グレンドーワン スコッチウイスキー 40% 2025年ロット

GLEN DOWAN
BLENDED SCOTCH WHISKY
J&G GRANT
Lot 2025~
700ml 40%
評価:★★★★★(5)
カラメルを思わせる色濃い甘さ、ビターな要素を伴うトップノート。加えて藁焼きのあとのような燻したようなスモーキーさが甘さと干藁を思わせるフレーバーの奥からじわじわと広がる。
口当たりはまろやかで、やや荒削りなモルティーさ、香ばしい穀物系の含み香。余韻はビターでじんわりとスモーキー。
グレンファークラス蒸留所を操業する、J&Gグラント社が製造するブレンデッドウイスキー、グレンドーワンの2025年ロット。
ちょうど1年ほど前、ミリオン商事さんが国内に輸入を開始し、手に取り易い価格と色濃くわかり易い味わいで口コミ等を通じて人気になった銘柄です。
話題になった理由はなんと言っても、その濃い色合い、やや人工的ながらシェリー樽由来のフレーバーを意識したであろう甘さ、そして上記製造元との関係などからグレンファークラスが使われているのではないか?とする推測情報ゆえ。
構成原酒が事実かどうかはさておき(個人的見解は後述)、キャッチーな色合い、情報、そして価格。個人的にもびっくりしましたね。そしてこれは売れるでしょと、確信したのを覚えています。

※グレンドーワンの2024年ロット。映っていないがこのロットはキャップがスクリューキャップ。よくみるとラベルも微妙に異なっている。

※グレンドーワン2025年ロットのコルクキャップ
実際、口コミを中心に人気が広がり、2024年ロットのメーカー側在庫は品薄状態(だったらしいです)。そして年が明けて2025年、装い新たに新ロットが国内に流通し始めたわけです。
お値段は据え置きながらしれっとラベルがリニューアルされ、キャップも高級感あるコルク仕様に。中身は変わっていないと言われていますが、もちろん味も変わっています。
2024年ロットは、甘くほのかにスモーキーな中にグレーン由来か、プレーンなところに色付けしたような、やや人工的な甘さが感じられた構成。
一方で2025年ロットは、色濃い甘さが少し抑えめになったものの、ビターなスモーキーフレーバーがその分強く感じられ、モルト由来と思しき香味もわかり易い。テイスティングコメントの通りリッチな味わいになったと感じられます。
なお、熟成年数は変わらず8〜10年といったところでしょうか。
ウイスキー業界あるあるとして、ラベルが変わると味が変わる(味が落ちる)なんてことが囁かれることはしばしばありますが、これはむしろその逆、よくなっているように感じます。スモーキーさと厚みを増した味わいは、どちらかと言えばストレートやロック向きですが、ハイボールにしてもマッチしそうです。
さて、最後に。
グレンドーワンの構成原酒はオープンにされていませんが、20種類前後のモルトウイスキーとグレーンウイスキーが使われているとのこと。
上述の通りブランドの保有元からグレンファークラスがピックアップされがちな本品ですが、J&Gグラント社の繋がりから紐解いていくと、いわゆるイアンマクロード社系列が原酒の提供元ではないかと予想します。(ファークラスはブレンドのラインがなかったはず…)
イアンマクロード関連の蒸留所といえば、タムデューやグレンゴインですね。どちらもシェリー系で知られる蒸留所。また、同社のブレンデッド銘柄はアイランズモルトをキーモルトとするアイルオブスカイ12年があります。
イアンマクロードは、日本国内の蒸留所にもバルクウイスキーを輸出するメーカーの一つ。傘下蒸留所以外にも様々な原酒を保有しています。
ひょっとすると、この辺りを軸にグレンファークラスの若い原酒を混ぜるなどして作ったのが、グレンドーワンなのではないか…。
なんて個人的な予想を書いて、本記事の結びとします。
安価でも面白い銘柄が増えるのは大歓迎です。