カテゴリ

カテゴリ:ブレンデット・バッテッド

オールドパー スーペリア 43% 近年流通品

カテゴリ:
FullSizeRender

Old Parr 
Superior 
Scotch Whisky  
2000-2010's 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(6)

香り:薄めたキャラメル、カステラの茶色い部分のような穏やかで色が少しついたような古酒系の甘やかさに、微かな鼻腔への刺激、スモーキーさを伴うトップノート。時間経過で熟成した内陸モルトに由来する品の良いフルーティーなアロマと熟成樽由来のウッディネスが開いてくる。

味:マイルドで軽いコクのある口当たり。シェリー樽由来のウッディさ、薄めたキャラメルや鼈甲飴、熟成したグレーンの甘みと香ばしいモルトの風味から、じわじわとビターで土っぽいピーティーさが染み込むように広がる。 
余韻は穏やかでありながら存在感のあるスモーキーさが鼻腔に抜け、ピートとウッディなほろ苦さ、口内をジンジンと刺激する。

ウイスキー愛好家の中で話題になることはあまりない1本だが、それは日本市場において本ブランドのギフト向けと言う位置づけや、ブレンデッドのノンエイジという外観からくる印象もあったと推察。
しかし、中々どうして香味は多彩で味わい深く、熟成したスペイサイド、ハイランドモルトがもたらすフルーティーさや、若干アイラ要素を伴うピーティーな原酒がいい仕事をしている。ストレートも悪くないが、加水やロックで飲むと”場を壊さない味わい”をゆったりと楽しめる。さながら潤滑油としてのウイスキーである。

IMG_0477

近年まで日本市場におけるオールドパーの定常ラインナップにおいて、上位グレードに位置付けられていた1本。シルバー、12年、18年クラシック※、そしてこのスーペリアですね。※ブレンデッドモルト仕様だった18年クラシックは2015年頃に終売。
モノはアメリカ市場向けとして作られていたため、日本の正規品であっても750ml仕様がスタンダード。というか、1980年代以降のオールドパーはアメリカ、メキシコ、アジアと関連する免税店を含む地域への輸出向けのブランドとなっているため、ヨーロッパ向けスタンダードである700ml仕様は造られておらず、日本向けも全て750mlとなっているのが実態としてあります。

さて、スーペリアが「販売されていた・・・」として過去形なのは、2019年11月にディアジオが日本市場向けオールドパーのブランド・リニューアルを発表するとともに、終売となっていた18年をブレンデッドウイスキーとして復活。そのラインナップにスーペリアはなく、一部酒販では製造終了の文字も見られるようになったためです。
中身がどれだけよくても、熟成年数表記があるほうが高級感が出るし、12年との違いも分かりやすいためでしょうか。現時点で日本向け公式サイトに情報は残っているようですが、今回のブランド戦略の変更と共に、徐々にフェードアウトしていく流れが見えます。
ご参考:オールドパー、リニューアルのお知らせ (oldparr.jp)


スーペリアは熟成した原酒のみならず、若い原酒まで幅広く用いることで、深みとコク、熟成感だけでなく、若い原酒に由来する骨格のしっかりした味わいを両立しようとブレンドされています。
こうしてテイスティングしてみると、確かに、熟成した内陸モルトのフルーティーさ、シェリー樽に由来する甘さ、そして若い原酒の刺激は香りの奥、味では余韻でアクセントとして若干感じられる。また、アイラモルトに由来すると思われる染み込むようなスモーキーさも特徴的で、レビューの通り中々味わい深いブレンドに仕上がっています。

構成原酒としては、オールドパーはグレンダランとクラガンモアがキーモルトであるとされていましたが、現代はこの2つだけでなく、ディアジオ社が持つ様々な原酒が用いられているようです。
というのも、クラガンモアやグレンダランは、古くは麦芽風味に厚みがあり、内陸系のピーティーさも主張してくるような原酒でしたが、両蒸留所とも現代はライト化が進み、特に蒸溜所が建て替えられたグレンダランのキャラクターは1985年以降大きく変わっています。
そのため、フルーティーさはともかくピートは異なる原酒の力を借りなければ出てこない。。。
例えば、カリラやラガヴーリンといった蒸留所の短熟、中熟原酒を隠し味に、内陸原酒の中熟、一部長熟原酒(一部シェリー樽熟成を含む)をブレンドしたとすれば、こういう仕上がりにもなるのかなと予想しています。


