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カテゴリ:★1~4

静岡蒸溜所 プロローグK シングルモルト 3年 55.5%

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SHIZUOKA 
"PROLOGUE K" 
THE LEGENDARY STEAM-HEATING STILL 
SINGLE MALT JAPANESE WHISKY 
Aged 3 years old 
Cask type Bourbon Barrel 
Released in 2020 
700ml 55.5% 

評価:★★★★(4)

香り:和柑橘を思わせる爽やかさと苦み、若干の土っぽさ。蒸かした穀物のような甘さもあるが、奥にはニューポッティーな要素に加え、セメダイン系のニュアンスも伴うドライ寄りの香り立ち。

味:飲み口は度数相応の力強さで、若干粉っぽさのある舌あたり。バーボン樽由来のやや黄色見を帯びたウッディな甘味が、軽めのピートや麦芽のほろ苦さを伴って広がる。
一方で、中間から後半、余韻はあまり伸びる感じはなく、樽感、ピートとも穏やかになり、若さに通じるほのかな未熟要素、軽いえぐみを残して消えていく。

強めの樽感と軽めのピートでカバーされ、若さは目立たない仕上がり。樽はウッディな渋みが主張するような効き方ではなく、余韻にかけて穏やかに反転する変化が面白い。これは温暖な環境と短い熟成年数、そして酒質によるところと推察。若い原酒のみで構成されているため、酒質と樽感との分離感も多少あるが、少量加水するとスムーズで軽やか、麦芽由来の甘さも引き立ちまとまりが良くなる。
クラフト蒸留所のファーストリリースとして、そのクオリティは及第点。”伝説のスチル”の真価はこれからか。

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静岡蒸溜所から2020年12月にリリースされた、シングルモルトのファーストリリース”プロローグK”
ボトルで購入は出来ず、コロナ禍でBAR飲みも控えているため飲めていませんでしたが、知人のBARで小瓶売りのテイクアウトが可能だったため、緊急事態宣言前に調達していたものです。

静岡蒸溜所は、2016年に静岡県の奥座敷、中河内川のほとりに、洋酒インポーターであったガイアフロー社が創業した蒸溜所です。
創業にあたっては、旧軽井沢蒸溜所の設備一式を市の競争入札で落札し、可能な限り活用していく計画が発表されたことでも話題となりました。

その後聞いた話では、設備は老朽化していて、ほとんどが新蒸溜所での運用に耐える品質を保持していなかったそうです。ですが、モルトミルとポットスチル1機は活用可能だったとのことで、静岡蒸溜所に移設されて再び原酒を生み出し始めます。これが、今回リリースされたプロローグKのルーツである、"伝説の蒸留機 K”となります。
また、蒸溜所の創業年である2016年は、蒸溜所にすべての設備が整っていなかったため、初留・再留とも蒸留機Kで行う形態で仕込まれていました(現在は初留のみ)。今回のリリースも、全て同原酒で構成されているとのことです。

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(今は無き、軽井沢蒸溜所での1枚。このシルエットは、プロローグKのラベルデザインや、ボトルシルエットにも採用されている。)

以上の経緯から、創業前は"軽井沢蒸留所の復活"とも話題になった静岡蒸留所ですが、創業してからの評価はピンキリというか、必ずしもいい話ばかりではありませんでした。
WEBやメディアを通じて発信される拘りや新しい取り組み、愛好家からの期待値に反して、ウイスキー関係者からは「迷走している」という評価を聞くことも。。。

私自身、設備や蒸留行程の細かいところまで見てきた訳ではないので、あくまでウイスキーイベント等でカスクサンプルをテイスティングする限り。骨格が弱い一方で雑味が多いというか、発酵か、蒸留か、何か仕込みでうまくいってないような。。。酒質の面でも惹きつけられる要素が少ないというのが、少なくとも1年前時点※での本音でした。
※昨年はコロナでイベントがなく、見学にも行けなかったので。


(静岡蒸留所 プロローグKのPR動画。ウイスキー作りやリリースまでの流れが、22分とPR動画にしては長編の構成で紹介されている。プロローグKの紹介は16分あたりから。え、そこまで考えて?というこだわりも。)

