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安積蒸留所 山桜 ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー 50% シェリーウッドリザーブ

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ASAKA DISTILLERY 
YAMAZAKURA 
BLENDED  MALT JAPANESE WHISKY 
SHERRY WOOD RESERVE 
700ml 50% 

評価:★★★★★★(6ー7)

香り:ウッディで甘くフルーティーな香り立ち。麦芽や胡桃の乾いた要素に、アプリコットジャムや林檎のカラメル煮を思わせるしっとりと甘いアロマ。微かにスパイシーな要素が混じり、さながら洋菓子にトッピングされたシナモンやマサラを連想する。

味:リッチでコクのある口当たり。林檎ジャムや洋梨の果肉の甘み、栗の渋皮煮、紅茶を思わせるタンニン。微かに乾いた麦芽のようなアクセント。樽由来の要素がしっかりあり、それが果実の果肉を思わせるフルーティーさと、程よい渋みとなって口の中に広がる。
余韻はオーキーで華やか、スパイシーな刺激。黄色系のフルーティーさが戻り香となって長く続いていく。

まるで熟成庫の中にいるような木香と、しっとりとして熟成感のある甘いアロマが特徴的。追熟に使われたシェリーカスクは2〜3回使われたものか、全体を馴染ませている反面、シェリー感としては控えめで基本はバーボン樽由来の濃いオークフレーバーが主体。
構成原酒はおそらく2種類。一つは「かねてより弊社が貯蔵熟成しておりました原酒(背面ラベル記載)」で、10年程度の熟成を思わせるフルーティーさ。もう一つが4〜5年熟成と思しき安積蒸溜所のスパイシーで骨格のはっきりとした原酒。これらが混ざり合い、複層的な仕上がりを感じさせる。個人的にかなり好みな味わい。

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安積蒸留所を操業する笹の川酒造が、第二熟成庫の建設を記念してリリースした1本。440本限定。
本製品は安積名義ですがブレンデッドジャパニーズの区分であり、安積蒸留所の原酒に加え、背面ラベルに記載の通り「同社が貯蔵してきた原酒(国産)」がブレンドされ、シェリーカスクで18カ月のマリッジを経ているのが特徴となります。

本リリースについてはこれ以上明確な情報がなく、同社山口代表の言葉をそのまま伝えれば「シークレットリリースについて公式に情報を発信できませんが、そこも含めて予想しながら楽しんで頂きたい。」と。
また「愛好家がそれぞれの視点から予想を発信することは止めない」とのことなので、当方もいち愛好家として、本リリースの構成原酒等に関する予想を、以下にまとめていきます。

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予想の結論から言えば、構成原酒は
・安積蒸留所ノンピートモルト バーボン樽 4年程度熟成原酒
・秩父蒸留所ノンピートモルト(安積蒸溜所熟成) バーボン樽 10年程度熟成原酒
この2種類を1:1程度か秩父側多めの比率でバッティングして、リフィルシェリー樽でマリッジ。シェリー感は明示的にこれという色濃いものは出ていませんが、繋ぎとなるような品の良い甘さが付与された上で、50%に加水調整したものではないかと。

フレーバーとしては、秩父蒸溜所が昨年リリースした秩父 THE FIRST TENに似た、熟成を経たことで得られるフルーティーさと濃いオーキーさがあり。そこにほのかな酸味、骨格のはっきりしたスパイシーさと麦芽風味…これは安積蒸溜所のノンピート原酒でリリースされた、安積 THE FIRSTの延長線上にある個性。
既存のリリースからも感じることが出来る個性が、混ざり合ったブレンデッドモルトであると考えています。

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また、今回のリリースの特徴であり、そのヒントではないかと思うのが、シングルモルトではないのに安積(#あずみじゃないよあさかだよ)名義となっていることです。
笹の川酒造のウイスキー貯蔵庫には、蒸溜所の操業前から秩父蒸留所の原酒が10樽ほど保管されており、私の記憶が確かなら、該当原酒は蒸溜所を見学した2018年時点で8年熟成だったはずです。