余談ですが、オールドパーはリユース市場での流通量が多い銘柄の一つです。
それは先に書いたように、ギフトとして使われることが多い一方で、もらった人が飲まずに放出してしまうため。また、オールドボトルは状態がよくないモノが多いことでも知られているわけですが、となれば取引価格は下がっていきます。一方で、コルクキャップで金属臭とは無関係な近年流通品のスーペリアも割を食っているのか、手頃な価格で取引されていることが多くあります。(2次流通価格を基準とするわけではありませんが、本ブレンドは終売品でもあるので。)

レビューの通り中身は熟成した原酒がたっぷり使われた、安価なブレンデッドやモルトでは実現できない深みのある味わいです。
この手のブレンドは、シングルモルトやボトラーズリリース等の個性を楽しむモノではないので、単品では物足りなさがあるやもしれませんが、その場の主役になるのではなく、例えば知人との談笑の場、読書や観劇のお供といった、場を壊さず空気を温めるような潤滑油としての使われ方なら、充分なクオリティがあると感じます。
そんな需要があるようでしたら、是非リサイクルショップやオークションを探してみてはいかがでしょう。

フィンドレイター 8年 シングルハイランドモルト 1980年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:
フィンドレイターピュアモルト

FINDLATERS
A Single Highland Malt 
Pure Scotch Malt Whisky 
Aged 8 years 
1980's 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(5-6)

香り:ほのかに青みがかった要素を伴う、厚みがあってリッチな麦芽香。蜂蜜や、微かに柑橘系の要素も溶け込む。ハイランドモルトらしい構成が中心だが、オリーブオイルやボール紙、あるいは籾殻のような若干癖のあるニュアンスがあり、これが垢抜けなさに繋がっている。

味:スムーズで柔らかい口当たり。香り同様に垢抜けない麦芽風味が、ややオイリーで粘性を伴う質感をもって広がる。例えば生焼けのホットケーキのよう。そこに柑橘の皮、特に和柑橘を思わせる渋みがあり、若い原酒がメインであるためか、加水で整い切らない粗さと共に口内を軽く刺激する。
麦芽風味は余韻まで残る。加えて、蜂蜜の甘み。徐々に微かなピーティーさがじんわりとほろ苦く、染み込むように広がる。

一時期のハイランドモルトのキャラクターの一つと言える、麦芽風味主体の味わい。イメージとしては甘いお粥のような白系統のフレーバー。若い原酒であるためか多少粗さもあるが、この麦感はブレンデッドスコッチ・フィンドレイターに通じる、構成原酒の一つとしてリンクする。ただし、ちょっと青みがかった要素というか、蒸溜所の個性とも言える風味が目立つところもあり、ここが好みを分けそう。

Ec40b3SUYAAx8LK

【ブラインドテイスティング回答】
地域:ハイランド中心
年数:12年程度
樽:リフィル系主体、あまり強くない
度数:43%
その他:80-90年代流通くらいの、オールドっぽい感じのモルトウイスキー。

微かにスモーキーでハイランド系の麦感主体、蜜っぽい甘味もある。しみじみ旨い系。加水仕様と度数のわりにアタックが強いが、熟成が若いのか。余韻がぼやける感じもあり、複数原酒のブレンドモルトだろうか。正直銘柄はよくわからない。
ただ、この当時のハイランドモルトらしい厚みと垢抜けなさのある麦感は、ダルウィニーやディーンストン、あるいはフェッターケアンのちょい古いヤツなんてのも連想される。少なくとも、大手資本有名どころ第一線ではないモルトだと思われる。

――――――


久々にブラインドテイスティングの記事、そしてオールドボトルの記事です。

上のコメントが、記事掲載に当たってオープンテイスティングしたもの。下のコメントが当時回答として出題者に返信したものです。
このサンプルは昨年、ウイスキー仲間のK君が送ってくれた出題で、自分のブログに掲載していないオールドブレンドの類だったので、情報保管も兼ねて出題してくれたようでした。ホンマありがたい限りやで。。。

ということで、今回はスコッチウイスキー銘柄、フィンドレイターのシングルモルトボトリングです。ラベル上でPure表記とSingle malt表記が混在しているのが、80年代後半らしさというか、時代を感じさせる要素ですね。
構成原酒の情報はありませんが、香味等から察するに、おそらく中身はディーンストンだと思われます。厚みはあるが垢抜けない麦芽風味、ちょっと青みがかったニュアンスは、当時この蒸留所の原酒を使っていたブレンデッドや、同様にシングルモルトとしてリリースされた他のフィンドレイターにも共通するニュアンスです。

