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本日、11月1日15時にグランドオープンする、お酒の美術館 神田店。
元々は関西方面のアウトレット系の企業(のぶちゃんマン)が、自社で購入した中古のお酒をそのまま販売する以外に、1ショット1コインを基本とした価格設定で、気軽に洋酒文化を楽しんでもらおうとしてはじめた事業。
これまでは京都に出店されていましたが、その5号店が東京神田に進出しました。

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お酒の美術館 神田店
住所:〒101-0035 東京都千代田区神田紺屋町46番地
営業時間:15時00分〜24時00分
TEL:03-3527-1746

お酒の美術館チェーン店は、先に書いたような経緯から、リユースのオールドボトルを中心に扱われています。
店内にあるボトルの半数以上は、1970〜1980年代の洋酒ブームかつ、バブル期に流通した遺産。極東の島国にはどんだけのボトルが眠ってるんだという話はさておき、こうしたボトルが発掘されて陽の目を見るのは良いことだと思います。
オールドジャンルも探求の場としている自分としては、東京進出して欲しかった店舗がついにきた、飲食業界では今年一番の嬉しいニュースです。  

開店当日に伺うつもりでしたが、グランドオープン前に10月29日からプレオープンしていますという情報。これは行かねばと、早速仕事帰りに寄り道してきました。



(日替わりのオススメボトル。この日はアルマニャックと、ハイボーラーとして定評のあるスコッツグレイ12年1980年代流通。ストレートで飲んでもハイボールで飲んでも価格は500円で変わらない。勿論ハイボールで。 )

お酒の美術館は店舗によって形態が異なっており、神田店はノンチャージで、立ち飲みというスタイル。店内の内装は写真からもわかるように、簡素で最低限、アンティーク系の要素はほぼ皆無です。
PUBの立ち飲み。あるいは酒屋の角打ちが、酒類豊富に拡張されたようなイメージといいますか。メジャーなところで例えるなら、リカー●フなどの中古酒販店の店頭で、そのまま飲んでいるような感覚です。 

注文はメニューから示しても良いですが、書かれていないボトルは多数あり、ボトルを探して直接手にとって注文するのもOK。特級時代のウイスキーでもその殆どは1ショット500円均一という、破格かつチャレンジングな設定ですから、色々試したくなるのが愛好家の心情。。。
一方プレオープン中にこられたお客さんの中には、特級時代の角瓶の水割りを1コインで楽しまれて帰路に着く、そんな方も結構いらっしゃったとか。なんだか粋ですよね。


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メニューの一部。ウイスキー以外に簡単なフードや、ビール、カクテルも1コインで楽しめる。個人的にはハイボールとタコスチップスの組み合わせがオススメ。

1shotは30mlではなく、40ml程度で提供される。古酒は飲み口が柔らかいので、酔い過ぎには注意(笑)。
当日開封したサンディーマック1980年代流通品は、キャップ臭もなく状態バッチリ。

プレミアムグレードから、ジョニーウォーカーブルーラベル1990年代流通(こちらは1shot 1200円)。※プレミアムはハーフ可。
経年から若干コルク臭を感じたが、華やかな熟成香とモルティーな味わいは健在。現行品の島系要素の強いタイプとは異なる内陸主体の熟成した味わい。

ブレンデッド以外に、モルトも懐かしいものから素性が謎なものまで。グレンリベット12年は、80年代後半の特級表記付きピュアシングルモルト表記。蜜の入った林檎のフルーティーさと麦感をしっかり感じる、爽やかかつコクのある味わい。グレンブレア12年は島系モルトのピーティーさが主体、無銘ながら味は保証。

基本500円均一である強みとも言える、ウイスキーカクテルのベースを自由に選べるシステム。例えばミントジュレップを注文する際は、自由にバーボンを指定できるのが魅力。45%時代のジャックやメンチ切りターキーなどもチョイス出来る。

樽出しのオリジナルブレンデッドウイスキー。意外にさっぱりとした味わい、先斗町の方がややコクが強いか。ハイボールに合いそう。

ワインもちょっと良いものが複数あり、こちらも1杯500円から。店長はむしろワイン派で、お任せで色々飲めるのも楽しい。

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洋酒以外には、かつてのブームの残滓とも言うレア焼酎も。魔王、百年の孤独、森伊蔵、全て1杯700円。今後は日本酒も入る予定であるとか・・・。


さて、これらのボトルの出元の大半がリユースと聞くと、素性は大丈夫かという気持ちがあるかもしれません。
ですが、蒸留酒はワインなどの醸造酒と異なり10年単位での保管も問題なく。
ウイスキーBARであっても、過去に購入してストックされていたボトル以外、オークションやリユースショップで買い付けるケースは増えていて、この店だけが特別というわけではないと思います。

むしろ、そうしたオールドボトルを扱う場合、重要なのは「状態の判別」にあります。
普段オークション等でボトルを調達されている方は、地雷を掴んで悲しい想いをしたことも少なくないはず・・・。注文されてから開封する場合は特に、開けてダメでしたというのも勿論あり得ます。
実際、この日新規開栓したボトルが1本死んでおりましたが、そこはオールドボトルを数多く扱う販売店にして、餅は餅屋です。

事前に怪しいボトルの除外は勿論、そうしたボトルに当たった場合、会計には計上するつもりはないとのこと。
店頭にあるボトルは未開封でも注文があれば全て開封されますし、自分のようなオールドラヴァーからすれば気になっていたボトルを気軽に試せるのが何よりのプラスと言えます。


もう一点補足をすると、お酒の美術館 神田店は、オーセンティックBARのように落ち着いた雰囲気の中で、バーマンの洗練された技、ゆったりと流れる時間を楽しむという空間ではありませんので、そうしたニーズには合わないBARと言えます。(京都に出店されている店舗は、オーセンティックに近い雰囲気の内装です。)

ただ、上述のとおりボトルの種類は日本流通のオールドボトルを中心に豊富で、手軽な価格で様々な飲み方が出来るのは魅力。逆に肩肘張らずにワイワイとウイスキー談義や、次に購入するボトルの検討、あるいは仕事帰りに1〜2杯心のガス抜きをしてサッと帰る。そんな止まり木のような感覚で楽しめるお店かなと感じました。

最後になりましたが、この度の新店舗開店、おめでとうございます。是非今後も利用していきたいと思います。