そして3年熟成となるプロローグKです。男子3日会わざれば・・・ではないですが、日本のモルトで1年は大きな影響を持つ時間です。あれからどのように変化したのか、じっくり見ていきます。
構成原酒の蒸留時期は、創業初期にあたる2016年から2017年。麦芽は50%が日本産、30%はスコットランドから輸入したピーテッド麦芽、残り20%はドイツ、カナダ産のビール用の麦芽(ノンピート麦芽、ホップが効いているわけではない)を使用。これら原料を蒸留機Kで蒸留した原酒をバーボン樽で3年熟成した、31樽から構成されています。

飲んだ印象としては、樽感は強いですが、ベースは繊細寄りのウイスキーだと思います。
ピートも内陸系のものを軽めなので、フレーバーのひとつとしてアクセントになってます。
香りに感じられる特徴的な柑橘香や、樽香によらない幾つかの個性は、麦芽の構成に由来するのでしょうか。以前とある蒸溜所の方から「日本産の麦芽を使った原酒は、熟成の過程で和の成分を纏いやすい」という話を伺ったことがありますが、このプロローグKのトップノートでも、同様の印象が感じられました。

樽感が強めなのは、蒸留所のある場所が、静岡の山間ながら温暖な熟成環境に由来していると考えられます。
短期間の熟成なので、華やかなオーク香やフルーティーさ、ウッディな渋みはまだ出ていませんが、樽由来の甘み、エキス分は良く溶け込んでいます。
つまりこれから熟成が進めば、一層ウッディになり、フルーティーな変化もありそうですが、現時点ではかつて感じた印象のまま、酒質の厚み、奥行きが少なく、後が続かない。スッと消えていくのは、その為かなという感じです。
この良く言えば繊細、率直に言えば弱い箇所をどう補うかが、仕込みからリリースまで、全体的な課題だと感じます。

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(蒸留機を増設し、設現在の形になった静岡蒸溜所で蒸留された原酒のサンプルの一つ。ラベルにはWood firedという新しい取り組みによる表記がある。創業初期より骨格はしっかりしたと感じられるが・・・。)

蒸留所としては、2017年以降にポットスチルを増設し、地元で産出する木材・薪を使った直火蒸留という新しい取り組みも始めるなどしています。(これは温度が上がらないなど、苦労されていたと聞きます。)
ですがその酒質は、例えば三郎丸のリニューアル前後や、長濱の粉砕比率調整前後のような、ベクトルが変わるような大きな変化があった訳ではないようで、どこか問題を抱えているように感じます。

静岡蒸溜所の原酒は、近年のトレンドと言える洗練されてクリアなキャラクターではなく、クラフト感というかクラシックな雑味というか。。。言わばクラフトらしいクラフト、という路線が創業時から変わらぬベクトルとして感じられます。
加えて懐が深いタイプではなさそうなので、ピークの見極めが難しそうです。繊細さを活かすなら短熟のハイプルーフもアリですが、この手の酒質は樽と馴染みにくく奥行きも出にくいため、雑味や未熟香とのバランスをどうとっていくか。個人的には酒質や余韻のキレを多少犠牲にしても、いっそ樽をもっと効かせた後で、46%加水くらいにしてまとめる方が向いてる感じかなと思います。

果して、10年後にどちらのキャラクターがウイスキーとして正しいかはわかりません。
ですが、思い返すと軽井沢蒸留所の原酒も、決して洗練されたタイプではありませんでした(美味い不味いは、好みやカスク差もあるので保留。実際、軽井沢は樽による当たり外れが大きかった)。軽井沢蒸留所のDNAを持つ静岡蒸留所にあって、このキャラクターはある意味でらしさであり、"伝説"を受け継ぐ姿なのかもしれません。

ロバートブラウン 特級表記 1970年代流通 43%

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ROBERT BROWN 
Deluxe Whisky 
KIRIN-SEAGRAM-LIMITED 
1970-1980's 
760ml 43% 

グラス:グレンケアン
時期:開封2週間程度
場所:自宅
評価:★★★(3-4)

香り:あまり香りが立たないが、うっすらとモルティー、麦茶や干し草、微かにフローラル。甲類系のアルコール感を伴う。

味:味わいはマイルドで風味もそれなりにある。カステラの茶色い部分やカラメルシロップを思わせる甘みとほろ苦さ、グレーンのとろりとした甘み。余韻はビターで序盤の甘みが引き締められ、くどさのないフィニッシュ。

