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KINCLAITH
DUNCANTAYLOR
Aged 40 Years
Distilled 1969
Bottled 2009
700ml 51.0%

グラス:木村硝子
量:30ml以上
場所:個人宅@サロンドシマジ本店
時期:不明
評価:★★★★★★☆(7)

香り:ツンと鋭い香り立ちが鼻腔をちくちくと刺激する。オーキーな華やかさ、ほのかに香るハーブ、徐々に蒸した栗や蜂蜜を思わせる甘み。加水すると香り立ちが穏やかになり、華やかな木香が伸びた後、バタークッキー、ファイバーパイナップル、甘みと爽やかな柑橘系のアロマが漂う。

味:香り同様エッジの鋭い口当たり。湿った紙のような癖を若干感じた後、スパイシーな刺激に強くオーキーな華やかさ、ハーブ香とダージリンを思わせる香気が鼻に抜ける。熟した洋梨やリンゴのコンポート、余韻はウッディーでスパイシー、ナッツを思わせる戻りと微かに梅シロップの酸味、口の奥にリンゴの甘みが張り付くように長く続く。
加水すると紙のような癖は残るが全体のバランス、特に余韻にかけて開くフルーティーな流れはバランスが良くなる。


大変お久しぶり、6年ぶりにテイスティングの機会を頂いた、キンクレイスです。
場所はウイスキー愛好家には髑髏ラベルのサロン・ド・シマジシリーズでおなじみ、島地勝彦氏のプライベートスペースである、広尾にある通称"本店"。
島地先生の仕事場として、執筆活動や著名人の取材に使われることも多く、1度ならず2回の訪問は中々難しい中、大変光栄なことに1年以内にその機会をいただいたのです。いやぁ、人の繋がりって凄いです・・・。

本店に訪問する際は、まず島地先生行きつけのお店で食事をして、その後サロンへ移動。そこからは部屋中ところ狭しと並んだボトル(約300本)の中から珠玉の1杯をテイスティングしつつ、ゆったりと過ごします。
何杯か飲んだ後で「おい、次はコイツを飲むぞ」と、ジョニ赤でも扱うかのように棚の奥から出てきたのが、このダンカンテイラー キンクレイス40年。
キンクレイスは1958年にロングジョン社がローランドにあるグレーンウイスキー工場の中に建設した、ブレンデッドウイスキー用の原酒を生産する蒸留所です。そのためオフィシャルボトルのリリースが無いばかりか、同社の方針変更に伴い1975年に閉鎖しているため、18年しか稼動していない短命さも、その希少性に拍車をかけています。

ブレンド用に生産されていた原酒でしたが、GMやシグナトリー等のボトラーズブランドから少量リリースされており、どれも上記の事情からウイスキーファン垂涎の1本。
その流通量と希少性から、もう出会うことは無いだろうと思っていたのですが、チャンスというのは本当に突然やってきますね。
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このボトル、ちょうどウイスキーを本格的に飲み始めた頃に"カツヒコ"さんに頂いたことがありました。
カツヒコさんはカツヒコさんでも、島地先生ではなくWhisky linkのタケモトカツヒコさんです。
自分はウイスキーの中でそういう縁でもあるのかと、感じざるを得ない再会。
当時は希少だけど華やかで美味しいウイスキーという程度の認識しかなかったわけですが、今は知識も経験値も違いますので、見える世界の違いが新鮮で、非常に楽しむことが出来ました。

改めて飲んでみると、リフィルオーク樽由来の華やかさ一辺倒なだけではなく、複雑かつ多様なフレーバーが感じられます。
ハーブ、蜂蜜、紅茶、そしてメロンとも例えられるとろりと甘い果実のコクに加水での伸び。また、40年という熟成を持ってなお抑えきれないのか、少し湿った紙のようなローランドっぽいニュアンスも。
キンクレイスについて調べると"複雑な味わい"であることが述べられていますが、成る程、確かにいい意味での複雑さが感じられます。

話をサロンに戻して、ウイスキーには煙も必要ということで、海外から3週間前に届いたばかりというラモンアロネス・LE2015を頂きます。
美味い食事の後で、上質な葉巻をくゆらせながらのウイスキー、素晴らしいひと時です。

そんな中で島地先生から、今後のサロンドシマジリリースに、ついてとんでもない情報が。なんでも某メーカーと組んで、所有蒸留所の中からプライベートボトリングを行う予定なのだそうです。
当然あの有名どころや最近注目を集める某国のモルトも含まれます。っていうか自分が記憶している限り、あれを個人名でボトリングした日本人は居ないんじゃないか。。。?
早くも来年が楽しみです!

話が盛り上がり、18時半からスタートした会は気が付けば24時近くに。久しぶりに足元がおぼつかなくなるほど飲んでしまいました(汗)。
島地先生、そしてTさん、Kさん、夜分遅くまでありがとうございました!