その時点で今回のリリースに通じるフルーティーさが既にあったわけですが、2021年までマリッジ期間の18か月を含め3年強の熟成を経たとすれば、今回のリリースの構成原酒として違和感はなく。
何より蒸溜所は異なるとしても、ウイスキーの熟成で重要なファクターである”熟成環境”が、ほとんどの期間を安積蒸留所の環境下にある原酒なら、安積名義としてリリースするブレンデッドモルトウイスキーであっても同様に違和感のない構成であると言えます。

以上のようにいくつかの状況材料と、こうだったら良いなと言う願望が混ざった予想となっていますが、少なくともブレンドされている原酒の片方は10年前後の熟成期間を彷彿とさせるものであることは違いなく。そうなると、国内蒸留所でそれだけの原酒があって、しかも笹の川酒造が”かねてから熟成させていた”となる蒸溜所は、おのずと限られているわけです。

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(建設中の安積蒸留所の第二熟成庫。画像引用:笹の川酒造安積蒸留所公式Twitter

さて、ここからは仮定の話の上で、自分の願望というか、笹の川酒造とイチローズモルトの繋がりについて紹介します。

今や世界的なブランドとなったイチローズモルト。その設立前、肥土伊知郎氏が東亜酒造・羽生蒸留所の原酒を引き取った際、笹の川酒造がその保管場所を提供したという話は有名です。
ただしこれは微妙に事実と異なっており、日本の酒税法の関係から原酒を買い取ったのは笹の川酒造であり、イチローズモルト(ベンチャーウイスキー)の体制が整うまでは、笹の川酒造がイチローズモルトのリリースを代行していたのです。

ウイスキーブームの昨今なら、こうしたビジネスも受け入れられるでしょうが、当時は2000年代前半、ウイスキー冬の時代真っ只中。ほぼ同時期、余市蒸留所ですら1年間創業を休止した時期があったほどで、日本のウイスキー産業は明日もわからぬ状況でした。
そんな中大量の原酒を買い取り、血縁があるわけでもない1人の人間のチャレンジに協力する。なんて男気のある話だろうかと、思い返すたびに感じます。

さらに、笹の川酒造に保管されていた秩父蒸留所の原酒10樽。これは確か2010年頃に蒸留されたもので、ブームの到来はまだ先であり、蒸留所として製品がリリースされる前の頃のもの。
原酒を購入した経緯もまた、両者の繋がりの強さ、冬の時代を共に超えていこうという助けの手であるように感じます。

一方で、笹の川酒造が安積蒸留所として2016年にウイスキー事業を再開するにあたっては、秩父蒸留所と伊知郎さんが協力したのは言うまでもありません。
今回のリリースの構成原酒を秩父と安積とすれば、それは単なるブレンデッドとは言えない、熟成期間以上に、長く強い繋がりが産んだウイスキーであると言えます。個人的には待望の1本ですね。
単純に日本のブレンデッドモルトとして飲んでも美味しい1本ですが、是非そのバックストーリー含めて考察し、楽しんで貰えたらと思います。

オスロスク 15年 2006-2021 55.5% GM for ハリーズ金沢

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AUCHROISK 
GORDON & MACPHAIL 
For Harry’s KANAZAWA 
Aged 15 years 
Distilled 2006 
Bottled 2021 
Cask type Refill Bourbon Barrel 
700ml 55.5% 

評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでオーキー、バニラ、ココナッツ、洋菓子系の甘さ。序盤はウッディでドライなトップノートだが、徐々に熟したバナナや洋梨、フルーティーな甘さが開いてくる。

味:コクがあって柔らかい度数を感じさせない口当たり。麦芽風味と合わせてオークフレーバーの塊。マロングラッセと黄色フルーツのアクセント。徐々にドライでウッディ、スパイシーなフィニッシュ。
時間経過でオークフレーバーの塊が解け、林檎のコンポートや白葡萄を思わせる甘く華やかなフレーバーが広がってくる。

