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Ken’s Choice アメリカンドリームバレル 13年 テネシーウイスキー 50% TWSC2021受賞

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AMERICAN DREAM BARREL 
SINGLE BARREL TENNESSEE WHISKY
Ken’s Choice 
The Independence 
Aged 13 years 
Distilled 2003 
For Ken's bar 
700ml 50% (101.6proof)

評価:★★★★★★★(7)

香り:焦げ感を伴う無骨なウッディネス。トーストやキャラメルソース。甘くビターなアロマの中に、松の樹皮やスパイスを含む香り立ち。徐々に焼き洋菓子を思わせる香ばしい甘みも開いてくる。度数も高さ故、骨格もしっかりとしており濃厚でリッチな構成。

味:香りに反してスムーズで柔らかく、メローでバランスの良い構成。メープルシロップを思わせる甘み、微かに焼き林檎やチェリーの果肉、焦げたオークのアクセント。じわじわとウッディなタンニンが口内に染み込んでいくが、嫌味の無い程度で余韻は穏やかに消えていく。

香り立ちは一般的なアメリカンウイスキーのそれと異なり、まるで余市の新樽熟成や羽生モルトのいくつかに感じられるような、無骨なウッディさが感じられるが、味は非常に柔らかくマイルド。香りとのギャップに驚かされる。この味わいの中にある素朴な感じと柔らかい酒質、蒸留所はジョージ・ディッケルだろうか。熟成を経たことで感じる角の取れた甘み、バランスの良さ、完成度の高い1本である。
飲み口のすぼんだテイスティンググラスだと香りが少しくどくも感じられるため、リーデルのモルトグラスか、なければロックグラスに氷を入れず、ストレートで濃厚かつ円熟した香味を楽しみたい。

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先日発表された、ウイスキー文化研究所主催のコンペ、TWSC2021。有識者による審査の結果、ウイスキーカテゴリーで最高金賞に受賞した12本のうち1本が、このボトルです。サンプルを頂いていたんですが…ブログ掲載していませんでした(汗)。
モノはアメリカンウイスキーへのこだわりで知られるKen’s barのプライベートボトル。ラベル右上に書かれた2005は蒸留年ではなく、同BARの創業年となります。
原酒はTWAからの調達で、TWAでテネシー、そして2003年蒸留と言うと、同ボトラーズが10周年を記念してリリースしたボトルをはじめ、同年のものがいくつかリリースされていますので、TWAが蒸留所からまとめて購入した樽の一つ、と考えるのが妥当でしょうか。

最近はテネシー州にも蒸溜所が増えていますが、2000年代蒸留で10年以上熟成したテネシーウイスキーとなると、蒸溜所の選択肢はジャックダニエル、ジョージディッケル。この2つはマッシュビル※がコーン比率高くライ比率少な目という共通点がある中で、明確な違いはやはり味の柔らかさでしょうか。どちらもテネシーウイスキーらしくメローで甘めな香味であるものの、ジャックダニエルのほうが骨格がしっかりしており、ボリューミー。ジョージディッケルのほうが柔らかい、というのが個人的な印象です。
※ジャックダニエル:コーン80、ライ8、モルト12
※ジョージディッケル:コーン84、ライ8、モルト8

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以前飲んだTWAの別リリース(上画像)は、香味とも樽が強く、正直どちらの蒸留所なのかわかりませんでした。
しかし今回のリリースは、13年間の熟成を経たことによる濃厚さはあるものの、味はスムーズでマイルド。香りに少々特殊な要素がありますが、味はジョージディッケルと言われて違和感ありません。
また、補足的な推測材料として、ラベルの表記が「SINGLE BARREL TENNESSEE WHISKY」となっている点ですね。オフィシャルボトルの整理で言えば、ジャックダニエルはWHISKEY、ジョージディッケルはWHISKY表記となっており、こだわりの強いKen's Barさんなら、ここは合わせてくるのではないか…と思うのです。

