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バランタイン17年

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BALLANTINE'S
AGED 17 YEARS 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
Lot 2020~
750ml 40% 

評価:★★★★★(5-6)

香り:ややドライで穏やかな香り立ち。洋梨や林檎等の白色果実を思わせる華やかでフルーティーなオーク香、乾燥した乾草や穀物のような軽く乾いたウッディネス。

味:コクがあってクリーミー、スムーズな口当たり。オーキーで華やかな含み香、グレーン由来の蜜のような甘さ、熟成したモルトの甘酸っぱさがアクセントにあり、微かなスモーキーさとほろ苦いウッディネスがじんわりと残る。

穏やかでバランスの整った味わい。アメリカンオークで熟成された内陸モルトらしい、華やかでフルーティーな香味と、グレーンのコクのある甘みが混ざり合い、近年のトレンドとも言えるキャラクターを形成している。
面白みは少ないが、実に飲みやすい。飲む温度によってキャラクターに変化があり、20度以上ではグレーンがオークフレーバーを後押ししながら前に出て、クリーミーな質感が強調される。一方で、20度未満だと線が細く爽やかな味わいとなり、ロックやハイボール等、冷やして飲むことでも強みが発揮される。繊細なバランスの上に構築された、ガラス細工のようなブレンドながら、飲み方とシーンを選ばない、ブレンダーの技が光る1本。

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ザ・スコッチことブレンデッドスコッチウイスキーを代表する銘柄の一つである、バランタイン17年。
ジョニーウォーカー、シーバスリーガルと並んで、日本では”ど定番”とも言えるブレンデッドスコッチウイスキーですが、そのためか現行品をちゃんとテイスティングしたことがあるという人は少ないようにも感じます。

バランタインというと、マニアな愛好家ほど、赤青紋章、赤白紋章と、オールドボトルをイメージしてしまうかと思います。
実際、現行品とオールドのバランタインと比べると、モルト由来の香味はライトになり、それをグレーンの甘さで補っているところや、60~70年代のものと比較するとスモーキーフレーバーもかなり控えめで、癖が無いというか、面白みがないというか・・・愛好家の琴線を刺激する個性は強くありません。

ですが、軸となっているグレンバーギーに由来する華やかさや、近年のトレンドの一つと言えるオーキーなフレーバーは昔のリリース以上に際立っており、まさに王道と言える構成。じっくりテイスティングすれば、ミルトンダフやトファースに由来する麦芽風味が感じられるだけでなく、こうしたモルトの香味をまとめ、どう飲んでも崩れないバランスの良い味わいは、他有名ブレンドとは異なる造りと言えます。
ジョニーウォーカーが力のブレンドなら、バランタインは技のブレンドです。その場を壊さない、わき役としての働きから、飲み手の経験値に応じて表情も変わる。時代によって原酒の違いはあっても、ブレンダーの技は変わらない。現行品であっても楽しめるウイスキーなのです。


酒育の会 Liqul 
Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.13
バランタイン17年 ブレンドの奥深さと”魔法の7柱の真相”

https://liqul.com/entry/5700

そんなわけで、先日公開されたLiqulのコラム 「Re-オフィシャルスタンダードテイスティング」では、バランタイン17年を取り上げてみました。
前半部分はバランタイン17年の個性や楽しみ方についてということで、あまり捻った内容にはなっていませんが、重要なのは後半部分です。

バランタイン17年と言えば、”The Scotch”に加えてもう一つ、”魔法の7柱(Ballantine's magnificent seven)"という構成原酒に関する通称があり、主観ですが、日本においては後者のほうがメディア、専門書等で多く使われている表現だと感じます。
魔法の7柱は、バランタイン17年が誕生した1937年からの構成原酒とされ、まさにバランタインのルーツという位置づけなのですが、実際はどうだったのでしょうか。本当に7蒸溜所の原酒がキーモルトとして使われていたのか。当時の状況を、各蒸溜所の操業期間や市場動向などを参照しつつ、考察した記事となっています。

要点だけまとめると、
・1937年当初、バランタイン17年は、”魔法の7柱”を用いてリリースされていなかった。
・主に使われたのは、グレンバーギーとミルトンダフ。
・残る5蒸留所は、1950年代のブランド拡張時期に結びつき、実際に7蒸溜所がキーモルトとして使われたのは1968年~1980年代後半まで。
・魔法の7柱のうち、バルブレア、プルトニーの操業期間が考察の鍵。
・1987年以降はブランドが他社に移行。構成原酒が変化。