近年のGMコニチョらしい蒸溜所の個性を活かしたカスク。リフィルバーボンバレルだが、1st fillかと思うくらいに濃厚なオーキーさがあり、それでいて渋みが強いというわけではない。オスロスクらしい適度な厚みのある酒質、柔らかい麦芽風味が馴染んでいる。
時間経過での変化についてはコメントの通りで、開封直後やグラスに注いだ直後は絡まって一つの塊になっているフレーバーが、徐々に解け、広がっていく点がこのボトルの注目すべき点である。また、加水の変化も同様でしっかりと伸びてくれる。これは手元に置いて1本付き合いたいボトル。

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先日より応援記事を投稿している、BARハリーズ金沢さんの記念ボトル。
経緯については過去記事に記載の通り、三郎丸蒸溜所ともつながりの深いBARハリーズ高岡が金沢駅前に移転することとなり、その店内内装にかかる費用としてクラウドファンディングが行われています。
このボトルはそのリターンの1つとなっているもので、今回サンプルを頂いたのでレビューを掲載します。

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※クラウドファンディングは11月18日まで。初期の目標額である300万円は達成しており、500万円のネクストリターンも達成間近。後30万円!!
樽焼きステーキ&ウイスキーが楽しめるモルトバー「ハリーズ金沢」を作りたい‼ - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

オスロスクのリリースは最近少なく、特に近年間違いのないGMコニチョとなれば、気になっている人も少なくなかったのではないかと思います。
で、飲んでみた感想としてはやはり間違いなかったわけです。カスクストレングスでハイプルーフらしい余韻の強さ、麦芽系のフレーバーの厚み、熟成を経たことによる奥行きがあり、それでいて近年のトレンド的なフレーバーは外さない。一見すると通向けというか、地味なところがあるスペックですが、ある程度飲んだ愛好家にとってはこういうのが良いんです。

某ロールスロイスとか政府公認第一号とかより、タムデューとかノッカンドゥ―とか…こういうちょっとマニアックなところのほうが”くる”んですよね。
また、今回のボトルのポイントはリフィルのバレルでありながら、しっかりとしたオークフレーバーが備わりつつ、逆にウッディすぎないバランスの良い仕上がりがポイントです。開封後の変化が良好であることから、それこそハリーズ金沢が今後長く金沢の地でウイスキーを広めていくにあたり、5年後であっても10年後であっても変化を楽しめるような、同店にとって基準であり、基盤になるようなボトルだと感じます。これは良いカスクを選ばれましたね。

ハリーズ金沢のオープンは11月23日(火)。マスターの田島さんから頂いた写真を見て、その雰囲気の良さにびっくりしました。なんで東京にないんでしょうか(笑)
カウンターの一枚板の雰囲気、マーブル模様のような木目は、同店が以前あった高岡の銅器を思わせる模様の洋でもあります。
昨日の東京のコロナ感染者は7名。月曜日とはいえ今年一番低い数字。いよいよ現実を帯びてきたアフターコロナの社会。。。三郎丸蒸留所にも去年以来いけてませんし、北陸に脚を運ぶ楽しみがまた一つ増えました。

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ADN-97 (オルドニー) 24年 1997-2021 ビハインドザカスク 53.3%

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ADN-97 (ALDUNIE) 
SINGLE CASK BLENDED MALT 
BEHIND THE CASK 
OVER 24 YEARS 
Distilled 1997/06/18 
Bottled 2021/08 
Cask type Barrel #1507 
750ml 53.3% 

評価:★★★★★★(6)

香り:まるで蜂蜜のようなトップノート。独特の酸味と熟した洋梨、白葡萄、花の蜜のような甘みのある香り。微かに乾いた麦芽の香ばしさ、オーク香が混じる。

味:スムーズでややウッディ。香り同様の含み香に、奥から麦芽の甘み、コクが追い付いてくる。徐々にドライで華やか、軽やかな刺激を伴いつつ、アメリカンオーク由来のオーキーな余韻が染み込むように長く続く。

