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カテゴリ:グレンアラヒー

グレンアラヒー 12年 48% 2020年ロット

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GLEN ALLACHIE 
Aged 12 years 
SLEYSIDE SINGLE MALT SCOTCH WHISKY
Release 2018 (Lot of 2020) 
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後2か月程度
評価:★★★★★(5ー6)


香り:ツンと鼻腔を刺激する硬質感のある香り立ち。黒砂糖やかりんとうのシェリー樽由来の色濃いアロマ、スワリングするとバナナや焼き芋を思わせる焦げ感のあるオーク香も混じってくる。

味:はっきりとシェリー樽のニュアンスに、とろりとした厚みのある樽感と麦由来の甘さ。若い原酒の酸味もあるが、すぐにオーキーな華やかさが開き、それらが混ざり合ってパチパチと軽やかな刺激とカカオを思わせるほろ苦さを伴うフィニッシュへと繋がる。

若い要素の垣間見れるモルトで、厚みと強さのある酒質を樽感でカバーしたような構成。シェリー系のフレーバーの濃さ、バーボン樽由来の華やかさが備わっており、粗削りだがリッチな仕上がりである。オススメは少量加水。硬質感がやわらぎ、2系統の樽それぞれに由来する香味が混ざり合った柔らかい甘さ、スムーズな口当たりへと変化する。これからのシーズンにオススメな、デイリーユースの1本。

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いつの間にかシェリー系リリースへとシフトしていた、グレンアラヒー12年の現行ボトル。
2018年のリリース初期から2019年のロットでは、色は下の写真の通り、10年、12年、18年と大きい違いのない、琥珀色ベースの色合いでしたが、2020年頃のロットから1st fillのシェリー樽比率が増えたのか、外観は全くの別物となっています。(Whisk-eさんのWEB画像も差し替えられました。)

当然フレーバーも変化しており、旧ロットの「若さの残る麦芽風味からバーボン樽由来の華やかさ」という構成が、後半の華やかさはそのままに、前半がシェリー系の色濃い甘みとビターなフレーバーに上塗りされています。
元々聞いていた情報では、グレンアラヒー12年のシェリー樽比率は30%とのことです。そこから全体の割合が変わったというよりは、内訳がリフィルのオロロソ主体から、1st fill PXシェリー樽主体となったのではないかと推察。ロット差というには大きな違いですが、総じて好ましい変化だと思います。

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このボトルは、LIQULのオフィシャル銘柄紹介記事(Vol.6 進化するグレンアラヒー)を書くにあたり、18年との比較テイスティング用に購入したものでしたが、思いっきりアテが外れました(笑)。
元々、18年をメインに持ってくるつもりで、その発展途上にあるボトルとして12年を使う予定だったのですが・・・箱を開封してびっくり、何この色、予定と違う、さあどうするか。

ただし飲んでみると樽感はわかりやすく、若い中にも好ましい要素があり、5000円以内という価格帯を考えれば十分勝負できる構成。同価格帯で濃厚なシェリー系のリリースが減る中で、”はっきりとしたシェリー感”と言う新たな武器を得たように感じて、これはこれで個別に取り上げていくボトルだと。急遽記事の構成を変更し、タイトルも「進化するグレンアラヒー」としました。

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一方、今回ブログを書くにあたり改めて飲んでみて、当時は気づかなかったことが1つ。2020年ロットからの12年の変化は、新たにリリースされたPX&オロロソシェリー樽100%の15年も意識したマイナーチェンジだったのではないか、ということです。

2018年、グレンアラヒーのシングルモルトがリリースされた当時は12年の次が18年で、シェリー感がそこまで主張しない18年と同じベクトル上にあるバッティングだと感じていました。その後、シェリー100%15年が登場したことで、15年や18年に続くブランドのエントリーグレードとして、双方の特徴を持つようにブレンドを調整したのではないかと。
実際、15年で主に使われているPXシェリー樽の特徴が、12年でもフレーバーの柱の一つとなっています。

そして何より、このような方針変更を、しれっとやってしまえることも、特筆すべきポイントだと思います。
グレンアラヒーは1960年代にマッキンレーのブレンド向け原酒を作るために創業した蒸留所で、以降位置づけは変わらず近年に至ったわけですが、オフィシャル通常リリースの、それもボリュームゾーンである12年にこうした変化が出来るということは、原酒のストックが潤沢だからこそでしょう。薄くなることはよくある話ですが、濃くなるのはなかなかありません。
あるいは、ハウススタイルを模索している最中ということなのかもしれません。オフィシャルの通常ラインナップと言うと、フレーバーが安定してブレ幅が少ないイメージがありますが、こういう変化からあれこれ考えるのも面白いですね。

グレンアラヒー 18年 2018リリース 46%

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GLEN ALLACHIE 
SPEYSIDE SINGEL MALT 
Aged 18 years 
Release from 2018 
700ml 48% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:若干ドライでツンとした刺激を感じるが、砂糖をまぶしたオレンジピール、バタークッキーや焼き洋菓子、キャラメルナッツ、乾いた麦芽。華やかでオーキーな香り立ちがメインにありつつ、仄かな近年系のシェリー感もある。バランス良くまとまっている。