実際、ラベル(ボトルデザイン全体)を眺めると、リリース側の妥協なき拘り、溢れる愛が見えてきます。
アメリカンウイスキーの禁酒法前後の時代を彷彿とさせる、スコッチウイスキーとは異なる空気を纏うオールド調のデザイン。
拘りはキャップにまで及んでおり、同時期を意識したと思われるTAXシール風の紙封印に加え、上から蝋封してあるのがいかにもそれっぽい。ここまで来ると、販売上の度数設定が50%(実際は101.6Proofだが、小数点以下切り捨てのため)というのも、BIB仕様を意識したのではないかとすら感じます。

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中身が素晴らしいので、これらのネタは分からなくても充分楽しめるウイスキーですが、同店の常連になるような愛好家からすれば、オタク心を擽る一粒で二度美味しい仕様。リリースする側の表情が見えるとは、こういうことを言うのかもしれません。
リリースを調整されたインポーターさん(信濃屋さん?)は相当苦労されたんじゃないかとも推察しますが、実に良い仕事だと思います。
近年様々なラベルリリースが増えていますが、やはり自分の好みはこういうタイプですね。

改めましてKen‘s Bar様、最高金賞の受賞、おめでとうございます。
早く一連のコロナウイルス問題が落ち着き、BARに伺って、リリースを飲みながら関わった方々の話を聞きたいです。


以下、余談。
話は逸れますが、今回のTWSC2021には、我々がリリースに関わらせてもらったウイスキー、GLEN MUSCLE No,5もエントリーされており、シルバーを受賞しました。

突き抜けて美味しいウイスキーではなく、コンセプトと将来性を楽しむリリースなので、ゴールド以上はないだろうと思っていましたが、コンペで自分たちの作品が評価されるというのは、想像以上にワクワクするものでした。
若鶴酒造さま、ウイスキーのリリースだけでなく、普通は経験できないような機会を頂き、本当にありがとうございました!

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清里フィールドバレエ 2020 白鳥の湖 63% イチローズモルト 秩父蒸留所

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Kiyosato Field Ballet
31th Anniversary 
Ichiro's Malt 
Single Malt Japanese Whisky
Chichibu Distillery 
Aged 7 years 
1 of 680 Bottles 
700ml 63%

暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:甘やかで穏やかに立ち上る熟成香。トップノートに梅や杏を思わせる酸が微かにあり、アーモンドを思わせる香ばしさと、ほのかに酵母やピーテッド麦芽そのもののようなスモーキーさ、麦芽香が続く。グラス内で刻々と変化する個性のみならず、その残り香も実に魅惑的。秩父らしいスパイシーさと、長期熟成したウイスキーをも連想するウッディで甘酸っぱい樽香が感じられる。

味:しっとりとした口当たりから反転して力強い広がり。序盤は秩父原酒らしいハッカ、和生姜を思わせるスパイシーさが一瞬あった後、置き換わるようにウッディな甘み、微かに林檎のカラメル煮、オレンジジャム、古典的なモルティーさが穏やかなピートフレーバーを伴って広がっていく。
余韻はフルーティーな甘みとモルティーな香ばしさ、ジンジンとした刺激はゆったりと落ち着き、微かに残るピート香がアクセントとなる、官能的なフィニッシュが長く続く。

ノンピートモルトとピーテッドモルト、2樽合計4樽のバッティングとのことだが、それ以上に感じられる複層的な味わい。ノンピート3樽、ピーテッド1樽という構成だろうか。香味に起承転結があり、序盤は秩父らしい個性の主張がありつつも、余韻にかけてピーテッドの柔らかいスモーキーさと、モルティーな麦由来の古典的な甘みに繋がる。度数63%に由来する香味の厚み、広がりがある一方で、それを感じせない香りの穏やかさと口当たりの柔らかさも特徴と言える。

少量加水すると甘酸っぱさ、オールドモルトを思わせる古典的なニュアンスが前面に出て、スモーキーフレーバーと交わり一体的に広がっていく。ジャパニーズらしさと、在りし日のスコッチモルトを連想する要素が渾然一体となった官能的な味わいは、間違いなく愛好家の琴線に響くだろう。
それにしても、秩父モルト2樽だけでこの味わいがつくれるとは、俄に信じられない。麦芽か、樽か、通常とは異なる特別な何かが作用しているように感じる。こうしたミステリアスな要素がウイスキーの魅力であり、面白さである。