内陸タイプのプレーンなモルトに、グレーンスピリッツのブレンド、あとはカラメル調整。香りはよく言えばクリーンだが、味のボリュームに反して香らない不思議なウイスキーで、これはグレーンスピリッツの特徴に合致する。当時の飲み方として癖なくマイルドで、ハイボールや水割り等、味の伸びを意識した作りだったのだろう。実際加水すると味わいは伸びが感じられ、甲類感もそこまで目立たない。キンキンに冷やして薄めのハイボールは、昭和の味か。。。


先日、酒置場を整理していたところ、奥のほうに転がっていた、買ったことすら記憶にないロバートブラウンのオールド。おそらく、オークションでセット買いした時についてきたブツで、どうにも使われないまま放置したものでしょう。ちょうどいいからレビューしておこうと思います。

ロバートブラウンは60~70年代生まれの方に、昔良く飲んだなと思い入れがあるボトルのようですが、個人的にも思い出深いボトルの一つなのです。
同ブランドをリリースするキリンシーグラムの設立は、御殿場蒸留所と同じ1972年。ロバートブラウンは同時期からリリースされているブレンデッドなのですが、当時のものは御殿場の原酒が無い中でつくられていることになります。
ならばその原酒はシーグラム系列の輸入原酒が使われているのではないか。中身はスコッチなのではないか?と考えたのが、オールドに目覚めたばかりの約10年前の自分です。(シーグラムと言えばシーバスリーガル。ってことはストラスアイラか!なんて安直にも考えていたような記憶が。。。笑)

当時はWEBに情報がありませんでしたが、最近はロバートブラウンの歴史として、1972年にスコットランドから輸入された原酒をもとに、アメリカの工場で試作品を作ったというエピソードが紹介されています。
史実は上記リンク先を確認いただければと思いますが、輸入原酒が使われていたのは事実であり、現在も10~20%程度は輸入原酒のようです。ちなみに現行品は、御殿場の原酒の比率が増えていて、バーボンっぽいグレーン系の香味が主体です。


さて、このロバートブラウンの1980年代流通あたりは、10年前当時古い酒屋を巡れば比較的簡単に見つけることが出来たボトルでした。
ワクワクしながら何本か買ったのですが・・・あれ、思っていたのと違う。いやこれは1980年代だから違うんだ、1970年代の流通初期のボトル(沼津税務署のコード「沼津16」が記載されたもの)なら、もっとスコッチの風味がするかもしれないとまた酒屋を巡って探し出して、購入して・・・(以下略。

当時の自分には、1960~70年代のスコッチ原酒を使いながら、なぜこんな味になるのかが謎でした。それこそ、特級ルールを逆手に原酒3割以外はブレンドアルコールで水増ししてるから?なんて想像していましたが、しかし今再び飲んでみると、バーボン系の蒸留所で作られている、グレーンナチュラルスピリッツで全体が調整されていたのではないかと思えてきます。
特に、香りが立たないのに味はコクのある甘みを感じるあたりは、該当するスピリッツの特徴そのものです。
まあ当時の予想は当たらずとも遠からずだったというか、これで納得。10年振りのテイスティングは無駄じゃなかったということで、本日はこの辺で。

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今日のおまけ:ティトス ハンドメイドウォッカ
最近、生絞りレモンサワーや、冷凍フルーツを氷替わりにしてウォッカを注いで飲むのにハマっていて、雑味が少なく柔らかい甘さがある、それでいて手軽に買えるものがないか探していました。
ウイスキーに比べれば安価ですが、4000円前後のカフェウォッカやシロックは、じゃぶじゃぶ使うにはちょっと高いんですよね。そしてたどり着いたのが、都光酒販輸入のティトスです。原料はコーン100%で連続式蒸留器で6回蒸溜、所謂グレーンナチュラルスピリッツ。香りはクリアながら、味には柔らかいコクと甘みがあり、口に含んだ時のボリューム感もいい感じ。
冷凍庫にぶっこんで、あとはその日の気分でフルーツと合わせる。今年の夏はガンガン消費して酒カス化が進んでしまいそうです(笑)

マッカラン 12年 シェリーオーク 40%

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MACALLAN 
12 YEARS OLD 
SHERRY OAK CASK 
Release 2018~ 
700ml 40% 

