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カテゴリ:★5

ネルソンズ グリーン ブライヤー テネシーウイスキー 45.5%

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NELSON’S GREEN BRIER 
TENNESSE WHISKEY 
HANDE MADE SOUR MASH 
CHAS. & W.A.NELSON, 
750ml 45.5%

評価:★★★★★(5ー6)

香り:ブラウンシュガーやオレンジのメローなアロマの中に、スパイスと干し草、鉛筆の削りカスのような要素が混じるトップノート。

味:口当たりは滑らかでややオイリー。香りで感じられた干し草のような要素を伴いつつ、柔らかくメロー、微かな酸味。余韻にかけては軽やかなスパイシーさとほうじ茶のようなウッディネスが染み込むように感じられる。

テネシーウイスキーらしく、サトウカエデの炭で濾過した原酒の柔らかくメローな味わい。マッシュビルは明かされていないが、味わいの柔らかさと植物系の癖を残した味わいから推察してコーン6~7割、小麦2割強、大麦1割弱程度といったところか。原酒の熟成年数は5年程度のものから若い2年のものも含まれている印象で、香味に影響しているのだろう。
とは言えそれを差し引いて溶剤感やえぐみは少なく、酒質はテネシーでジャックかジョージディッケルかと言ったら後者寄りのタイプ。後述するストーリー性も持って、将来が楽しみな蒸留所である。

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※個人的におすすめなコーラ割り。滑らかさで引っ掛かりはなく、テイスティングで感じた干し草っぽさは消え、ほのかに酸味のある味わいがコーラの風味に上手くマッチする。

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久しぶりに外見、デザインで調達してしまった1本。
2014年にテネシー州ナッシュビルに創業した、Nelson's Green Brier(NGB)蒸留所によるテネシーウイスキー。ルーツは1860年に同州ロバートソン群で創業、1909年に禁酒法(当時は州法)の影響で閉鎖された旧Nelson's Grenn Brier蒸留所で、その創業者一族であるネルソン兄弟が、蒸留所の復活を目指して当時のレシピや製法を忠実に再現した…というもの。

調べてみると元のNGB蒸留所は年間生産量38万ガロン(約200万本分に相当)と同州でも大規模な蒸留所だったようで、ロバートソン群では最大の生産量だったとのこと。またその蒸留所としての評価は、閉鎖直前である1900年代に当時アメリカのスピリッツ業界で商標登録を取りまとめていた団体2つのうちの1つであるMIDAから、Aランク:50万ドル~60万ドルの評価を受けていたそうです。※ジョージディッケルがAA評価、ジャックダニエルはCCC評価。

現在のNGB蒸留所からは、テネシーウイスキー以外にバーボン仕様のもの、ライウイスキー等もリリースされていますが、今回レビューするテネシーウイスキーは同社のスタンダードリリース、言わば”顔”という位置づけ。
当時のラベルデザインだけでなくボトル形状も再現されており、ブランドエピソードともリンクしてること。やっぱり雰囲気って大事ですよ。中途半端にラベルだけ寄せた復刻版は…。
また、価格も3000円台と最近増えてきたクラフトバーボンにしては手ごろだったことも高ポイント。しっかり背中を押してくれました。

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※画像左、1900年代に流通した閉鎖前のNGBテネシーウイスキー。画像右、新たにリリースされた新NGB蒸留所のテネシーウイスキー。ラベルデザインに加え、ボトル形状も当時を意識したものであることが伺える。

と、まぁここまでは、蒸留所やブランドの統廃合、買収売却が盛んなアメリカンウイスキー業界では珍しくない話であり、今回のリリースも、実はレシピを指示して大手蒸留所に外注した原酒なんじゃないか?と思っていたら、 蒸留所含めて自前で作ったものであるという情報。
調べてみると現在の生産拠点や熟成庫の情報も出てきます。これは…良くも悪くもある話なんですよね。

というのも、2014年のテンプルトン・ライ集団訴訟事件以来、アメリカではそれまで一般的だった、蒸留所を持たずブランドのみ保有し、原酒は大手工場に外注したものを詰めるという効率重視のスタイルから、自前で小規規模な蒸留所も操業するというスタイルが増えてきています。
ところが、自前の蒸留所で作った原酒のクオリティが…大手のそれに比べて今ひとつなところが多く、それで蒸留所の操業にかかるコストが上乗せされていて価格も高いというダブルパンチ。
中にはうまく軌道に乗せて、クオリティの高い原酒を作っている蒸留所もあるようですが、果たしてNGB蒸留所はどちらなのか…。