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山梨県・清里、萌木の村で毎年8月に開催されているバレエの野外公演。定常公演としては日本で唯一という”清里フィールドバレエ“の第31回公演を記念したボトルが、2020年夏から遅れること約半年、3月下旬からリリースされることとなりました。
本サンプルは、リリースに先立って萌木の村 舩木村長から頂いたものです。ボトルの提供はBAR Perchで先行して行われており、今後は一部BARを中心に関係者限りで展開されていくとのことです。

清里フィールドバレエ記念ボトルは、第25回記念としてサントリーから特別なブレンドが。第26回から第29回はイチローズモルトから羽生原酒と川崎グレーン原酒を使ったブレンデッドウイスキーがリリースされていたところ。これだけでも伝説と言うには十分すぎるリリースでしたが、節目となる2019年第30回開催では、再びサントリーから白州30年という過去例のないスペックのボトルがリリースされていました。
※過去作のレビューはこちら

一方、別ルートで聞いた話では、イチローズモルトに羽生原酒と川崎グレーン原酒のストックはほとんど残っていないとのこと。サントリーも毎年毎年協力出来るわけではないでしょうし、ならば今後、フィールドバレエとして過去作に相当するスペックのボトルがリリースされることは難しいのでは・・・と。実際、2020年夏を過ぎてもリリースの報せはなく、第30回をもって記念リリースは終わってしまうのかと、そう感じてすらいました。
(そうでなくても、第30回の1本は、フィールドバレエシリーズのフィナーレと言われても違和感のない、奇跡的なリリースでもありました。)

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ですが、コロナ禍にあっても第31回清里フィールドバレエが開催されたように、ウイスキーとしてのフィールドバレエも終焉を迎えた訳ではありませんでした。
同ウイルスの影響で苦しい想いをしている関係者、BAR・飲食業界に少しでも活気を、前向きな気持ちを与えることが出来たらと、舩木村長がイチローズモルト・秩父蒸留所を訪問して直接オファー。
今作は、秩父蒸留所のモルト原酒のみで造る、全く新しいチャレンジとしてフィールドバレエ記念ボトルがリリースされたのです。

今作のテーマは、第31回フィールドバレエの演目であった「白鳥の湖」です。
そのストーリーを構成する白と黒、善と悪の要素に照らし、スタンダードな個性のノンピートタイプの秩父モルトと、ピーテッドタイプの秩父モルト、正反対な2つの原酒が選ばれ、ブランドアンバサダーでもある吉川氏によってバッティングされたものが今作のシングルモルトとなります。

熟成年数は7年、使われた樽は4樽(うち1つはチビ樽)、ボトリング本数は680本とのこと。バーボンバレルからのボトリングでは、同じ年数だと180~200本程度となるのが秩父蒸留所で良く見られるスペックであるため、4樽のうち3樽がバーボンかホグスヘッドとすれば、ほぼ全量使われているものと考えられます、少なくともどちらか片方の樽は、最低500本程度は取れる、大きな樽で熟成した原酒が使われたのではないかと推察されます。

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それでは、この新しいチャレンジとも言えるリリースを、香味で感じられた要素から紐解いて考察していきます。

香りのトップノートは度数63%を感じさせない穏やかさ。ウイスキーには香りの段階である程度味のイメージが出来るものが少なからずありますが、このウイスキーは逆に香りから全体像が見えないタイプで、ピートスモークの奥にあるフルーティーさ、甘やかな熟成香に味への期待が高まる。まるでステージの幕がゆっくりと上がり、これからどのような展開、演出があるのかと、息を飲む観客の呼吸の中で始まる舞台の景色が連想されるようです。

