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MACPHERSONS
"CLUNY"
Scotch Whisky
1940’s
40% 900ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:ドライなアロマでスーッとするようなアルコールが、穀物感のある甘みとともに感じられるが、経年による丸みもある。モルトスナック、カシューナッツ、ハッカ、淡いスモーキーさも伴う。

味:サラサラした口当たりで、穀物感、ザラメ、あるいは醤油飴を思わせる甘さが緩いコクとともに感じられる。中間から強くはないが存在感のあるピートフレーバー、土っぽい香味がしっかりと。

そこまで熟成しておらず、かつ個性の強くない原酒を中心に作られたブレンデッド。それが半世紀を越える瓶熟で、丸みと緩さを帯びたと感じられるウイスキー。やや中庸気味だが、ピートフレーバーは現代のものとの違いがはっきりと感じられる。


今回のテイスティングアイテムは、写真には写っていませんが、TAXシールに通関年として1947年が記録されたアメリカ向け流通品。先日、ウイスキー仲間宅で開催された内輪のブラインド大会で、優勝した際のオマケとしてテイスティングさせていただいたものです。
おそらく1940年前後に蒸留された原酒をを使い、戦後まもない時期に流通したボトルを今こうして飲める。時間の分だけ詰まった浪漫に、なんだか不思議な高揚感があります。

クルーニーは輸出向けのブレンデッドウイスキーで、日本市場にも1980年代前後を中心に流通したものの、90年代のウイスキー冬の時代に淘汰され、現時点ではアメリカ市場が主体。調べて見ると、アメリカのショップで安価に販売されているページが散見されます。

一方その歴史は古く、ブレンデッドウイスキー大全によると、ブランドのルーツは1857年(企業の創業は1849年)まで遡り、1933年にはキングジョージ5世から王室御用達も受けていたようです。
1933年と言えばアメリカの禁酒法が改正された年ですから、国王のお墨付きをもってアメリカ市場を取りに行ったということでしょうか。
今回のボトルのラベルにも、キングジョージ5世の紋章が誇らしげに使われていますが、流通時期にズレがあるのは当時はワラントの規制が緩く、故人(キングジョージ5世は1936年に死去)であっても使うことが出来たためです。

なお、このブレンドの原酒構成ですが、近年のクルーニーは親会社とホワイト&マッカイ社との関係で、ジュラをキーモルトにしていた模様。
ただ、ジュラは1963年に50年にも渡る休止期間から再稼働した蒸留所であるため、今回のボトルにジュラが使われた可能性はほぼゼロ。ホワイト&マッカイ社系列で言えば、フェッターケアンは1926年から20年以上休止期間だった記録があるし、ダルモアについては1960年に傘下に加わっているため、この時点では考えづらく。。。
ウイスキーづくりに少なからず影響を与えた第二次世界大戦の後という時期を考えると、生産を継続できた大手蒸留所の原酒を使ってはいそうですが、正直検討がつきません。

なんて、オールドボトルの楽しみとも言える、歴史を紐解く時間も含めてしっかり堪能させていただきました。
いや〜オールドボトルはやはり経年の長さだけ浪漫がありますね。