香味のベースはグレンフィディックに似た傾向があるものの、「蜂蜜に近い」ではなく「蜂蜜そのもの」を思わせる香味が特徴的なモルト。また、ボトルやラベルからソーテルヌワインを彷彿とさせるが、その香味にも似た要素があると言えなくもない。少量加水するとすりおろした林檎のような甘みとフルーティーさが、蜂蜜を思わせるアロマの奥から開く。また、香り以上に味のほうでまとまりが良くなり、一層白色系や黄色系のフルーティーさが感じられる。
ロック、ハイボールも悪くはないが、ストレートや少量加水をグラスでじっくり楽しみたい。

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先日、対談記事を掲載した、ボトラーズブランド「BEHIND THE CASK」のファーストリリースのうちの1つADN-97。気になっていたボトルで、ウイスキー仲間経由でボトルごとお借りしました。中身はウィリアムグランツ社がグレンフィディック・バルヴェニー蒸溜所の敷地内に建設した第三蒸留所、キニンヴィのティースプーンモルトで、なんとも通好みなリリースを一発目に持ってきたなと驚いたことを覚えています。

このボトルをレビューするにあたっては2つの切り口があり、一つはキニンヴィという蒸留所のスタイルから見てどうかということ。そしてもう一つが、ビハインドザカスク社のリリースコンセプトとしてどうかということです。
今回の更新ではこの2つの視点で順番に説明していきます。(※同社リリースコンセプト等については、先日更新した記事を確認ください。)



■蒸溜所のハウススタイル
キニンヴィはグランツやモンキーショルダー等のブレンデッドに使われるため、10年ほど前はリリースがない幻の蒸留所の一つと言われてきました。一時ヘーゼルウッド名義で濃厚シェリー系がリリースされたのですが、酒質がよくわからない。。。その後オフィシャルから、リフィル系統の樽構成の23年、17年などがリリースされ、蒸溜所の個性を把握できるようになりました。

そもそも親会社がブレンド用に代替品として仕込んだモノ。当たり前と言えば当たり前なのですが、その個性は非常にフィディック寄りだったんですよね。
フィディック寄りで若干ローランド的というか、軽やかな植物感とエステリーな華やかさがあるというか。バルヴェニーのように麦芽風味が膨らむ感じではありませんが、一般的に兄弟が同じDNAを受け継いでどこか似たところがあるような感じ。
実際、同じ敷地内にあるということもあって、キニンヴィの仕込みはバルヴェニー の設備を一部共用する形で行われているとのことで、造りの面からも納得のいく個性でした。

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(※キニンヴィのポットスチル。グレンフィディックのスチル形状のミニチュア版とも言われているが、手前の初留釜は大きく独特の形状をしており、香味の違いに影響していると考えられる。画像引用:https://www.whiskyandwisdom.com/kininvie-the-distillery-emerges/)

ではこのADN-97はどうかというと、使われた樽の影響か特殊な香味が付与されています。樽はバーボン樽なのですが、ひょっとすると元々熟成に使われていたバーボン樽と、ティースプーン的な処理をした後で原酒を詰めなおしたバーボン樽が違うのかもしれません。

ベースの酒質は上述の個性から外れたものではありませんが、香りのトップに来る蜂蜜そのものを思わせる香りは、通常のWG社のモルトのどれにも当てはまらないもので、このボトルの個性にも繋がっています。(内陸系のモルトには、蜂蜜のような香りがするものはいくつもありますが、似た香りと、そのものを思わせる香りでは、大きな違いがあります。)

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■BEHIND THE CASKのリリースコンセプト
さて、冒頭述べたように、特筆するところはもう一つ。それは、ビハインドザカスクのリリースコンセプトである「ソムリエがサーブするウイスキー」。ワインと同じく、経年変化、温度変化なども見て楽しんでほしいとするものです。
先日同社代表の澤田さんと対談させてもらった際、このADN-97については

「AND-97は開封直後から蜂蜜、洋梨、そして花のような甘みと酸味を感じる香りがあり、香味ともあまりトゲトゲしいところはありません。これらの要素がグラスの中で馴染み、開いていくことから、比較的早飲みのイメージです。温度としては、軽く冷えた状態からサーブすると、常温に戻る過程で変化をさらに楽しんで貰えるのではないかと思います。」