味:熟成感がありつつ、しっかりとしたフレーバーの主張を感じる口当たり。とろりとした麦芽由来の甘味をベースに、オレンジピールやドライファイバーパイナップルを思わせるフルーティーさと、焼き栗を思わせる香ばしさ、微かにシェリーオーク。鼻孔に抜けるオーキーな華やかさに、ほろ苦い果実の皮とナッティーな香ばしさが、余韻にかけて染み込むように長く残る。

オフィシャルらしい複数樽構成のシングルモルト。アメリカンオーク由来の華やかな香味に、適度な熟成感と麦芽風味、そしてシェリー樽由来の甘味の隠し味。オーク系の香味で1本軸は通っているが、多彩なフレーバーを感じることが出来る。少量加水すると、より華やかさとドライフルーツを思わせるアロマ、味では麦芽由来の甘味や蜂蜜を思わせるフレーバーがあり、酒質の伸びを感じる。
これは家飲みでじっくりと楽しみたい1本。

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先日の25年のレビューでも触れたように、今自分が注目している蒸留所の一つがグレンアラヒーです。
注目する条件はいくつかあるのですが、大きくは「麦系の風味が強く、熟成に耐える厚みがある」こと。あとはシングルモルトリリースに積極的な、実績のある資本が入ってることもあります。

同蒸留所は、過去ブレンド向けの蒸留所として操業してきましたが、2017年にビリー・ウォーカー氏によってペルノリカールから買収された後、2018年にシングルモルトリリースに舵を切りました。それまでオフィシャルシングルモルトはオールドの一時期やリミテッドリリースくらいしかなく、少なくとも愛好家の間でグレンアラヒーの酒質やハウススタイルが注目されることはほぼ無かったと言えます。
しかし、こうして新たにリリースされたオフィシャルを飲んでいくと、なかなかどうして近年のスペイサイドモルトの中で見所のある蒸留所であることに気づかされます。


グレンアラヒーの酒質は、麦芽風味メインでプレーンなタイプです。このプレーンな味わいが、ブレンドには使いやすかったことでしょう。
また、長期熟成に耐える厚みがあり、冷涼なスペイサイド地域にあって、10年前後の熟成ではそこまで樽が強くならないため、麦芽系のフレーバーがメインに。香味の刺激も強くなりますが、熟成を経ていくことで、オーキーな華やかさとフルーティーな熟成香を纏っていく。上述の25年はその香味の最たるところですが、18年も同じベクトル上にあるボトルです。

25年と18年は、原酒構成で1970年代の長期熟成原酒を一部ブレンドしていることが、公式サイトで触れられています。(比率は25年のほうが多いと感じますが。)
樽構成はアメリカンオークのオロロソとPXシェリー樽とのことですが、当時はブレンド向け原酒の位置付けから、熟成にはリフィル、サードフィルといった樽が多かったのでしょう。結果、色濃い熟成ではなく角のとれたオークフレーバーが両ボトルの共通点であり、大きなサイズの樽でじっくり熟成されたことが、この個性を生んでいるように感じます。

一方、18年のほうはシェリー系のニュアンスを見つけやすく、それが香味の幅に繋がっています。オフィシャルラインナップにはシェリー感の強く出た15年がありますが、その系統の原酒も使われているイメージです。
10年に感じられた麦芽風味、12年の正常進化といえる熟成感とまとまり、25年に感じられるリッチなオークフレーバー。。。まさにグレンアラヒーのコアラインナップの良いとこ取りですね。
ただ、自分はこうして様々な香味が1つの軸を中心に展開する複雑さを好みますが、人によってはバラツキがあると感じるかもしれません。

他社オフィシャル製品を見ても、18年前後のミドルエイジはウイスキーとして面白いリリースが多いと思います。グレンアラヒーも例に漏れず、なかなか味わい深いモルトに仕上がっているのは上述のとおり。
万人向けのオフィシャルリリースということで、突き抜けた味わいにはなっていませんが、安心して飲めるウイスキーです。
こういうボトルが家にあると良いなと25年を飲んで思い、18年を我が家に取り寄せてみましたが、その役割を十分果たしてくれそうです。
現在は気軽に飲みにいくことも出来ない状況にありますが、こんな状況であるからこそ、家でちょっと良いウイスキーをのんびり楽しんで、心に余裕を持ちたいですね。

グレンアラヒー 25年 オフィシャル 2018リリース 48%

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GLEN ALLACHIE 
SPEYSIDE SINGLE MALT 
AGED 25 YEARS 
Released from 2018 
700ml 48% 

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:オーキーで華やか、ドライなアロマ。バタースコッチや蒸かした栗の甘さに、リンゴのタルト、ドライマンゴーのようなリッチなオークフレーバー、微かにハーブのニュアンスも混じる。

味:粘性のあるモルティーな口当たり。香り同様にリッチなオークフレーバー。黄桃の缶詰、シロップ漬けアプリコットのような、とろりとした甘みを伴う黄色系果実のフルーティーさ。またマロンクリームのようなオーク由来の甘味、麦芽風味も奥に感じられる。
フィニッシュは華やかでドライ、軽いスパイシーやウッディな渋みを伴う余韻が長く続く。