ということで、”魔法の7柱”は1950-60年代、ハイラムウォーカー社が輸出を拡大する際、原酒確保のために傘下とした5蒸溜所の情報が、元々あった2蒸留所と合わさって”構成原酒”として誇張(あるいは誤解)されて伝わったのではないかと。
つまり「魔法の7柱なんて最初はなかったんだよ!(ナッ、ナンダッテー)」と、ブランドエピソードの核心部分に踏み込んだ内容となっています。

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(バランタイン魔法の7柱が使われていた時代の17年、1960年代から1980年代初頭のラベル遍歴。一番右のボトルは1980年代後半、アライド社時代のものであるため、レシピ、フレーバー共に異なる。)

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ちなみに、”魔法の7柱”を誰が最初に使ったかと言うと、1942年設立の輸出管理団体SWA:Scotch Whisky Associationであるとされています(ただし、時期不明)。また、それを誰が日本国内に広めたかというと、調べた限り60年代から80年代にかけては、正規代理店であった明治屋の広告※上記参照 には該当する記述が見られず・・・。初めて情報が出てくるのは、1988年から正規代理店となるサントリー・アライド社の発信のようです。
参照:https://www.suntory.co.jp/whisky/Ballantine/chp-06-e.html

現在の市場を見てみると、”魔法の7柱”は欧州等他国でほとんどPRに使われていないこともあり、いわゆるマッカランにおける“ロールスロイス”と同じようなモノだったと考えられます。
サントリーが正規代理店になった当時、既にアードベッグが創業を休止していたりと、キーモルトは変わっていた時代なのですが…。(アライド社時代、公式ページのキーモルトには、ラフロイグの表記があった。)
それでも広まった魔法の7柱。語呂が良かったということもあるとはいえ、これぞ広報戦略だなと、考えさせられますね。

バランタイン構成原酒シリーズ

なお、現行品17年の公式ページからは”魔法の7柱”という表現は消えており、あくまで歴史上の1ピースという整理。キーモルトはグレンバーギー、ミルトンダフ、グレントファース、スキャパの4蒸溜所となっています。
紛らわしいのが「レシピは創業時からほとんど変わっていない」という説明ですが、このレシピというのは構成原酒比率ではなく、モルト:グレーン比率とかなんでしょう。このグレーン原酒についても、リリース初期に使われた原酒は不明で、1955年からはダンバードン蒸留所のものが使われていたところ。同蒸留所は2002年に閉鎖・解体され、現在はペルノリカール傘下、ストラスクライド蒸溜所の原酒を軸にしているようです。

これら構成原酒については、2018年から写真の3蒸留所のシングルモルトがバランタイン名義でリリースされたり、その前には〇〇〇エディション17年、という形で4蒸溜所の原酒を強調したレシピがリリースされるなど、ブランドがペルノリカール社傘下となってからは、新しい世代のバランタインをPRする試みが行われています。
ただ、新しい時代といっても、先に記載した通りグレンバーギー、ミルトンダフはバランタイン17年をブランド設立当初から構成してきた最重要原酒であり、実は核の部分は1937年から変わっていなかったりもします。量産分を補うため、トファースとスキャパが追加されていると考えると、実にシンプルです。

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余談ですが、バランタイン・シングルモルトシリーズからスキャパ蒸溜所の原酒がリリースされなかったのは、同蒸留所が1994年から2004年まで操業を休止していたため(原酒そのものは、1996年からハイランドパークのスタッフが年間6週間のみアルバイトで操業しており、ブレンドに用いる量は最低限確保されていた)、シングルモルトに回すほどストックが無かったためと考えられます。後継品も出ていることから、少なくともシリーズの人気が出なかったことが原因…と言うわけではないでしょう。

休止の影響を受けた時代は2021年で終わりを告げ、来年以降は17年向けに確保できる原酒の量も増えてくることになります。バランタインは昨年17年以上のグレードでラベルチェンジを行ったところですが、また2022年以降どんな動きがあるのか。
香味だけでなく、現行の王道を行くスタイルを形成するブレンダーの技を意識して飲んでみると、面白いかもしれません。