とあり、だったら白ワインのように冷やして飲もうと。ただ借り物であるボトルごと冷やすのはちょっと憚られたので、小瓶に移して冷蔵庫へ。1時間弱冷やしてからワイングラスに移し、徐々に温度を戻しながら飲んでみました。
するとなるほど確かに、香りが少し硬さを帯びるのですが、それが逆に冷気を伴う香りと合わせて蜂蜜レモンドリンクのような爽やかさを伴う香りとなり、徐々に蜂蜜感が強く、果実系のアロマが開いてくるような変化。香味が開くという過程をわかりやすく楽しめました。

グラスと温度で変化をつけることで、同じボトルでも楽しみが広がる、新しい選択肢だと思います。ユーザーとしてはそれをテイスティングの際の指標ともできますし、BAR等で独自の解釈で提供があっても面白いと思います。

因みに今回のリリース名称ADN-97は、Aldunieを略したもので、97は蒸溜年と考えられます。とすればもう一つのリリースであるグレーンのIGN-89は、Invergordon 1989となりますね。
なお、同社から予定されている次のリリースはGNR-13、シェリー系であるとのこと。つまり…Glen rothesの短熟圧殺系でしょうか。シェリー系は時間をかけて変化を見ていくタイプも考えられるため、公式からの発信を楽しみにしております。

ミクターズ US-1 ストレートライウイスキー 42.4% シングルバレル

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MICHTER'S 
SINGLE BARREL US★1
KENTUCKY STRAIGHT RYE WHISKEY 
700ml 42.4% 

評価:★★★★★★(5-6)

香り:メローで赤みがかった果実香。洋梨のような甘みもあり、合わせてスパイシーでハーバルなアクセント、微かにゴム。溶剤的な要素もあるが、基本的にはメローな甘さが香り立つ。

味:マイルドで緩さのある口当たり。序盤は度数相応に柔らかく、ややボディは軽め。キャラメル系の甘みと熟成たチェリー、紅茶のタンニン。じわじわとウッディでビターな質感、軽い刺激が口内に広がる。

その日の体調や気温、あるいは飲み合わせによって、悪い部分が目立つ時と良い部分を拾う時があり、その複雑さが面白いウイスキーである。ライウイスキー区分らしくハーバルでスパイシー、ドライな個性に、ミクターズの製法由来かメローで赤みがかった果実香とマイルドな口当たり、熟成感が魅力。
なお、飲み方は少々贅沢だがハイボールか、カクテルベースとして使用するとノーマルなライウイスキーとは一味違う1杯を楽しめる。家飲み用お手軽カクテルのオススメは、コーラと1:1で割ったコークライ!

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先日紹介した、新生ミクターズブランドのライウイスキーが、今回レビューする1本。バーボンが美味しかったので、ライも続いてトライです。
ちなみに、ミクターズブランドの歴史や、現代の製法、こだわり等については、前回のミクターズ・US1・バーボンウイスキーのレビュー記事にまとめてあり、このライウイスキーも基本的なところは同じであるため詳細説明は省きます。

ミクターズUS1のポイントとしては、製法や原料等を指定した形で、アーリータイムズ(と噂される)蒸留所に外注し、その後自社で準備した良質な樽、熟成庫(ヒートサイクルウェアハウス)で4年以上熟成させた原酒を製品化したものが、このブランドということになります。※現在は5~7年の原酒がリリースされているとの情報もアリ。
ただしこれだけだと誤解されそうなので、ミクターズの名誉のためにあえて記載すると、アーリータイムズは有名な低価格帯バーボンの一つですが、噂や状況証拠がなければ結びつく事はないと言えるほど、ミクターズのクオリティは別格。上質なアメリカンウイスキーであり、それだけ独自の工夫が大きな違いをもたらしているのだと思われます。


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(※ミクターズ社が所有する、ヒートサイクルウェアハウスの一つ。温暖な環境を維持することで、通常より速く熟成が進むと考えられている。)

