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ジャパニーズウイスキーに今後必要だと思うこと

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松井酒造のピュアモルトウイスキー倉吉に関する話題を皮切りに、そこに潜むジャパニーズウイスキーの現状や課題をまとめてきました。
今回はそれらを背景として、ジャパニーズウイスキーに今後どうなってほしいのかという自分の意見をまとめ、一連の記事の締めとします。

第1回:松井酒造 ピュアモルト倉吉に見るジャパニーズウイスキーの課題
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1060015284.html
第2回:ジャパニーズウイスキーの現状とバルクウイスキー
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1060053301.html


まず、自分の考えの大枠から述べていきます。
バルクウイスキーの一件については、これまでもブログ上の記事で述べてきたように、高品質なものであればどんどん使って、日本だから作れる「ウイスキーとしての美味しさと魅力があるウイスキー」を安定して提供し続けることが第一だと考えています。
そして真に淘汰すべきは「その場しのぎで作るような低品質なウイスキー」であり、これらを実現する仕組みこそ、今この瞬間日本のウイスキー業界に必要なことであると思います。

もちろん、これはジャパニーズウイスキーの基準を作るという動きを否定するものではありません。
海外から買い付けた原酒を使って作ったブレンドが、ジャパニーズウイスキー名称を使えるかという疑問はそのとおりで、「日本で3年以上の熟成を経ている(スポーツ選手でいう帰化している感覚)」とか「海外原酒の割合を全体の半分以下とする」とか、あとはバルクの使用に関するラベル表記などの基準はあって良いと思います。
ただ、ブレンデッドウイスキー(モルト含む)については、飲みやすさやその完成度を優先する傾向があり、まったく無関係な歴史上の人物や建造物などの名前がつけられているものも多く、きちんとした整理の中であれば、海外原酒を完全に否定する必要も無いと感じます。 
(実際、そうした商品もリリースされています。)


一方、世界的なウイスキーブームの中で、イギリス以外でもシングルモルトが作られています。
それがバルクとして日本に入ってきた際、"バルクシングルモルトで擬似国産シングルモルト"など、更なる混乱に繋がるようなリリースが行われる可能性も否定できません。
2020年にかけてはビックビジネスチャンスがありますし、上述のブレンデッドと合わせて既存の基準は脆弱すぎます。
こうした混乱を未然に防ぐため「ジャパニーズシングルモルト並びにそれを意図する表記をするには、日本で蒸留、熟成を経たものに限る」などの基準を明確にして、現状の規制以上に将来に向けてブランドイメージを守る予防線を張る必要もあるのかなと考えます。

ただし基準を作る場合、それを作ることよりも徹底してもらうことのほうが難しい場合があります。
仕事上そうした調整に関わる事は少なくないのですが、今回の場合は今まで無いところに基準を作るわけですから、どうしても規制や制約に近い内容となり、どうやってそれを全メーカーに徹底させるのか、これが一番大きなハードルであると言えます。

極端な話、完全に徹底させるには「法律を変える(または補足事項を付与する)」しかありませんが、非常に大きな話となります。
現実的なところでは、どこかの団体や企業が声を上げて、対外的には実績として認知されるも、実際守っているかどうかは不透明という形になるか、あるいは賛同する企業との覚書や共同宣言か。しかしそうなると基準に賛同しないメーカーも出てきてしまい、あらたな混乱と火種になる可能性もあります。
記事を書きながらずっと考えていましたが、一筋縄ではいかないことは明白で、多くの議論が必要であると感じます。


仮に法律を変えていけるとすれば、ジャパニーズウイスキーの基準に加え、酒税法第3条15項ウイスキーにおける(ハ)も改定する内容であってほしいと考えています。 

【酒税法第3条15項ウイスキー(ハ)】
「イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)」

※イはモルトウイスキー、ロはグレーンウイスキーについてざっくりと書かれています。

ご存知の方も多い内容だと思いますが、 一例を挙げると、"アルコール度数50%のウイスキーを作る際、度数50%の原酒が10%、度数50%のブレンド用アルコールが90%の構成でもウイスキーと呼べてしまう"という、原酒比率を定めていた旧酒税法時代の名残です。
つまりこの項目が残ったままでは、仮にジャパニーズウイスキーの基準を作っても、90%がブレンド用アルコールでジャパニーズウイスキーというおかしな構図になってしまうのです。
かつて、日本のウイスキー業界の黎明期だった時期は、そうした基準でなければウイスキーを作れなかった背景や、日本人の味覚の問題もあったものと思います。
しかしいまや日本はウイスキー生産国の五指に数えられるようにもなり、世界的にも認められる状況になりました。
今こそ、旧酒税法からの完全な脱却が必要なのではないかと考えます。
これは日本のウイスキー業界というよりも日本という国の問題でもあります。