前置きが長くなりましたが、飲んでみた印象は小規模生産者としては比較的よくできているレベルなんじゃないでしょうか。
復活させた、という当時のオリジナルマッシュビルについては詳細不明ですが、コーンの甘さ、そして小麦の柔らかさが特徴となっているレシピであるように感じます。
コメントに書いた通り適度に熟成した原酒のメローな要素と、若い原酒に見られる植物的な要素が混ざったような味わいですが、原酒の平均熟成年数が上がってくればもっとメローでプラス要素に振った豊かな味わいになっていくでしょう。現状でもロックやハイボール、カクテルベースで楽しんでいくなら特に不満はないです。逆に、スタンダードなジャックダニエルと比較して、コシのある味わいに仕上げてくれているという印象もあります。

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なお、蒸留所を再出発させたネルソン兄弟は、ウイスキー事業に従事していたというわけでも、自分たちの出自を知っていたというわけでもなく、たまたま訪れた肉屋の前で自分たちの苗字を冠した蒸留所の看板が目に入ったことがきっかけでルーツを知ることになり。
また、今回のリリースのキモともいえるマッシュビルや製法(サトウカエデの炭にニューメイクを通すリンカーンカウンティプロセス)も、一族の秘伝として伝わっていたものではなく、1900年当時の記事を見つけてそこに書かれていた情報が再現に繋がったとのことです。

まさにゼロからのスタート。個人的にはよくぞその状況で蒸留所を建設して再稼働させられたなぁと感心してしまいます。
ちなみに上述のとおり、NGB蒸留所ではテネシーウイスキー以外にバーボンウイスキーも蒸留しており、こちらも比較的手ごろな価格でリリースされています。ここまで知ってしまうと作り手としてとして気になる…あれ、なんで手元にもうあるんだろう(笑)
このあたりはまた後日、紹介させて頂こうと思います。

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ニッカウイスキー フロンティア 48% 2025年ロット

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NIKKA WHISKY
FRONTIER 
Lot No,6/02E201432(2025年1月) 
500ml 48% 

評価:★★★★★(5-6)

香り:ややドライ、若い原酒の刺激とともにキャラメルを思わせる甘さ、アーモンドや乾煎りした麦芽の香ばしさ、微かにリンゴのカラメル煮。奥からスモーキーなアロマも開いてくる。

味:とろりとした口当たり。序盤はのっぺりとして起伏に欠けるが、徐々に穀物由来の風味、内陸モルトの干草や洋ナシを思わせる甘さ、微かにケミカルな要素、ピートフレーバーと口内で広がりが感じられる。余韻はビターでスモーキー、スパイシーな刺激を伴う。

個人的にニッカらしさが光ると感じる1本。原酒比率はほぼ1:1(厳密には51%:49%)なのだろうが、グレーン由来のソフトでのっぺりとした質感から、若いモルト由来の風味が芽吹いてくる。キーモルトとしては余市のヘビーピート原酒とされているが、実際は輸入原酒と国産原酒、新樽やバーボン樽、リメード樽等様々な風味が合わさった複雑な様相。

おすすめは少量加水。若い原酒の要素や前面にある甘さが和らぎ、樽由来の果実味、奥にあるピート由来の要素が広がって、一体感のある味わいへと変化する。ただししゃばしゃばにもなりやすいため、1滴1滴とコントロールしていくことを推奨したい。

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先日本業のほうで1泊2日の出張。せっかくだから地元のBARにでも…と考えていたものの、緊急の仕事、翌日の準備とホテルから出る隙がなく。気分だけでもと、近くのセブンに売っていた今年ロットのフロンティアを買ってきてチビチビやりながら翌日の準備を進めることに。

あれ?去年一般向けは終売になったんじゃなかったでしたっけ…めっちゃ普通に売ってるんですが、という疑問はさておき。これなら2000円そこそこで買えるなかで、味も本格的だし、余って持ち帰るにしても通常ボトルよりかさばらない(笑)。
ただ、そうして飲み始めてみるともう一つ疑問が。そう、なんか味変わった?

