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カテゴリ:長濱(長濱浪漫ビール)

長濱ウイスキーラボ ブレンディングセミナーで楽しむブレンドウイスキーの魅力

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長濱浪漫ビール(長濱蒸溜所)から、ゴールデンウイーク5月3日~5日の企画として、AZAI FACTORYでのブレンディング体験教室が告知されています。

先日紹介した発刻、祥瑞、グレンマッスル各種、そして現在進行形のいくつかの企画…。長濱蒸溜所関係者を除けば、長濱蒸溜所でのブレンドに最も関わっているのが自分です(たぶん)。
その経験から断言すると、ウイスキー愛好家がシングルカスクでオリジナルボトルを選定するのは浪漫である一方、ブレンドで自分だけのウイスキーを造るのは、浪漫以上に楽しさがある、最高の贅沢の1つ。はっきり言って、めっちゃ楽しいですよ。


長濱蒸溜所 AZAI FACTORY ブレンディング体験教室
5月3日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000127
5月4日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000128
5月5日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000129

◇スケジュール
13時  長浜浪漫ビール集合
14時  ブレンディングセミナー開始
15時半 終了・小学校セラー見学
16時  長濱浪漫ビール着・懇親会


今回のブレンドセミナーは、滋賀県・長浜にある旧七尾小学校(廃校)を活用したAZAI FACTORYで行われます。
この設備は、校舎をウイスキーの熟成スペースに活用しつつ、理科室でブレンドセミナーを行う等、長濱蒸溜所の分室的な位置づけで2021年から整備が進められているもの。蒸留所からはkm単位で離れた場所にあることもあって通常は見学コースに含まれていないため、同蒸留所の熟成環境を見学できる機会でもありますね。

また、蒸留所に戻ってからの懇親会も、長濱蒸溜所見学における魅力の一つと言えるイベントであり、激しくお薦めです(笑)。
スケジュールとしては13時蒸留所集合、懇親会を経て19時ごろ解散であるとしても、東京から日帰りで参加出来るのもポイントです。

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※長濱蒸溜所 AZAI FACTORY 内部。どこか馴染みのある小学校の各種設備の中で熟成中のウイスキー。自分の小学校時代を思い出す懐かしさだけでない、ウイスキーに対する興味や高揚感、言葉で表せない不思議な感覚が湧き上がってくる。

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※AZAI FACTORYでの見学、ブレンド後は、長濱蒸溜所の見学と併設レストランでの食事。小規模であるため見学自体は小一時間で終了するが、食事は出来立て地ビールや長濱ハイボールと近江牛等を使った地元メニューで、通常訪問時でもついつい長居してしまう。


■長濱ブレンディングセミナーについて
これまで長濱蒸溜所は、現地以外に東京やオンラインでもブレンドセミナーを開催してきました。

なぜ長濱がブレンドかというと、同社のブレンデッドモルトウイスキーのAMAHAGANは、元々ブレンドの技術やノウハウを得るためにと位置付けられて発売されたところ。
様々なブレンドにトライし、リリースを重ねるうちに世界的なコンペでも評価され、まさに看板商品にもなったわけですが、そうした経緯からブレンドの可能性や面白さをもっと知ってほしい、そのためには実際に経験してもらうのが一番と考えたからなんですよね。

今回の記事はむしろこちらがメイン。過去のブレンディングセミナーの様子をまとめ、セミナーがどんなイメージで行われるのか、そしてどのようなウイスキーが出来るのかを紹介していきます。

※ご参考:自分のウイスキー仲間2名も、長濱ブレンドセミナーの記事や動画をUPしています。
ブログ:長濱蒸溜所のブレンド体験セミナーへ参加してきました @K67
https://k67malts.wordpress.com/2022/01/24/nagahama_blend_semi/

動画:ウイスキーのブレンド体験してきた【長濱ウイスキーラボ】@ランプちゃん
https://youtu.be/KlUGlm9WfEY

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長浜ウイスキーラボでのブレンディングセミナーは、同蒸留所の屋久ブレンダーが講師となって、蒸留所側で用意した6種類の原酒を使ったブレンドを実体験するだけでなく、作成したブレンドはお土産として持ち帰って楽しむことが出来ます。

セミナーでの基本的な原酒構成は、
・ハイランドモルト5年(ノンピート)
・ハイランドモルト8年(ノンピート)
・ハイランドモルト8年(ピーテッド)
・スコッチグレーン
ここに、長濱蒸溜所のモルト原酒(ワイン樽やシェリー樽など)と、その日のスペシャルウイスキーが1つ加わって、6種類の原酒が準備されています。
スペシャルウイスキーは何が出てくるのかわかりませんが、自分の時は約30年熟成のスコッチウイスキー。他には1982年蒸留のグレーンウイスキー等もあったようです。


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ブレンドするためには、そしてどんなレシピを作るかを考えるには、まず各原酒の個性を知らなければなりません。
セミナーの初めは、屋久ブレンダーからの説明を聞きつつ、用意されている各原酒をテイスティングするところから始まります。少量といっても6種類ありますので、この時点で飲みすぎないように注意です。なぜなら、この後ブレンドが始まると、試作品の確認としてさらに飲むことになるからです(笑)。