さて、ずいぶん長くなってしまいましたので、最後にウイスキー業界がこうあってほしいという形を書いて、この特集の締めとします。
現在、日本のウイスキー業界はクラフトウイスキーメーカーの新設ラッシュ。 続々と新しい蒸留所が稼働していますが、それでもスコットランドの約10分の1程度であり、しかもほとんどが独立している形です。
今はブームが後押ししていますが、将来を見据えれば栄枯必衰で必ず「冬の時代」は来ます。 
そうした時代に備え、お互いに原酒を融通しあって味に幅を持たせたり、海外への流通販路を確保する手助けをしたり、蒸留やブレンド技術、あるいは新製品の評価だったり・・・様々なモノを共有しあう、オープンな繋がりを今から構築しておく必要があると思うのです。
それこそ、やや安易ではありますが、クラフトウイスキー組合のような形を作り、冒頭述べたような「ウイスキーとしての美味しさ、魅力のあるウイスキー」を安定して提供し続ける仕組みに繋げて欲しいなと。

聞くところでは、イチローズモルトの肥土伊知郎氏は、新しく稼動するクラフトウイスキー蒸留所を尋ね、自身の経験に基づくアドバイスをされているそうです。
自社で全てを賄えてしまう大手企業には魅力を感じないかもしれませんが、これから続々と増えていくクラフトウイスキーメーカーは、こうした仕組みが必要なのではないかと考えます。
それこそ全企業が協力し合うジャパニーズウイスキー協会的なものがあっても。。。

何れにせよ長く日本のウイスキー業界が成長し続けられる流れになればと、いち愛好者として祈るばかりです。
今回、日本のウイスキー業界の現状と課題をまとめる記事を書いたわけですが、すでに多くのコメントを頂いているところ。この記事をきっかけに多くの議論が生まれ、様々な可能性の中から日本のウイスキー業界の将来を考えていく、その呼び水の一滴にでもなれれば幸いです。 


【追伸】
前略、松井酒造合名会社様。
ウイスキー業界の現状としてここまで書いた上で、私も本音で一言申し上げます。
御社の書かれた思想、意見は賛同できる部分もございます。
しかしそうした理想を掲げるのであれば、周囲を納得させる味で示してください。
御社の姿勢が認められるか、ただの金儲けや言い訳だと非難されるかは味次第です。
現状が何方かはお分かりのことと思います。今後の商品が、我々をいい意味で驚かせる内容であることを期待しております。

ジャパニーズウイスキーの現状とバルクウイスキー

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前回の記事でピュアモルトウイスキー倉吉の問題点を整理したところで、この一件から見えてくるジャパニーズウイスキーの課題と現状についても整理します。
ジャパニーズウイスキーの課題は、それを定義するはずの酒税法が緩すぎて、基準そのものが無いということ。そして、そこを補足するだけの力を持った団体が無いことです。

ウイスキーの製造は、その国で定められている法律等によって様々なルールがあります。
イギリスではThe Scotch Whisky Regulations( 通称スコッチ法)に加え、スコッチウイスキー協会による審査などで細かい部分が整理がされています。
スコッチ法の「スコッチウイスキーはスコットランド国内で蒸留、3年以上の熟成」というルールは有名ですが、熟成年数などのラベルの表記も消費者が誤解するような記述がないように、厳しいチェックがされています。
酒販店やBARが現地メーカーから樽を買ってプライベートボトリングをする際、ラベルの審査が通らず苦労するという話もあるくらいです。 (10周年という記載が、10年モノと見間違うからNGと言われたこともあるとか。。。)

対して、日本の酒税法では、ウイスキーの原料と製造方法に関する極めて基本的な記述しかなく、ウイスキー製造行程のどこまでを日本でやったらジャパニーズウイスキーなのかという決まりがありません。
つまり、海外から輸入してきた原酒を国内で貯蔵し、ブレンドして、税金を払ってリリースすることも可能であるわけです。

