カテゴリ

カテゴリ:ダルウィニー

ダルウィニー 2001-2017 ディスティラーズエディション 43%

カテゴリ:
DALWHINNIE
Distillers Edition
Distilled 2001
Bottled 2017
Oloroso Sherry Cask Finish
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後数日程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:穏やかでドライな香り立ち。最初は麦芽や干し草を思わせるニュアンスから、徐々にホットケーキやシフォンケーキを思わせる甘いアロマが広がる。

味:スムーズな飲み口、ドライで乾燥した麦芽を思わせるオーソドックスなモルティさ。中間には柔らかいコクに香り同様の品のいい甘み。
余韻はオークのビターなウッディネスと麦芽風味、鼻に抜ける干し草の香り。染み込むように長く続く。

まさにモルトの風味と言える、酒質主体でモルティーな味わい。樽感は補う程度で、ほどよい甘みとアメリカンオークを思わせる乾いた草やウッディさが適度に香味に混じっている。


昨年のディスティラーズエディションから、シリーズ中最も大きな方向転換があったと言えるのが、このダルウィニーです。

昨年のリリースはオーキーでフルーティーさが強く、ややウッディなタンニンも合わせて強く感じられたところ。今回は樽感よりもモルティな香味が主体でまさにモルト風味。こうもはっきりと方向性の違うリリースですが、共通しているのはどちらもオロロソフィニッシュと言いつつ、一般に知られるオロロソシェリーらしい感じではないことにあります。

(高台に位置するダルウィニー蒸留所は、気象観測所としても機能していたことで知られている。ではその観測設備はどんなものだったかというと、学校の校庭にあるようなローテクな装置が一つだけという。。。Photo by T.Ishihara)

スタンダードなダルウィニーのオフィシャルボトルは、大人しい味わいながらハイランドらしい柔らかい麦芽風味が広がる、もっと一般に評価されてもいいウイスキー。特に一昨年リリースされたダルウィニー・ウインターズゴールドはその特徴たる麦芽風味が厚く、樽感も綺麗。個人的に5000円以内でオススメのハイランドモルト筆頭です。

対して今年のディスティラーズエディションは、テイスティングの通り同じ麦芽風味でも傾向が異なっており、ほろ苦く乾燥したような傾向が主体。これはこれで良くできた香味であり、麦系風味の仕上がりの違いとして飲み比べをするのも面白いと思います。

ダルウィニー 2000-2016 ディスティラーズエディション 43%

カテゴリ:
DALWHINNIE
Distillers Edition
Double Matured in Oloroso Sherry Cask
Distilled 2000
Bottled 2016
700ml 43%

グラス:サントリーテイスティング
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:甘くエステリーな香り立ち。蜂蜜、林檎のコンポート、サルタナレーズン、じわじわ乾いた麦芽、木材の削りくずを思わせるウッディネスも。

味:とろりとした口当たり、麦芽風味、ホットケーキ、オレンジジャム、果実味のある甘い風味が広がる。ボディは柔らかく、穏やか。
余韻はドライでスパイシー、土っぽいほろ苦さ、しっかりとウッディなオークが蓄積するように長く続く。

香味とも樽が強くドライな系統だが、エステリーでフルーティーなニュアンスも備わっており、ダルウィニーらしい麦芽風味と合わせて多彩な仕上がり。一方ボディはそれほど強くないので加水は少量程度までなら、樽感とのバランスも取れてくる印象。


ここ数年のダルウィニーダブルマチュアードの中で、最も良い出来ではないかと感じる1本。あるいは、今年のディスティラーズエディションの中でも、印象に残った1本であり、ダルウィニー好きな自分としては嬉しい驚きでした。

2回目の熟成に使われた樽は、オロロソシェリーカスク。しかし近年のそれとしてイメージするシーズニング系のシェリー樽のニュアンスはほぼなく、飲み口に程よい甘みと、ウッディネスを与えている以外、味のベースはアメリカンオーク由来と思しきフルーティーさ。
ダルウィニーのオフィシャル15年は、年間平均6度と寒冷な熟成環境からそれほど強い樽感のボトルではないので、ダブルマチュアード用の原酒が特別だったのか、あるいは集中熟成庫で環境が違ったか。何れにせよスペックからこの味わいを連想した方は、居なかったんじゃないでしょうか。

(ダルウィニー蒸留所の巨大なワームタブ。1995年の改修工事により復活したもの。Photo by K67)

