カテゴリ:
IMG_20200229_204950
GLEN HUNTER 
PURE MALT 
21 YEARS OLD 
1980-1990's 
750ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明(1年以上は経過している、覚えてない・・・)
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:ゆったりとした色濃い甘さと膨らみのある香り立ち。デーツやレーズンなどのダークフルーツ、カラメルコーティングしたナッツ、カカオチョコレート。このスウィートでウッディなアロマは、古き良き時代のシェリー感に共通する要素の一つ。

味:若干の緩さはあるが、濃厚なシェリー感主体。香り同様の構成で、ダークフルーツとカラメルソース、ほのかに無花果の甘露煮。粘性と共に少しモルト由来の刺激、樽の裏側のようなざらつくウッディさも感じられる。余韻はオールドシェリーたる色濃い甘さが、ほのかなえぐみ、タンニンを伴い長く続く。

オールドシェリーのひとつである、カラメルソースを薄めたようなシェリー感のあるボトル。GMシェリー、あるいは同時期のグレンファークラスのオフィシャル加水の風味にも似ている。加水のオールドであるため緩い口当たりだが、ブレンデッドモルトらしく繋ぎの粗さが多少ある。それを除けばシェリー樽熟成モルト、往年の味わいを気軽に楽しめる1本といえる。

IMG_20200226_231144

愛好家の間では、ちょっと知られたボトルであるグレンハンター・ピュアモルト。どうも日本(またはアジア地域)への輸出銘柄だったようで、リリースもこの時期のみ。グレンアーガイル社という謎のメーカー含めて、海外の情報は皆無というボトルになります。

ラインナップはピュアモルトの12年、15年、21年と、ノンエイジのブレンデッド。そして構成原酒は不明。恐らく、当時比較的容易に手に入ったハイランドタイプのブレンド用バルクをメインに使って作られた、バックストーリーのないウイスキーの一つ・・・だと思います。実際、この手のブランドはバブル景気に沸く当時の日本市場では珍しくありません。

キャラクターとしては、ピュアモルトの12年、15年は逆算して70年代蒸留ということで、熟成年数なりのコクと柔らかさを伴うものの、プレーンなモルティーさで特段目立った特徴のないブレンデッドモルトです。
15年はオークション相場3000円程度で買えることを考えれば、アリと言えばアリですが、もう一つ個性がほしい・・・。なお、ブレンデッドについてはお察しください。
では、なぜこの銘柄が「愛好家の間では、ちょっと知られたボトル」なのかというと、それは21年の存在があります。

テイスティングの通り、21年だけは色濃く、昔のグレンファークラスやGMのマクファイル等に通じるカラメルソースを混ぜたような、オールドシェリータイプの香味構成。蒸留所は不明ですが、蒸留時期はギリギリ1960年代というスペック。仕上がりは原酒の繋ぎ、樽感とも若干の荒さが見られる点がマイナスですが、味は1960年代蒸留の濃厚シェリー系モルトウイスキーということで、家飲みで何も考えず飲むならと、知ってる人だけ楽しむ銘柄という位置付けでした。

IMG_20200226_231122
(グレンハンター21年 ピュアモルト1980年代流通。今回のレビューボトルとほぼ同じ時期の流通品だが、注目はグラスの中の色合い。明らかに中身が異なる。)

しかし、これだけのシェリー感であれば、もっと話題になっていてもおかしくありません。なぜ知っている人だけ・・・なのかというと、その理由は、上の写真の通りグレンハンター21年にはロットが複数あり、中身も香味も異なるというもの。今回レビューしている濃厚なシェリー感のロットは、その中でも数が少ないためです。(確認しただけで、4パターン存在する)

写真のロットの香味は、15年の延長線上にあるキャラクター。ソフトでマイルド、若干の植物っぽさを伴うが個性に乏しいタイプ。緩い麦芽の甘味とほんのりカラメル系シェリーのニュアンス、年数なりに感じられるタンニンと渋味。レビューアイテムが1st fill Sherryなら、こちらは2nd fillという香味構成です。
正直、このボトルについては味が悪いとは言いませんが、率先して購入して飲むか・・・と言われると断言できないですね。
また、構成原酒も微妙に違うのか、あるいは経年変化からか微かにソーピーな香味が混じるものも・・・。同じラベルで地雷系まであるとなれば警戒もしてしまいます。

これが同じデザインやロットの中でシェリーの濃淡2パターン存在するのが困ったところ。ラベルデザインの微妙な違いから、確実に違うといえるロットもありますし、最終的には色を見れれば間違いないのですが・・・ネットだと手にとって見れるわけではないため確実には見分けられない。
まあ、今の市場において安さをとるなら相応のリスクを覚悟しなければならない、ってことなんですね。