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★(4)

香り:柔らかく、細い香り立ち。おが屑や乾いた木材を思わせる甘さと軽いウッディさ、輪ゴムのようなニュアンス。微かに林檎キャンディーを思わせる人工的な甘さに加え、ダークフルーツの要素もほのかに。

味:薄く、水っぽいキャラメルの甘味を感じる口当たり。薄めたオランジェット、デーツを思わせるドライフルーツが遅れて広がるが、これも主張は弱く、ボディも薄いため長く持続しない。逆に後半にかけておが屑や焦げたウッディさと樽のエキス、胡桃の皮を思わせる渋み、軽いスパイスが主張し、微かにあった良さを打ち消してしまう。

まるでトワイスアップを飲んでいるように、シャバシャバとしたボディと薄いシェリー感のモルトウイスキー。でありながら、樽由来の渋み、タンニンはある。出涸らしの紅茶から無理矢理香味成分を引き出したよう。
あるいは加水でバランスを整えて、不要なものを極力薄めた結果、良い部分がそれ以上に薄まってしまったのだろうか。
諸行無常は世の理と言え、どうしてこうなった・・・。

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2018年頃からリニューアルした、マッカランのオフィシャルスタンダードラインナップ。
ここのところ、シングルモルトのブームもあってか、多くの銘柄でリニューアルがあり、リカルの執筆もあって色々飲んでいるところ。一長一短ながら、良くなったと思えるような銘柄もあるのですが・・・マッカランについてはその流れは適用されなかったようです。
少なくとも、ダブルカスク、トリプルカスクとリリースがあるなかで、シェリーオークに拘る必要はないということがよくわかりました。

マッカラン・シェリーオークに使われている樽材はスパニッシュオークのみ。これは、後述するマッカランの伝統とも言える樽製造プロセスから来ているこだわりですが、近年はファーストフィルに対してリフィルの割合が増えているように感じます。
シェリー感は薄く、微かにリフィルオーク由来のバニラやグリーンアップルのようなニュアンスも混じることから、その特徴を感じることができます。

良し悪しはともかく、マッカランは1974年から独自の樽製造プロセス「スペインで伐採したスパニッシュオークを自社の樽工場で加工し、ボデガに預けて約2年間オロロソシェリー酒を熟成させたもののみを使う」によって、自社で管理し品質を安定させる樽作りを行ってきました。
皮肉なことに、10年くらい前はこれがマッカランの味が落ちた要因として推測されてもいましたが、それは長期的な視点に立つと、シーズニングシェリー樽製造において先進的かつ重要な取り組みであったことを、近年のウイスキー業界におけるシェリー樽事情が裏付けているように思えます。

ただ、マッカランの人気から樽の供給とのバランスがとれていないのか、シーズニング期間の短縮や、リフィル樽の比率が増えるなど、樽側の変化がウイスキーマガジン等のWEB媒体の過去の公開情報と、現在進行形でオフィシャルサイト等で発信される情報の差として見られるようになってきました。今回の香味の変化も、それらと無関係とは思えません。

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(マッカラン現行品の2本。18年については先日のレビューを参照。どちらも同じベクトルにある香味構成で、比較すると同じようにボディの薄さがあるなかで、18年のほうがまだ濃厚だが、それは12年のほうが熟成期間が短いのと、リフィルの比率も多いため樽由来の要素が弱いという違いである印象を受ける。いずれにせよ、双方コスパが良いとは言い難い。)

一方、上記18年のレビューでも触れていますが、樽の品質以上に、酒質の変化が大きな影響を与えているようにも感じます。
例えば重要な要素と言える麦芽品種は、2000年代のマッカランでは当時業界で主流のオプティックやコンチェルトだけでなく、独自の品種モメンタムで仕込まれています。

そこに今なお語られる伝統のゴールデンプロミスの姿はなく、調べてみると1990年代中頃にかけて年々使用比率が下がっていたそうで、真偽不明ながら1993年には全体の30%だったという情報もあります。その影響が出ているとすれば違和感はありません。
あるいは作り方の問題もあるのでしょう。シェリー樽由来の香味の薄さだけでなく、それを支える弱く、緩い酒質。。。近年リリースのカスクストレングス等を飲む限り、全般的に軽い酒質とは思えないのですが、奥行きを補う樽感が弱いと、加水による落差が大きいのかもしれません。(ゴールデンプロミスが良い品種だったかどうかは議論が別れますが、ドライでプレーン気味ながら強い酒質が生まれていた傾向は、同品種が主流だった70~80年代のモルトに見られます。)