シークレットスペイサイド ブレンデッドモルト 19年 ドラムラッド 1stリリース 44%

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SPEYSIDE BLENDED MALT 
DRAMLAD JAPAN 
THE ONE DRAM SELECTION 
Aged 19 years 
Distilled 2001 
Bottled 2021  
Cask type Sherry #48 
700ml 44.0% 

評価:★★★★★★(6-7)

香り:ドライプルーンやナッツ、ブラウンシュガーを思わせるシェリー系のウッディネスに、紅茶、アプリコット、熟した洋梨等の華やかなオーク香が、枯れたようなドライな刺激と共に感じられる。シェリー感は濃すぎずクリア寄りで、夏場であっても嫌味にならない。

味:口当たりはスムーズで度数相応だが、骨格は崩れておらず、余韻にかけて軽くヒリつくような刺激が残る。この点は酒質由来の要素だろう。口内で広がるシェリー樽由来のダークフルーツ系の香味はバランス良く、香り同様の印象。じわじわとドライなオーク、カカオチョコレートを思わせるビターなウッディネスが染み込むように長く残る。

バランスの良いシェリー系ブレンデッドモルト。おそらくニューメイクからブレンドしているタイプと思われるが、印象としてはマッカラン、グレンロセス、タムデュー、リベットあたり。原酒同士はしっかりと融合し、濃厚過ぎないシェリー感に、オーキーなフルーティーさ、華やかさがアクセントとなって、近年流行りの圧殺シーズニングシェリー系とは一線を画す、一昔前のボトラーズリリースを連想させるフレーバー構成。
開封直後、真夏というシェリー樽熟成ウイスキーに厳しい時期でのテイスティングでありながら、これだけ飲める点が素晴らしい。これから秋、冬にかけてじっくり楽しんでいけるグッドリリース。

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先日紹介させて頂いた、ドラムラッド社のファーストリリース。同社の伊志嶺代表、及びテイスターが自信をもってチョイスしたというボトルです。販売開始即完売したリリースですが、運良く入手することができ、この1週間、じっくりとテイスティングさせて頂きました。

ボトラーズブランド・ドラムラッドについては当ブログでも紹介しておりますので、前置きは不要でしょう。同ブランドのアピールポイントの一つは、テイスターの顔が見えること。実績のあるテイスターが総意でチョイスする、美味しさ、面白さ、個性。。。これら明確な狙いのあるリリースにあります。
ただ、本音を書かせてもらえれば、1st リリースの情報を見た際、楽しみだというポジティブな想いだけでなく、おや?と思うところが無いわけではありませんでした。

それはドラムラッド社がラベル上でも掲げるビジョン「PRIDE MAKES DELIGHT」や、コアレンジのコンセプト「蒸溜所のハウススタイルを体現する樽や、今のウイスキーの旨さと豊かな個性を持った樽」を掲げるリリースの第一弾が、素性を明記できないシークレットシリーズかつ、ブレンデッドモルトであったことにあります。
また、スペックから「所謂シーズニング圧殺タイプかな」という予想もあって、個性がわかりにくいのではないか、果たしてコンセプトに合致するものなんだろうか…と、懸念する部分があったのです。




しかし、そうした印象はテイスティングしてみて消えました。
ブレンデッドモルトといっても、これはニューメイクの段階でバッティングされたものでしょう。もはや「スペイサイド地域産」という、一つの原酒と言っても過言でないレベルで融合し、同地域のモルトが熟成することで感じられる、軽やかでフルーティーな個性がしっかりと感じられます。一方で蒸溜所の個性としては、癖の少ないクリア寄りの酒質の中に、度数落ちでありながら骨格を残すアタック、刺激から有名蒸留所のいくつかを連想する酒質が感じられます。

シェリー感には現行寄りのシーズニング的な要素はありつつも、圧殺的なしつこさではなく、熟成によって付与されたオークフレーバーや、酒質由来のフルーティーさが混ざり合う点が好ましい。また、度数落ちのモルトに見られる、やや枯れたニュアンスと、それによって強調されるドライな華やかさがシェリー系の甘みの中でアクセントとなっています。
往年の愛好家にとっては、懐かしさも感じるウイスキーですね。個人的には、BBR社がリリースしていたブレンデッドモルトウイスキー、ブルーハンガー25年の1stや2ndリリースを彷彿とさせるキャラクターだと感じました。