飲んでみると、香り同様に穏やかな始まりで、バーボン樽とは異なる落ち着きのあるウッディな甘みがありつつ、力強く広がる秩父モルトの個性。これはノンピート原酒に由来するものでしょうか。秩父モルトの殆どに感じられる独特なスパイシーさ、そこからモルティーな甘みとピーティーなほろ苦さ、穏やかなスモーキーさへと、まさに白から黒へ場面が変化していきます。

物語において、結末はその印象を決定づける重要な要素です。
本作は、スモーキーフレーバーをアクセントに、リフィル系の樽の自然なフルーティーさ、ウッディな要素、そしてモルト由来の香ばしさと甘みが渾然となり、白と黒の個性が混ざり合うフィニッシュへと繋がっていく。軽く舌を痺れさせた刺激は観劇を終えた観客から響く喝采のようでもあり、名残を惜しむように消えていくのです。

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(直近リリースでバーボン樽系ではないフルーティーな秩父としては、THE FIRST TENがある。このリリースに感じたリフィルシェリー系のフルーティーさは近い印象があるものの、スモーキーさと後述する特別な要素で、異なるウイスキーに仕上がっている。)

ここで特筆すべきは、樽由来の要素として1st fillのバーボンやシェリー樽といった、俺が俺がと主張してくるような強い個性ではなく、麦芽由来の風味を引き立て、穏やかな甘みとフルーティーさをもたらしてくれる引き立て役としての樽構成です。その点で、このリリースに使われた樽は香味から判別しにくくあるのですが、バーボン樽だけではない複雑さがあり、なんとも絶妙な塩梅です。

何より、レビューにおいて”官能的”という表現を使うに足る特徴的なフレーバーが、このシングルモルトの魅力であり、ミステリアスな部分もであります。
ウイスキーのオールドボトルや、あるいは適切な長期熟成を経たウイスキーが持つ、ただドライでスパイシーなだけではない、独特の風味・質感を持ったモルティーさとフルーティーさ。このボトルは7年という短期熟成でありながら、そうした個性が溶け込み、香味において愛好家の琴線に触れうる特別なニュアンスを形成しています。

秩父の原酒はノンピート、ピーテッドとも様々飲んできましたが、こうしたフレーバーを持つものはありませんでした。
素性として、何か特別な仕込みの原酒か・・・可能性の高さで言えば、どちらかの原酒を熟成していた樽、またはマリッジを行った樽が羽生や川崎グレーンといった長期熟成原酒を払い出した後の樽だったりとか、白と黒の原酒の間をつなぐ存在がもう一つあったとしても不思議ではありません。
さながらそれは、フィールドバレエが公演されている、夏の夜の空気、清里の大地の香りのような、フィールドバレエたる舞台を形作る重要な1ピースのようでもあります。

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このブログを読まれている方はご存知かもしれませんが、私は秩父第一蒸留所のモルト原酒に見られる特定のスパイシーさ、えぐみのような個性があまり好みではありません。
飲んでいるとこれが蓄積されてきて、胸焼けのような感覚を覚えて、飲み進まなくなることがしばしばあるためです。

が、このウイスキーでは嫌味に感じないレベルのアクセント、多彩さを形成する要素にすぎず、むしろ好ましいフレーバーへ繋がって、味わい深く仕上がっています。確か秩父に★7をつけるのは初めてですね。
それこそ純粋に味と1杯の満足感で言えば、過去作である第26〜29回の羽生原酒と川崎グレーンのブレンドリリースに負けていません。長期熟成による重厚さは及ばないものの、若い原酒のフレッシュさと、それを補う落ち着いた樽の要素とピート香、余韻にかけて全体のバランスをとっている特別な要素の存在。。。今だから創れる味わいがあるのです。

先人の遺産ではない、現代の作り手と原酒が生み出す、清里フィールドバレエ記念ボトル、新しい時代の幕開け。ミステリアスな魅力も含めて、多くの愛好家に楽しんでもらえるウイスキーだと思います。
そして最後に私信となりますが、舩木上次さん、今回も素晴らしいリリースと、テイスティング機会をいただきありがとうございました。
コロナ禍という過去例のない事態であっても、最善を尽くし、一流を目指す。そのチャレンジ精神が形になったような、清里の地にもフィールドバレエにも相応しいウイスキーです。
是非今度、萌木の村で詳しい話を聞かせて頂けたら幸いです。