マッカランについて、一世代前のボトルは言うてそこまでひどくないというか、丸瓶最終時代と同じベクトルにあるマッカランシェリー味を経験するには良い、と思っていましたが、今回レビューした現行品はまったくの別物です。
オフィシャルが飲み方でストレートではなく、ロック、あるいはトニックウォーター割りのカクテルを推奨するのも納得してしまいました。

イチローズモルト ホワイト リーフ ワールドブレンデッド 46%

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Ichiro's Malt & Grain 
World Blended Whisky 
Leaf Series "White" 
700ml 46%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR Eclipse first 
評価:★★★★(4ー5)

香り:プレーンでドライ、あまり香りがたたないが微かにケミカルさとハーバルな要素を感じるシロップのような甘さ、バニラや華やかなオーキーさを一瞬感じるがすぐに消えてしまう。

味:口に含むと華やかなオーク香が一瞬、そこから中間は広がりにかけるニュートラルな味わい。ほんのりと穀物系の甘味とスパイシーさ、微かにえぐみが余韻にかけて分離するようにあるが、全体を通じてはカナディアンを連想するようなグレーン感がメイン。

文字通り味付け、香り付けにスコッチモルトのバーボン樽タイプの原酒を使って華やかさを出しているが、ベースはカナダやアメリカから輸入したプレーンなグレーン系のウイスキーで、そこに秩父モルトも一部・・・といったところか。加水調整でだいぶ慣らされている。
加水すると一瞬オークの華やかさが際立つ。ボディは緩いものの、余韻にかけてじわじわと広がるフレーバーのバランスのよさ。数年前にストレートで飲んだものに比べて、若さや全体のバランスは大きく改善している。個人的にはハイボール要員。

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昨晩のレビューからの流れで、イチローズモルトの超ド定番品。リーフシリーズのホワイト。おそらく、このジャパニーズブームのなかで最も飲まれたクラフトウイスキーであり、イチローズモルトの躍進を支えた1本。ラベル裏に書かれた数字は製造ロットで、1ロット何本かは不明ですが、現時点で500前後まで確認されているという話も聞きます。

そうした意味で超人気ボトルですが、BAR飲みスターターのハイボールで飲むことはあっても、ストレートで飲むことはほとんどありませんでした。ただ、自分も海外原酒を用いたブレンド作りに関わらせてもらっているため、ちょっと勉強も兼ねて最近のものを飲んでみたいなと、注文してみたわけです。


このワールドブレンデッドは2018年頃にイチローズモルトが使い始めた名称で、それまでは秩父ブレンデッド表記、それよりも前は普通にブレンデッド表記。背面ラベルの世界地図にあるような構成原酒も、オープンになってはいませんでした。(蒸留所見学では、海外原酒を使っていることは教えてくれていました。)
構成は輸入原酒に秩父のジャパニーズモルトを加えた、ワールドブレンデッド。たしか、カナダ、アメリカのグレーンに、スコットランドとアイルランドのモルトで、ロット毎に若干異なるようですが、熟成年数は若めで3~10年程度だったかと記憶しています。今回のボトルをテイスティングするかぎり、体感的にも違和感はありません。

偉そうな書きぶりになってしまいますが、上手に作っているなぁという感じです。
グレーンの割合は高く、プレーンな穀物感に、若干のスパイシーさはライ、カナディアン系。香味から察する比率はグレーン7:モルト3~6:4くらいかなと。秩父のモルトは使っていて1程度で、基本的には輸入原酒をベースとしている印象です。
スタンダードなブレンデッドに比べて若干とがったモルティーさ、クラフト感がありつつ、押さえるところは押さえているので加水、ハイボール、使い勝手も良いように感じます。