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(BBR ブルーハンガー25年。初期のころのものは、やや枯れたようなシェリー感、オークフレーバーに、熟成を経たモルトのしっかりとしたフルーティーさが特徴的だった。今回のドラムラッドリリースは、近年寄りのシェリー感ではあるが、その中にこうしたリリースを彷彿とさせる要素が備わっている。)

スペイサイドという地域らしさに加え、現行品のウイスキーの中でも十分な美味しさ、魅力的な個性を秘めたカスクのチョイスは、シークレットというベールの中にそれを見出し、固定概念にとらわれず後押しする。テイスターチームがあってこそのリリースであるとも感じます。
というか、現行品でこれ以上のシェリー系のウイスキーを、この価格で調達するのは難しいのではないでしょうか。前情報で予想したことから一転して、なるほど、これこそドラムラッドの1stリリースに相応しいんじゃないかと思えました。

ブログ公開に先立ち、伊志嶺さんにメッセージを送ったところ、こうしたカスクは今後も調達できる見込みがあるとのこと。ドラムラッドのシークレットスペイサイドは今後も期待できそうです!

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THE AGE of INNOCENCE
ROUGH COAST 
Islay Single Malt
Batch1 Red Wine Cask 

さて、今回のリリースは同社の理念を体現したコアレンジである「THE ONE DRAM SELECTION」であったわけですが、8月19日には若い原酒だからこその個性、あるいはカスクフィニッシュ等によるこれまでにない新鮮さ、驚きのある味わいを楽しむグレード「THE AGE of INNOCENCE」の発売も予定されています。
ネーミングは「Rough Coast (荒れる海岸)」。これは今回のみのリリースではなく、今後もBatchを重ねる形で、リリースを継続していくシリーズになるのだとか。

近年のスコッチウイスキー業界では、オフィシャル側との関係で蒸溜所名を明記してのリリースが難しくなってきています。
アイラシングルモルトという表記はシークレットXXXXと同様に、いかにも現代のウイスキーという感じですが、中身はスモーキーさのはっきりした原酒で、ハイボールにもマッチするとのこと。カスクフィニッシュのリリースは当たり外れが大きい印象があり、普通なら抵抗を感じてしまいますが、このメンバーが選んだなら…と、早くも後押しされている自分が居ます。

PBリリースが増えてきた昨今の市場において、その中でもしっかりとしたメッセージ、選定者の顔が見えるというのは、一つ重要なファクターなんですね。


最後に。。。全く関係ないのですが、自分が使っているスマートウォッチのデザイン(配色)が、THE ONE DRAM SELECTIONラベルに似ているなと。ドラムラッドブランドにますます思い入れを持ってしまいそうです(笑)。
そんなわけで、今後のリリースも楽しみにしております!!

FullSizeRender

オールドパー スーペリア 43% 近年流通品

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FullSizeRender

Old Parr 
Superior 
Scotch Whisky  
2000-2010's 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(6)

香り:薄めたキャラメル、カステラの茶色い部分のような穏やかで色が少しついたような古酒系の甘やかさに、微かな鼻腔への刺激、スモーキーさを伴うトップノート。時間経過で熟成した内陸モルトに由来する品の良いフルーティーなアロマと熟成樽由来のウッディネスが開いてくる。

味:マイルドで軽いコクのある口当たり。シェリー樽由来のウッディさ、薄めたキャラメルや鼈甲飴、熟成したグレーンの甘みと香ばしいモルトの風味から、じわじわとビターで土っぽいピーティーさが染み込むように広がる。 
余韻は穏やかでありながら存在感のあるスモーキーさが鼻腔に抜け、ピートとウッディなほろ苦さ、口内をジンジンと刺激する。

ウイスキー愛好家の中で話題になることはあまりない1本だが、それは日本市場において本ブランドのギフト向けと言う位置づけや、ブレンデッドのノンエイジという外観からくる印象もあったと推察。
しかし、中々どうして香味は多彩で味わい深く、熟成したスペイサイド、ハイランドモルトがもたらすフルーティーさや、若干アイラ要素を伴うピーティーな原酒がいい仕事をしている。ストレートも悪くないが、加水やロックで飲むと”場を壊さない味わい”をゆったりと楽しめる。さながら潤滑油としてのウイスキーである。