※4月7日追記:本件、関係者から2樽と聞いていましたが、正しくは4樽であるとの情報を頂きました。2樽だと色々腑に落ちない部分があったので、個人的にもすっきりしました(笑)。関連する部分を追記・修正させて頂きました。

ダルウィニー 15年 1980年代流通 40% PURE HIGHLAND表記

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DALWHINNIE 
PURE HIGHLAND SCOTCH WHISKY 
YEAES 15 OLD 
1980's 
750ml 40% 

グラス:グレンケアンテイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:蜜っぽい甘さの混じるおしろい系の麦芽香。そこにじっとりと存在感のあるピートスモークや微かに乾草。熟した洋梨、蜂蜜レモンティーのような甘酸っぱさが、スワリングすると奥から顔を出す。また古びた日本家屋のような落ち着いたアロマも感じられる。

味:コクと厚みのある麦芽風味。粘性のある口当たりから、香りで感じたようにピートフレーバーが、麦芽風味に馴染んで広がってくる。微かに柑橘、林檎の蜜にような甘酸っぱさもあるが、フルーティーさよりはワクシーな麦感とピートの風味が主体。余韻にかけてはほろ苦く、穏やかなスモーキーさと、上顎に張り付くような麦芽糖を思わせる甘味がじんわりと続く。

麦とピートの酒。古典的かつ地酒的なシングルモルト。強くは主張しないが、香味とも麦感に厚みがあり、そこにピートフレーバーがしっかりと馴染んでいる。粘性の強い酒質はオールド・ダルウィニーらしさであると共に、原料の違いや仕込みの違いも感じられる。仕上げは華やかでフルーティーなごてごてした樽化粧はなく、言わばナチュラルメイク。派手さはないが、飲むほどに”味”があり、染々楽しむことができるスルメなモルト。

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1980年代初頭、少なくともこの半世紀内で、ダルウィニー蒸留所から初めてリリースされたシングルモルトが、今回のレビューアイテムです。
当時蒸留所を有していたDCLは、スコッチウイスキー冬の時代に伴う原酒の余剰解消、あるいは新たなブランド戦略として、ダルウィニー以外にもいくつかの蒸留所でシングルモルトのリリースを開始。DCLは合併によりUD社となった後、1988年にスコットランドの各地域を代表するウイスキーとしてクラシックモルトを発表し、このダルウィニー15年の後継品が同シリーズに名を連ねることとなります。

ダルウィニーの特徴は、なんといっても麦芽風味。冷涼な熟成環境に加え、古典的な方式のワームタブ等の設備から作られる、硫黄成分の豊富な酒質にあります。(ここでいう硫黄成分は、シェリー樽等で後付けされるものとは別なものです。)
これが熟成によって粘性と厚みのある麦芽風味に代わり、個人的にハイランドらしさとして認識する、おしろいやお粥、あるいは樽感と合わさって蜂蜜やバニラ系の甘味をもった厚みのあるフレーバーに通じているようです。

蒸留所では、1986年に近代化のための改修工事で該当する設備が取り外され、冷却用コンデンサ等が新たに導入されたものの、酒質が変わってしまったことから1995年に再度ワームタブに戻るというプロセスを経たことでも知られています。
現在のダルウィニー15年は、原料の違いからかドライでボディもライトになってきていますが、香味のベクトルは変わっておらず。愛好家の間では、オールドボトルからフレーバーの系統が変わっていない銘柄の一つであるとも評価されています。

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(ダルウィニー蒸留所にて、1995年に再度設置されたワームタブ。同蒸留所のリリースが古典的なキャラクターを保つ背景としては、同設備の影響以外にリフィル系の樽を使う熟成の方式が、ディアジオの酒質を活かす作りにマッチしていたことや、シェリー樽等に拘る蒸留所に比べて影響を受けづらかったことも考えられる。Photo by K67)

