カテゴリ:
BEN WYVIS
Signatory Vintage
Aged 31 years
Distilled 1968
Bottled 2000
700ml 50.6%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@個人所有ボトル
時期:開封後1〜2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなリフィル系のオーク香、ファイバーパイナップル、摩り下ろしたりんご、最初はドライだが奥からおしろいを思わせる甘い麦芽香も感じられる。

味:スパイシーな口当たり、酸味のある麦感やナッツ、香りほど樽感は感じないが、ほのかな青みを伴うウッディネス。
余韻は微かなピートを伴いつつ麦感全開でリッチな甘みとオークフレーバーの華やかさ、スパイシーで長く続く。

閉鎖云々はさておき、60年代らしく麦感が厚く、スパイシーな口当たりが特徴。現行のハイランドモルトとは異なる時代を感じさせる味わい。樽感はそれほど強くないので、酒質由来の香味が楽しみやすい。少量加水するとさらに麦系の甘味を引き出せる。


先日、紛らわしくも同じブランド名が使われたボトルを紹介しましたが、その際にも触れたように、こちらが正真正銘の三代レアモルトの一角、ベンウィヴィス。
元々数が少なく飲める機会が少なかった銘柄ですが、60年代原酒が高騰する現在にあっては二重の意味で大変貴重な1本ですが、今回ご厚意でテイスティングの機会を頂きました。


ベンウィヴィスは1965年創業。インヴァーゴードングループの原酒供給を補助する目的で、グレーン工場であるインヴァーゴードン蒸留所の中に建設された、小規模な蒸留所です。
インヴァーゴードングループは、今でこそ巨大ウイスキーグループの一角ですが、1961年の蒸留所設立当初は当然ながらこれというモルトウイスキー蒸留所を傘下としておらず、原酒の確保が急務となっていました。
そこで敷地内にベンウィヴィスを建設。合わせてディーンストン、一年遅れてタムナヴリンを設立し、ブルイックラディやタリバーディンを買収するなど、この時期積極的な事業拡張を行うとともにブレンドメーカーとの連携も進め、1970年代にはフィンドレイター、グレンドロスタンらのブレンデッドウイスキーが洋酒ブームに沸く日本市場にも展開されています。

一方で、こうして同社の事業が軌道に乗ったことを見届ける形で、1ベンウィヴィスはその役目を終えて1977年に閉鎖。
12年という期間の短さもさることながら、それ以上に創業初期で原酒確保が厳しい時代だったこともあり、このベンウィヴィスのモルト原酒はほとんどが自社ブレンドに使われ、樽売りやシングルモルトとしてリリースされた量はごくわずかとなっていることが、異常なまでのレアリティに繋がっています。
(ブローラやポートエレンなどと違い、もう樽が残っていないという話も。。。)

ウイスキーそのものキャラクターは酒質はやや荒削りな感はあれど、普通に(あるいは意外と)美味いモルトで、以前テイスティングした際の印象と同様。というよりこのボトルは経年変化も手伝って、バランスが取れて来ているように感じました。
久しぶりにテイスティング出来て良かったです。