ダルウィニー蒸留所は1960年代の大改修でフロアモルティングを取りやめ、石炭直火蒸留も1972年にスチーム式に切り替え、その後も徐々に設備を近代化していく中で、香味や酒質が穏やかに、細くなってきた過去があります。
今回のボトルもまさに近年のダルウィニーという要素はあり、酒質の部分でボディの細さから、香味が強く発散していくようなニュアンスはありませんが、飲みやすくまったりと楽しめる良いリリースだと思います。

ダルウィニー ウィンターズ ゴールド NA 2015リリース

カテゴリ:
dalwhinnie-winter-s-gold-whisky-70cl_temp

DALWHINNIE
Winter's Gold
2015's
700ml 43%

グラス:グレンケアン
量:50ml(サンプル@Aさん)
場所:自宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとした酸味も伴う麦芽香、おしろい、砂糖漬けレモンピールを思わせるオークフレーバー。ほのかに青っぽい植物感もある。徐々に土っぽいアロマも感じられる。

味:スムーズだがとろりとした粘性のある口当たり、濃い麦芽風味、ちくちくと舌を刺激するエッジの立ったオークフレーバー。蜂蜜、ほのかにドライオレンジ。メインは麦芽風味で、樽系の香味がそれを引き立てている。
余韻は粉っぽさのあるオークフレーバー、麦芽風味、若干の土っぽい苦味を感じる。微かにドライで徐々にピート香が鼻抜けや余韻に感じられるようになってくる。

香味共に少量程度なら加水しても問題ないがストレート向きではある。味は刺激が収まり、後半のピートが強く感じられるようになる。


ディアジオからリリースされた、冬の間に仕込んだ原酒のみで作ったというダルウィニーのリミテッドエディション。
海外サイトによると、仕込みは10月から3月までのものを使っているのだとか。日本酒と同じで、冬の時期に作ったほうがウイスキーも旨いということなんだそうです。 
まあどうせまた、あの手この手で売りに来てるんでしょ?お約束のNAやし、そんなに原酒厳しいんかねーと思って一口飲んでみると・・・あれ?結構美味しい・・・?

正直もっと若くて近年のNA化を代表するような刺々しい味わいかと思っていたら、12年くらいの熟成感は感じられ、バランスも良好。
スケール感としてはもう一つ高まりきらない部分もあるのですが、売り文句どおりしっかりとした麦芽風味と甘み、そこに過度に主張しない程度のオーキーなフレーバーが良い仕事をしています。
そして余韻にかけて出てくる、内陸系のピートフレーバーが自分好み。なんともハイランドらしいモルトです。

現行品の15年以上に飲み応えがあり、価格を考えても十分アリと感じます。
惜しむらくはダルウィニーの知名度の低さゆえ、率先して注文する人が少なそうってところくらい。
流石天下のディアジオさん。しっかりまとめてきますね!

ご参考:https://m.youtube.com/watch?v=sQzKhj76z1g
MHDによるプロモーション動画。英語がわからなくても蒸留所の雰囲気は伝わると思います。

ダルウィニー 15年 43% 1980年代流通 リッターボトル

カテゴリ:

DALWHINNIE 
15 Years Old 
Single Highland Malt
The Gentle Spirit
1980's 
43% 1litre

グラス:SK2
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:酸味を伴う濃い麦芽香と粘土を思わせる土のアロマ、心地よくドライな香り立ち。スワリングすると砂糖漬けのレモンピールやヒースの程よい植物感。素材由来の複雑さと厚みが感じられる。

味:柔らかい口当たりから、香り同様に厚みのあるスウィートな麦芽風味、おしろい、レモンやオレンジなどの柑橘系のフレーバーも伴う複雑な味わい。
余韻にかけては心地よくドライでピリッとしたスパイス。微かなピート、土っぽさを伴う麦芽風味が長く続く。


ウイスキー仲間からの要望を受けて開封した、ダルウィニーのオールドボトル。おそらく1980年代後期の流通品で、1リッターというスペックから免税店向けと思われる1本です。

以前ほぼ同じ流通時期のボトルを開封しており、今回のコメントを書いた後でそのテイスティングコメントをを見返してみると、同じ要素を感じ取っていて、ああやはり同じボトルなんだなと思う反面。味の厚みや複雑さ、全体の完成度は圧倒的に今回開封したボトルの方が上で、ダルウィニーという蒸留所の魅力をさらに感じる事が出来ました。
ご覧の通り、色合いからして全然違ったこの2本。右側のリッターボトルが今回開封したボトルです。
どちらも共通して麦芽系の風味にレモンなどの柑橘系のニュアンス。トロピカルフルーツなどの華やかさではなく、言うならば真面目で素朴なタイプの味わいですが、左側の750mlの方がドライというか刺々しい部分がありました。

