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BANFF
Malt of Scotland
Aged 37 years
Distilled 1975
Bottled 2013
Cask type Bourbon Barrel #13023
700ml 42.9%

グラス:グレンモーレンジ販促用テイスティンググラス
時期:開封後1週間以内
場所:個人宅持ち寄り会@マッスルK氏
暫定評価:★★★★★★★★(7-8)

香り:華やかでオーキーな香り立ち。パイナップルや林檎のドライフルーツを思わせるフルーティーさ。乾いたウッディネス。ビスケットやバニラも多少感じられる。

味:ややドライだがオーキーで華やかな口当たり。中間から後半にクリーミーな麦芽風味。ナッツ、パイナップル、ドライな柑橘感のアクセント、香り同様のフルーティーさ。
余韻は華やかなオーク、殻付きの麦芽や淡いピートのほろ苦いフレーバーがじわじわと染み込むように長く残る。

一見して度数落ち的なスペックだが、バンフらしい麦系のフレーバーに加え、樽由来の華やかさ、ドライな果実味、そして淡いピート。余韻まで香味の変化と美味さがある。
他方で繊細な印象もあり、突き抜けるというよりじわりと広がるバランス型。開封後のタレ具合は比較的早そうで、この冬が終わるあたりまでがピークかもしれない。


今は亡き蒸留所ですが、コアなファンから未だ根強い人気のある蒸留所の一つ。所属はDCL系列(UD、ディアジオ系)、1980年代のスコッチウイスキー冬の時代に閉鎖されており、その背景は単に味が悪かったというよりはグループ全体で生産調整を行う中で、類似の蒸留所や設備の古い蒸留所など切れるところを切っていった効率化によるものと考えられます。

現在はウイスキー全体の輸出額の中で、シングルモルトの比率が2割以上となったようですが、かつては95%以上がブレンデッドだった時代。蒸留所単体の銘柄として確立していないものであれば、効率化の対象となっても仕方が無かったと言えます。
実際バンフ蒸留所の原酒はかなりストックがあったという説もあり、オフィシャルはリリースされなかったものの、UDレアモルトシリーズやボトラーズからの各種リリースが、2000年代までは広く流通していました。

その味わいは芯と厚みのある麦感が主体、それ以外にあまり癖があるような印象は無く、良くも悪くもハイランドモルトという印象。そのため、アメリカンホワイトオーク系の華やかなオークフレーバーとの馴染みが良い原酒だと感じています。
今回のボトルは、度数こそ40度台前半まで落ちていますが、原酒の出元はバーボンバレルにしてはバランスの良い樽感で、リフィルか長熟バーボン払い出しだったのか、長熟シングルカスクらしい削り整えられた酒質に、ドライなオークフレーバーの華やかさがマッチ。
突き抜けるような印象はありませんが、自分の好きな多彩でしみじみ美味いタイプ。余韻まで酒質由来の味わいが残り、広がりが感じられ、「度数落ちで樽感だけでしょ」という第一印象は一気に払拭されました。
これは旨い長熟バンフです。


そういえばこのブログでバンフ蒸留所のボトルを紹介するのは初めてです。
もちろん過去に何本かは飲んでいて、まったく未体験というわけでもないのですが、レビュー数1000近くになってなお、あれ、この蒸留所初めてだったかとか、このボトル載せてなかったかというのが結構有ります。

ブログ運営にあって特段これと言う目標は設けていないのですが、しいて言えばモルト大全に掲載されている全主要蒸留所&スコッチオデッセイに掲載されている主要なオールドブレンデッドは掲載した形を作りたいと思っているので、あと1~2年はカテゴリー整理を考えていかなければならないですね。
また、「これ、まだでしたよね」とか「評価を聞きたい」とか、今回のバンフのようにテイスティングの機会を頂くことも少なくなく、当ブログは読者の皆様の力添えを持って成り立っていると感じる瞬間です。いつもありがとうございます!