そうした日本の環境の中で、各社は長きに渡りトップランナーたるスコットランドのルールを参考にしながら、独自の判断と、基準と、モラルで、時に厳格に、時に柔軟に、ウイスキー作りを続けてきました。
そして「味の追求」や「原酒の幅の少なさ」などを補うため、構成原酒の一部に国内のみならず海外から買い付けたバルクウイスキーを使うことも、グレーゾーン的な扱いの中、一部の銘柄で行われていました。
そのうちのいくつかの商品では公式に「スコッチモルトを使った」と宣言しているモノもありますし、都市伝説的に広まっているものもあります。


上の写真は日本の中でも有名な蒸留所に転がっていた、スコッチバルクウイスキーのタンクです。この蒸留所では輸入バルクウイスキーを使用した製品は「ジャパニーズウイスキー表記」をしないなど、配慮もしているようです。
他にも「またあそこ原酒買ったよね」と、業界関係者に言われるほどの買い付けでバルクウイスキーを使ったリリースを行っている蒸留所もあります。先日、ここの蒸留所限定ブレンデッドを飲んだところ、若いスコッチバルクウイスキーと思われる味がバリバリで唸ってしまいました。
時代を遡ると、某社では「申請されている原酒貯蔵量以上にリリースされてないか?」と国会の委員会で話題のひとつになってしまったことも。

これらは違法なコトをしている訳ではないのですが、推測の域を出ない内容も含まれているため、どの蒸留所の話であるかは書きません。
しかし写真にあるようにバルクウイスキーがビジネスとして成立し、多くのロットが生産されているということが、その現状を雄弁に物語っているように思います。
松井酒造の肩をもつわけではありませんが、彼らの言動に「なんで俺らだけ言われにゃならんのよ」という姿勢が見えるのは、こうした背景が日本のウイスキー業界にあるためです。(彼らが叩かれた本当の理由は散々述べたので、割愛しますが。)



 ここまで読むとバルクウイスキーを使うことが"悪"のように読めてしまうかもしれませんので(実際人によってはバルク=粗悪なウイスキーという認識の方もいるようです)、その素性等について、自分が知ってる範囲で紹介しておこうと思います。

日本で主に使われているバルクウイスキーは、専門の業者が蒸留所から原酒をまとめて買いつけ、ブレンドして大容量のタンクで販売しているブレンデッドモルト、あるいはブレンデッドウイスキーです。
かつてはシングルモルトも販売されていたようですが、2012年にスコッチ法改正でシングルモルトのバルク輸出が禁止され、スコッチタイプはブレンド系のみとなっています。 (現地蒸留所と繋がりが強い企業にあっては、現地基準でウイスキーに該当しないニュースピリッツを輸入する方法もあるようですが、今回の話の流れである、メーカーが直ちにブレンド可能な商品としてのバルクウイスキーではないので省略します。) 

バルクウイスキーには3年クラスの非常に若いものから、30年近い長期熟成年数のものまであり。樽の傾向もバーボン系やシェリー系などいくつかパターンがあるようで、業者が保有する原酒の中から選び、買い付ける形になります。
また、クラフトメーカーなどではブレンデッドウイスキーを作る際に必要なグレーンウイスキーの調達も急務であり、国内で調達できない場合は太平洋を渡った先から買い付けていることもあるようです。近年はウイスキーブームにより国産グレーンの融通が困難で、海外調達が中心とも聞きます。

バルクウイスキーの特徴というかデメリットは、原酒に何が使われているのか公開されていないことにあります。
ただ、原酒を提供できる蒸留所やグループは限られていますし、例えばスコッチタイプはハイランドやスペイサイドのブレンデッド向け蒸留所が多いかなという印象は有ります。
味はどうかと言うと、バルクウイスキーだから悪いとか、明らかに粗悪とかそんなことはありません。
業者も最低限のクオリティを維持しないと商売になりませんから、これまでいくつか飲んできたバルクサンプルや、そっち系のウイスキーは普通に飲めるレベルですし、長期熟成タイプは風味もリッチで下手な蒸留所の原酒より旨い。
ブレンドのベースにも十分使えるレベルで、20年オーバーの長熟タイプは味だけ考えたら率先して使いたいほどです。
また、グレーンについても製法上大きな差が出づらい事もあり、バニラ系の風味がしっかりある「至って普通のグレーン」が供給されています。


長くなってしまいましたが、ジャパニーズウイスキーの課題はその基準のあいまいさにあり、メーカーによっては必要に応じてバルクウイスキーに頼った商品作りを行っている現状もまた、伝わったものと思います。 
勿論、全てのメーカーが使っているわけではなく、出荷量を絞っても使わない姿勢を見せている銘柄もあります。 あくまで自分の知っている範囲の話ですが、全ての銘柄がそういう状況にある訳ではないことは、補足させていただきます。 