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近年まで日本市場におけるオールドパーの定常ラインナップにおいて、上位グレードに位置付けられていた1本。シルバー、12年、18年クラシック※、そしてこのスーペリアですね。※ブレンデッドモルト仕様だった18年クラシックは2015年頃に終売。
モノはアメリカ市場向けとして作られていたため、日本の正規品であっても750ml仕様がスタンダード。というか、1980年代以降のオールドパーはアメリカ、メキシコ、アジアと関連する免税店を含む地域への輸出向けのブランドとなっているため、ヨーロッパ向けスタンダードである700ml仕様は造られておらず、日本向けも全て750mlとなっているのが実態としてあります。

さて、スーペリアが「販売されていた・・・」として過去形なのは、2019年11月にディアジオが日本市場向けオールドパーのブランド・リニューアルを発表するとともに、終売となっていた18年をブレンデッドウイスキーとして復活。そのラインナップにスーペリアはなく、一部酒販では製造終了の文字も見られるようになったためです。
中身がどれだけよくても、熟成年数表記があるほうが高級感が出るし、12年との違いも分かりやすいためでしょうか。現時点で日本向け公式サイトに情報は残っているようですが、今回のブランド戦略の変更と共に、徐々にフェードアウトしていく流れが見えます。
ご参考:オールドパー、リニューアルのお知らせ (oldparr.jp)


スーペリアは熟成した原酒のみならず、若い原酒まで幅広く用いることで、深みとコク、熟成感だけでなく、若い原酒に由来する骨格のしっかりした味わいを両立しようとブレンドされています。
こうしてテイスティングしてみると、確かに、熟成した内陸モルトのフルーティーさ、シェリー樽に由来する甘さ、そして若い原酒の刺激は香りの奥、味では余韻でアクセントとして若干感じられる。また、アイラモルトに由来すると思われる染み込むようなスモーキーさも特徴的で、レビューの通り中々味わい深いブレンドに仕上がっています。

構成原酒としては、オールドパーはグレンダランとクラガンモアがキーモルトであるとされていましたが、現代はこの2つだけでなく、ディアジオ社が持つ様々な原酒が用いられているようです。
というのも、クラガンモアやグレンダランは、古くは麦芽風味に厚みがあり、内陸系のピーティーさも主張してくるような原酒でしたが、両蒸留所とも現代はライト化が進み、特に蒸溜所が建て替えられたグレンダランのキャラクターは1985年以降大きく変わっています。
そのため、フルーティーさはともかくピートは異なる原酒の力を借りなければ出てこない。。。
例えば、カリラやラガヴーリンといった蒸留所の短熟、中熟原酒を隠し味に、内陸原酒の中熟、一部長熟原酒(一部シェリー樽熟成を含む)をブレンドしたとすれば、こういう仕上がりにもなるのかなと予想しています。


余談ですが、オールドパーはリユース市場での流通量が多い銘柄の一つです。
それは先に書いたように、ギフトとして使われることが多い一方で、もらった人が飲まずに放出してしまうため。また、オールドボトルは状態がよくないモノが多いことでも知られているわけですが、となれば取引価格は下がっていきます。一方で、コルクキャップで金属臭とは無関係な近年流通品のスーペリアも割を食っているのか、手頃な価格で取引されていることが多くあります。(2次流通価格を基準とするわけではありませんが、本ブレンドは終売品でもあるので。)

レビューの通り中身は熟成した原酒がたっぷり使われた、安価なブレンデッドやモルトでは実現できない深みのある味わいです。
この手のブレンドは、シングルモルトやボトラーズリリース等の個性を楽しむモノではないので、単品では物足りなさがあるやもしれませんが、その場の主役になるのではなく、例えば知人との談笑の場、読書や観劇のお供といった、場を壊さず空気を温めるような潤滑油としての使われ方なら、充分なクオリティがあると感じます。
そんな需要があるようでしたら、是非リサイクルショップやオークションを探してみてはいかがでしょう。

フィンドレイター 8年 シングルハイランドモルト 1980年代流通 特級表記 43%

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フィンドレイターピュアモルト

FINDLATERS
A Single Highland Malt 
Pure Scotch Malt Whisky 
Aged 8 years 
1980's 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(5-6)

香り:ほのかに青みがかった要素を伴う、厚みがあってリッチな麦芽香。蜂蜜や、微かに柑橘系の要素も溶け込む。ハイランドモルトらしい構成が中心だが、オリーブオイルやボール紙、あるいは籾殻のような若干癖のあるニュアンスがあり、これが垢抜けなさに繋がっている。