一方で、ミクターズのライウイスキーについてはいくつか不明点があり、バーボンのほうはスモールバッチなのに、なぜかライはシングルバレルだったり。あとは原料比率、マッシュビルも非公開だったり。
リリース側はこれらに関して情報を公開しておらず、また、関連が噂されているアーリータイムズも、ライウイスキーをリリースしていないことから予想が出来ません(US★1バーボンはアーリータイムズとマッシュビルが同じ)。

海外の愛好家サイトでは、ライが55-60%くらいではないかという予想。個人的にはもう少し高いのではとも感じますが、視点を変えて調べてみると、同蒸留所で2018年まで製造されていたオールドフォレスターが、ライウイスキーをリリースしているんですよね。マッシュビルはライ65%、モルト20%、コーン15%とのこと。同じマッシュビルである保証はありませんが、華やかさがありながら、独特の深みや複雑さがあるのはひょっとしてモルト比率の多さも関連しているってことか…?

ライが多いとドライでスパイシーさが強くなりがちなところ、その個性はしっかりと感じつつ樽由来のメローな甘さと熟成感、そして加水調整で、マイルドで飲みやすく仕上げられているのが、このミクターズ・ライUS★1の特徴でもあります。

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さて、ライウイスキーはカクテルのツールとしても注目されており、様々な飲み方が提案されてきています。王道のカクテル、マンハッタンやオールドファッションは勿論、最近ではコーヒーとの組み合わせも注目されていて、調べてみると様々なレシピがヒットします。
ハーバルでスパイシーな癖があり、香りが強い一方でボディが少し軽くドライになりがちなところを、カクテルで加えられるリキュールや果汁等が補って、パズルのピースのように相互補完し合う組み合わせが期待できるのでしょう。

ですが、BARはともかく家でカクテルとなると、リキュールやら道具やら、色々準備するものが多く、手軽にオススメとも言えません。。。
そこで今回、1ステップで作れる何か(つまり割るだけで良い組み合わせは無いか)を、色々試してみました。牛乳、オレンジジュース、コーヒー…様々試した中で、ある意味何の捻りもなく、ナンバーワンをかっさらったのが、コカ・コーラ。それも、通常のコークハイのような作り方ではなく、写真のようにライウイスキー1に対してコーラ1,さながらハーフロックを作る要領で混ぜたものになります。

これだとベースが濃くなるため、安価なウイスキーではアルコール感や未熟感が出て美味しくはなりません。

しかし、先に書いたようにミクターズのライウイスキーはマイルドで熟成感がしっかりある中に、ライウイスキーの香味も強く感じられる上質なライウイスキーです。多少濃く作っても違和感なく、むしろライのフレーバーを残しつつ、コーラのフレーバーが混ざり合って、いやこれ美味いやないかと。
名付けてコークハイならぬ、コークライです!
※既にこういうレシピがあったら申し訳ありません。

あまりに自然にすいすい飲めてしまうので、20%以上の度数があるモノと言うことを忘れてしまいそうになります。おおよそレディーに進める酒じゃないですが、レディーキラーの部類と言えるかも。
そして、どんどん何か違う組み合わせになっていくようで心苦しくありますが、ポテトチップスなどの揚げ菓子との相性が素晴らしくいい…ここはアメリカらしくプリングルス。背徳感というスパイスが加わって、堪らない組み合わせです。

普通のバーボンでも充分美味しくなりますが、ライのフレーバーがアクセントになったカクテル(というほど崇高なものではない)スタイルでも、是非試してみてください。
しかし本当に、飲みすぎ注意ですよ!