付属冊子に書かれた情報から、樽構成はバーボン樽、シェリー樽、ウイスキーカスクの3タイプで、今回のボトルはシェリー樽の比率が違うのかもしれません。
また、フレーバーの複雑さやその強さから、今回の方が数年単位で古く、左側の方が新しいといった流通時期の違いもあるのかなと。ダルウィニーは1968年にフロアモルティングを廃止して、モルトスターからの調達に切り替えています。流通時期の数年違いでフロアモルティング時代の原酒が多く使われているロットだとすれば、味の違いも納得です。

ラベルに書かれた「The Gentle Spirit」の通り、ダルウィニーは現行品含め穏やかなウイスキーですが、この時代のものは穏やかさの中に強い芯を感じます。
古き良き時代の姿が見えるハイランドモルトであり、いい意味での雑味が飽きさせない、1本じっくり楽しめるGOODボトルだと思います。

ダルウィニー15年 1980年代後期流通

カテゴリ:

先週5/9の世界ふしぎ発見はウイスキー特集、ご覧になった方も多いと思います。
クイズのほうはコアなウイスキーファンには少々簡単だったと思いますが、特集全般については情報に偏りが少なく良いまとまり具合だと感じました。

ただ、その番組の中で異色を放ったのが、試飲として配られた1980年代流通のザ・ロイヤルハウスホールド。 何かしら試飲はあるんだろうと思っていましたが、まさかのTHE付き。味はさておきオークション価格は軽く10万オーバーのボトルがポンと出てくるあたり、TV局は金もってますね(笑)。
そして"THE"の意味についても、仕込みチックな質問からの回答と、ここだけ妙にマニアック。一般視聴者がどれだけ理解できたかは謎です。
その影響なのか、5月9日の21時だけこのブログのアクセス数が倍増、アクセス先はザ・ロイヤルハウスホールドでした(笑)。

参照①:世界ふしぎ発見 過去の放送
http://www.tbs.co.jp/f-hakken/bknm/20150509/p_1.html

参照②:The Royal Household 1990年代流通
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1024982543.html

せっかくなので、今回は家飲みボトルの中から、ロイヤルハウスホールドのキーモルトである、ダルウィニー蒸留所のオールドボトルをチョイス。
1980年代後期頃の流通と思しきボトルで、原酒的には1970年代初頭蒸留。番組の中で紹介されていたロイヤルハウスホールドに使われていたものと同時期と思われる原酒であり、現行品よりも強い蒸留所の個性が特徴の1本です。

DALWHINNIE
15 Years old
1980's

評価:★★★★★★(6)

"酸味を伴う麦芽香。干草を思わせる乾いた植物感、レモンピールの酸味とほろ苦さ、メンソール系の爽やかな香りもある。オールド感は控えめで、状態の良さを感じさせる。
口当たりは 薄めた蜂蜜と麦芽風味、麦芽風味はワクシーで芯のある麦感。
フィニッシュにかけては微かなピート香。あっさりとしているが長く残る。 ”

気象観測所としての役割も持っている、不思議な蒸留所ダルウィニー。
現行品があっさりしすぎてこじんまりしているところ、オールドボトルを飲むと麦の存在感、蒸留所の”らしさ”に納得させられる味に仕上がっています。
この違いはどこから来るのか、ひとつは麦の品種の違い。現行品が当時の味を再現しようとして壁になる大きな要素がこの点。

そして蒸留行程としては、1968年にフロアモルティングが終了、1986年に全面改装があったこと、ここが香味が異なる分岐点になっていると言われています。
1986年の全面改装後は、味が変わってしまったためワームタブを元に戻したとも伝えられていますが、シングルモルトよりもブレンデット向けの位置づけが強い蒸留所です。
個性的な原酒よりもあっさりとしてスムーズなほうが都合がいいのかもしれません。

このボトルはフロアモルティング時代の原酒がギリギリ入っているかどうかの流通時期ですが、全面改装前であることは間違いなく、上述の麦の違いとあわせて現行品との違いに繋がっていると感じます。

このページのトップヘ

見出し画像
×