一通り試飲が終わったら、配られているスポイトを使ってグラスから原酒を吸い取って、自分のイメージするブレンドを作っていきます。(足りなくなった原酒は、その都度足してもらえます)
ウイスキー原酒には、混ざりやすい原酒、混ざりにくい原酒、その個性によって様々なタイプがあります。長濱蒸溜所が用意している原酒は比較的混ざりやすいモノが多く、難易度としては入門向けに抑えられていると言えますが、それでも基本は抑えないと取っ散らかったブレンドが出来てしまいます。

その基本はセミナーで屋久ブレンダーから説明があると思いますので、ここでは省略しますが、他にも味に深みや奥行きを出すためには、同じ方向の香味の原酒だけではなく、あえて真逆の香味のモノを少量使ってみるとか、グレーンウイスキーについてもその熟成感と香味に応じて使う量を調整したりとか。。。

例えば、ピートが苦手だからと、フルーティー系の原酒だけで仕上げようとするより、ほんの少しだけピート原酒を加えたほうが、フルーティーさが引き立ったり。モルティーなウイスキーを作ろうとする場合でも、100%モルトにするより、5~10%はグレーンを使ったほうが、口当たりの滑らかさと香味の膨らみがギャップとなって、逆に味わい深いウイスキーに仕上がるのです。

6種類の原酒でのブレンドでも、組み合わせはとてつもない数となります。きっと夢中になって作って飲んでを繰り返した結果、ウイスキーが出来上がるのが先か、自分が出来上がるのが先か、そんな状況になるんじゃないかと思います。

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冒頭書いたように、ブレンディングセミナーの最後は、作成した自分のレシピでお土産用のブレンドを作ってもらうことが出来ます。
ブレンドしたばかりのウイスキーは完全には馴染んでおらず、日を置いて飲んでみると、また違った表情を見せてくれるのがブレンドの奥深さであり、難しさでもあります。そこまで経験して、セミナーが完了するとも言えますね。

そして過去には、セミナーで参加者が作ったレシピをベースにしたウェビナーエディションがAMAHAGANからリリースさたりもしましたが、作成したウイスキーを参加者同士で交換してみると更に面白さが広がります。

私も上述の知人2名と、自分の作品を交換してテイスティングしてみました。
K67さんはモルティーでバランス寄りのブレンドだけど、ピートの扱いに苦労したんだろうなーとか。ランプさんはマイルドでメロー、随分グレーン寄りのブレンドにしたんだなとか。単に味わいだけでなく、原酒や工程を知っているからこそイメージできる景色があります。
イベント参加にあたっては小瓶を用意しておいて、懇親会で知り合った方々とブレンド交換をしてみるのも良いかもしれません。

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今回の記事は、別に長濱蒸溜所から依頼を受けて書ているわけではなく、純粋にこの企画が楽しいと感じての紹介になります。
最近は各種シングルモルトのリリースに加え、キリンの陸など、ブレンドに必要なハイプルーフの原酒が手に入りやすくなりました。ウイスキーの楽しみ方はもっと自由であっていいと、度々ブログやツイッターで発信してきた自分としては追い風を感じる状況ですが、その楽しみ方の1つ、ブレンドについて学べるセミナーは貴重な機会です。

今回のイベントでは、日々進化を続ける長濱蒸溜所について知ることが出来るのは勿論、ウイスキーそのものについても、ブレンドの奥深さを経験して新しい楽しみ方を見つけることが出来ると期待しています。
視野が広がるというと大げさかもしれませんが、きっとウイスキーライフの充実に一役買ってくれると思いますよ!

お酒の美術館 祥瑞 & 発刻 オリジナルブレンデッドウイスキーのリリース

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全国にBARチェーンを展開する”お酒の美術館”から、同社初となるプライベートボトル、ブレンデッドウイスキー祥瑞(しょうずい)発刻(はっこく)が、各200本限定でリリースされます。
ウイスキー原酒の提供、製造は長濱蒸溜所。ブレンダーはくりりんが務めさせて頂きました。
※いつものように、趣味の活動の一環としての協力であり、売り上げや監修料といった報酬は一切受け取っておりません。

どちらのウイスキーも、長濱蒸溜所のモルト原酒、同社が輸入したスコッチグレーン、スコッチモルトを用いたブレンデッドウイスキー。
祥瑞は入門向けのブレンドであり、軽やかでフルーティーな、わかりやすさを重視した味わい。
発刻は愛好家向けのレシピであり、どっしりとスモーキーでシェリー樽原酒の効いた濃厚かつ複雑な味わいが、それぞれ特徴となっています。

また、祥瑞は47%に加水調整して飲みやすさを重視し、ウイスキーに馴染みのない方でもロックやハイボールで気軽に楽しんで貰う確信とをイメージして、価格もその分控えめに。
一方で発刻は加水調整をしていない、58%とハイプルーフ仕様のブレンド。シェリー系でヘビーピートという愛好家が好む、ちょっと尖った仕上がりをイメージしてブレンドしました。