7fa62877
(70年代から90年代にかけてフィンドレイターブランドとしてリリースされた、ハイランドシングルモルトの一部。何れも熟成年数は違うが、今回のボトルと共通するフレーバーが備わっている。)

当時、フィンドレイターを手掛けていたのはインバーゴードン系列で、構成原酒として用いられたハイランドモルトは、タムナヴーリン、タリバーディン、ディーンストン、ベンウィヴィスの4種とされています。

どうしてここまでマイナーどころが。。。というのはさておき、幻のモルトであるベンウィヴィスが選択肢なのは愛好家にとってのロマン。ただし、写真にある一連のリリースとの関係性に加え、1980年代後半リリースボトルで、77年閉鎖のベンウィヴィスを8年表記では使わないだろうなということで惜しくも除外です。

一方で、ディーンストンも1982年に原酒の生産調整から一時閉鎖しているのですが、当時の価値観では閉鎖蒸留所だからプレミアがつくなんてことはなく、普通にブレンドに使われていた時代です。
余ってるからシングルモルトで、くらいの発想があってもおかしくはありません。

近年のモルトは香味がドライに振れているので、今回のボトルのような麦系の甘味が強く出ているモノは少なくなってきています。オールドシングルモルトも値上がり傾向ですから、こうした銘柄不明のオールドモルトで昔ながらの味を楽しむというのは、知る人ぞ知る楽しみ方みたいで、なんだかお得感がありますね。
この8年は若い原酒ゆえの粗さも多少ありますが、当時の魅力、個性を楽しめる選択肢として、あるいは加水の癒し系として。家飲み用にアリな一本だと思います。


※以下、後日談※

後日談

( ゚д゚)・・・

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)!!??

い、いやあ先入観というか、節穴でしたねぇ。
まぁ結果間違ってないから「ヨシッ!」ということで(笑)


ハンキーバニスター 8年 1970年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:

IMG_20201117_091658

HANKEY BANNISTER 
YEARS 8 OLD
SCOTCH WHISKY 
1960-70's 
760ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後3か月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:トップノートは黒砂糖やかりんとう、ほのかにみたらし、カラメルソース。香ばしい要素が混じる色濃い甘いアロマ。古典的なシェリー感の一つが軸となり、そこにデメラララムのようなグレーンの甘い香りも混じる。

味:適度なコクとまろやかさ。香り同様のシェリー系のフレーバーが広がる、まったりとしたリッチな味わい。余韻は軽いスパイシーさと、キャラメルソースを思わせる甘味、ほろ苦さ。奥に乾煎りした穀物、アイスコーヒーにあるような酸味を微かに。

年数表記以上の原酒もブレンドされているとは思うが、8年熟成とは思えないリッチな味わい。当時らしいカラメル系のシェリー感や加水の影響を受けながら個性を残す、香ばしくしっかりとしたモルティーさ、熟成したグレーンの甘みを感じられるのがこのブレンドの魅力である。グレンファークラスがキーモルトと言われても違和感は無いが、実態は不明。ストレートで。

IMG_20201117_091848

7月頃、ふと濃いめのオールドブレンデッドが飲みたくなり、開封したボトル。ハンキーバニスター8年のJAPAN TAX付き。
狙い通りの味なのですが、若干の引きこもりと金属っぽさがあったので、ワインコルクを刺して放置プレーしていました。気が付けば夏が終わり、秋も晩秋というところ。そういえばこの手のウイスキーを飲むには丁度いい時期になったなと。これもまた狙い通り、香りがしっかり開いて美味しく頂けています。

ハンキーバニスターのスタンダード品は、1980年代前後で原酒の傾向が大きく変わります。シェリー感が濃いのが1970年代までで、求める味は断然こっち。1980年代は15年等の上位リリースに原酒がまわされたのか、12年以下のグレードはシェリー感が淡くなり、リフィル系統の樽使いにシフトしたような印象を受けます。
撮影条件が違うので何とも言えませんが、過去に当ブログでレビューしたものと比較しても、その色合いから系統の違いを察していただけると思います。

e4b4c9f8
(1980年代のハンキーバニスター12年。色合いだけでなく、紋章の違いも時代考察材料。)