さて、日本の市場を見ると、ダルウィニーのオールドボトルとしては下の写真のクラシックモルト時代の初期(1988~1990年代中頃まで)の流通はあったようですが、今回のダルウィニーシングルモルトのファーストリリース(1980年代前半~)は、輸入代理店が居なかった影響からか、ほとんどモノが見られません。

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ではその香味がどう違うのかを、比較していきます。
まず、クラシックモルトの初期デザインであっても、同一ラベルでありながら写真上のように色合いから異なるようなロットが存在するため一概には言えませんが、今回手元にあって比較に使った15年は、麦芽風味主体の構成は変わらないものの、香りに青みがかった要素やドライな印象が少し目立ちます。(写真上の2本だと左側のボトルと類似のフレーバー構成。右側のボトルは今回のレビューアイテム寄りな構成で、リッターボトルだからか状態も抜群に良かった。)

また、ピートフレーバーを含む全体的な仕上げが荒いというか、余韻にかけて強く残るような印象があります。こうした違いについては、流通時期から蒸留時期を逆算すると、樽使いだけでなく、麦芽品種がゴールデンプロミスではなく、ゼファーが使われていた可能性が高いことや、ダルウィニー蒸留所が1968年まで行っていたフロアモルティングの影響があるのではないかと考えられます。

麦芽品種の違いによる、樽やピートの受け皿となる酒質への影響は言わずもがなですが、後者の行程は、ドラム式の乾燥に比べてじっくりとピートの成分が麦芽に染み込むためか、麦芽風味に馴染むというか、存在感のあるスモーキーフレーバーをもたらす傾向があると感じています。
どちらも美味しい”麦の酒”なのですが、麦とピートのマッチングや、全体的なバランスと厚みのある味わいとしてはファーストリリースに軍配です。

今回のボトルは、知人が海外で購入したボトルをシェアする形で手元に届いたものです。経年に伴う抜けも多少ありましたが、このくらいは許容範囲でしょう。
ベストパフォーマンスなら★7固定だったかなという評価。寿命は短そうですが、瓶内での変化も見ていきたい。レビューの通り派手さはないですが、ある程度ウイスキーを飲み進めてきたウイスキー好きが求めるフレーバーに加え、ダルウィニー蒸留所に求める個性がしっかり備わった、納得の1本でした。

スプリングバンク 19年 2000-2020 ”鹿バンク” 50.8%

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SPRINGBANK 
Aged 19 years  
For Wu Dram Clan (Kyoto Fine Wine & Spirits)
Distilled 2000 
Bottled 2020 
Cask type Refill Sherry Hogshead #699 
700ml 50.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@サンプル
評価:★★★★★★★(7)

香り:微かに青みがかっているが、メインは香ばしいカルメ焼きやライ麦パンを思わせる麦芽香。バンクらしい蝋っぽいニュアンス。奥にははちみつやパイナップルを思わせる甘酸っぱさ、オークの華やかさもあり、ピートスモークと共に存在を主張してくる。

味:熟成感のしっかりとある濃厚な口当たり。とろりとした質感、アプリコットやパイナップルの甘酸っぱさとオークフレーバーのアクセント。合わせて香ばしい麦芽風味。余韻にかけてヒリヒリとする唐辛子系のスパイシーさに、土や焦げた植物を思わせるピート、香りで感じたバンクらしさが鼻孔に抜ける。

通好みで多層的なバンク。オフィシャル10年のようなバーボントロピカル全面路線ではなく、酒質の個性、ピート、それらを熟成して伸ばしたような味わい。序盤は一瞬若さを感じるが、時間経過で香りに華やかさと統一感、味わいにフルーティーさが感じられるようになる。ピート香は強くないが存在感があり、飲むほどに薫製香のようなスモーキーさも楽しめる。見た目も良く、中身も懐が深い、理想的なモルトウイスキー。