ラベルやブランド名についてはお酒の美術館側で作成されており、私は一切タッチしていませんが、ラベルには源氏物語絵巻が用いられ、日本的な雰囲気と共に複数枚で1つとなる構想が。祥瑞は吉兆を、発刻は始まりを意味する単語であり、お酒の美術館のPBシリーズがこれから始まる、その行く先が明るいものであることを期待したネーミングとなっています。

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企画が動き出したのは昨年末。。。そうなんです、動き出してから半年経ってないんです(笑)。自分も大概ですが、この会社のスピード感ヤバいですね。
制作にあたり「1本は入門向けで、1本は愛好家向け、価格は同店の提供価格帯から外れないもの」という指定は受けていました。そして「後はくりりんさんに任せます」とも。
いち愛好家にすぎない自分を信頼頂いた、とても光栄な申し出ではあるのですが、酒美常連として変なものは作れませんし、責任も重大です。

だってコロナ明けで昔のように気軽に夜出歩くようになった時、自分のブレンドがいつまでも減らずに残っていたらと思うと…ぞっとします。
ただ今回、原酒を提供いただくのは長濱蒸溜所です。勝手知ったるとは言いませんが、これまでPBで何度もお世話になっているので、企画の進め方や原酒の個性を掴みやすいのは有り難かったです。(長濱蒸溜所からも、自分の起用を推薦してくださったとも聞いています。)

ということで、連絡を頂いてから速攻で伊藤社長&屋久ブレンダーに連絡をとり、コンセプトに自分のイメージを加えて原酒のピックアップを依頼。
ここも早かったですね、1週間程度でモルト、グレーン、10種類の原酒が揃う長濱蒸溜所のスピード感。入門向けで3種、愛好家向けで3種、計6種のレシピを作成し、屋久ブレンダーとも相談しながら、加水やレシピの微調整を実施。
最終的にどれをリリースするか、そもそも企画を進めるかは、お酒の美術館にお任せしました。

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(今回のブレンドの原酒候補。ここにもう一つ加わって10種類のモルト・グレーンウイスキーからレシピの模索を行った。)

結果、選ばれたレシピのキーモルトとなっていたのが、どちらも写真右側の1本、ラインナップの中で異彩を放つ濃厚なシェリー樽熟成原酒(長濱蒸留モルト)です。
また左側にある色の薄いモルトウイスキーは、リフィル系の樽構成ながらフルーティーでモルティーな味わいが魅力的。ここに20年熟成のグレーンウイスキーを加えて、祥瑞と発刻の主要構成原酒となっています。

この3種の原酒だけなら2つのレシピの香味はそう変わらないところ、ここがブレンドの面白さです。
これらをベースとして、長濱蒸溜所のヘビーピート原酒や、熟成輸入原酒など、他に使用した原酒の比率や個性で、味わい、熟成感、全く違うスタイルにが仕上がったのは記載の通り。軽やかでフルーティーな祥瑞、リッチでピーティーな発刻。是非、飲み比べもしていただけたら嬉しいです。

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THE SHOZUI 
BLENDED WHISKY 
“Sherry & Fruity”
Malt 90 : Grain 10
Blender Kuririn
Bottled by Nagahama Distillery
700ml 47%


乾いた麦芽香にケミカルなフルーツ。洋梨、シトラス、パイン飴。軽やかなフルーティーさが香味の主体で、奥にはホームパイのような香ばしいモルティーな甘さも感じられる。
余韻は軽いスパイシーさとメローな甘み、染み込むようなフィニッシュ。
飲み方はなんでも。個人的にはスターターな1杯。ハイボールで気軽に飲んでほしい。

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THE HAKKOKU
BLENDED WHISKY
“Sherry & Peaty” 
Malt 90 : Grain 10
Blender Kuririn
Bottled by Nagahama Distillery
700ml 58%


燻製チップ、ベーコン、BBQソースを思わせる、スモーキーで香ばしく甘いアロマと、ピーティーでリッチなシェリー感を伴う口当たり。ドライプルーンや濃くいれた麦茶、奥にはエステリーな要素もほのかに混じる。
余韻はスパイシーでビター。どっしりとしたスモーキーフレーバーが長く続く。
飲み方はストレートか少量加水で。

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記事のまとめとして、お酒の美術館の近況について。
同BARはリサイクル業等いくつかのビジネスを行っていた、株式会社のぶちゃんマンが運営する事業の一つです。
同社はバブル期や第一次洋酒ブームで輸入されたウイスキー、つまりリユースのオールドボトルを使ったBAR事業に注目し、2017年に京都に1号店(三条烏丸本店)を開店。その後2018年には神田店を、さらには日本各地にフランチャイズ店を展開し、2022年4月1日には銀座店(写真上)も出店されています。

1コインから手軽にウイスキーが飲めるというコンセプトや、駅地下商店街、コンビニ等と提携し、独自の経営システムを構築することで、現在は日本全国で約40店舗と、とてつもないスピードで成長を続けています。
その独自システムの1例がフード提供です。同BARは大半の店舗で「持ち込み自由」であり、中には3月に開店した関内マリナード店のように、近隣飲食店のメニューが置かれて注文が取れる店舗や、「ファミチキ専用ハイボール」なんてメニューがある店舗まで。
下町の個人経営の飲食店とかだとたまに見るシステムですが、全国チェーンでってのは珍しいですよね。