同銘柄は、日本では三越デパートを中心にギフト品として展開されており、今回のボトルにも三越のシールが貼られていますね。
ところが洋酒ブームの終焉をもって日本への輸入が途絶えたのか、あるいは88年に親会社がSaccone & Speed社からインヴァ―ハウス社となり、ターゲット市場が変わったか、90年代には姿を消していました。で、そのまま終売かと思い込んでいたのですが、最近はまた輸入が始まったようです。
調べてみると、本国ではリリースが継続されており、40年熟成品までラインナップにあるのだから、知らないウイスキーがまだまだあるなと思い知らされます。

ちなみにこのSaccone & Speed社は1982年にグレンファークラスの販売代理店となり、ラベルに同社の名前が書かれることが、オールドファークラスの時代考察材料としても知られています。
販売代理店になるくらいだから、それ以前から蒸留所との繋がりは深かったと考えられるものの、実は今回レビューする時代のハンキーバニスターのキーモルトが、ファークラスであるという記述はスコッチオデッセイ以外見当たらない。。。いや味的に違和感はないのですが。

なお同誌の記述によると、この銘柄が特に日本に入ったのは1980年代からだそうで、確かにリユース市場で見かけるのはそのあたり。
80年代なら、15年や21年は同様にとろんと甘いシェリー感があるのですが、熟成が進んだためか、陶器のため抜けているのか、味にメリハリが少ないのがこの8年との違いと言えます。
若い原酒も、古典的な樽感も、熟成した原酒もうまく使って仕上げられた、近年中々見られないブレンドです。



オールド・セントアンドリュース 12年 1980年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:
Screenshot_20200602_082938
OLD St.ANDREWS 
SCOTCH WHISKY 
12 YEARS OLD 
1980's 
750ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:サンプル購入@ドーノック
時期:不明
評価:★★★★★(5)

香り:ややドライな香り。グレーン系の甘さ、ザラメや干し草。穀物感の強い香り立ちだが、奥にはシェリー樽を思わせるアロマ。古い油のような癖が微かに感じられる。

味:香りに反してしっとりとした口当たり。はちみつの染み込んだカステラやパンケーキ、グレーンのフレーバーから徐々にほろ苦く、乾いた麦芽を思わせるハイランド系のモルティーさ。微かにクレヨンのような、不思議な癖が鼻孔に抜ける。
余韻は序盤のグレーンの甘味に微かなシェリー感とスパイシーな刺激が混じり、張り付くように残る。

多少の癖はあるが、熟成したグレーンを主体にプレーン寄りな内陸モルトというマイルドなブレンド。シェリー樽が隠し味として効いており、上位グレードの21年に通じる要素と言える。飲みやすい反面ピートフレーバーはほぼ無く、面白味もあまり無いが、この辺りは流石特級時代というべきか、現行品に比べて味は濃い。飲み方はストレートかロックを推奨。

IMG_20200602_082138

1970年代に日本市場向けのブランドとして登場した、オールド・セントアンドリュース。ゴルフコースとして知られる聖地の名を冠した銘柄です。 その歴史は、先日レビューしたエクスカリバー同様に、当時の市場でよく見られるポッと出の輸出向け銘柄・・・と思いきや、調べてみると、作り手は古くからスコッチウイスキーのブレンダー(所謂外部委託を請け負ってブレンドを作成するような)企業だったようで、1970年代に大きな方針転換があったようです。

この方針転換には、トマーティン蒸留所が関わっていたとされています。トマーティンは1974年に大規模な拡張工事を行い、年間生産量で1250万リットルとスコットランド最大の規模の蒸留所となりますが、先見の明がなかったというべきか、運命のいたずらと言うべきか、徐々にスコッチウイスキーの消費が低迷し、冬の時代と呼ばれる1980年代に入ります。

多くの蒸留所が生産調整を行い、一部が操業を休止する中、1985年にプロジェクトからトマーティンは離脱し、1986年に会社を清算。同年、宝酒造に買収されるわけですが、一連の流れから考えるに、トマーティンは自国内並びにヨーロッパでの消費が伸び悩む中で、原酒を活用する活路の一つを、この銘柄で日本市場に見出したのかもしれません。

Screenshot_20200602_082955
(1970年代流通、760ml表記のオールド・セントアンドリュース12年。21年はコルクキャップ仕様となる時代だが、12年はネック部分の特級シールの形状で見分けられる。)

