グレングラント 25年 1952-1977 シルバージュビリー 43%
SILVER JUBILEE
Aged 25 years
Distilled 1952
Bottled 1977
750ml 43%
グラス:グレンケアン
時期:開封後1年程度
場所:歩古ホール
暫定評価:★★★★★★★★(7ー8)
味:マイルドでウッディな口当たり。ベリー系の果実感を備えたシェリー感は、レーズンやダークフルーツ、じわじわとコクのある焙煎した麦芽風味から、余韻はビターでピーティー、湿ったようなウッディネスとオールドシェリーの艶やかな甘味を長く伴う。
古きよき時代のグレングラントの良いところがバッチリつまったボトル。少しシェリー感が強めに効いているが、加水でありながらボディは厚く、酒質由来の麦系のフレーバーや角のとれた土っぽいピートも樽感に負けず存在感があり、経年を経て全体として高い次元でまとまったボトルである。じっくりとストレートで楽しみたい。
エリザベス女王の即位25周年を記念して、リリースされたグレングラントの限定ボトル。普通に70~80年代流通のグレングラント20年クラスというだけでも当たりの多いスペックであるのに、そこに女王の記念という大きな役がついて、さらに”今となっては”と後付けの裏ドラまで複数のって、数え役満か?という状況。
味も素晴らしいですね。麦とピートが織り成す古き良き時代のグレングラントの個性、そしてカラメル系の甘さと赤みを帯びた果実風味のある樽感が、経年を経て独特の古酒っぽさをまといつつグラスのなかで広がっていく。当時のスコッチモルト、特にオールドスペイサイドの魅力がしっかりと詰まっている1本ともいえます。
ただ、グレングラントはオフィシャルに加えてGMを中心に数多くモルトがリリースされており、それ以上の熟成年数であるとか、あるいは突き抜けた味わいのものとか、他のボトルも素晴らしいものが多く。純粋に中身だけ見ると、このシルバージュビリーが群を抜いて特別というわけではありません。
今回のボトルは裏ラベルに「プライベートストックからシルバージュビリーのために特別な樽を厳選した」というような記載がありますが、全体的にレベルが高かった当時のグレングラントを基準にすると、単純に25年熟成の樽を適当に選んでバッティングしただけなのでは・・・とすら感じてしまうほどです。
蒸留時期を振り替えると、1952年はグレングラントがグレンリベット社に統合(合併)された時期にあたります。
一方当時の蒸留方法等について50年代の情報は少ないものの、フロアモルティングに加えて石炭直火蒸留という古典的な手法がとられていた模様。それが70年代にはスチルハウスの増設や蒸留設備のリニューアルでガス加熱式が増え、83年(86年の説もあり)の大規模工事で新型の精留器を採用した新しいスチルを6基増設。。。精麦でもピートを炊かなくなったようで、近年のライトで洗練されて華やかな酒質のグラントと、この当時のどこか田舎臭いがどっしりとした風味の酒質の違いは、80年代を境界とした仕込み方、蒸留方法の変化によるものなのかなと推測しています。
今日のオマケ:メルヴィル エステート ピノノワール2008
カリピノです。入手したときはビンテージ的にギリギリかなーと思っていたもの。飲んだ印象はやっぱりギリギリ、飲めたから良いかと思いつつ、でももう2年早く飲みたかったですね。
アロマは新世界系の甘味しっかり、ではなく穏やかでありながら比較的複雑、奥からじわじわ来る感じ。口当たりはスムーズでクランベリーやザクロ、微かに土っぽさや皮の渋味。度数やタンニンは熟成を経て穏やかで、タンニンは元々そんなに強くなかっただろうものが、さらに落ちたという感じ。
これでもうちょっとベリー系の果実味が強ければなーと思いつつ、料理には案外合わせやすいかも?
とりあえず1本まるっと楽しませてもらいました。