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ウイスキー繋がりで、O氏から頂いたスプリングバンク、通称”鹿バンク”のサンプル。
同氏は元々ワイン系では相当なストックを所有しているヘビードリンカーなのですが、数年前からウイスキーにも手を伸ばし、趣味が高じて酒屋まで開いてしまったという相当ぶっ飛んだガチ勢です。
そのO氏の営む酒屋”Kyoto Fine Wine & Spirits”が、ドイツ、シンガポールの有志と共にボトリングしたのが、今回のスプリングバンクになります。

近年のスプリングバンクと言えば、スタンダードの10年にあるようなバーボンオーク由来のフルーティーさと、麦芽由来の要素が混じったタイプが評価されていますが、このボトルは樽構成がリフィルシェリー(恐らくアメリカンオーク)ホグスヘッドであり、バーボンオーク系統とは少々異なる、酒質ベースの香味がメインで、そこに品の良いオーク香のアクセント。

序盤は若干の固さや樽由来と思われる青みがかった要素が感じられ、「おや?」と思わされるかもしれませんが、その香味は麦芽風味の厚さに由来してか、グラスの中でじわじわと変化。熟成感のある蜜のような甘味とフルーティーさ、華やかなオークフレーバーもアクセントとして伴って、異なる魅力を見せてくれます。
麦芽風味を主体としての奥行き、風味の引き出しの多さが、スプリングバンクらしさと言えます。

加えて、中身の良さに花を添えるラベルのセンスのよさ。スコットランドの精霊と言われても違和感のない、神秘的な印象さえ受ける鹿のイラストは、工芸画家・牟田陽日氏作のオリジナルで、O氏の依頼で描き起こした絵画。(牟田氏の作る陶器、工芸品は一見の価値ありです。)
このラベル案を初めて見せてもらったのは、今年の2月上旬。ほぼ同時期にマッスル3のラベル作りをしていた自分からすれば、完成度の差を見せつけられて。。。いやもう、軽く嫉妬しちゃいましたねw

まさにかつてのムーンインポート等に見られた、飲める芸術品の類。
今回、ご厚意からサンプルをいただき、「どれどれラベルは良いけど、中身はお手並み拝見ですね」なんて思ってましたすいません、文句のつけようがありません(汗)。内輪のボトルには多少厳しめに評価するところですが、これはもう・・・。強いて言えば、注ぎたては★6相当ですが、10分もしないうちに変化して、そのスケールの大きさと香味の多彩さで★7です。
外観、中身ともにあふれるセンスの良さ。価格は確かに高いですが、それに見合うこだわりを細部(外箱のシール)にまで感じることができる1本です。

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ご無沙汰しております。
随分更新が開いてしまいました。多分このブログが始まって5年、ここまでの長期間更新無しは初じゃないでしょうか。
まず、生きております(笑)。話題のウイルスに感染して隔離されたとか、そういうことではありません。

本業のほうで大きな仕事にぶち当たり、コロナ禍に伴う計画全面見直し、テレワークの緊急導入に伴う混乱。。。作業員が削減されて、仕事量が増えたと言いますか。完全に1日のサイクルが仕事と睡眠になっていました。
休日であっても気軽に仕事が出来てしまうし。。。。マジでテレワーク考えものですよ。
生活のリズムがガラッと変わってしまった1ヶ月、仕事、家庭、そして趣味、こんな非常事態だからこそ、整理しないといけないなと色々考えさせられた期間でした。
ブログの方は、ぼちぼちやっていきます。

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さて、前置きがなくなりましたが、今日のオマケは、ルスタウのアルマセニスタのオールドボトル。年代は不明。ミリオンさんじゃなくて、HATTA SHOTEN名義というところに時代を感じる、ドライタイプのオロロソシェリー。
澱がかなり出てるので、ワインのようにパニエを使って斜め置き。ドライオロロソってそこまで魅力を感じなかったのですが、これはすごく良いですね。長熟酒精強化ワインにあるぞくぞくするような熟成香に、アーモンド、ドライフルーツを思わせる酸味。食後酒だけでなく、食中酒としても大活躍でした。
こういうシェリーが熟成されていた樽を使ったウイスキーは、きっと美味しくなるのでしょう。