ただし補足すると、それは万人向けのレベルとして・・・です。
ハイエンドのブレンデッドをシビアに調整されたレーシングカーと例えるなら、このホワイトラベルはエンジン出力も足回りの限界も低いパーツを使いつつ、マフラーだけちょっとスポーツ寄りにしてある感じのプチスポーツモデル。
なので、普段スポーツカーに乗らない人が乗るとバランスがとれていて楽しく走れる。一方でそうじゃない人が乗ると、タイムが出る訳じゃないけれど、よく考えられて作られていることは伝わってくるというわけです。(人によっては普段乗りはこれでいいと、落ち着く場合もあるでしょう。)

しかしこういうウイスキーを大手ではなく、いちクラフトが大量に生産しているというのは、メーカーとしての進化を感じる点でもありました。

バーンスチュワート 21年 ブレンデッドウイスキー 43% 1990年代流通

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BURN STWART 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
Aged 21 years 
1990's 
750ml 43% 

グラス:不明
場所:お酒の美術館 池袋店
時期:開封直後
評価:★★★★(4)

香り:注ぎたてはドライであまり香りが開かないが、徐々にフローラルでパフューミーなアロマが支配的に。ポプリ、香水、乾いた麦芽とバニラの甘さ。

味:口当たりは水っぽく、薄いような印象があるがワンテンポ置いてフローラルな含み香。ややカラメル系の甘味と乾いた麦芽のほろ苦さ。フィニッシュはパフューミーでドライ、長く支配的に残る。

評価についてはもはや単純に好みの問題であり、基準点から加点することは出来ない。この手のフレーバーが大丈夫という方は問題なく楽しむことができるであろう、比較的モルティーでリッチな香味の広がりがある。ただ、それが自分にとっては苦手以外の何物でもない系統であったということである。


オールドブレンデッドを探求していると、こんな銘柄があったのかと思うボトルに関わっている率が高いと感じる一つがバーンスチュワート社。先日も同社がリリースしていた時代のグレンエルグをレビューしたところですが、今回のボトルもほぼ同時期、1990年代に同社が外部調達した原酒を使って作られたとされるブレンデッドです。

バーンスチュワート社は、1948年に創業した蒸留所を持たない零細的なブレンデッドメーカーですが、1988年に買収されて経営者が変わった後、拡張路線を辿ります。
具体的には
1990年 ディーンストン蒸留所
1993年 トバモリー蒸留所
2003年 ブナハーブン蒸留所
をそれぞれ取得。ディーンストンとトバモリーはウイスキー不況を受けて1982年に閉鎖されていた蒸留所であり、それを再稼働させての事業拡張です。

単に再稼働といっても、電源を入れ直せば動くというものではなく、設備の修繕や改修、人員の配置など金も時間も当然かかります。特に1993年からの10年間はトバモリーの再興に尽力したようで、蒸留所の大規模な改修やレダイグブランドの復活など、近年のブランドの基礎を作ったと言っても過言ではありません。
2003年のブラックボトルブランドと、ブナハーブン蒸留所をエドリントンから取得した際は、閉鎖されていた蒸留所という訳ではなかったものの、その後ブナハーブンは順調に販売量を伸ばして現在に至っています。
(バーンスチュワート社そのものは、2002年と2013年の買収によって、それぞれ親会社が変わっている。)

さて、今回のボトルの流通時期は、同社がディーンストンとトバモリーを取得したあたり。ですが、このブレンドのキーモルトはこのどちらでもないと考えられます。
なにせ、テイスティングの通りとてつもなくパフューミーな香味であるため。両蒸留所とも癖のある原酒を作りますが、該当するフレーバーが出ていたことはなく、テイスティング前のこのどちらかが使われているのでは。。。という期待は脆くも崩れたわけです。

流通時期を1995年前後と考えると、原酒の仕込みは1970年代前半。ボウモアにしてはピーティーさが乏しいので、旧エドリントンあたりからグレンタレットの原酒でも調達したのではないでしょうか。
構成は比較的モルティーで、モルト6:グレーン4くらいか。加水の影響か少し口当たりで水っぽさはありますが、香味の広がりはしっかりとしていて、麦芽系の風味もパフュームライクな中に感じられます。

ただ、社名を掲げたブレンドで、こういうフレーバーを出すというのは、もう好みの違いとしか言えません。
当時のバーンスチュワート社の経営陣とブレンダーは、このフレーバーが良いと判断したということなのですから。
好みと思う方、我こそはと思う方は是非どうぞ。昨年話題になった言葉を借りれば「挑戦する勇者を止めはしない」です。

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