2024年の初期ロットはもっとピートフレーバーが荒々しく、若いけど面白い、こういうのでいいんだよって感じの味わいでした。サンプル瓶も飲みましたし、その後自分でも1本買って飲みました。
それが、今回飲んだ2025年ロットについてはピートフレーバーが1~2歩後ろに下がり、その分のっぺりとした甘さ、内陸系の原酒のニュアンスが強くなったように感じたのです。
ロット差といえばそこまでかもしれませんが。。。過去にも同じように味が変わったケースがあるのと、またニッカのスタンダードリリースは余市、宮城峡、竹鶴を中心に現在進行形で熟成感が増して、樽の比率等も変わってきているので、多少なり違いが出ているのかもしれません。

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ちょうどいいので、改めてこのタイミングで2025年ロットの味わいについてと、私が知っている限りのフロンティアの開発経緯を紹介していきます。

フロンティアは、2022年に有効となった改正食品表示法による表記を意識したリリースです。
上の写真で
原材料名:モルト、グレーン
原料原産地名:英国製造、国内製造(モルトウイスキー)
として記載があります。この表記を特例を除いて義務づけたのが2017年の改正食品表示法の施行であり、猶予期間を経て、2022年に本格的に有効となった法律によるものです。

これによってさまざまな食品、酒類の表記に変化が生まれ、また国産ウイスキーに関しては某社を中心に大きな闇を生じさせているのですが、それはさておき。
本リリースの表記に関して分析すると、英国製造と国内製造のモルトウイスキー、グレーンウイスキーをブレンドした中で、最も比率が多いのがモルトウイスキーであり、またモルトウイスキーとグレーンウイスキーを合わせた全体では英国製造のウイスキーが一番比率が高いですよ、という表記になります。

良く勘違いされるのが国内製造のところに(モルトウイスキー)があるので、国産モルトウイスキーが100%と理解されるケースですが、ここが紛らわしいんですよね。英国製造、国内製造と左側に書かれているほうが全体の比率としては高く、またグレーンも含まれているという点に注意が必要です。

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実はこれまでニッカウイスキー(アサヒビール)は、この法律の特例を用いることで、改正食品表示法によって求められる表記をラベルに記載してきませんでした。(上画像、セッション参照))
そんな中で、法律に合わせてモルトウイスキー表記ができるものを、今の市場の需要に合わせて2000円台でリリースしようとコンセプトを設定。
きっかけは「ありき」だった訳ですが、社内でプロジェクトが2021年に立ち上がり、苦節2年強、ブレンダーチームが何度も試作を繰り返して発売となった…と、原酒も価格も制限が厳しい中での開発は苦労の連続だった、という話を酒の席で聞いた記憶があります。

正直、これまでのニッカのリリースは、今あるブラックニッカや通常のシングルモルト余市、宮城峡にフィニッシュをかけて小手先のアレンジで話題を作っているような印象が否めませんでした。それも初期のころは目新しく、面白いと思うのですが、何度も何度も繰り返されると、そろそろ本腰入れて商品開発してくれませんかねと思ってしまうのは自然な流れ。

今回のフロンティアは、ニッカがやっとで1からブランドを立ち上げて新しいリリースを出してくれたというだけでなく。2000年代初頭、かつての竹鶴を思わせる価格帯で、当時同様に樽感を強めにしたリリースを持ってきた点に、竹鶴12年でウイスキーを飲み始めた自分としては感じ入るところがあるわけです。

発売直後から出荷調整なんてどうなってんねんと思いつつ、この味はそれこそ2015年のラインナップ大整理以前を思わせるクオリティだわと納得してしまう自分がいる。
無理して頑張りすぎちゃったかー、なんて理解してしまう愛好家の悲しい性。お願いなので、このまま各ブランドのクオリティを維持&向上させていってほしいものです。

グレンドーワン スコッチウイスキー 40% 2025年ロット

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GLEN DOWAN 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
J&G GRANT 
Lot 2025~
700ml 40% 

評価:★★★★★(5)

カラメルを思わせる色濃い甘さ、ビターな要素を伴うトップノート。加えて藁焼きのあとのような燻したようなスモーキーさが甘さと干藁を思わせるフレーバーの奥からじわじわと広がる。
口当たりはまろやかで、やや荒削りなモルティーさ、香ばしい穀物系の含み香。余韻はビターでじんわりとスモーキー。


グレンファークラス蒸留所を操業する、J&Gグラント社が製造するブレンデッドウイスキー、グレンドーワンの2025年ロット。
ちょうど1年ほど前、ミリオン商事さんが国内に輸入を開始し、手に取り易い価格と色濃くわかり易い味わいで口コミ等を通じて人気になった銘柄です。