味:スムーズで柔らかい口当たり。香り同様に垢抜けない麦芽風味が、ややオイリーで粘性を伴う質感をもって広がる。例えば生焼けのホットケーキのよう。そこに柑橘の皮、特に和柑橘を思わせる渋みがあり、若い原酒がメインであるためか、加水で整い切らない粗さと共に口内を軽く刺激する。
麦芽風味は余韻まで残る。加えて、蜂蜜の甘み。徐々に微かなピーティーさがじんわりとほろ苦く、染み込むように広がる。

一時期のハイランドモルトのキャラクターの一つと言える、麦芽風味主体の味わい。イメージとしては甘いお粥のような白系統のフレーバー。若い原酒であるためか多少粗さもあるが、この麦感はブレンデッドスコッチ・フィンドレイターに通じる、構成原酒の一つとしてリンクする。ただし、ちょっと青みがかった要素というか、蒸溜所の個性とも言える風味が目立つところもあり、ここが好みを分けそう。

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【ブラインドテイスティング回答】
地域:ハイランド中心
年数:12年程度
樽:リフィル系主体、あまり強くない
度数:43%
その他:80-90年代流通くらいの、オールドっぽい感じのモルトウイスキー。

微かにスモーキーでハイランド系の麦感主体、蜜っぽい甘味もある。しみじみ旨い系。加水仕様と度数のわりにアタックが強いが、熟成が若いのか。余韻がぼやける感じもあり、複数原酒のブレンドモルトだろうか。正直銘柄はよくわからない。
ただ、この当時のハイランドモルトらしい厚みと垢抜けなさのある麦感は、ダルウィニーやディーンストン、あるいはフェッターケアンのちょい古いヤツなんてのも連想される。少なくとも、大手資本有名どころ第一線ではないモルトだと思われる。

――――――


久々にブラインドテイスティングの記事、そしてオールドボトルの記事です。

上のコメントが、記事掲載に当たってオープンテイスティングしたもの。下のコメントが当時回答として出題者に返信したものです。
このサンプルは昨年、ウイスキー仲間のK君が送ってくれた出題で、自分のブログに掲載していないオールドブレンドの類だったので、情報保管も兼ねて出題してくれたようでした。ホンマありがたい限りやで。。。

ということで、今回はスコッチウイスキー銘柄、フィンドレイターのシングルモルトボトリングです。ラベル上でPure表記とSingle malt表記が混在しているのが、80年代後半らしさというか、時代を感じさせる要素ですね。
構成原酒の情報はありませんが、香味等から察するに、おそらく中身はディーンストンだと思われます。厚みはあるが垢抜けない麦芽風味、ちょっと青みがかったニュアンスは、当時この蒸留所の原酒を使っていたブレンデッドや、同様にシングルモルトとしてリリースされた他のフィンドレイターにも共通するニュアンスです。

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(70年代から90年代にかけてフィンドレイターブランドとしてリリースされた、ハイランドシングルモルトの一部。何れも熟成年数は違うが、今回のボトルと共通するフレーバーが備わっている。)

当時、フィンドレイターを手掛けていたのはインバーゴードン系列で、構成原酒として用いられたハイランドモルトは、タムナヴーリン、タリバーディン、ディーンストン、ベンウィヴィスの4種とされています。

どうしてここまでマイナーどころが。。。というのはさておき、幻のモルトであるベンウィヴィスが選択肢なのは愛好家にとってのロマン。ただし、写真にある一連のリリースとの関係性に加え、1980年代後半リリースボトルで、77年閉鎖のベンウィヴィスを8年表記では使わないだろうなということで惜しくも除外です。

一方で、ディーンストンも1982年に原酒の生産調整から一時閉鎖しているのですが、当時の価値観では閉鎖蒸留所だからプレミアがつくなんてことはなく、普通にブレンドに使われていた時代です。
余ってるからシングルモルトで、くらいの発想があってもおかしくはありません。

近年のモルトは香味がドライに振れているので、今回のボトルのような麦系の甘味が強く出ているモノは少なくなってきています。オールドシングルモルトも値上がり傾向ですから、こうした銘柄不明のオールドモルトで昔ながらの味を楽しむというのは、知る人ぞ知る楽しみ方みたいで、なんだかお得感がありますね。
この8年は若い原酒ゆえの粗さも多少ありますが、当時の魅力、個性を楽しめる選択肢として、あるいは加水の癒し系として。家飲み用にアリな一本だと思います。


※以下、後日談※

後日談

( ゚д゚)・・・

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)!!??