突き抜けた美味さ、というより総合的に完成度の高いシングルモルト。アメリカンオークのリフィルシェリー樽で熟成させたスペイサイドの長熟オフィシャルはこうなる、という仕上がりの一つ。熟成感が年数表記以上に感じられる一方で樽もやや強め。余韻はウッディだが、ボディがしっかりしているためか、それを受け止めて麦感も感じられる点は好印象。加水も少量までなら良好。

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2018年から本格的にシングルモルトのリリースを始めた、スペイサイドのグレンアラヒー蒸留所。個人的に今注目の銘柄のひとつです。
そのグレンアラヒーのオフィシャル通常ラインナップにおける、最長熟成品が今回のレビューアイテムである25年。市場価格は少々高めですが、原酒構成は40年以上熟成となる原酒を含む25年熟成以上の原酒を用いて構成されており、テイスティングで感じた強い熟成感も納得。度数は48%と通常ラインナップとしては高めな仕様で、バランスがとれつつもリッチなフルーティーさが魅力の1本です。

グレンアラヒー蒸留所は、ブレンド用の原酒調達を目的に1967年に設立した蒸留所です(ブランドPRでは1968年という記載があるが、会社の設立が67年、創業開始が68年だった模様)。以後、同社のブレンデッドであるマッキンレーズのキーモルトとなっていましたが、スコッチウイスキー冬の時代である1980年代に入り消費が低迷。1985年にインバーゴードン社へと売却され、1987年には生産調整のため操業休止。1989年にはさらにペルノリカールへ売却・・・と、ブレンド向け蒸留所の多くがこの時代に経験したようなルートを辿ることとなります。

1990年代に入ってもグレンアラヒーはブレンド向け蒸留所の区分にあり、オフィシャル扱いのシングルモルトリリースはごくわずか。
2000年に入りシングルモルトのブランド価値が向上するなかでも、ボトラーズリリースくらいでしか知られていない、マイナーな銘柄と言っても違和感はなかったと思います。

そのマイナー蒸留所の転機は、ベンリアックやグレンドロナックを一躍世界有数のブランドへと成長させ、2016年にブラウンフォーマンに売却して大きな利益を得た、ビリー・ウォーカー氏の次なるビジネスモデルのターゲットに選ばれたこと。2017年にペルノリカールから大量の原酒ストックと共に蒸留所が売却され、現在の体制へと繋がります。

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(2018年に発売となった、グレンアラヒーのオフィシャルスタンダードラインナップ。後にこの4種にシェリーカスク熟成の15年が加わる。また、シングルカスクリリースも積極的に展開されている。全ラインナップの整理とフレーバー構成については、後日別途機会を作ってまとめる予定。)

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(グレンアラヒー蒸留所創業50周年を記念したリミテッドリリース。上のオフィシャルラインナップの発売に先立ち、6種類のシングルカスクが展開された。このうちの最長熟成となるのが写真の1978年蒸留のシェリー樽原酒。微かにサルファリーだがリッチで奥行きと複雑さの感じられるモルト。酒質の素性は良く、40年弱の熟成を経て枯れた印象もない。)

今回の25年は、近年のスペイサイドモルトでありながら、熟成に耐えるボディの厚さと、その熟成によって得られるリッチなフルーティーさ等、グレンアラヒーの良さとして今後のリリースへの期待も感じられるボトルだと思います。
ただオフィシャル通常ラインナップの宿命とも言える、香味のバランスを整えるようなブレンド仕様になっているが故に、突き抜けるような味わいではない点が、このボトルの味を単体で評価するにあたって「美味しい」の先が別れるところだとも思います。

個人的なイメージは、ラグジュアリーな高級車。分かりやすい速さより、質感重視といいますか。こういうボトルが家飲みにあったら最高なんですが、庶民の私にはそうそう手が出ないので、多少仕上がりは粗いけど、類似のフルーティーさのあるボトルを手に取ってしまう(笑)。
そんなわけで、評価は辛口かもしれませんが、評価方針の違いであって、間違いなく美味しいボトルであることは補足させていただきます。

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以下、本ボトルをテイスティングした、新宿ウイスキーサロンさん繋がりの情報が入ってきましたので合わせて紹介します。

営業自粛中だった同店ですが、本日5月7日から営業時間を14時~20時に改め、カフェとして再開するそうです。
フードメニューに加えて、ノンアルコールカクテルも11種類追加されているとのこと。(アルコール類の提供は継続しますが、ラストオーダーは19時。)
ちなみに写真の清里カレーは、自分も大好きな清里・萌木の村のレストランRockの名物とも言えるオリジナルカレーを取り寄せて提供しており、売り上げの一部を萌木の村に寄付されるという粋な取り組みも。。。
コロナウイルスの影響が厳しいなかで、多くの店舗で工夫し、対策した上での取り組みが始まっていますね。詳細は同店WEBページを確認ください。

カフェ新宿ウイスキーサロン 本日スタート

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