"ジャパニーズウイスキー"が世界的に評価される中、日本のウイスキー業界は、こうした課題とどのように向き合って行くべきなのでしょうか。
機運の高まりから「ジャパニーズウイスキー」と「そうでないウイスキー」を分ける"基準"を作ろうという動きも出ています。
問題提起と現状把握も終わったところで、次回はこうした課題や現状に対する自分なりの考えをまとめます。

ジャパニーズウイスキーに今後必要だと思うことに続く。

ウィルキンソン ドライコーラ でドライなコークハイを楽しむ

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ウィルキンソンタンサンといえば「百年タンサン」なるPRに、クリアな味わいと強い刺激から、ウイスキーハイボール用のソーダ水としてまず迷ったらコレという愛好家御用達のアイテムです。
ただ最近同メーカーから奇妙なアイテム、"ウィルキンソンタンサン ドライコーラ"が発売されました。
早速飲んでみたところドライは甘くないという意味で、香料で炭酸水に安っぽいコーラの香りだけが付いた、なんだか良くわからないソーダ水でした。

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率直な感想は、単体としてはあんまり美味しくなかったんですが、ふと思ったのはコレを使っての、甘くないウイスキーコーク、ドライ コークハイをつくったらどうだろうという事。 自分はコーラは好きですが、コークハイの濃くなりがちな甘さが好みではなかったのですが、これなら案外イケるんじゃ?
香味が安っぽく人工的とはいっても、元々コーラは人工的な香味が主体だし、ウイスキーを割るには良いかもしれない。。。思い立ったら吉日、発売当日早速リピートし、ドライコークハイを自宅で作ってみました。

ベースは角瓶やブラックニッカあたりが自宅にあればよかったのですが、最近の家飲みハイボールはオールドブレンドかアイラのピーテッドモルト。オールドボトルはともかく、アイラピーテッドが(特にヨードが)合うとは思えないので、オーソドックスなところ酒棚に転がっていたフロムザバレルで試してみます。
元々ストレートではそれなりに甘さのあるタイプですから、とりあえずの試作にはちょうど良いかなという判断です。

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まず1口目 「確かに甘くない、けど何か違和感が・・・。」
2口目 「うん、まあこれはこれといえるかな?」
3口目 「レモン絞るかジャンキーなフードとあわせたら案外イケるかもしれんな。」

と、浮ついたコーラの香りに違和感を感じるものの、甘さとしては狙い通りドライなウイスキーコークに仕上がっていました。後はあわせるウイスキーや食事で工夫の余地が有りそうです。
例えばウイスキーはもっと甘みのあるバーボンやブレンデッドで。食事はフライドポテトやBBQソースで味付けした肉、あるいはハンバーガーなど、ジャンキーな食事に合いそうだなと。
そんなわけで我が家には大量にあるオールドブレンデッドに、急遽隣のコンビニで仕入れてきたジャンキーなフードで2回戦突入。


思ったとおり、味の濃いジャンキーなフードに良く合います。
ベースとなるウイスキーも、淡麗なタイプのブレンデッドよりも味がしっかりあるモノのほうがコーラの香りに負けずバランスが取れてくるようなので、例えばバーボンで作るならジムビームだと白より黒など、樽感の強いほうが良いかもしれません。
バーボンはちょうど良いボトルが開いてなかったので試していませんが、夏本番となるこれから、新しいメニューとして面白い選択肢になるかもしれません。
もっとも、個性的な味わいであるため短期で販売が打ち切られなければの話ですが(汗)。

イギリス、EU(部活)辞めるってよ

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イギリスのEU離脱問題。
国民投票があるという話はもちろん知っていた。
なんかFX企業が「当日はヤバイからポンドはやめとけ」って、通知出してたのも知ってた。
でもまあどうせ僅差で残留なんだろって、前回のスコットランド独立騒ぎと似た様な結果になるんだろって、そう思っていた。
そう、このとき自分は完全に油断していたのだ。

 
参照:http://jp.reuters.com/news/world/brexit

( ゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシ
 
(;゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
  _, ._ 
(;゚ Д゚) …!?