い、いやあ先入観というか、節穴でしたねぇ。
まぁ結果間違ってないから「ヨシッ!」ということで(笑)


ハンキーバニスター 8年 1970年代流通 特級表記 43%

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HANKEY BANNISTER 
YEARS 8 OLD
SCOTCH WHISKY 
1960-70's 
760ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後3か月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:トップノートは黒砂糖やかりんとう、ほのかにみたらし、カラメルソース。香ばしい要素が混じる色濃い甘いアロマ。古典的なシェリー感の一つが軸となり、そこにデメラララムのようなグレーンの甘い香りも混じる。

味:適度なコクとまろやかさ。香り同様のシェリー系のフレーバーが広がる、まったりとしたリッチな味わい。余韻は軽いスパイシーさと、キャラメルソースを思わせる甘味、ほろ苦さ。奥に乾煎りした穀物、アイスコーヒーにあるような酸味を微かに。

年数表記以上の原酒もブレンドされているとは思うが、8年熟成とは思えないリッチな味わい。当時らしいカラメル系のシェリー感や加水の影響を受けながら個性を残す、香ばしくしっかりとしたモルティーさ、熟成したグレーンの甘みを感じられるのがこのブレンドの魅力である。グレンファークラスがキーモルトと言われても違和感は無いが、実態は不明。ストレートで。

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7月頃、ふと濃いめのオールドブレンデッドが飲みたくなり、開封したボトル。ハンキーバニスター8年のJAPAN TAX付き。
狙い通りの味なのですが、若干の引きこもりと金属っぽさがあったので、ワインコルクを刺して放置プレーしていました。気が付けば夏が終わり、秋も晩秋というところ。そういえばこの手のウイスキーを飲むには丁度いい時期になったなと。これもまた狙い通り、香りがしっかり開いて美味しく頂けています。

ハンキーバニスターのスタンダード品は、1980年代前後で原酒の傾向が大きく変わります。シェリー感が濃いのが1970年代までで、求める味は断然こっち。1980年代は15年等の上位リリースに原酒がまわされたのか、12年以下のグレードはシェリー感が淡くなり、リフィル系統の樽使いにシフトしたような印象を受けます。
撮影条件が違うので何とも言えませんが、過去に当ブログでレビューしたものと比較しても、その色合いから系統の違いを察していただけると思います。

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(1980年代のハンキーバニスター12年。色合いだけでなく、紋章の違いも時代考察材料。)

同銘柄は、日本では三越デパートを中心にギフト品として展開されており、今回のボトルにも三越のシールが貼られていますね。
ところが洋酒ブームの終焉をもって日本への輸入が途絶えたのか、あるいは88年に親会社がSaccone & Speed社からインヴァ―ハウス社となり、ターゲット市場が変わったか、90年代には姿を消していました。で、そのまま終売かと思い込んでいたのですが、最近はまた輸入が始まったようです。
調べてみると、本国ではリリースが継続されており、40年熟成品までラインナップにあるのだから、知らないウイスキーがまだまだあるなと思い知らされます。

ちなみにこのSaccone & Speed社は1982年にグレンファークラスの販売代理店となり、ラベルに同社の名前が書かれることが、オールドファークラスの時代考察材料としても知られています。
販売代理店になるくらいだから、それ以前から蒸留所との繋がりは深かったと考えられるものの、実は今回レビューする時代のハンキーバニスターのキーモルトが、ファークラスであるという記述はスコッチオデッセイ以外見当たらない。。。いや味的に違和感はないのですが。

なお同誌の記述によると、この銘柄が特に日本に入ったのは1980年代からだそうで、確かにリユース市場で見かけるのはそのあたり。
80年代なら、15年や21年は同様にとろんと甘いシェリー感があるのですが、熟成が進んだためか、陶器のため抜けているのか、味にメリハリが少ないのがこの8年との違いと言えます。
若い原酒も、古典的な樽感も、熟成した原酒もうまく使って仕上げられた、近年中々見られないブレンドです。



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