けました。
特に全体を通して感じられる新樽のような木香、エステリーさと松の香りが混じったような香味がそれ。
(神戸の巨匠はベンリアックに似てるんだよ、樽使ってるのかなぁ。とも言ってました。)
ボトル単品で見れば、カヴァランらしくまとまってるシングルモルトだと思います。
 
さて、ここから先はカヴァラン蒸留所に関する全体的な印象の話になります。
カヴァランに対する評価は、若いのに、アジアなのに、というネガティブからスタートしてプラスに至る、
言わば不良が子猫を助けたみたいなものです。勿論単体で純粋に評価しても出来の良い蒸留所であることは否定しませんが、
では、この「若いのに」という要素が消えたらどうなるのか。
 
カヴァランが作りわけをしていれば可能性も残りますが、今の原酒はその蒸留所の時間軸で言えば決して若いというわけではなく、10年未満のこの状況が一つのピーク、これ以上熟成させても樽感が強くなって度数が落ちていくだけかなと感じます。
それは詰めている原酒の性質や熟成方法によるところで、ただ寝かせれば旨くなる訳でも無い、難しい話です。
 
蒸留所毎の将来性と期待値は、また追って記事にまとめようと思います。
 

カヴァラン ソリスト シェリーカスク

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WWA2015を受賞したカヴァラン・ソリスト・・・のシェリーカスク。
早速コメント投稿といきたいところですが、ワインは持ってないんですよね。
 
このボトルはリカーズハセガワが輸入したロットとしては、2ロット目、
初期販売価格12000→16000円に値上げとなった、16000円の頃のロットです。
 
KAVALAN
SOLIST Sherry Cask
700ml 59.4%
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評価:★★★★★★(6)
 
"プルーン、レーズン、ベリーなどのダークフルーツのアロマ。湿った樽材、シロップのような甘い香りもある。
口当たりはウッディーでドライ、パワフル。ドライアプリコット、チェリー、薬品のシロップのようなクセのある甘さ。
原酒の若さゆえか、特に中間で厚みはあまり感じられず、フィニッシュも残るが伸びる印象ではない。
個人的にはフルボディタイプの葉巻とセットで楽しみたいモルト。"
 
 
熟成年数のわりに非常に濃厚なシェリー樽熟成モルト。
山崎のシェリーカスクと共通点のある味わいで、多分使っている樽の出所が同じなんでしょう。

硫黄はなく、個人的には好印象なボトル。濃厚ゆえにえぐみを感じるかもですが、葉巻に合わせるとGOOD。
最近山崎のシェリーカスクが高すぎて買えないので、その代用品の筆頭候補です。
(カヴァランもかなり値上がってるので、そのうち買えなくなりそうですが…)
 
ただ、この次のロットは味が変わってしまったようで、これまでは山崎シェリーの傾向から、ドロナックのシェリーカスクのような、スコッチ、スペイサイド系によくある味になっていました。
リリースのたびに値段が上がっている印象もあります。最近のロットはどうなんでしょう。


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(右側が新しいロット(58.6%)、左側が旧ロット(59.4%)。樽の熟成期間の違いか色も目に見えて違う。)

カヴァランSOLIST フィノシェリーカスク 1stLot

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アジアだしアレでしょという前評判を覆し続ける、台湾カヴァラン蒸留所。
今年初めに久々に飲む機会があった時のコメントです。

カヴァランSOLIST
フィノシェリーカスク
ファーストロット 57%
CASK No,S060814048



評価:★★★★★★★(7)

"鼻腔に広がる甘酸っぱいオーク香。ツンとしてアルコール感。
ドライイチジクや完熟パインを思わせる酸味と甘さ。
後半広がる感じは控えめで、適度なウッディネスを伴うドライな余韻。"


わかりやすい、良い味してるボトルです。

先日のカーデューで樽感主体の味という表現を使いましたが、
その樽主体の中でも特殊な位置づけとも言えるのがカヴァラン・ソリストシリーズ。

なんといっても若いんですよね、原酒が。
カヴァラン蒸留所は2005年の設立、このファーストロットの販売は2013年頃ですから、
初期の原酒でも7~8年モノ。それでこれだけの樽感出せちゃうんです。
気候が温暖だからとか、蒸留所の親元はバイオメーカーで酵母を工夫してるとか、
色々理由は述べられてますが、結局はいい樽使わないと味が出ませんから、研究を相当やったんでしょう

同じく販売されているシェリーカスクやバーボンカスクを飲むと、なるほど、と思います。

このフィノシェリーカスクは当時日本にリカーズハセガワが単独輸入して2万Over。
現地では1万後半だったとか、今はめちゃ高騰しちゃいましたね。


なお、カスク番号下二桁が50番までが、1stロットだという情報です。
実はシェリーカスクの味が変わっちゃってるんですが、フィノはどうでしょうか。

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