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一方で、急拡大するお酒の美術館には、スタッフのバーマンとしてのスキルが未熟であるとか、オールドボトルの状態良し悪しの見分けがつかないとか、人材的な問題点を指摘する声もあります。
勿論同社として研修は行っているようですが、ただでさえ人材の乏しい業界で、これだけの急拡大。速成教育の弊害というか、既存のオーセンティックBARに比べたら、いわゆる安かろう悪かろうに見えてのことだと思います。

ですが、中にはしっかりとしたスキルを持たれている方も居ます。元神田店の店長で、現在銀座店でカウンターに立つ上野さんはその代表。ウイスキーの状態判断はもちろん、カクテルも銀座にあって恥ずかしくないレベルのものを提供されています。

じゃあその上野さんも神田店開店の3年前はどうだったかというと、同BARの強みであるオールドボトルの知識は走りながら学ばれてきたというのが嘘偽りないところだと思います。現在は銀座店でワインやシャンパンも多く扱うようになったので「勉強しないと…。」と悩まれていましたが、これもすぐに立ち上がるんじゃないでしょうか。
他の店舗でも、20歳ちょっとで入ってきた若手が、1年後には範囲こそ限定的ながらバリバリにオールドブレンドを語れるくらいに成長していたり。同店から別なBARに転職し、その知識を使って看板的な立ち位置を掴んでる人も。
無茶振りってのもある程度までは有効で、環境は人を育てるんだなと感じます。

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お酒の美術館は気軽にお酒を楽しめる分、足りないものはお客が補うくらいでちょうどいいと、私は考えています。
そしてお客がもたらす知識や情報を、現場のスタッフが吸収して、気がつけばお店として独自の空気、スタイル、魅力を身に纏っている。お店としては開店時点でタネが植えられているような状態で、何がどう育つかは環境次第という、そんなイメージがあります。

その意味で、今回リリースされたお酒の美術館初のオリジナルウイスキー「祥瑞」と「発刻」は、経験こそあれどアマチュアであるお客の1人にブレンドを任せるというのが、お酒の美術館らしい企画と言えるのかもしれません。
であれば、私もこのウイスキーのブレンダーとして、皆様からいろいろ意見・感想を伺いたい。そして、お酒の美術館だけでなく、あるかもしれない次の企画に向けて、実績の一つとしたい。
そう、気がつけば今年は既にT&T TOYAMAのTHE LAST PIECEとで、4種類のブレンドに関わっているんですよね。愛好家兼フリーのブレンダー、新しいじゃないですか(笑)。

改めまして、貴重な機会を頂き感謝の念に耐えません。このリリースが、お酒の美術館にとっても、私にとっても、吉兆であり、将来に向けて動き出す後押しとなることを祈念して、本記事の結びとします。

長濱 シングルモルト 2017-2021 オーナーズカスク 58.2% フレンチオーク

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NAGAHAMA 
FOR CASK OWNER 
Aged 3 years 
Distilled 2017 
Bottled 2021 
Cask type French oak 
Malt type Peated 
700ml 58.2%

香り:焦げたようなウッディーさとピート香が強く香る。日本家屋の中にいるような木香、鰹節のような出汁感に、燻したようなスモーキーなアロマが立ち上がる。

味:キャラメルソースを思わせる甘みとビターなウッディネス、そして存在感のあるスモーキーさが同時に広がる、濃厚で色濃い要素を強く感じる味わい。
余韻はタンニンが強く口内の水分を奪っていく中で、鰹節感のあるピートスモークが長く残る。

本来ならこの熟成年数ではまとまらないような様々な強い個性を、長濱の柔らかくクリアなモルトの甘みと質感が繋いでいる。その点で、長濱蒸留所が短期熟成で原酒を仕上げていく、懐の深さ、樽感との馴染みのいい原酒であることが窺える。
今回はフレンチオークの新樽であるが、シェリーやワインなど、樽感を強く付与するような組み合わせでも、しっかりと香味を形作ることが期待できる。ウイスキーの完成度よりも、蒸留所としての期待値を高めることが出来る1本。

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昨年、ウイスキー繋がりの知人から譲って頂いた、長濱蒸溜所のオーナーズカスク払い出しの1本。たくさんあっても飲み切れないので、普段お世話になっている皆さんにあいさつ代わりに配ってるんですよ、と。なんて徳の高いお方でしょう…。

ただ今回のボトルは、新樽フレンチオークのオクタブカスクで熟成した、3年熟成の長濱蒸溜所のピーテッドモルトです。
オクタブカスクのサイズは60リットル程度のもの。つまり、新樽で、樽感の強く出るフレンチオークで、そして原酒に対して接触面積の増える小型サイズの樽で、更に温暖な長濱の熟成環境。ある程度ウイスキーを飲んでる人なら、これらの要素を受け止めて短期間でまとめるには、樽や原酒に求められるスペックが非常に特殊というか、何らかの工夫が必要であることは想像に難くないと思います。

