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CONVALMORE
Natural Cask Strngth
Aged 32 years
Distilled 1984
Bottled 2017
Cask type Refill American Oak Hogsheads
700ml 48.2%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後数日以内
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:柔らかく白粉を思わせるような麦芽香、ふくよかな香り立ち。華やかでオーキーなフルーティーさ、熟した洋梨を思わせる甘いアロマが広がってくる。

味:柔らかくコクがある口当たり。香り同様におしろいを思わせる麦芽風味、バニラ、オーキーなトロピカルフレーバーが、膨らむように広がる。
余韻は少し枯れたようなウッディネス。パイナップルや洋梨などのフルーティーさが戻るように感じられる。

麦芽風味とオークフレーバーの綺麗な融合。やや枯れ気味ながら熟成感がしっかりとあるだけでなく、リフィル樽を使ったスペシャルリリースの傾向らしい、酒質と樽感のバランスが取れた仕上がり。
今回のスペシャルリリースの中で、純粋な美味しさで一番印象に残った1本でもある。


コンバルモアは、1985年に閉鎖された蒸留所。DCL(現ディアジオ)関連のブレンド銘柄では当時のブラック&ホワイトの主要原酒の1つ。1980年代の蒸留所閉鎖はグループ全体における生産調整の一環であり、特にコンバルモアのようにブレンデッド向けだった蒸留所が、この時期に複数クローズされています。
そうしたDCL傘下の蒸留所に共通するのは、今飲んで没個性的と感じるものはあっても決して味が悪かったわけではないということ。コンバルモア含め、多くの蒸留所では60〜70年代に拡張工事が行われるなど、製造環境が整備されていたとも言われています。

今回のリリースは1984年蒸留。あ、自分の生まれ年のモルトじゃないですか、なんて個人的な話は置いておいて、これは上述にあるように閉鎖間際の原酒にあたります。
同蒸留所はオフィシャル加水の通常リリースがなく、そのスタイルは一概に語れないところはありますが、1978年蒸留のレアモルト、1977年蒸留で2005年・2013年詰の2作のナチュラルカスクストレングスや、ケイデンヘッドなどのボトラーズからのリリースが一つの指標。共通しているのは癖のない柔らかさを感じつつも、そのものはハイトーンで強い酒質。特にオフィシャル扱いの1977は、50度後半の度数も合わせて非常にパワフルです。

他方、今回のリリースにあるのは柔らかい飲み口。使われた樽の影響の違いに加え、閉鎖間際で酒質の勢いが衰えていたのかもしれません。
特に組み直しのホグスヘッドを使うことで、例えば使い古したバットサイズのアメリカンオークカスクで熟成するより、わかりやすい華やかさと柔らかい飲み口が備わりやすい傾向があります。
こういう癖の少ないモルティーな原酒がブレンドに使われていたのであれば、トップドレッシングというより、ベースになるモルトとして使いやすい印象もあります。

そして何より、自分の生まれ年のモルトで美味しいボトルに出会えたことが嬉しいですね。ディアジオのスペシャルリリースらしい仕上がりに熟成感の備わったナイスリリース。
先に触れた1977自体(特に2009年詰)はマイナーなボトルなので、今でもあるところにはあると思いますが、それこそ今回のボトルと比較すしながら飲んでみると、酒質の違いや熟成の経過が伝わって面白いと思います。