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BURN STWART 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
Aged 21 years 
1990's 
750ml 43% 

グラス:不明
場所:お酒の美術館 池袋店
時期:開封直後
評価:★★★★(4)

香り:注ぎたてはドライであまり香りが開かないが、徐々にフローラルでパフューミーなアロマが支配的に。ポプリ、香水、乾いた麦芽とバニラの甘さ。

味:口当たりは水っぽく、薄いような印象があるがワンテンポ置いてフローラルな含み香。ややカラメル系の甘味と乾いた麦芽のほろ苦さ。フィニッシュはパフューミーでドライ、長く支配的に残る。

評価についてはもはや単純に好みの問題であり、基準点から加点することは出来ない。この手のフレーバーが大丈夫という方は問題なく楽しむことができるであろう、比較的モルティーでリッチな香味の広がりがある。ただ、それが自分にとっては苦手以外の何物でもない系統であったということである。


オールドブレンデッドを探求していると、こんな銘柄があったのかと思うボトルに関わっている率が高いと感じる一つがバーンスチュワート社。先日も同社がリリースしていた時代のグレンエルグをレビューしたところですが、今回のボトルもほぼ同時期、1990年代に同社が外部調達した原酒を使って作られたとされるブレンデッドです。

バーンスチュワート社は、1948年に創業した蒸留所を持たない零細的なブレンデッドメーカーですが、1988年に買収されて経営者が変わった後、拡張路線を辿ります。
具体的には
1990年 ディーンストン蒸留所
1993年 トバモリー蒸留所
2003年 ブナハーブン蒸留所
をそれぞれ取得。ディーンストンとトバモリーはウイスキー不況を受けて1982年に閉鎖されていた蒸留所であり、それを再稼働させての事業拡張です。

単に再稼働といっても、電源を入れ直せば動くというものではなく、設備の修繕や改修、人員の配置など金も時間も当然かかります。特に1993年からの10年間はトバモリーの再興に尽力したようで、蒸留所の大規模な改修やレダイグブランドの復活など、近年のブランドの基礎を作ったと言っても過言ではありません。
2003年のブラックボトルブランドと、ブナハーブン蒸留所をエドリントンから取得した際は、閉鎖されていた蒸留所という訳ではなかったものの、その後ブナハーブンは順調に販売量を伸ばして現在に至っています。
(バーンスチュワート社そのものは、2002年と2013年の買収によって、それぞれ親会社が変わっている。)

さて、今回のボトルの流通時期は、同社がディーンストンとトバモリーを取得したあたり。ですが、このブレンドのキーモルトはこのどちらでもないと考えられます。
なにせ、テイスティングの通りとてつもなくパフューミーな香味であるため。両蒸留所とも癖のある原酒を作りますが、該当するフレーバーが出ていたことはなく、テイスティング前のこのどちらかが使われているのでは。。。という期待は脆くも崩れたわけです。

流通時期を1995年前後と考えると、原酒の仕込みは1970年代前半。ボウモアにしてはピーティーさが乏しいので、旧エドリントンあたりからグレンタレットの原酒でも調達したのではないでしょうか。
構成は比較的モルティーで、モルト6:グレーン4くらいか。加水の影響か少し口当たりで水っぽさはありますが、香味の広がりはしっかりとしていて、麦芽系の風味もパフュームライクな中に感じられます。

ただ、社名を掲げたブレンドで、こういうフレーバーを出すというのは、もう好みの違いとしか言えません。
当時のバーンスチュワート社の経営陣とブレンダーは、このフレーバーが良いと判断したということなのですから。
好みと思う方、我こそはと思う方は是非どうぞ。昨年話題になった言葉を借りれば「挑戦する勇者を止めはしない」です。