それこそ、一般的なモルトのニューメイクを突っ込んで同じ条件で3年熟成させたとしたら。原酒の若さが残り、バチバチと粗い口当たりの中で、隠れていたニューポッティーな要素が目立ち始め、濃く渋いウッディなフレーバーが襲い掛かってくる…。
樽感がアクセント?いやいやとんでもない、アクシデントですよ。
というレベルでまさに事故。とても飲めたものではない何かが出来上がってしまうわけです。

こうした短熟の難しさを克服して、武器にしてきた代表格が台湾のカヴァラン蒸留所です。そのクオリティは今や世界的に認知されていることも、説明は不要かと思います。
一方で、日本国内においてそれを成り立たせることが可能な蒸溜所が、現時点で2か所。その1つが嘉之助蒸溜所、そしてもう一つが長濱蒸溜所だと私は考えています。

それは今回のボトルが、他の蒸留所ならそもそも熟成に無理のある、いわば記念品のような位置づけであるにも関わらず。
本来馴染むのに時間がかかるはずの各要素を酒質が受け止めて、ウッディな渋みはありつつも、なんとか楽しめるクオリティに仕上がった点に、蒸留所としての可能性を感じることが出来るのです。

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(長濱蒸溜所のアランビック蒸留器。長濱蒸溜所が目指す酒質を作る上で欠かせない。)

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(AZAI FACTORY内にあるワイン樽の1つ。日本でも有名なボルドー赤ワインの樽であり、今後のリリースが楽しみ。)

長濱蒸溜所はAMAHAGANのリリースが話題になっていますが、実はクリアで柔らかく、そして麦芽風味の豊かなモルト原酒を生み出しています。
この原酒は、原酒の性質と熟成環境、そして樽の質もあって、短熟からでも仕上がる特性は先に触れた通りです。そしてその特徴が生きて、シェリー樽原酒のリッチな味わい、ワイン樽原酒の豊かなベリー系フレーバーなど、色濃いフレーバーを付与する樽との馴染みが良いのも特徴だと言えます。

それを証明するかのように、WWA2022では3年熟成の長濱シェリーカスクがカテゴリーウィナー。IWSCでは同じく3年熟成の長濱ワインカスクが最高金賞となり…、そして3月23日にはアジア地区での最高評価、トロフィー受賞も発表されています。

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Nagahama distillery Bordeaux Red Wine Cask 1564 Single Malt Whisky
https://iwsc.net/results/detail/121485/bordeaux-red-wine-cask-1564-single-malt-whisky

こうしたコンペの結果だけで単純比較はできませんが、少なくとも出品物は、短熟ウイスキーの先駆者とも言えるカヴァラン以上の評価を受けたということになります。
サントリー、ニッカら現在日本の大手ウイスキーメーカーも、かつてはスコットランドの有名銘柄とコンペで競い合い、受賞を重ねることで世界に認知される一大ブランドとなりました。
今回の受賞もまた大きな結果であり、将来に向けた着実な1歩でもあります。

長濱蒸溜所は日本最小規模の蒸留所の1つですが、先日の記事でも紹介したように蒸留所内、トンネル、廃校、離島(琵琶湖内)と、滋賀県内4か所にある異なる熟成環境が2021年に整備され、多様な原酒を熟成し始めたところ。まだまだ成長段階にある蒸留所です。
今回の受賞は、蒸留所の成長を後押しする結果となるのは間違いありません。滋賀県の長濱から、世界の長濱へ。更なる展開を楽しみにしています。



OKIBA -ON AIR- 6th 長濱蒸溜所 屋久ブレンダーを迎えて 2月27日22:00〜

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Twitter スペース放送
OKIBA ‐ON AIR‐ 6th
放送日:2022年2月27日(日)22:00~23:30


ホストアカウント:くりりん@WarehouseWhisky
ゲスト:長濱蒸溜所 ブレンダー 屋久佑輔氏


トークテーマ:
・話題のリリース:
 -厚岸ブレンデッドウイスキー 大寒
 -AMAHAGAN まどろみバーメイド
・クラフト蒸留所紹介:長濱蒸溜所
・ブログ読者、リスナーからの質問回答:
 ※現在質問募集中です!

配信URL:https://twitter.com/i/spaces/1mrGmaAvqQWGy
※時間になりましたら入場出来ます。入退出は自由です。
※ゲスト以外のスピーカー参加は受付ません。質問は、@WarehouseWhiskyまでメッセージにてお願いします。
※アーカイブ放送は行いません。録音も禁止とさせていただきます。ラジオ感覚で楽しんでいただけたらと思います。


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今回は長濱蒸留所でブレンダーを務める、屋久さんをゲストに招いて、2人で話題のリリースや蒸留所紹介を進めていきます。

屋久佑輔(略歴):
長濱蒸溜所 ブレンダー。バーテンダー時代を経て 2017 年長浜浪漫ビール入社、入社当初は仕込み・蒸留をメインで担当、現在はブレンダーとしてレシピ設計や体験型セミナー等、ウイスキーの奥深さを伝えている。


屋久さんとは2017年の入社直後、スティルマンとして蒸留に関わられていた時、私が蒸留所見学に行ってお会いしました。
それ以外で特にツルんでプライベートで何か、ということはなく、蒸留所見学やイベントなどでお会いするくらいの関係で。ただ、屋久さんがブレンドに関わられるようになり、くりりんもまたブレンドリリースに足を突っ込むようになると、ちょいちょい接点が出てきたという感じです。

そのため、これまでのスペースでゲスト参加頂いた方々とは、また違う距離感でトークが進んでいくと思いますが、私は容赦しません(笑)。屋久さんもきっと、このノリを受け止めて頂けることでしょう。
皆様、ぜひご参加ください!!