まじかよ・・・・。
お昼休みに弁当を食べようとしたときには、既に大勢は決していた。
開票率70%、この時点で70万票差が開き、イギリスはEU離脱へと止められない流れの中に身を投じていた。

そしてそれは当然こういう結果に繋がる。

 

「もうやめて!ポンドのライフはゼロよ!」(´Д` ;)

もちろん株価も爆下げして、サーキットブレーカーまで発動。
買われるのは困ったときの円頼み、安全資産の日本円だ。99円とか100円切り超お久しぶりです。
果たして何人のデイトレーダーが犠牲になっただろう。
一切関係ない外野の自分からすれば「ムチャしやがって・・・」の何事でもなく、「JR」「 遅延」でぐぐって関東全線が正常運行しているのを確認し、そっ閉じした。
その後何度か人身事故があったらしいけど、それは違う別の、通常起こりえる事故だったと信じたい。
ああ、そういえば先月末のサミットで安倍さんが「リーマンショック前夜だ」って力説してたっけなあ。。。消費税増税延期した判断は正しかったよ。


さて、今回のイギリス独立騒ぎについてはちょっと調べてもらえればまとめサイトが見つかるので、ここでは詳細な経緯の記載は省略します。
有名な背景の一つが、イギリス国民が、EU繋がりで流入してくる移民問題に耐えかねて「いい加減にしろやゴルァ!」となったこと。あとはEU加盟国間の負担にルールの押し付けとか色々。
中でも移民に関しては、EU加盟国は人の移動が自由なので流入が止められず、勿論移民の質が良ければ良いのですが、イギリスには税金を納めないのに行政サービスを受けるだけ移民が多かった。2015年は30万人を越える移民があったそうです。

参照:http://jp.reuters.com/news/world/brexit

そのため、影響を強く受ける都市圏の住民は独立賛成派が多く、EU繋がりで商売しているような企業サイドや、あまり移民の影響を受けず、別な思惑のあるスコットランドなどは独立反対派が多かったわけですね。

イギリスを旅行した事がある方はわかると思いますが、こうした問題を背景として、イギリスの玄関口であるヒースロー空港の入国審査はガチで厳しいです。
フランスが「ボンジュゥール」と言えば「オッハヨウゴザイマース」と陽気に、何の確認も無くスタンプを押してくれるのに対し、帰りのチケット、宿泊先、財布の中身まで確認してきて、怪しいヤツは強制送還までありえるという嘘のような話まであります。
まあ、そんなことしてもEU加盟国からは無関係に移民が入ってきてしまうので、本質的な解決にはなってないのですけど。

そうした国民感情を背景に、キャメロン首相がやらなくても良い国民投票を約束してしまった。
ガス抜きのつもりだったんでしょうね。
「ほら、みんなで決めたことなんだから、これからも仲良くやっていこうぜ」ってのがシナリオだったんでしょう。
が、国民サイドの不満は想定以上に強大だった。6月24日、運命の国民投票によって歴史の1ページは刻まれてしまったわけです。
キャメロン首相は辞意を表明したようですが、おそらくイギリス史上最悪の指導者の一人として、汚名を残した結末だったと思います。
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出典:http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/43812

ここから先はより一層個人的な感想になりますが、今回の独立決定後の独立推進派のイギリス様子を見ていて、2009年に民主党が政権を奪取したときの日本のフィーバーっぷりが思い浮かびました。
まあ日本の場合ここまで僅差じゃなく、むしろ圧勝だったので、イギリスの皆様のほうが、まだ理性的だったのかもしれません。

今回のイギリス独立、長期的に見たらひょっとしたら色々うまくいって、目的としている「イギリスの主権」とか「移民の問題」とか、経済とか、良い方向に転がっていくかもしれませんが、ことはそう単純ではなく、短期的にはマジでメリットが見えません。
世界市場に与えた混乱のほうがはるかに大きく、世界経済失速の引き金になる可能性は大いにありえます。(実際、この1日だけで世界市場から約215兆円が消えたという統計も出ています。)

ドミノ式にEU独立を宣言する国が出てのEU崩壊シナリオも、あながち妄想ともいえないレベルです。元々EUに不満を抱いていたのはイギリスだけではなく、連鎖的な独立運動に発展する可能性は大。そしてイギリスには様々な企業や大銀行が入っているのも、その影響に拍車をかけています。
また、スコットランドという爆弾を抱えるイギリスでは、早くも「スコットランドの独立」が再び話題になっていて、住民投票の手続きを進めていくという宣言まで飛び出しています。独立後はEUに入ることを希望しているのだとか。アイルランドの話も出てますね。
イギリスが空中分解という可能性には、大陸側では中国さんも虎視眈々です。