努力もむなしくトマーティンは極東の島国の一企業の傘下に入るという結末を迎えてしまうわけですが、ここで誕生したセントアンドリュースというブランドは、日本国内のウイスキー冬の時代すら生き抜き、現代まで続くブランドとなります。
1970~1980年代は、ノンエイジ(ゴルフボール型のボトル)、8年、12年、21年が。
1990~2000年代には、イーグル、アルバトロスといった、ゴルフのスコアに絡む用語を銘打ったブレンドに、10年熟成(一部21年熟成)で樽型のボトルに入った単一蒸留年のブレンデッド並びにピュアモルト等、様々なリリースが展開されていました。
近年はゴルフボール型ボトルでのリリースが主流で、エイジングはノンエイジから21年まで。この辺りは父の日ギフトなんかにも喜ばれそうなボトルですね。

構成原酒については、今回のボトルの流通時期にあたる1970年代~1980年代当時のものは、上記の経緯から明らかであるようにハイランドモルト、トマーティンが主体であると言われています。
トマーティンが使われているブレンドとしては、BIG-Tがありますが、セントアンドリュースのほうはグレーンが強めなため、風味は別物。しいて言えば独特なシェリー感等共通する部分があると言えばあるような・・・というレベル。
1985年以降、トマーティンの離脱後のキーモルトはわかりませんが、1990年代にハイランドモルト表記のボトルがリリースされていたことから、原酒の提供は続いていたのではないかと思われます。(近年のリリースは、スペイサイドモルトとグレーンのブレンドとして説明されているため、トマーティンではないようです。)

余談ですが、個人的に樽型ボトルの1984年蒸留表記(生まれ年)が欲しいのですが・・・リユース市場にあるのは82、83、85年ばかりで、84が見当たらない不思議。製造されなかったとは思えないのですが、巡り合わない。なんでかなー。

エクスカリバー 10年 1980年代流通 43% 特級表記

カテゴリ:
Screenshot_20200520_061042
EXCALIBUR EXCELLENCE
BLENDED SCOTCH WHISKY 
YEARS 10 OLD 
1970-1980's 
760ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:サンプル小瓶@ドーノック
評価:★★★★★(5)

香り:柔らかく甘いアロマ。焦げたみたらしのような甘みと香ばしさ。モルティーな風味にはオレンジ系のニュアンスを伴うが、合わせて粘土や青みがかった植物感、オリーブを思わせる癖も伴う。

味:スムーズでやや粘性があり、みたらしや鼈甲飴を思わせる甘味と、焙煎した麦芽のほろ苦さ。じわじわと舌の上にひりつくような刺激、ほろ苦く微かに乾いた植物、ケミカルなニュアンスも感じる。

オールドブレンドだなという古酒感。香味に備わった癖からメジャーどころじゃないハイランドの原酒に、グレーンのみたらしや蜂蜜っぽい甘味、ローランドモルト由来のソフトだがひりつくような刺激という組み合わせ。思いのほかモルティーで、4~5割程度と比率も高そうだが少々個性的な部分も。加水すると香りは古典的な麦芽香を主体に、味もまたマイルドに。ハイボールにして使いやすそうなオールドである。

IMG_20200520_015327

エクスカリバーは、1980年代まで巴工業が輸入していた輸出向けブレンデッドウイスキーです。
巴工業と言えば、この80年代前後で多くのウイスキーを輸入しており、スコッチでは主にリンクウッド、チェッカーズ、姉妹銘柄のアボットチョイスが有名ですが、他にはベンネヴィス、グレンハンター、グレンターナー、オールド&セントリュース等。大手はDCLのリンクウッド系列のみで、マイナーが多めです。

同社の本業はアメリカ企業をルーツのひとつとする、機械装置並びに合成樹脂や化学材料などの化学品を輸入販売するメーカーです。
酒類は事業の一環として、スコッチのみならずバーボン、ワインと手広く行われているようですが、最近はワインが中心の模様(平成11年に分社化し、巴工業ワイン&スピリッツ社として活動)。ブームが終焉した1990年代には、関連するスコッチ銘柄の取り扱いを整理する等動きも早かった印象があります。
一方で、ネットもない時代にどうやってこんな銘柄(特にマイナー銘柄)を探していたのか。逆に言えば、繋がりのあるところからの紹介なのではと考えられ、当時DCLは多くのブレンドメーカーに原酒を販売していた実績があることから、何かしら関連があるのかもと感じています。

エクスカリバーは買い付けた原酒による輸出向け銘柄であり、輸入終了が先かブランド終売が先かは不明ながら、1980年代後半あたりで流通が無くなっています。(その後約30年が経過し、2018年にはMedowside Blending社からエクスカリバー1972年という長期熟成ブレンデッドがリリースされていますが、同社が版権を取得してリリースしたもので、中身の関係性はありません。)
一方で、上位グレードの12年含めて複数リリースされていたことから、原酒の確保は製造側との間で一定の契約を持っていたことが伺えます。