~~※※以下、当日参考資料※※~~

①:話題のリリース
今回は通常のOKIBA放送なので、話題のリリース紹介があります。
ピックアップするのは、2月に発売された2種類。
・厚岸 ブレンデッドウイスキー 大寒
・AMAHAGAN まどろバーメイド ”月川雪”
です。

長濱蒸溜所の若きブレンダーは、厚岸ブレンデッドウイスキーに何を見るのか。
そして、自ら手掛けるAMAHAGANのブレンド秘話と共に、2つの銘柄を語って頂きます。

厚岸蒸留所のリリースについては、まさか長濱蒸留所のブレンダーが語るなんて、普通のセミナーじゃあり得ないような企画ですが、本放送はどこにも属さない、ただの愛好家の企画なのでやっちまいます。
そしてAMAHAGAN“まどろみバーメイド”は、リリースコンセプトとなったワイン樽原酒による“ツイスト”を思いつく経緯や、今後の続編に関する話もしていきたいですね。

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(厚岸蒸溜所 二十四節気シリーズ 雨水、処暑、大寒。
ピーティーで樽感も個性強めだった過去2作と異なり、大寒はピートフレーバーがライトでモルト以外にグレーンの風味が雪景色の白い世界を思わせる。これまでとは系統の異なる味わいに仕上がっている。)

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(AMAHAGAN ワールドブレンデッド まどろみバーメイドコラボ“月川雪”
魅力的な絵柄と、カクテルに関する深い造形で人気の漫画とのコラボリリース。発売日には蒸留所にまで列ができたという。アマハガンのレシピを、赤ワインと白ワイン樽の原酒で“アレンジ(ツイスト)”した、コラボ要素もしっかり備わっている。次回作は、伊吹騎帆か、陽乃崎日代子か…)

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(限定品含む、AMAHAGANの全リリース。コラボPBも含めると、このケースに収まらない。2018年から3年で、ここまで増えるとは…。)


(長濱蒸溜所PR動画。断片的ではあるが製造風景や熟成の流れなどが映像から伝わってくる。)


②蒸留所紹介:長濱蒸蒸溜所
蒸溜所紹介は勿論、滋賀県は長濱蒸溜所です。
元々1996年に、リカーマウンテンが開業したクラフトビール醸造所がベースとなり、2016年からウイスキー製造を開始。
この蒸留所もまた、自分がよく口にしている「最寄駅ちゃんと最寄りとして機能している蒸留所」であり、首都圏からの交通の便は良好。
併設レストランの食事と、同蒸留所で仕込まれるビールは地元のファンも多い。

1日平均で200リットルという生産量故に、1醸1樽がキーワード。
アランビックタイプの蒸留機で仕込まれる原酒は、柔らかく軽い香ばしさのある麦芽風味が主体で、嫌味の少ない短熟から仕上がるタイプ。1日あたりの生産量は少ないものの、日々の積み重ねにより、本当に多くの原酒が仕込まれています。
世界に通用するウイスキーをモットーに、とてつもないスピードで様々な活動を展開するのも長濱蒸留所の魅力であり、訪問するたびに新しい取り組みや改修が行われています。

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【簡易年表】
・1996年 ブリュワリー&レストランとして創業
・2017年 2016年にウイスキー製造免許を取得し、本格的に製造開始。
・2018年 スチルを2機から3機に新設&増設。AMAHAGANをリリース。
・2020年 長濱産麦芽による試験製造を実施。初のシングルモルト3種をリリース。
AMAHAGANがWWAの部門賞を受賞。ブレンデッドウイスキーによるPBリリースを開始。
・2021年 原酒交換によるリリース2種を発表。
熟成庫(トンネル)を公開。
廃校となっていた七尾小学校を活用し、AZAI FACTORYを始動。(校舎を使った熟成、長濱ウイスキーラボ)等を開始。
琵琶湖 竹早島での熟成を開始。
クラウドファンディングを活用してウイスキー事業を拡大。

※上記以外にも、本当に多くの取り組みが行われており、全て例示するととんでもないボリュームになります。詳細はこちら

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(ワールドウイスキーアワード2022で、長濱シングルモルト Sherry CaskがSmall batch Single malt部門でカテゴリーウィナーを受賞。モルト原酒も着実に成長してきている。)