ベンリアック 39年 1976-2016 トゥニーポートフィニッシュ #5462 53.8%

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BENRIACH 
Aged 39 years 
Distilled 1976 
Bottled 2016 
Cask type Port Hogshead #5462
Tawny Port Finish 
700ml 53.8%

グラス:グレンケアン
場所:BAR Eclipse first
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:かりんとうを思わせる香ばしさと上面に焦げたようなスモークが一瞬あり、色濃く甘いダークフルーツとウッディネス。ベリーのアクセント、あるいはモスカテル系の甘味と酸。奥にはらしいトロピカルフレーバーを伴う。

味:リッチでとろりとした口当たり。序盤は香り同様の樽感があり、色濃くウッディ。徐々にリンゴのカラメル煮や黄桃を思わせるフルーティーさ。
余韻にかけて土っぽいピート、オークフレーバーとトロピカルな要素もあるが、ほのかにサルファリーなアクセントが邪魔をしている。

ピーテッド仕様のベンリアックの長期熟成。樽が強く、いくつものレイヤーが重なりあっているような構成。上から順に、ポートの甘さと色濃いウッディさ、アメリカンオークの華やかさ、ピートのほろ苦さ、そしてベンリアックらしいフルーティーさ。これをあざといと感じるかは好みの問題だろうが、不思議とそこまでネガ要素はない。加水すると奥にある要素まで認識しやすくなり、オーキーでトロピカルなフルーティーさが開く

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一時期までは普通に飲めていたのに、もうすっかり絶滅危惧種になってしまった1976ベンリアック。このボトルは蒸留所が2016年にブラウンフォーマンに買収(ビリー・ウォーカーが手放したとも)された後、UK向けにリリースされたLimited Release Batch 13の2本のうちの1本です。

構成はポートホグスヘッドで熟成したピーテッド原酒を、さらにトゥニー・ポート樽でフィニッシュするというダブルポート仕様。基本的にはシェリー樽系統の香味ですが、なんとも濃厚で多層的に仕上がってます。同じ種類の樽だからか、フィニッシュながら上塗り感というか、酒質と馴染まないことからくるとってつけた感じがあまりないのも印象的です。
また、ベンリアックのピーテッド原酒は最近のものだとラフロイグのヨード抜きのようになるものが多いのですが、今回は土系統というか、かつてのモルトらしくフルーティーさを後押しするような構成になっていると感じられます。


こうしたフィニッシュやピート原酒を組み合わせたベンリアックは、過去複数回リリースされてきました。
誤解を恐れず言えば、それらは色物というか、余計なことしくさって(君は素直にトロピカル出しておけばエエんや)、と言うような愛好家の声も当時あったと記憶するところ。そのカスクですら今や高嶺の花なのですから、時代の変化は本当に読めないですね。

ただ、同時にBatch 13としてリリースされたシェリー樽&ピーテッドの1975(下写真)もそうなのですが、ピートが馴染んでいるというか、樽が濃厚でありながらフルーティーさが残っているというか。Batch 13の2本はどちらも色物扱いできない仕上がりだと思います。(1975のほうは文句なく美味。)
どちらも似た部分があり、ビリー・ウォーカーが使わない間に馴染んだのか、元々こうだったけど彼の好みに合わなかったのか。面白い傾向だなと感じました。

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(リミテッドエディションBatch 13として2016年にリリースされた1975 #7028。ウッディさは強いが、時間経過で昔ながらのシェリー感にピートのアクセント。そしてベンリアックらしいフルーティーさが楽しめる。)

シングルモルトとしてのリリースが多いこの半世紀の範囲で見てみると、ロングモーンしかり、ベンリアックしかり、1960~1970年代前半のスペイサイドモルトの多くがパイナップルやピーチなどに例えられるフルーティーさを備えており、それらが今絶滅危惧種となっています。
シェリー樽の復活も重要事項ですが、全ウイスキーの底上げに繋がる酒質部分の復活は同じくらい重要な要素。最近、100%アイラしかり、麦にこだわった仕込みのリリースが増えていますから、シングルモルトの需要が増えるなかでこの点についても蒸留所側の取り組みが増えていくことを期待したいです。

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