963 ミズナラウッドリザーブ 21年 福島県南酒販 46%

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FINE BLENDED WHISKY 
MIZUNARA WOOD RESERVE 
Released in 2021 
700ml 46% 

評価:★★★★★★(6)

香り:様々な樽香、重層的なウッディネスがグラスの中から立ち上がってくる。トップノートはキャラメルのような甘みとチャーオーク、サルファリーさ。スワリングしていると、干し柿、林檎のキャラメル煮、蒸かした栗、バニラ、いくつかのスパイス。複数の樽を経たことによる樽感の重なりが、この複雑さに繋がっている。

味:味はまろやかで熟成感があり、まずはシェリー樽を思わせる色濃い甘みとドライフルーツの酸味。そこに煮だした紅茶やビターなフレーバー、微かにニッキのようなスパイス、樹液っぽさと腐葉土、奥には古酒感を伴う。余韻は焦げ感のあるビターなウッディネスが強く主張し、複数の樽香が鼻腔に抜ける。

ベースとなったブレンドの原酒構成が、シェリー樽熟成タイプとバーボン樽熟成タイプの輸入ウイスキー。それを国内でバーボン樽に入れてマリッジし、その後さらにミズナラ樽の新樽(チャー済み)でフィニッシュをかけた…といったところだろうか。長期熟成スコッチ備わるフレーバー、国内で追加熟成させたことによる強い樽感、それをさらに上塗りするミズナラエキスという、一見してカオスのように見えて、熟成感と加水が橋渡しとなり、重層的な仕上がりとして楽しめるレベルにまとまっている。
ロックにするとこれらのフレーバーが馴染み、余韻の苦みも落ち着く。バランスがとれて口の中に入ってくる。

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先日福島県南酒販さんからリリースされた、963ブレンデッドウイスキーの限定商品。同ブランドでミズナラと言えば、約3年前に17年のブレンデッドモルトがリリース。これは愛好家が求めているミズナラフレーバーを疑似的に再現していた、今後のミズナラ樽の使い方に新しい可能性を感じさせる1本であったところ。
今回はその空き樽を使って仕込んでいたものかと思いきや、通常リリースしている21年を新樽のミズナラ樽で2年間追加熟成したものだそうです。

ミズナラは他の樽材と同様、あるいはそれ以上にエキスが出やすい樽材だと言われています。なので長期熟成に用いるには、新樽ではなく何度か使い古したものが良いと、以前S社の方から伺ったことがあります。
なので今回のような新樽はフィニッシュに用いて少し落ち着かせるのが、定石と言える使い方の一つであるわけですが、それでも2年間、流石に色が濃いですね。キャラメルのような感じの色合いで、味わいもかなり濃厚に樹液を連想させるフレーバーがあります。

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(※2017~2018年にリリースされた963ブレンデッドモルト17年ミズナラウッドフィニッシュ。こちらはバーボン樽熟成の内陸モルトが主体であり、オーキーな華やかさとフルーティーさにミズナラ樽のスパイシーさが混じることで、S社からリリースされるミズナラ系の香味に似た仕上がりとなっていた。)

他方で、このウイスキーが単にエキスが濃いだけで終わらないのは、ベースのブレンドの個性にあります。
963ブレンデッドウイスキーは、スコットランドから輸入した原酒を、笹の川酒造の熟成庫で追加熟成して、それをブレンドすることで作られています。
今回は21年オーバーという長期熟成のバルクが用いられているわけですが、おそらく既に混ぜられているブレンデッドウイスキーバルクでシェリー樽タイプのものに、モルトウイスキーをブレンドしているのではないかと推察します。

香味の中に感じられるシェリー樽のフレーバーが、グレーン、モルト、どちらにも影響しているように感じられること。21年オーバーのバルクグレーン単体なら、もっとメローでバーボン系のフレーバーが強くなるのにそれが無い。一方で古酒感と表現されるような、オールドブレンデッドウイスキーのシェリー系銘柄で感じられるカラメル系のフレーバーが、全体の中で複雑さと奥行きに繋がっているのです。

日本とスコットランド、異なる環境がもたらす原酒への影響を活かして作られるブレンドは、少なくともスコットランド単独では作り得ない物だと感じています。
二つの地域が育てるウイスキー、それを活かすブレンド技術。日本側はまだ荒削りで原酒も足りませんが、時間が経って原酒が育ち、ノウハウが蓄積することで今後新しいジャンルとして確立していくことを期待したい。そんなことも感じたウイスキーでした。

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