最後にスコッチウイスキーはどうなるかというと、これは現時点でははっきり見えない部分が多いものの、一つあるのはポンド安だからといって喜んでばかりはいられないと言うのは間違いありません。
日本からすれば短期的にはイギリスのショップやオークションでウイスキーを安く買えますが、経済が失速するれば、ウイスキー消費量や生産量にも当然影響が出ます。
またEUがイギリスに対して今後どのような関税、輸入政策を取っていくかで、最悪スコッチウイスキーがヨーロッパからが締め出されるだけでなく、シェリー樽だってEU加盟国のスペイン国内のボデガから買ってるんですから、手に入らないまでも値上げしてしまう可能性だってあります。
さらにさらに、上で述べたようにまたスコットランドの独立騒動が勃発しそうな状況にあり、今やったら相当な確立で独立してしまいそうな気がします。
そうなったらそうなったで、兼ねてからいわれていたスコットランドの自立力はどうかと言う話に。ぶっちゃけ大いに疑問があります。

逆にそうしたスコッチウイスキーのモノ不足感、先行き不透明感から、安定供給できるジャパニーズウイスキーやバーボンウイスキーに大きな注目が集まる可能性もあります。
歴史的な1日、世界が大きく動いた日。私のように凡夫の頭では、ここから先のことなど見通せません。
もちろん相場も外交関係も落ち着くところに落ち着くとは思いますが、しばらく混乱は続くでしょう。
差し当たっては週明けの市場がどうなるかですね。ただただ、良い方向に転がる事を祈るばかりです。

最近試飲したボトルから アラン18年、ノッカンドゥー15年、キルホーマン7年

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なじみの酒屋をめぐるとあれこれ出てきて、帰る頃には1軒目が終わった状況になっていることもしばしば。
今回はその中でも面白かったなと思うボトルをいくつかまとめてみようと思います。
アラン18年
・アラン18年 46% 2016年リリース
つい先日リリースされたばかりのアランのオフィシャル通常ラインナップとしては最長熟成品。
これまではシェリーホグスヘッドの18年が暫定的にリリースされていましたが、今回リリースされた18年はバーボンホグスの比率を上げ、通常ラインナップの一つとして定常的に供給されるようです。
味わいは素直なアラン。オーク系のドライなフルーティーさに麦芽風味、旧ボトル18年のほうがフルーティーさはリッチだった印象ですが、ドライオレンジ以外にドライパイナップル、バニラ等の華やかなフレーバーが感じられました。
ボディは軽めで、癖の少ないオーキーな仕上がり。ブラインドで飲むとハイランドモルトと答えそうな、オフィシャルボトルです。
ノッカンドゥ15年

・ノッカンドゥー15年 1997 43%
平行品でいくつか入ってきたようで、価格もお手ごろ、なんともコスパの良いボトルでした。
ノッカンドゥーはオールドから現行品まで、麦芽風味中心の素朴な味わいが特徴ですが、このボトルもホットケーキにメープルシロップをかけたような、スムーズなマイルドな麦芽風味。1杯を通じて飲み飽きないのもポイントです。ジャブジャブ注いでもらいましたが、美味しく頂けました(笑)。
ノッカンドゥーはあまりメジャーではありませんが、15年他、21年などしみじみ旨いボトルが揃っており、もっと評価されて良い蒸留所だと感じています。


・キルホーマン2008 7年 46%
乱発されているので何がどうだかわからないのですが、公式にはバーボンバレルで最長熟成年数となる7年の原酒でボトリングされた1本。加水なんでどうかなーと思ったのですが、変な要素は無く若めのアイラとして十分楽しめる1本です。
熟成が短いため、バーボン樽由来のバニラやフルーティーな要素は淡く、どうしても荒い部分はありますが、加水で飲み口は整えられており、後半に勢いのある若干焦げたようなピートフレーバーが、ほろ苦い麦芽風味とともに広がります。
こういう加水のボトルって飲み疲れないのが良いですよね。これがシングルカスクで出ていたら、ハーフショットでさようならだったと思います。


今回のボトルは全てオフィシャルですが、最近ボトラーズが苦しい反面、シングルモルトを中心にオフィシャルリリースが多様になってきており、リリースが充実してきているなと感じます。
このブログでもなるべく紹介するようにしていきたいと思いますので、面白いと思うボトルがあれば是非コメント等で情報提供いただけますと幸いです。

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