話題になった理由はなんと言っても、その濃い色合い、やや人工的ながらシェリー樽由来のフレーバーを意識したであろう甘さ、そして上記製造元との関係などからグレンファークラスが使われているのではないか?とする推測情報ゆえ。
構成原酒が事実かどうかはさておき(個人的見解は後述)、キャッチーな色合い、情報、そして価格。個人的にもびっくりしましたね。そしてこれは売れるでしょと、確信したのを覚えています。

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※グレンドーワンの2024年ロット。映っていないがこのロットはキャップがスクリューキャップ。よくみるとラベルも微妙に異なっている。

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※グレンドーワン2025年ロットのコルクキャップ

実際、口コミを中心に人気が広がり、2024年ロットのメーカー側在庫は品薄状態(だったらしいです)。そして年が明けて2025年、装い新たに新ロットが国内に流通し始めたわけです。
お値段は据え置きながらしれっとラベルがリニューアルされ、キャップも高級感あるコルク仕様に。中身は変わっていないと言われていますが、もちろん味も変わっています。

2024年ロットは、甘くほのかにスモーキーな中にグレーン由来か、プレーンなところに色付けしたような、やや人工的な甘さが感じられた構成。
一方で2025年ロットは、色濃い甘さが少し抑えめになったものの、ビターなスモーキーフレーバーがその分強く感じられ、モルト由来と思しき香味もわかり易い。テイスティングコメントの通りリッチな味わいになったと感じられます。

なお、熟成年数は変わらず8〜10年といったところでしょうか。
ウイスキー業界あるあるとして、ラベルが変わると味が変わる(味が落ちる)なんてことが囁かれることはしばしばありますが、これはむしろその逆、よくなっているように感じます。スモーキーさと厚みを増した味わいは、どちらかと言えばストレートやロック向きですが、ハイボールにしてもマッチしそうです。

さて、最後に。
グレンドーワンの構成原酒はオープンにされていませんが、20種類前後のモルトウイスキーとグレーンウイスキーが使われているとのこと。
上述の通りブランドの保有元からグレンファークラスがピックアップされがちな本品ですが、J&Gグラント社の繋がりから紐解いていくと、いわゆるイアンマクロード社系列が原酒の提供元ではないかと予想します。(ファークラスはブレンドのラインがなかったはず…)

イアンマクロード関連の蒸留所といえば、タムデューやグレンゴインですね。どちらもシェリー系で知られる蒸留所。また、同社のブレンデッド銘柄はアイランズモルトをキーモルトとするアイルオブスカイ12年があります。
イアンマクロードは、日本国内の蒸留所にもバルクウイスキーを輸出するメーカーの一つ。傘下蒸留所以外にも様々な原酒を保有しています。
ひょっとすると、この辺りを軸にグレンファークラスの若い原酒を混ぜるなどして作ったのが、グレンドーワンなのではないか…。
なんて個人的な予想を書いて、本記事の結びとします。
安価でも面白い銘柄が増えるのは大歓迎です。

大谷ウイスキー 新潟亀田蒸溜所 No.1 Zodiac Sign Series “Pisces” 50%

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OHTANI WHISKY 
NIIGATA KAMEDA DISTILLERY 
SINGLE MALT JAPANESE WHISKY 
No,1 The Zodiac Sign Series “Pisces” 
700ml 50% 

評価:★★★★★(5)

香り:林檎や枇杷、品の良いフルーティーさを伴うトップノート。微かに青さを残した干し草やナッツ、軽やかにエステリーなアロマ。

味: 口当たりは軽やかな刺激、微かにニューメイク寄りの風味もあるが、乾いた麦芽と白色果実の風味、 余韻はウッディな木材の香りが鼻腔に抜け、おがくずのほろ苦さ、微かにオーキーな甘みを残して全体の香味がストンと消えていく。

バーボン樽熟成のノンピート原酒を主体に、パロコロタドシェリー樽とシェリーブランデー樽熟成の原酒等を加えた3年熟成程度のリリース。とはいえシェリー感はあまりなく、基本的にはバーボン樽由来のフレーバーがメイン、バーボン8、その他2くらいか、ボディの厚さ、香味の複雑さを補うためにシェリー樽系の原酒を加えたのだろう。品の良い甘さとエステリーさが好ましい一方、1ショット飲むと途中で余韻にかけての単調さを感じてしまう。まだ熟成の余地を残した仕上がりと言えるが、余韻の長いウイスキーとしてはもう一声欲しい。