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(2021年に公開された、長濱蒸溜所の熟成庫。使われなくなった県道のトンネルを活用している。内部は夏場でも非常に涼しく、また湿度も高い。)

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(廃校となった七尾小学校を活用したAZAI FACTORYでの熟成風景。特別な樽は校長室に置いてあるとか。さまざまな種類の樽があり、将来に向けた準備が進んでいる。屋久さん曰く、ワイン樽に可能性を感じているとのこと。また、理科室ではブレンドセミナーが開催されている。)

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(2016年に廃校となった小学校だが、設備や掲示物などが当時のまま残されており、懐かしさと寂しさが入り混じったような気持ちにさせられる。)

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(竹早島の熟成庫に送られる樽。蒸留所社長の伊藤氏いわく「パワースポット熟成」。長濱蒸留所は、蒸留所内、トンネル、学校、島、とさまざまな環境で原酒の熟成を行っている。これだけ熟成環境を分散している例は国内では他に例がない。)

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(自分だけのオリジナルウイスキーを作れる、長濱ウイスキーラボ。長濱だけでなく、都内でも開催されている。ブレンディングというウイスキーの新しい楽しさ、可能性を発信している。)

※以下、長濱ウイスキーラボ 参考資料
動画:ウイスキーのブレンド体験してきた【長濱ウイスキーラボ】
https://youtu.be/KlUGlm9WfEY

ブログ:長濱蒸溜所のブレンド体験セミナーへ参加してきました 
https://k67malts.wordpress.com/2022/01/24/nagahama_blend_semi/

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(併設レストランで提供されている長濱浪漫ビール製のエール。IPAタイプからピルスナーまで、そして怪しい限定品まで多数揃っている。このビールが美味しく、蒸留所訪問の楽しみの一つになっている。また、レストランでは新メニューが完成したとか…)


③リスナー、ブログ読者からの質問回答
ただいま質問募集中です。当日の放送を聞いて、くりりんのツイッターアカウント宛にダイレクトメッセージいただいても問題ございません。可能な限り放送中に回答させていただきます。

現在は
・AMAHAGANには長濱蒸溜所の原酒がどれくらい使われているのか。
・三郎丸や江井ヶ嶋等、原酒交換のリリースは今後も行われていくか。
・カスクエントリーは今は何度となっているか。初期は59%、途中から63%など、蒸留のノウハウにかかるその工夫と背景情報を教えてほしい。
・ブレンドの際にどのようなことをイメージしているか、何かメッセージを込めているか。
等を質問として頂いております。

なお、個人的には屋久さんも自分も、ウイスキーのブレンドに関わってるため、ブレンドの考え方、美学的なものを聞いてみたいと思っています。
それでは、今回もよろしくお願いします!

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アマハガン ウェビナーエディション 47% 長濱蒸溜所 ワールドブレンデッド

カテゴリ:
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AMAHAGAN 
World Blended 
Webinar Edition 
Malt & Grain 
Released in 2021 
700ml 47%  

評価:★★★★★★(6)

香り:バニラやメレンゲクッキーを思わせる甘く香ばしいオーク香に、構成するモルト原酒に由来するケミカルな要素と植物っぽさを伴うトップノート。奥にはパイナップルシロップ、アーモンドスライス等のフルーティーさ、ナッティーなアロマ。スワリングするとメープルを思わせるメローな甘みも微かに感じられる。

味:スムーズで甘酸っぱくモルティーな香味構成。硬さの残る白桃、パイナップル系のケミカルなフレーバーに、ナッツや麦芽の香ばしさ。それらを長熟グレーンのとろりとメローな甘み、ビターなウッディネスが包み込んでいく。
余韻はほろ苦くスパイシーで、ピリピリとした刺激の中にオークフレーバーがアクセントとなって長く続く。

アマハガン通常品と同系統の原酒が、ブレンドの軸に使われているであろう香味構成。そこに熟成年数が長く、グレーンをはじめ異なるキャラクターの原酒も使われていることで、ブレンドながら全体的にスケールが大きく、変化に富んだ仕上がりとなっている。
フルーティーさは近年の愛好家が好む要素が主体的である反面、構成原酒の一つであるハイランドモルトに由来する”癖”も感じられる。少量加水すると、一瞬植物系のフレーバーが強まった後、オーキーな華やかさや麦芽由来の軽い香ばしさ、そしてフルーツシロップを思わせる甘みがと、好ましい要素が開いてくる。ハイボールも悪くなく、飲み方を選ばない1本。

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長濱蒸溜所がリリースする、ブレンデットウイスキー「AMAHAGAN」。同蒸溜所が調達した輸入原酒に、長濱蒸溜所で蒸留・熟成したジャパニーズ原酒をブレンドしたワールド仕様のハウスウイスキーで、今回のリリースはその特別版となります。