つまりそこそこちゃんとしていた銘柄だったと。
この点、1980年代に増えていた零細メーカーの”自称名門スコッチ勢”とは違うのですが、エクスカリバーという知名度ダントツ、通りの良すぎる名前が、観光名所のこじつけお土産に見えて、何となくスタンダードグレードを敬遠してしまっていました(笑)。



ウイスキー仲間から味は悪くないという話も聞いていました。
実際飲んでみると確かに悪くないですね。モルティーさにちょっと癖がありますが、適度な厚みにグレーン由来の甘みが上手く混じり、オールドスコッチらしい構成を楽しむことが出来ます。
上の12年に比べて、10年は樽感がそこまで濃くなくソフトなので、逆に原酒由来の風味を拾いやすい構成。麦芽由来の風味に癖を感じるので、例えばハイランドはディーンストンとか当時のトマーティンとか、ローランドはリトルミルとか、連想するのはそのあたりの蒸留所。少なくともリンクウッドはないと思います(笑)。

エクスカリバー10年は流通時期の関係から760ml表記と750ml表記があり、当然前者のほうが古く70年代後半あたりと推定。日本の容量表記は背面シールでしか見れませんが、表ラベルの75CL 43%の位置が、ラベル上にあるか下にあるかで区別することもできます。(上側にあるほうが古いです。)
最近はウイスキー愛好家も例に漏れず、若手中心に某ソーシャルゲームが流行っているので、関連ブランドとして注目されてるかなと思いましたが、そうでもない様子。勝利は約束できませんが、マイナー銘柄故に流通価格も安価なので、オールド入門にはピッタリなんじゃないでしょうか。


※以下、雑談※
昨年、オールドブレンドレビュー用にドーノックさんで買っていた小瓶、すっかり忘れてました。
最近、関連免許の取得制限等が緩和されて、限定的ですが量り売りが出来るようになるなど、ウイスキーの小瓶量り売りが愛好家の間で浸透しつつあります。
近年、その量り売り専門店としてWEB販売の草分け的存在が、以下の2社です。

・ドーノック(50mlのサンプルボトルを販売)
https://shop.dornoch.jp/

・ひとくちウイスキー(30mlのサンプルボトルを販売)
https://hitokutiwhisky.com/

ドーノックさんはオーナーの趣味が強くラインナップに出ていて、現行品だけでなくオールドの量り売りが豊富。一方で、ひとくちウイスキーさんは現行品を中心に、オフィシャル飲み比べ等のスタンダードなラインナップが中心となっています。
また、最近ではスコッチモルト販売(サケトライ)さんが始めたシェアバー、Whisky House 夢喰さんのボトル買取の取り組みなど、BARのバックバーにあるボトルを小瓶売りするサービスも始まっており、自宅に居ながらレアなボトルを含めて楽しむことが出来るようにもなりました。 このほか、自分の周囲のBARでは店頭での量り売りが始まっています。

・THE SHARE BAR
https://www.saketry.com/the-sharebar/?sl=ja

・Whisky House 夢喰
https://store.shopping.yahoo.co.jp/whiskyhouse-baku/barb1feb1e.html

緊急事態宣言が解除に向かいつつあり、経済活動も再開しつつありますが、宣言が解除されれば、そこでウイルスの影響がなくなるわけではありません。海外の状況を見れば、第2、第3段階の感染がおこることも予想され、同ウイルスがただの風邪になるまで、継続的に経済への影響は続いていくものと考えられます。
そのため、アフターコロナの社会にどのようにBARや飲食業界が対応していくのか。上述の量り売りや、バーチャルな環境でのサービス提供というのは一つポイントになると思います。
(これらは日本の社会にある、レベルの高い物流サービスによって支えられています。こうした難しい状況の中で働いてくださっているドライバーの皆様には、本当に感謝です。)

量り売りは良い面もあれば、そうでない面もあると思います。しかしネガティブな部分は、そのものの解消、あるいは何かで代替するなどして打ち消すことが出来るものです。
アフターコロナの社会は、社会構造がこれまでと大きく異なることが予想され、もはや新しい時代と言えるものです。その新しい時代の新しい文化の一つとして、これらの取り組みが根付き、新しい形でウイスキー文化が広まっていけばと感じてます。
レビューと雑談、どっちが本編かわからなくなってきましたので、今日はこの辺で(汗)。

このページのトップヘ

見出し画像
×