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USHER'S 
GREEN STRIPE 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
1980's
750ml 43% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:&BAR Old⇔Craft 
評価:★★★★(4ー5)

香り:ドライでプレーンな香り立ち。ザラメを思わせる甘さ、乾いた穀物や干し草、若いモルティーさも奥に感じられる。

味:口内に粗さの残る口当たり。グレーン由来のバニラウェハースやサトウキビのような甘味。ハイランド系のプレーンなモルトと針葉樹を思わせる乾いたウッディネス。
余韻はドライでオレンジピールのほろ苦さ、微かにピーティー。

グレーン感強く全体的に原酒も若い、ライトでドライな味わい。個性の穏やかな内陸原酒に、7~8割はグレーンと思われる構成である。グレーンも若いためか蜂蜜のようなとろりとしたコクはなく、乾いたような印象も受ける。ハイボールで飲むにはちょうど良さそう。

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ウイスキーの勉強でブレンデッドウイスキーウイスキーのルーツを探ったことがある方なら、名前を見たことがあるのではないかという、ブレンデッドスコッチの元祖とも言える銘柄がアッシャーズです。
キーモルトはコールバーン。古くはグレンリベットが紐付けられますが、同ブランドは1919年からDCL傘下となっているため、以降は同グループにおけるブレンド用のバルク(ハイランドタイプ)が、モルトの大部分を締めているのではないかと感じます。

1860年、法改正からモルトとグレーンをブレンドすることが許可された時代。真っ先にブレンデッドウイスキー”アッシャーズ”を作り出したのが、アンドリュー・アッシャー社。
以後、アッシャーズはリリースが継続され、
大変長い歴史とエピソードに溢れた銘柄となるのですが。この半世紀の味の推移を振り返えると、60年代は平均的、しかし70年代から80年代に大多数のスコッチから徐々にモルティーさとコクがなくなっていくなかで、それ以上の勢いで味を落としているという印象があります。

この原因となるブレンドレシピを紐解くエピソードが、アッシャーズのルーツにある銘柄、1853年に誕生したUSHER'S Old Vatted Glenlivet(OVG)にあります。
OVGの発売当時は、異なるヴィンテージのグレンリベットをブレンドしたバッテッドモルトでしたが、1880年には3分の2が安価なグレーンで構成されていたとされ、グレンリベットは僅か10%程度しか使われていなかったと言います。

結果、僅か10%程度しかグレンリベットを使っていないのに、グレンリベットを名乗るとはどういうことか、という問題にもなったそうですが、その話はまた別の機会に。
いずれにせよ同社が同じ整理でアッシャーズを作っていたとすれば、蛙の子は蛙というか。モルトのパワーが弱くなったと共に味を落とすのも納得のレシピだなと。なんとも諸行無常な味わいであります。

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今日のオマケ:セントクレア シャルドネ パイオニアブロック No,11 2016

ニュージーランドのシャルドネ。値段の割に良いと評価の高いブランドのようで、試しに2本お買い上げ。赤のピノ・ノワールのほうは神の雫でも取り上げられ、知名度が上がってきているそうです。

グレープフルーツやライチ、酸のある林檎を思わせる果実香に、口内で微微炭酸とも言えるじゅわっとした刺激を与えるミネラル分から、しっかりめの酸とコクを感じる味わい。
余韻にかけて樽由来のウッディネスが全体を引き締める構成。
X'masのおうちディナーで、鶏の丸焼き(ハーブ、ガーリック、塩味系)とも合わせてみましたが、皮や肉の脂を酸味が緩和し、新世界らしくボディの強い味わいが全体を包み込む。なかなか良い組み合わせで楽しむことが出来ました。