ラベルを彩るのは、漫画レモンハートで知られ主要キャラの面々。原酒の構成は
・長濱蒸溜所のモルト原酒
・熟成年数の異なるハイランドモルト3種
・2001年蒸留のスペイサイドモルト
・長期熟成のグレーン原酒
の6種類という情報が公開されています。
ブレンドは2020年9月に長濱蒸溜所が開催したセミナー「NAGAHAMA BLEND CHALLENGE」において、セミナー参加者に加え、講師を務めた静谷さんが手掛けたレシピを長濱蒸溜所で微調整したもの。
商品名のWebinarはネットでのセミナー等の意味であり、コンセプトである「愛好家の、愛好家による、愛好家のためのウイスキー」の通り、セミナーを通じて愛好家が作り出した味わいをリリースに繋げた訳ですね。

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私はこのセミナーに参加していないので、当日作られたレシピも、使われた原酒の素性についても、公開されてる以上の情報はありません。ですが、流石に”わからない”では記事として面白みもないので、今回はテイスティングを通じて、香味からレシピを紐解いて、こうではないかと言う予想を以下にまとめてみます。
まず、ブレンド構成はノーマルなアマハガンに共通する香味と、そこにはない香味の2系統に分類出来、それらが混ざり合うことで複雑で厚みのある味わいを作り出していると感じました。

前者の香味を形成しているのは、(つまりノーマルなアマハガンと共通する系統の原酒が)、長濱モルトとハイランドモルト3種、2系統の原酒です。
軽い香ばしさの混じる麦芽風味が主体である長濱モルトに、ややケミカルなニュアンスに加え、特徴的な癖を伴うフルーティさ。ハイランドモルト表記で、この香味をもったブレンド用原酒を年数違いで構築出来るのは。。。あの近代的な蒸留所でしょう。
8年、10年、18年。外箱に書かれているレモンハートのマスターがブレンドする原酒がまさにそれと言われても違和感なく。例えばノーマル品には同じ蒸留所産のもう少し若い原酒も使われているところ。8年クラスがメインにあり、今回のレシピではその分10年、18年クラスの比率が増えているのではと。

一方で、ブレンド全体のバランスに寄与しつつ、通常リリースにない香味の幅、複雑さにつながっているのは、2001年蒸留のスペイサイドモルトと、長期熟成のグレーン原酒、2つの仕事と考えます。
グレーン原酒は香味に感じられるとろりとした甘みと、熟成の長さを感じるビターなウッディネス。これは以前グレンマッスルNo,2のリリースで、似たような個性の原酒を使わせてもらった経験から、20年程度の熟成を予想。個性の違いが出にくいグレーン原酒なので蒸留所はハッキリとわかりませんが、ノースブリティッシュあたりではないでしょうか。(輸入なのでブレンドグレーン表記かもしれませんが。)

そして2001年蒸留のスペイサイドモルトは、淡麗寄りながら麦芽風味があり、多少スパイシーな酒質をブレンドの中から紐解きました。中間ではハイランドモルト由来のフルーティーさを邪魔せず、軽やかなスパイシーさで存在感を出してくるようなイメージです。
ブレンド向けとされる蒸溜所の中だと、ダフタウンなどのライトで柔らかいタイプ。。。ではなく、淡いようで主張する時はする、ベンリネス、キース、ブレイバルあたりを連想します。
その上でブレンドレシピはこれまでの経験から、長濱2、ハイランド4-5、スペイサイド1、グレーン2-3とか。
こうしてブレンドを紐解いて、あれこれ考えるテイスティングは楽しいですね。なお答えは分からないので、今度こっそり聞いてみますw

※ウェビナーエディション、くりりんの予想レシピ ()は比率
・長濱蒸溜所のモルト原酒:ノンピート、バーボン樽の2~3年熟成(20)
・熟成年数の異なるハイランドモルト3種:南ハイランドの某近代的蒸留所、8年、10年、18年熟成(40~50)
・2001年蒸留のスペイサイドモルト:ベンリネス、グレンキース、ブレイバルのどれかと予想(10)
・長期熟成のグレーン原酒:ノースブリティッシュまたはブレンデッドグレーン20年(20~30)




考察ついでに余談ですが、今回のリリースにはBARレモンハートの主要キャラクターが描かれ、今までのアマハガンとは異なるラベルデザインが採用されています。
これはリカーマウンテンさんとレモンハートのファミリー企画さんが共同で開始された、飲食店応援プロジェクトが関係しているのではないかと思われます。
こちらはイラスト販売益でオリジナルボトルを作成し、それを日本の飲食店に配布すると言う壮大なプロジェクト。ウイスキー業界としては初の試みではないでしょうか。既に中身のウイスキーの仕込みは完了し、イラストの価格次第で配布本数が決まる、という発信もSNSで見かけました。

長々書いてしまいましたが、今回のブレンドは長濱蒸溜所が作るアマハガンブランドに共通する“らしさ”がありつつも、そこに新しい個性、味わいが加わった面白いリリースだと思います。
愛好家のための〜というコンセプトは、まさに自分が関わらせて貰っているGLEN MUSCLEや、先日の三郎丸蒸溜所との原酒交換、蒸溜所で行われている泊りがけでのウイスキーづくり体験企画なども同じベクトルにあるものと言えます。そうしたウイスキー作りの方向性が長濱蒸溜所にあるからこそ、さまざまな企画に積極的に挑戦されているのかもしれません。
上記企画に加え、次のリリースも楽しみにしております。

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