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創業2021年、新潟亀田蒸溜所のシングルモルト。亀田蒸溜所からはこれまでもイベントなどでニューボーンが販売されていたり、またPBでシングルカスクの3年前後のものが限定販売されるなどしてきたところ。今作はオフィシャルスタンダードラインナップとしては初めてとなる、JWの基準に基づくシングルモルトとなります。

本シリーズについては公式にあまり情報が出ていませんので、知ってる限りの補足と予想を記載していきます。
大谷シングルモルトの“大谷”は、某野球で理解の及ばない活躍をしている選手のことではなく、新潟亀田蒸留所を操業する企業がハンコの”大谷”(※本記事最下部参照)という企業名からきていること。
ゾディアックシリーズについては、12星座にあてがわれた誕生月(期間)を厚岸の二十四節気のようにリリース時期とかけた、星座シリーズなのだと考えられます。

またラベルに描かれた女性は星座をイメージしたキャラクターとのことで、確かに髪を結んでいる飾りに魚座のロゴが描かれています。一説では奥様ではという話もありましたが、そこは未確認なので、ここではただのイメージキャラということにしておきます。
ただ、頬を赤らめて視点がやや定まっていない感じ、そこに魚座の配置が酔っ払ってポワポワしてしまっている漫画の描写に見えてしまうのは気のせいでしょうか、なんとも特徴的なラベルですよね。

一方でこのラベルについては、新潟でなぜ星座なのかとか、この女性は魚座の何をイメージしてデザインされたのかとか、疑問は残るところ。今後この点が亀田蒸溜所から、あるいは代表の堂田さんから解説されてくるであろうことを期待しています。

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※新潟亀田蒸溜所のポットスチル。初留と再留とで形状が異なっているのが特徴の一つ。

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※糖化時の清澄麦汁を確認する設備。配管を一部可視化して光の通り具合を確認している。

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※現在の熟成庫が完成する前、倉庫を改修したスペースで熟成中の原酒をテイスティング。カスクストレングスのものはエステリーでよりフルーティー、甘さと余韻の長さを兼ね備えていた。

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※コンテナを熟成庫として使用することで、高温環境での熟成を実施。ニューボーンリリースやフィニッシュなど短期間で仕上げることを想定した原酒を一時的に保管している。やりすぎるとエキス分が過剰になるが適度に使うには効果的。今回のリリースにはコンテナ熟成の原酒も一部使われていると予想。


新潟亀田蒸溜所には過去2回訪問させていただいており、そこで見聞きし、経験してきた様々な要素から、蒸留所としてのポテンシャルとそのウイスキー作りは間違いないと確信しておりました。
清澄麦汁によるこだわりの糖化、プレス酵母をいち早く用いた発酵、そして冷温、常温、高温と温度環境にこだわった異なる熟成環境も整えたところ。
現地では、ピートにしろノンピートにしろ、これで3年程度!?という素晴らしい原酒をいくつもテイスティングさせてもらっており、この蒸留所の将来性は間違いないと、確信すらしていました。

だからこそ、率直に言えばこのファーストリリースは「あれ?」と思ってしまった訳です。 
 おそらく、設備の使い方、カットポイントや酵母の使い方など色々模索していた初期の原酒を中心にバッティングしているからだと思いますが。 余韻の長いウイスキーを目指したにも関わらずボディや余韻がストンと軽い。自分がテイスティングさせてもらった様々な樽出し原酒の風味に対して、後半の味がスッキリとしているというか、広がりや伸びがない、大谷(野球)にかけるなら伸びのない棒球なのです。 

香味から若さや嫌味な要素が目立たず、伸び代も十分ありますが、いやいや亀田ならもっとできたでしょ…と思ってしまうのです。 
同蒸留所では熟成環境が昨年にかけて整ってきただけでなく、その造りも2年目以降に酵母の使い方などで大きな変革が起こっていて、重ねて言いますが本当に期待している蒸留所の一つ。今作はその意味で最初の一歩というより次以降のリリースに、いい意味でのギャップを与えてくれるものと期待しています。 

特にピート原酒、ノンピートで3年だとバーボンオクタブ系の原酒ですかね。次あたりでとてつもない巻き返しがあるのでは…。大谷なら、大谷(堂田)さんなら…きっとやってくれるはず!

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追記:...なんとなくフェアじゃないというか、自分の気持ちが収まらないので、後日新潟亀田蒸溜所がいかに凄くて期待できるのか、記事にしたいと思います。

クロナキルティ シングルポットスチル アイリッシュウイスキー 46%

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CLONAKILTY 
SINGEL POT STILL 
IRISH WHISKEY 
100% IRISH BARLEY 
700ml 46% 

評価:★★★★★(5)

香り:やや酸の混じる黒パンのような素朴な麦芽香。合わせて薄めたキャラメルと柑橘、干し草のような甘い植物感を伴う。

味:柔らかく甘酸っぱい口当たり。柑橘のクリームのようなソフトな甘さのケミカルなニュアンス、徐々に軽やかなスパイス。余韻は麦茶のようにほろ苦い麦芽風味を残してじんわりと長く続く。

自家栽培含む100%地元産の麦芽を用いた、クロナキルティ蒸留所のファーストリリース。まだ4年程度の熟成とあって複雑さには欠けるが、煌びやかでも華やかでもない、どこか素朴な味わいに懐かしさを感じる。また、口当たりはソフトでアイリッシュのシングルポットスチルらしい柔らかさがあり、親しみやすい。ストレート以外にハイボールやロックでも。

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アイルランドの新星、クロナキルティ蒸留所で蒸留されたシングルポットスチルウイスキー。クロナキルティ蒸留所については過去記事にて紹介しているので説明を省きますが、現地で農業を営む一族がオーナーとなって創業した蒸留所で、海沿いの高台に建てられた熟成庫や、蒸留には自ら育てた麦芽を用いるなど、ユニークな特徴があります。

同ウイスキーのニューメイクはWWA2020でベストアイリッシュニューメイクを受賞(WWAの評価は賛否ありますが、一定以上の品質があるのは間違いなく)した実績があるだけでなく、調達した原酒を後熟&ブレンドして作られてきたこれまでのリリースは、愛好家からも一般のユーザーからも評価されているところ。

特にフルーティーさのわかりやすいクロナキルティ・ギャレーヘッドが人気であり、ユーザーが求めている味わいを作り出すブレンドセンスの高い蒸留所だと注目していました。
外部調達した原酒をアレンジしてリリースを作るメーカーは、アイルランドではイーガンズなど複数社ありますが、日本に流通しているものを一通り飲んだ限り、クロナキルティの味作りが1番好みだったのです。そのため、上述のローカルバーレイの取り組みなどと合わせて自前の原酒を使ったリリースを楽しみにしていました。

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※注目ついでに自分が関わるリリースまで調整してしまいました(笑)。イラストは昨年11月にリリースを発表した駐日アイルランド大使公邸にてオーナー夫妻とメンバーで撮影した写真を加工。多分今年の夏頃にリリースされます。

そんなクロナキルティから、準備期間を経て満をじしてリリースされたのが、今回のシングルポットスチルです。
自前の畑で栽培された麦芽に、足りない分は周囲の契約農家から麦芽を調達したローカルバーレイ仕様。ラベルにはクロナキルティの象徴たる鯨の尾、外箱には蒸留所、大麦畑、熟成庫、それぞれの場所が描かれています。

蒸留回数は伝統の3回蒸留、熟成年数は現時点では4年程度で、原酒はバーボン樽、オロロソシェリー樽、アモンティリャードシェリー樽で熟成したものをブレンド。バーボン樽のオーキーでドライな感じにならない、麦芽風味と酸味、特に香りで感じた黒パンのような、どこか素朴な味わいとなっているのは、シェリー樽から甘味と酸味が加わった味作りからでしょうか。
過去のリリースの傾向から、ライトでソフトで、そしてフルーティーな感じに仕上げてくるかなと予想していたので、個人的にこの路線は意外でしたね。

ただフルーティー路線のアイリッシュはいっぱいあるし、なんならギャレーヘッドなどの自社の過去リリースと同じ路線にのせるよりも、違う方向に調整したのはアリだなと。またローカルバーレイを掲げている中で、こうした素朴な味わいが雰囲気的にもマッチしてると思います。
蒸留所の熟成庫周辺の風景を知っていると、今回のリリースの味わいから牧歌的な風景が連想できる。。。ような気がするのは自分だけでしょうか(笑)

なお、クロナキルティの熟成庫は、上述の通り海沿いの高台にあり、大西洋から吹き付ける潮風が原酒に影響を与える…とのことなのですが、香味から潮気が目立って感じられるわけではありません。今後熟成が進むと、ソフトな酒質に合わさって塩スイーツみたいな感じが期待できるのかもしれませんが。
現在、シングルモルトの仕込みにも着手しているとのことで、今後のリリースや展開にも期待しています。

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